TOPQ&A記事初めての取締役会の開催にあたり、何を準備したらよいでしょうか?
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初めての取締役会の開催にあたり、何を準備したらよいでしょうか?

私は、これまで個人事業主として事業を行ってきましたが、これまでともに働いてきた仲間に取締役となってもらい、取締役会設置会社として株式会社を設立する予定です。取締役会に関して、ノウハウが全くないのですが、どのような準備や手続きが必要でしょうか?
まず、取締役会の役割と取締役会で決定すべき内容を把握しましょう。
取締役会開催にあたっては、原則として招集手続きが必要なので、手続きの内容も把握しましょう。
取締役会で行う会議では、会議で必要となる資料の準備が必要です。
取締役会終了後は、取締役会議事録を記載する必要がありますので、事前に議事録に記載すべき事項についても把握しておきましょう。
回答者
北上 拓哉 弁護士
弁護士法人決断サポート

取締役会の役割と決議事項

取締役会は、会社の業務執行に関する意思決定をしたり、取締役の職務の執行の監督を行ったりする役割があります。

取締役設置会社は、①重要な財産の処分、②多額の借財、③代表取締役の選任・解任といった重要事項については、取締役会で決議しなければならないと会社法で定められています。

また、取締役が行う利益相反取引や競業取引については、取締役会がその承認することになっており、承認がない場合、これらの取引の法的効力は原則として認められません。

このように、会社の重要な事項について取締役会で決めることになるので、話し合いにおいて必要となる資料を用意しておく必要があります。

取締役会は、一般的に、法令と定款のほか、会社が独自で定める取締役会規則とその解釈運用基準等に基づいて運営されます。

取締役会の招集手続

取締役会の招集手続では、通常、取締役全員に対して会議の日時、場所、議題など記載した書面を通知します。監査役がいる場合には、監査役にも他の取締役同様に招集通知を行う必要があります。

招集通知は、取締役会日の1週間前に行う必要があります(取締役の全員の同意があれば、招集手続きを経ることなく開催可能。)。

法律では、各取締役が取締役会を招集できると定められていますが、定款や取締役会規則で、代表取締役や特定の取締役が招集するものと定めることができます。多くの会社では、定款や取締役会規則において、代表取締役を招集権者と定めています。

招集手続きが法令に違反した場合は不適法なものとされ、そこで行われた決議は法的効力を有さない無効なものとなる可能性があるため、注意しましょう。

取締役会の手続き

取締役会開催の手続きは、次のとおりです。

  1. 出席取締役の確認:出席者と定足数の確認を行います。
  2. 開会宣言:会議の開始を宣言します。
  3. 議題の確認:事前に通知された議題について確認し、必要に応じて追加や修正を行います。
  4. 議論と決議:各議題について議論し、必要な決議があれば行います。
  5. 報告事項の報告:代表取締役及び業務執行取締役は職務の執行の状況を報告します。
  6. 議事録の作成:会議の内容を記録し、議事録を作成します。

取締役会における限られた時間で効果的な討論を行うため、議題を設定したうえ、充実した討論ができるように資料を準備します。

無効な取締役会決議に基づく代表取締役の行為は、法的効果が認められない無効なものとなることがあるので注意しましょう。

取締役会議事録の作成

取締役会議事録は会議終了後、速やかに作成します。

取締役会の議事録には、以下の内容を含める必要があります。

  1. 会議の日時と場所
  2. 出席者の氏名
  3. 議題の詳細
  4. 各議題に関する議論の概要、各議題の決議結果
  5. 出席取締役の署名または記名押印

取締役会議事録は、取締役会の日から10年間、本店に備え置くことが法律上の義務とされています。

まとめ

これから取締役会設置会社の株式会社を設立する際には、取締役会の役割、取締役会で決定すべき事項、取締役会の招集手続き、取締役会の進め方、取締役会議事録の作成する際の内容を把握して、適法に取締役会の手続きを進めるように準備しましょう。

取締役会で行う会議では、充実した討論が行えるように必要な資料を準備しましょう。

取締役会議事録の作成・保存は、法律で義務づけられていますので、忘れないように作成しましょう

 

※この記事は、2024年9月3日に作成されました。

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