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業務委託契約書のレビューポイントを教えてください。

コンサルティングを他社に依頼するにあたり、先方から業務委託契約書のドラフトが送られてきました。どこを中心に確認すべきかよくわからないのですが、特にどのあたりに注意すべきでしょうか?
ドラフトの内容が貴社に不利なものとなっていないか、貴社が想定している内容と齟齬がないかを中心に確認すべきです。
特に、①委託するコンサルティング業務の内容、②業務委託料、③知的財産権の帰属、④中途解約を定める条項については、よく注意して確認しておくべきでしょう。
回答者
幅野 直人 弁護士
かなめ総合法律事務所

委託するコンサルティング業務の内容

業務委託契約書において、“どのような業務を委託するか”を定めることは最も重要な事項の一つです。委託するコンサルティング業務の内容に抜け漏れがないかをきちんと確認するようにしましょう。

なお、契約書は、紛争が起きた場合に“契約当事者間でどのような合意がされていたか”を示す証拠としての機能を有します。そのため、たとえ契約の相手方との間で当然の前提として共有されている事項であっても、契約書においてきちんと言語化しておく必要があります。

業務委託料

対価として支払う業務委託料の金額、支払時期(支払条件)、支払方法等について、貴社が想定している内容と齟齬がないかを確認しましょう。

支払時期(支払条件)について、業務を委託する側としては、確実に業務を履行してもらってから支払いたいと思うのが通常でしょう。そのため、ドラフトにおいて、前払いを要求されているような場合、進捗段階に応じた分割払い等に変更できないか相手方と交渉することも検討すべきです。

また、契約書に記載された金額が税込みか税抜きか、業務委託料にどこまでの費用(交通費など)が含まれるかについても、相手方との間で争いとなることのないよう契約書上に明記しておくべきでしょう。

知的財産権の帰属

コンサルティング業務の遂行過程で、特許権や特許を受ける権利、著作権といった知的財産権の発生が想定される場合があります。このような場合、発生する知的財産権について、委託者(貴社)と受託者(相手方)のどちらに帰属させるべきかを契約書上で定めておくべきです。

業務を委託する側としては、委託者側に知的財産権を帰属させるように定める形が望ましいですが、受託者側に知的財産権を帰属させるように定める場合にも、コンサルティング業務の成果を貴社が利用することについて支障のないように利用許諾(ライセンス)の範囲や条件を定めておくことが必要です。

中途解約

コンサルティング契約の中には、契約期間が長期になるものも珍しくありません。このような場合、契約期間途中の事情変更等の理由から、契約を中途解約したくなる事態も想定されるところです。

そのため、特に長期の契約の場合、ドラフトにおいて、貴社が契約を中途解約するための条件について貴社に不利な定め(たとえば、「一切の中途解約を認めない」というような定め)となっていないか、また、中途解約時の業務委託料や損害賠償について貴社に不利な定め(たとえば、「中途解約の場合、業務委託料の全額の支払いに加えて、受託者に生じた一切の損害を賠償しなければならない」というような定め)が設けられていないかといった点も確認しておくべきでしょう。

まとめ

業務委託契約書でレビューすべき事項は、必ずしも上記に述べたものだけに限られません。また、個別事案の事情に応じた契約書レビューも必要となります。

必要に応じて、弁護士に契約書レビューを依頼するといったことも検討するとよいでしょう。

※この記事は、2024年6月6日に作成されました。

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