TOPQ&A記事当社に関する虚偽のSNS情報について削除請求をしたいです。
SHARE

当社に関する虚偽のSNS情報について削除請求をしたいです。

当社の従業員になりすましたSNSアカウントが、「当社は食品偽装問題を隠蔽している」といった虚偽の情報を発信しており、世間に誤解される恐れが大きいため、削除請求をしたいです。どのように進めるのが適切でしょうか。
まずは、虚偽の情報が発信されているSNSの投稿について、当該SNSのフォーム等を通じてSNSの運営会社に対し削除依頼をして下さい。当該SNS事業者が任意の削除請求に応じない場合には、裁判手続(削除仮処分)を行うことを検討します。
回答者
眞子 幸人 弁護士
弁護士法人大手町法律事務所

SNS投稿の削除請求の方法

SNS投稿の削除請求の方法としては、①任意の交渉による手段と、②裁判手続きによる手段が考えられます。

①任意の交渉による場合は、当該SNS上のフォーマットによる違反報告等によりSNSの運営会社に対し、当該投稿の削除を求めることが考えられます。

①により削除がなされない場合には、②裁判手続きにより削除請求を行うことが考えられ、具体的にはSNSの運営会社を相手として削除の仮処分を請求することとなります。

なお、当該SNSアカウントに対し、DM等を通じて削除交渉することも考えられますが、なりすまして虚偽の情報を拡散していることから悪意をもって行っているものと考えられるため交渉に応じない可能性が高いと考えられます。

削除仮処分の具体的な流れ

削除仮処分の手続きは概ね以下のとおりとなります。まず、SNSの運営会社を相手方として裁判所に仮処分命令の申立書を提出します。次に、裁判所で審尋が行われ、申立人(債権者)と相手方(債務者)の主張がそれぞれ確認されます。審尋後、申立人の主張が認容された場合、担保金を供託し、裁判所が仮処分命令を発令します。最後に、仮処分命令に基づきSNSの運営会社が投稿を削除します。SNSの運営会社が速やかに決定に従った削除を行わない場合には強制執行(間接強制)も可能となります。

実際の対応のポイント

虚偽の情報を発信した者に対し損害賠償等を求める場合、まずは発信者を特定する必要があります。発信者情報開示手続きにより発信者を特定するためには当該投稿の投稿内容、URL、アカウント情報等が必要となりますので、当該投稿が削除される前にこれらを保存しておく必要があります。

また、削除フォーム等により削除される場合には数日内に対応されることが多いですが、仮処分による場合には削除が認められるまでに1か月以上かかる場合があります。そのため、当該投稿を放置していては会社の信頼を損ねることとなりますので、会社から積極的に、当該SNSの情報が虚偽であることを自社のSNSやホームページ等で発信していくことも検討すべきです。なお、今回は投稿内容等からなりすましアカウントであること予め判断できていることが前提となっていますが、実際は、内部告発の可能性も否定できないため当該投稿内容について事実関係を十分に調査したうえで対応しなければなりません。

まとめ

以上のとおり、SNS投稿の削除請求を行う場合、拡散された投稿内容への対応や、投稿者への責任追及のための準備も必要となります。SNS上で虚偽の情報を拡散されたという場合には、迅速な対応と事実関係の調査が重要となりますので、早期に専門家へ相談するようにしましょう。

 

※この記事は、2024年8月7日に作成されました。

関連Q&A

エンジェル投資家から出資を受ける際に注意すべき点を教えてください。
エンジェル投資家から、投資したいとの申し出がありました。投資を受ける際に最低限注意すべき点を教えてください。
広告にタレントを起用する際、契約上どこに気を付けるべきでしょうか?
製品広告を打つにあたり、今回初めてタレントを起用することになりました。タレントの所属事務所と広告出演契約を結ぶのですが、どのあたりに気を付けるべきでしょうか?
海外企業とライセンス契約を締結する際の注意点を教えてください。
当社は服飾品の製造販売をしている会社なのですが、今後海外進出をするにあたり、自社がライセンサーとして海外企業とライセンス契約を結ぼうと考えています。契約内容のすり合わせにあたり、どのような点に気を付けるべきでしょうか。
「2024年問題」の荷主企業への影響と対策を知りたいです。
「2024年問題」についてよく耳にしますが、実際何から対策したら良いかがわかりません。荷主企業への影響と経営者としてまずやるべきことを教えてください。
ベンチャー企業が弁護士に依頼すべき事項の判断基準がわかりません。
弊社は100名以下のベンチャー企業ですが、これから人員や事業を拡大していく予定です。外部の弁護士に依頼・顧問弁護士に依頼・社内対応すべき事項について、どのような判断基準を持てばよいでしょうか?