TOPQ&A記事従業員の横領が発覚したのですが、刑事告訴すべきでしょうか。
SHARE

従業員の横領が発覚したのですが、刑事告訴すべきでしょうか。

当社の従業員が、顧客から集金した現金を横領していたことが分かりました。本人は横領を認めているものの返済になかなか応じようとしないため、刑事告訴も視野に入れているのですが、どのような対応をすべきでしょうか。
刑事告訴を検討することはおかしくありません。
ただ、時間をかけることは証拠の散逸や本人の逃亡などにもつながりますから、横領の疑いが相当に高まれば、まずは本人への確認前に早急に弁護士に相談しましょう。そして弁護士の指示に従いながら、証拠を集めます。
そのうえで、告訴、民事上の損害賠償の検討などになります。
回答者
岡田 晃朝 弁護士
あさがお法律事務所

横領の疑念とその確認

会社で横領の疑念が生じた場合、本人を直ちに追及したくなる気持ちは理解できます。が、まずは証拠や事実の確認が先決です。焦って本人を追及すると後日に横領がなかったと発覚した場合に、会社側の姿勢がパワハラなどの問題にされるリスクもありますし、仮に横領が事実でも証拠や取得した財産を隠されたり、逃亡されたりする危険も高まります。

まずは、弁護士に相談の予定を入れつつ、履歴書、身元保証契約書、業務日報、領収記録など、社内で集めることができる資料を集めてください。店舗での横領の場合、期間経過で抹消される前に、防犯動画の記録を保管してください。

弁護士への相談、証拠収集

弁護士事務所に、それまでに集めることができている資料をもって、相談に行かれてください。弁護士から資料を見ての追加の証拠収集のアドバイスなどがあると思います。

場合によっては顧客側へ連絡して、顧客に対する当時の言動を確認する、顧客に渡した資料のコピーの確保をするなど新たな証拠収集が必要なこともあります。

横領は外部からはわかりにくい犯罪のために、証拠が不十分ですと刑事告発が受け付けてもらえないこともあります。できるだけ証拠を集めましょう。

できる限りの証拠を集めたうえで、横領の可能性が相当に高まれば、本人を呼び出して事実を確認することになります。この時は必要に応じて弁護士が立ち会うこともあります。

告訴上の提出

そのうえで、告訴状を弁護士に依頼して作成してもらいます。横領に見える行為でも、実際には背任や詐欺の方が法律構成しやすい場合などもあります。相当に専門的な検討になりますので、こういう知能犯関係の犯罪は、告訴状は弁護士に依頼して作成してもらうべきです。

そして、これを警察署に提出します。

一回で受付になることもありますが、そうでないことも多いです。たいていは、警察では担当者がコピーを取って検討すると言われますので、しばらく待つことになります。時にはこの段階で追加資料を求められることもありますので、可能な限り対応した方がよいでしょう。

金銭の回収について

刑事の問題は告訴が受領されれば警察に任せることになります。しかしこれで損害が回収できるわけではありません。刑事事件の対応の中で、示談を申し入れられることも多いですし、そういう申し入れがあれば、そこで交渉協議することになります。

そういう申し入れがなければ、民事上の損害賠償訴訟をして、金銭回収を図ります。もっとも、犯罪直後であったり不動産を所有しているなど、まとまった財産があるなどの事情がない場合は、回収が困難な場合もあります。民事訴訟には費用もかかりますから、どこまで追求するかは慎重な検討が必要です。

 

※この記事は、2024年12月4日に作成されました。

関連Q&A

メンタル不調で休職中の従業員が復帰する場合の注意点を教えてください。
うつ病で休職していた従業員から復職の希望連絡を受けたのですが、復職可否を認める基準はあるのでしょうか。また、復職させる際、どのような点に配慮すべきでしょうか?
虚偽の内部通報をした従業員を懲戒処分すべきでしょうか?
従業員から「同僚から性的な嫌がらせを受けた」との内部通報がありましたが、事実関係を調査したところ、そのような性的な嫌がらせがあったという事実は確認できませんでした。 このような虚偽の通報をした従業員について、何らかの対応をしたいのですが、懲戒処分をすべきでしょうか。
セクハラの相談を受けた場合、どう対応すべきでしょうか?
同僚からセクハラ被害にあっている、と当社の従業員から報告を受けました。加害者である同僚をやめさせてほしいと相談を受けているのですが、どう対応したらいいでしょうか?
パワハラに「穏便に」対応するよう相談されました。どうすればよいですか?
当社の従業員から、上司からパワハラを受けている旨の相談がありました。 ただ、その際「報復が怖いのでできるだけ穏便に対応してほしい」との要望を受けました。どのように対応すればよいでしょうか?
採用差別の基準がわかりません。
当社では採用面接において、家庭の宗教や病気歴、結婚願望、ワークライフバランスの価値観について質問し、これらの回答結果も考慮したうえで採用合否を決定しているのですが、先日従業員から、採用差別に当たるのではないか、という相談を受けました。差別にあたらない質問や採用の基準が難しいと感じるのですが、どこまでが採用差別に当たるのでしょうか。