TOPQ&A記事キャラクターライセンス契約を締結する際の注意点を教えてください。
SHARE

キャラクターライセンス契約を締結する際の注意点を教えてください。

有名なキャラクターを製品パッケージに使用するにあたり、著作権者とキャラクターライセンス契約を締結することになったのですが、どのような点に注意すべきでしょうか?
キャラクターライセンスの内容が、当該製品の事業計画や製品パッケージの具体的な態様に即したものとなるように、キャラクターに関して許諾を受ける対象、当該キャラクターの想定される使用態様、使用の許諾を受ける製品の特定を中心に注意しなければなりません。
回答者
矢倉 雄太 弁護士
中之島シティ法律事務所
回答者
西川 侑之介 弁護士
中之島シティ法律事務所

許諾を受ける対象の特定

キャラクターとひとえに言っても、漫画等に登場する人物像のほか、その人物の具体的な表現物(のイラスト等)まで、様々な内容を含み得ます。このうち、著作権法が保護の対象としているのは、抽象的な人物像ではなく、あくまで当該キャラクターを描いた個々のイラスト等の具体的な表現物です。また、多くのケースにおいて、ライセンサーは、そのキャラクターの「名称」について商標権を取得しています。

したがいまして、製品パッケージにキャラクターを使用するにあたりライセンスを受ける場合には、そのキャラクターの名称や登場する作品名に加えて、容貌や姿態(ポーズ)の図面、図柄を記載することによって、許諾を受ける対象を明確に特定しておかなくてはなりません。また、キャラクターの名前について商標権が存在するのであれば、許諾を受ける商標についても特定します。

このように、実際の事業計画を踏まえて、許諾を受ける対象を明確に特定することがまずもって大切です。

キャラクターの使用態様

キャラクターを製品パッケージに使用する際には、パッケージデザインの関係で、当該キャラクターの一部のみ(例えば、上半身のみ)を使用したり、当該キャラクターのイラストと重なる形で別の図柄を付加したりするニーズも考えられます。

また、当該キャラクターの原画との同一性を損なわない範囲において、当該キャラクターの姿態(ポーズ)や図柄を変更した形で使用したいという場合もあるかと思います。

そこで、キャラクターライセンス契約においては、許諾されるキャラクターの使用態様として、契約で特定したイラストをそのままにしか使用できないのか、それとも一定の変更・修正が許容されるのか、許容される場合どの程度か(複製に限らず翻案まで認められるのか否か)といった点を明らかにしておくべきです。仮にそのままにしか使用できない契約である場合、これに違反して変更を加えれば、契約違反になることはもちろん著作権(翻案権)侵害などの権利侵害となることを意識する必要があります。

許諾を受ける製品の特定

また、当該キャラクターをどのような製品に使用できるのかという許諾を受ける製品の範囲が重要です。

実際に販売等を予定している製品については、製品の種類や製品名等を具体的に挙げて記載するなど、その範囲に疑義が生じないよう、過不足なく規定しなければなりません

過不足なく規定するためにも、予め事業計画を練り、許諾を受けるべき製品の範囲や内容について詰めておくことが大切になります。

その他のライセンス条件

その他、©(マルシー)などクレジット表記を求められる場合には、その態様や内容について確認が大切です。

また、ライセンス契約一般に共通する検討事項ではありますが、以下についても当該事業に関する計画を踏まえた検討が大切になります。

  • 許諾を受ける地域的範囲(日本国内のみか外国も含むか)
  • 許諾期間
  • 許諾の独占・非独占(最低保証料の有無・内容)
  • 許諾される行為の範囲(当該製品の製造、販売、輸出等のどの行為が許諾されるのか)
  • ライセンス料の定め、許諾期間経過後の在庫処理など

まとめ

キャラクターライセンス契約を締結するに際しては、実際に検討している事業計画を踏まえて、特に許諾対象、キャラクターの使用態様、許諾製品などを中心に、過不足なく規定できているか否かに十分留意することが重要です

 

この記事は、2024年3月26日に作成されました。

関連Q&A

アメリカの販売代理店との契約についてチェックポイントを教えてください。
販売代理店を利用して、アメリカで当社の製品を販売しようと思っています。代理店側から契約書のドラフトが送られてきたのですが、チェックのポイントを教えてください。
業務委託契約書のレビューポイントを教えてください。
コンサルティングを他社に依頼するにあたり、先方から業務委託契約書のドラフトが送られてきました。どこを中心に確認すべきかよくわからないのですが、特にどのあたりに注意すべきでしょうか?
元請会社に報酬を支払わせる方法はありますか?
弊社は建設工事の下請企業で、長年、元請会社とは契約書は締結せずに見積書ベースで工事を行っていました。先日、工事を完了させたところ、元請会社から「過去の見積額が過大だったため、過払状態であり、過払金と相殺するため報酬を支払わない」という通告を受けました。報酬額を支払わせる方法はありますでしょうか。
英文秘密保持契約のレビューポイントを教えてください。
海外企業と取引を検討するにあたり、英文秘密保持契約を締結することになりました。先方からドラフトが送られてきたのですが、そもそもどのような構成になっており、どのあたりをレビューすべきでしょうか。
個人情報が漏洩した可能性がある場合、まずは何をしたらよいのでしょうか?
先日退職した従業員の、当社の顧客情報へのアクセス権限をはく奪するのを失念していました。 顧客情報が流出した可能性があるのですが、どのように対応すればよいでしょうか?