TOPQ&A記事終活にあたり、社長の場合はどのような観点で考えるべきでしょうか。
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終活にあたり、社長の場合はどのような観点で考えるべきでしょうか。

まだ現役で社長業をしているものの、高齢化に備えて自身の終活を始めたいと思っています。
会社経営を行っているため、個人の場合よりも多くの備えが必要だと思うのですが、具体的にどのような観点で終活を考えるべきでしょうか。
残される従業員や家族が泥沼の争いに巻き込まれないように、早めに準備を行い、後継者や家族に円滑に経営権や財産を引き継ぎましょう。
今すぐ経営をバトンタッチしない場合にも、事前に遺言書などで株式を承継できる準備が必要です。会社関係の書類についても不備がないか改めて確認をしておきましょう。
回答者
吉田 朋師 弁護士
修善寺法律事務所

はじめに~社長の終活の必要性

現役で社長業をされている方は、終活は「まだ必要じゃない」とか「もう少し時間が経ってから」とのお考えの場合も多いと思います。しかし、いつ万が一のことが起きるかは誰にも予測できません。もし、何も準備がないまま、突然社長が亡くなってしまった場合、残された従業員や家族は途方に暮れてしまいます。そうならないためにも、早め早めの準備が必要です。

会社の事前準備

オーナー企業の場合、オーナーである社長は会社の事情についてよく知っているけれども、他の役職員はよく知らないということもあります。次の世代に会社を引き継ぐにあたっては、会社関係の書類を整えておくことが必要です。

例えば、定款、株主名簿、株主総会議事録、取締役会議事録、計算書類などです。もし、今まで議事録を作成していなかったという場合には、速やかに作成しましょう。

経営権の承継準備

後継者を誰にするのかを決めていない間に社長が亡くなった場合、後継者争いが泥沼化するおそれもあります。そのため、後継者へ経営権を承継するための準備をしておくことをオススメします。

後継者へ経営を承継させる場合

現役を退き、後継者に経営をバトンタッチする場合には、後継者を代表取締役に就任させることになります。

後継者に支配権も承継させる場合

後継者に会社代表の地位だけでなく、支配権も承継させる場合には、オーナーが保有している株式を後継者に譲渡します。

もし、完全に会社を任せるのが不安で少しでも影響力を残しておきたいという場合には、株式を保有しておくこともできます。1株でも株式を保有していれば、株主総会において計算書類や事業報告を確認することができます(会社法437条、438条)し、役員等に対して責任を追及する訴え(株主代表訴訟)を提起することができます(会社法8471項)。その場合でも、死亡後に確実に後継者に株式を引き継げるよう、遺言死因贈与という形で株式を承継できる準備をしておきましょう。

財産の承継準備

財産を円滑に後継者へ承継させるためには、生前に贈与又は売買をしておくか、遺言死因贈与により死後に引き継ぐための準備が必要です。どの手段を選択すべきかは、財産の種類や経済状況、家族関係、税務などの観点から検討が必要です。

遺言により財産を承継させる場合には、確実かつ速やかに履行がなされるよう、適切な遺言執行者を指定しておくことも必要です。また、遺留分に対する目配りも忘れずにしておきましょう。

なお、財産を承継した場合には税負担が生じえますが、会社や個人事業の後継者が取得した資産については、条件を満たせば、贈与税や相続税の納税を猶予又は免除される事業承継税制の特例措置が利用できます。

まとめ

現役で社長業をされている方の終活は様々な準備が必要です。「まだ必要じゃない」とは思わずに早めに準備をしておくことが、会社や従業員、家族を守ることに繋がります。

 

※この記事は、2025年1月24日に作成されました。

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