道路交通法(道交法)とは?
主な交通ルールや罰則・
反則金などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

「道路交通法(道交法)」とは、道路における危険防止や交通の安全・円滑を図り、道路の交通に起因する障害を防止することを目的とした法律です。主に公道における交通について、道路交通法が適用されます。

道交法では、さまざまな交通ルールが定められています。主な交通ルールの全体像は以下のとおりです。
① 歩行者等の通行方法(第2章)
② 車両および路面電車の交通方法(第3章)
③ 車両等の運転者および使用者の義務(第4章)
※②③の特例として、高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例(第4章の2)
④ 特定自動運行の許可等(第4章の3)
⑤ 自動車および一般原動機付自転車の運転免許(第6章)
⑥ 罰則(第8章)
※⑥の特例として、反則行為に関する処理手続の特例(第9章)

この記事では道交法について、主な交通ルールや罰則・反則金などを解説します。

ヒー

電動キックボードは条件付きで歩道も通行できると聞きました。きちんと交通ルールを理解しておかないと不安です。

ムートン

 正しい交通ルールを理解する必要がありますね。この記事で道路交通法について勉強しましょう。

※この記事は、2023年7月5日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 法…道路交通法

道路交通法(道交法)とは|目的も含め分かりやすく解説!

「道路交通法(道交法)」とは、道路における危険防止や交通の安全・円滑を図り、道路の交通に起因する障害を防止することを目的とした法律です。

公道では、自動車・自転車・歩行者など、さまざまな主体が往来しています。各々が自由気ままに往来すると、交通事故の発生リスクが大幅に高まってしまいます。

道路交通法では、公道を往来する人々の交通方法を規制し、交通事故リスクの低減が図られています。

道交法違反に当たる行為の例

道路交通法違反に当たる行為としては、以下の例が挙げられます。

・一時停止義務違反
・最高速度違反(スピード違反)
・免許証不携帯
・無免許運転
・酒気帯び運転
・酒酔い運転
・通行禁止違反
・信号無視
・交通事故の報告義務違反(ひき逃げ・当て逃げ)
・妨害運転(あおり運転)
・駐停車禁止違反
など

直近の主要な道交法改正

近年では、道路交通法について以下の改正が施行されました。

<2022年4月・10月施行>事業所におけるアルコールチェックの義務化
【2022年4月等施行】道路交通法(道交法)改正とは?アルコールチェック義務化の内容を解説!

<2023年4月施行>レベル4自動運転の解禁
【2023年4月施行】道路交通法(道交法)改正とは?自動運転レベル4解禁の内容を分かりやすく解説!

<2023年7月施行>電動キックボードの規制緩和
【2023年7月1日施行】道路交通法(道交法)改正とは?電動キックボードの規制緩和(免許不要化など)の内容を解説!

道交法が適用される「道路」とは

道路交通法は、「道路」における交通について適用されます。

「道路」とは、以下のいずれかに該当する場所をいいます(法2条1項1号)。

① 一般交通の用に供する道で、以下のいずれかに該当するもの(道路と一体となってその効用を全うする施設または工作物および道路の付属物で、当該道路に附属して設けられているものを含む)
・高速自動車国道
・一般国道
・都道府県道
・市町村道

② 専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道であって、①以外のもの

③ 一般交通の用に供するその他の場所
(例)住宅街の私道のうち、一般交通の用に供されているもの

①と②はいわゆる「公道」で、公道における交通には道路交通法が適用されます。
一方、私道であっても一般交通の用に供されている場合は、道路交通法が適用される点に注意が必要です(③)。

道交法による交通ルールの全体像

道路交通法による交通ルールの全体像は、以下のとおりです。

① 歩行者等の通行方法(第2章)
② 車両および路面電車の交通方法(第3章)
③ 車両等の運転者および使用者の義務(第4章)
※②③の特例として、高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例(第4章の2)
④ 特定自動運行の許可等(第4章の3)
⑤ 自動車および一般原動機付自転車の運転免許(第6章)
⑥ 罰則(第8章)
※⑥の特例として、反則行為に関する処理手続の特例(第9章)

次の項目から、各ルールの内容を解説します。

歩行者等の通行方法(第2章)

「歩行者等」とは、歩行者と遠隔操作型小型車をいいます(遠隔操作型小型車については割愛します)。

交通弱者である歩行者については、自動車などの往来からその安全を保護するため、主に以下の規制が設けられています。

① 通行区分
歩道または歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(=歩道等)と車道の区別のない道路では、原則として道路の右側端に寄って通行しなければなりません(法10条1項)。
歩道等と車道の区別のある道路では、原則として歩道等を通行しなければなりません(同条2項)。

② 道路の横断
横断歩道がある場所の付近で道路を横断する際は、その横断歩道によらなければなりません(法12条1項)。
道路標識等によって認められている場合を除き、斜めに道路を横断することは禁止されます(同条2項)。
また原則として、車両等の直前・直後で道路を横断してはなりません(法13条1項)。さらに、道路標識等により横断禁止とされている部分では、道路の横断が禁止されます(同条2項)。

ただし、歩行者用道路またはその構造上車両等が入ることができないこととなっている道路では、上記の規制が適用されません(法13条の2)。

車両および路面電車の交通方法(第3章)

「車両」とは、自動車、原動機付自転車、軽車両およびトロリーバスをいいます(法2条1項8号)。

交通事故は車両によるものが大半であるため、車両の交通については、以下のように多岐にわたる規制が設けられています(路面電車については割愛します)。

① 通行区分
歩道または路側帯と車道の区別がある道路では、原則として車道を通行しなければなりません(法17条1項)。

② 速度
道路ごとに設定されている最高速度を超える速度で進行してはなりません(法22条1項)。
最低速度が指定されている道路では、原則として最低速度以上で進行する必要があります(法23条)。
また、危険防止のためやむを得ない場合を除き、急ブレーキは禁止されています(法24条)。

③ 横断等
道路外に出る場合の方法や、横断・転回・後退に関する規制が設けられています(法25条、25条の2)。

④ 追越し等
適切な車間距離の保持(法26条)、みだりな進路変更の禁止(法26条の2)、追越しに関する規制(法27条~30条)などが定められています。

⑤ 踏切の通過
踏切を通過する際は、その直前で停止して安全確認をしなければなりません(信号機に従う場合を除く。法33条1項)。
また、遮断機が閉じようとし、または閉じている間は踏切に進入してはいけません(同条2項)。

⑥ 交差点における通行方法等
左折・右折の方法など、交差点における通行時に遵守すべき規制が定められています(法34条~37条)。

⑦ 横断歩行者等の保護のための通行方法
横断歩道を横断しようとしている歩行者がいる場合は、横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げないようにしなければなりません(法38条1項)。

⑧ 緊急自動車等
交差点またはその付近において緊急自動車や消防用車両が接近してきたときは、交差点を避けて一時停止しなければなりません(法40条1項、41条の2第1項)。
その他の場所では、緊急自動車が接近してきたときは道路の左側に寄って進路を譲らなければならず(法40条2項)、消防用車両が接近してきたときはその通行を妨げてはなりません(法41条の2第2項)。

⑨ 徐行および一時停止
道路標識等に従った徐行および一時停止の義務が定められています(法42条、43条)。

⑩ 停車および駐車
交差点・横断歩道・トンネルなどの一定の場所では、停車および駐車が禁止されています(法44条、45条)。そのほか、停車または駐車の方法に関する規制などが設けられています。
違法停車および違法駐車については、放置違反金など警察署長による措置が定められています(法50条の2~51条の16)。

⑪ 灯火及び合図
夜間(日没時から日出時まで)の灯火義務(法52条)、左折・右折・転回・徐行・停止・後退・進路変更時の合図義務(法53条)、警音器の使用等に関する規制(法54条)が定められています。

⑫ 乗車、積載および牽引
運転者と同乗者の乗車方法や、荷物の積載に関する規制が設けられています(法55条~61条)。

⑬ 整備不良車両の運転の禁止等
適切に整備が行われていない車両(整備不良車両)の運転は禁止されています(法62条)。

⑭ 自転車の交通方法の特例
自転車については、通行区分や通行方法などに関して、通常の車両とは異なる規制が設けられています(法63条の3~法63条の11)。

高速自動車国道等における自動車の交通方法(第4章の2)

高速自動車国道および自動車専用道路では、自動車の交通方法について以下の規制が適用されます。

① 最低速度(法75条の4)
② 横断等の禁止(法75条の5)
③ 本線車道に入る場合等における他の自動車との関係(法75条の6)
④ 本線車道の出入の方法(法75条の7)
⑤ 停車および駐車の禁止(法75条の8)
⑥ 重被牽引車を牽引する牽引自動車の通行区分(法75条の8の2)
⑦ 緊急自動車等の特例(法75条の9)

車両等の運転者および使用者の義務(第4章)

車両等の運転者には、交通の安全を確保する観点から、主に以下の義務が課されています(車両等の使用者の義務については割愛します)。

① 無免許運転等の禁止
自動車または一般原動機付自転車を運転する際には、対応する運転免許を受ける必要があります(法64条1項)。

② 16歳未満の者による特定小型原動機付自転車の運転等の禁止
16歳未満の者は、特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)を運転してはなりません(法64条の2第1項)。

③ 酒気帯び運転等の禁止
酒気を帯びて車両等を運転することは禁止されています(法65条1項)。

④ 過労運転等の禁止
労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはなりません(法66条)。

⑤ 安全運転の義務
ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路・交通および当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければなりません(法70条)。

⑥ 交通事故の場合の措置等
交通事故が発生した際には、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じなければなりません。また、交通事故の発生を警察官に報告する必要があります(法72条1項)。

高速自動車国道等における運転者の義務(第4章の2)

高速自動車国道および自動車専用道路における自動車の運転者には、以下の事項が義務付けられています。

① 燃料・冷却水・原動機のオイルの量の点検、およびこれらが不足して運転できなくなることを防止するための措置(法75条の10)
② 貨物の積載の状態の点検、および貨物の転落・飛散を防止するための措置(同)
③ 故障時の表示措置・移動措置(法75条の11)

特定自動運行の許可等(第4章の3)

「特定自動運行」とは、特定条件下における完全自動運転のことで、いわゆる「レベル4」の自動運転を指します。

2023年4月1日よりレベル4の自動運転が解禁されたことに伴い、道路交通法において特定自動運行に関する規制が設けられました。

ムートン

より詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

【2023年4月施行】道路交通法(道交法)改正とは?自動運転レベル4解禁の内容を分かりやすく解説!

自動車および一般原動機付自転車の運転免許(第6章)

自動車及び一般原動機付自転車を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません(法84条1項)。

道路交通法では、通常の運転に関する「第一種免許」と、旅客運送目的の運転に関する「第二種免許」を設けています。

<第一種免許>
・大型免許
・中型免許
・準中型免許
・普通免許
・大型特殊免許
・大型二輪免許
・普通二輪免許
・小型特殊免許
・原付免許

<第二種免許>
・大型第二種免許
・中型第二種免許
・普通第二種免許
・大型特殊第二種免許

道路交通法違反による罰則(第8章)

道路交通法違反を犯した場合、刑事裁判を経て罰則が科される可能性があります。

主な罰則対象行為法定刑
救護義務違反① 死傷が運転者の運転に起因する場合
10年以下の懲役または100万円以下の罰金(法117条2項)
 
② ①以外の場合
5年以下の懲役または50万円以下の罰金(同条1項)
酒酔い運転5年以下の懲役または100万円以下の罰金(法117条の2)
酒気帯び運転
無免許運転
妨害運転(あおり運転)
3年以下の懲役または50万円以下の罰金(法117条の2の2)
最高速度違反6か月以下の懲役または10万円以下の罰金(法118条1項)
急ブレーキ禁止違反
追い越し禁止違反
一時不停止
安全運転義務違反
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(法119条1項)

反則行為に関する処理手続の特例(第9章)

道路交通法に基づく罰則対象行為の一部については、警察本部長による通告日の翌日から起算して10日以内に国に反則金を納付すれば、刑事訴追を回避できます(法128条2項)。

反則金の対象行為および反則金額は、警視庁ウェブサイトをご参照ください。

ムートン

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