法務のキャリアとは?
主なパターン・キャリアアップに役立つこと・
勉強方法などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

法務担当者としてのキャリアには、主に以下のパターンがあります。

パターン1|企業内で年次を重ねてマネージャーやスペシャリストを目指す
パターン2|中小企業・スタートアップの法務責任者になる
パターン3|転職して複数の企業で経験を積む
パターン4|各種士業の資格を取得して開業する

どのようなパターンでキャリアアップを目指すとしても、法律に関する知識の習得をはじめとする自己研鑽が必要不可欠です。資格試験の勉強をしたり、eラーニングを活用したりして、キャリアアップを目指せる土台作りに取り組みましょう。

この記事では法務のキャリアについて、主なパターン・キャリアアップに役立つこと・勉強方法などを解説します。

ヒー

面談で「将来のキャリアはどう考えていますか?」と聞かれて、はっきり答えられませんでした。法務のキャリアって、どんなものがあるのでしょうか?

ムートン

法務のキャリアアップはさまざまですが、いくつかのパターンに分けることができます。自分の進みたい方向を考えながら、知識の幅を広げ、経験を積んでいくことが大切です。

※この記事は、2024年12月23日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

法務のキャリアとは

法務担当者は、法律や契約などに関する専門的知識を活かして、さまざまな形でキャリアを築ける可能性があります。どのようなキャリアの選択肢があるのかを知った上で、自分の希望に沿ったキャリアを歩んでいけるように研鑽を積みましょう。

法務のキャリア形成における3つの時期|若手・中堅・管理職

法務のキャリア形成は、以下の3つの時期に分けると全体像を捉えやすいでしょう。

キャリア形成3つの時期

若手
法務の経験が1~5年目程度の段階です。まずは法務業務に慣れて、一人立ちできるように学ぶ時期です。できる限り多くの実務経験を積み、知見を蓄えてキャリアアップに備えます。

中堅
法務の経験が6~15年目程度の段階です。必要な実務経験が十分身についており、プロジェクトの責任者を任されるなど、リーダーとしての役割を担う場合もあります。幅広い企業で即戦力として期待され、特に転職の選択肢が広い時期です。

管理職
法務の経験が概ね15年以上となった段階です。豊富な経験や高い専門性を生かし、部門のマネジメントや経営への助言を行うことなども求められます。中小企業であれば法務部長など、大企業でも法務部の管理職などの地位に就く例がよく見られます。

ただし、全ての法務担当者が上記の時期を順番に経験するとは限りません。期間の一部で別の職種・部署への異動や、留学・出向などを経験する場合も多くあります。
他にも、中小企業やスタートアップの法務責任者になる場合は、中堅の時期を経ることなく、早い段階で管理職になるケースも多いです。
また、士業として独立開業する場合は、上記のような区分はあまり意味を持ちません。

上記の区分はあくまでも目安と考えて、柔軟に自分のキャリアを設計してください。

ゼネラリストとスペシャリスト

法務担当者に求められる役割は、「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」の2つに大別されます。

法務の役割

① ゼネラリスト
法務関連業務を幅広く担う立場です。多くは管理職としてマネジメント業務も行うほか、法務だけでなく、総務・会計・人事などの幅広い業務を担当する場合もあります。
特に、バックオフィス人材をたくさん雇用する余裕がない中小企業やスタートアップでは、法務ができるゼネラリストが求められる傾向にあります。② スペシャリスト
法務に関連する業務だけを担当します。より専門性や難易度の高い案件を担当したり、法務の中でも、限られた領域だけに特化する場合もあります(例:金融法務、M&A法務など)。
大企業ではスペシャリストが求められる傾向にあるほか、各種士業として開業する場合もスペシャリストといえるでしょう。

ゼネラリストとスペシャリストのどちらが向いているかは、人によって異なります。自分の性格や好みなどを分析して、どちらのキャリアが適しているかを判断しましょう。

法務のキャリアプランにはどのようなパターンがある?

法務担当者としてのキャリアには、主に以下のパターンがあります。

パターン1|企業内で年次を重ねてマネージャーやスペシャリストを目指す
パターン2|中小企業・スタートアップの法務責任者になる
パターン3|転職して複数の企業で経験を積む
パターン4|各種士業の資格を取得して開業する

パターン1|企業内で年次を重ねてマネージャーやスペシャリストを目指す

同じ企業に長く勤めて、その企業の中で昇進を目指すのは、法務担当者として最も堅実なキャリアプランの一つです。

特に大企業では、賃金水準や福利厚生が好条件で、昇進に伴う昇給幅も大きい傾向にあります。
大きなトラブルを起こさなければ、自主的に辞めたいと言わない限り、定年まで働き続けることが可能です。
最先端の実務に触れることができる点も、大企業に所属することのメリットと言えるでしょう。

若手の段階で大企業に入れたら、その企業で年次を重ねて、管理職(マネージャー)スペシャリストを目指すのが有力な選択肢となります。

パターン2|中小企業・スタートアップの法務責任者になる

大企業での昇進スピードやキャリア形成は比較的ゆっくりなので、若いうちから管理職として経験を積みたいと考える方には物足りないかもしれません。

中小企業スタートアップでは、そもそも法務担当者が少ないので、入社すれば若手や中堅でも法務責任者になれるケースがよくあります。自分の能力を試してみたいと考えている法務担当者にとっては、中小企業やスタートアップへの入社が有力な選択肢となるでしょう。

中小企業やスタートアップの法務担当者には、法務だけでなく、総務・会計・人事などの周辺領域も任せられるケースがよくあります。
就職する際には、どのような業務を担当することになるのかをよく聞いておきましょう。

パターン3|転職して複数の企業で経験を積む

法務担当者のように高い専門性を持つ人材は、同じ会社にこだわらず、転職を繰り返して複数の企業で経験を積む例がよく見られます。

特に外資系企業ベンチャー企業では、3~5年程度ごとに転職するのが一般的です。前職や現職の経験をアピールして、転職のたびにポジションや給与水準を上げていくことを目指します。

転職によってキャリアアップを目指す場合、基本的には法務の専門性を磨き続けるスペシャリストのキャリアを歩むことになります。

パターン4|各種士業の資格を取得して開業する

法務に関しては、以下のような専門職資格があります。

・弁護士
→法律に関する業務を幅広く取り扱う国家資格です。
法科大学院修了または予備試験合格を経て司法試験に合格し、約1年間の司法修習を修了すると登録が認められます。

・弁理士
→特許などの知的財産に関する業務を取り扱う国家資格です。
弁理士試験に合格すると登録が認められます。

・司法書士
→主に登記や供託に関する業務を取り扱う国家資格です。試験を受けて法務大臣の認定を受ければ、1件当たり140万円以下の紛争案件を取り扱うこともできます。
司法書士試験に合格し、約4カ月間の新人研修を修了すると登録が認められます。

・行政書士
→官公庁に提出する書類など、法律文書の作成業務を取り扱う国家資格です。
行政書士試験に合格すると登録が認められます。

・宅地建物取引士
→宅地や建物の売買の媒介などを取り扱うために必要な国家資格です。主に不動産会社の経営者や従業員などが取得します。
宅地建物取引士試験に合格すると登録が認められます。

上記のような国家資格を取得できれば、その資格を活かして自分で開業することも可能です。開業にはリスクと責任が伴う一方で、成功すれば大きなリターンを得ることができます。

法務がキャリアアップするために役立つこと

法務担当者がキャリアアップを目指すに当たっては、実務に役立つ知見や能力を蓄えることが非常に重要です。

例えば以下のような知見や能力を有していれば、法務担当者としてのキャリアアップに役立つでしょう。

  • 法律に関する高度な知識と実務経験
  • コミュニケーション能力
  • 英語を中心とする語学力
  • 法律に関する資格の取得

法律に関する高度な知識と実務経験

法律に関する高度な知識と実務経験を有していれば、専門性が高い業界でも即戦力の法務人材として重宝されます。
普段の業務について丁寧に取り組むことに加え、法改正裁判例などの動向にもアンテナを貼り、知識と経験を着実に蓄えましょう。

コミュニケーション能力

企業内で法務担当者として働く場合は、法務の同僚や他部署の従業員とのコミュニケーションが欠かせません。円滑にコミュニケーションができる法務人材は貴重で、どの企業でも重宝されます。

士業として独立開業する場合も、顧客との丁寧なコミュニケーションが必要不可欠です。適切にコミュニケーションをとることができれば、顧客の信頼を得ることができ、売上アップにつながります。

英語を中心とする語学力

ビジネスレベル以上の英語力を持つ法務人材は、外資系企業や国際的取引を行う日系企業のニーズに応えることができます。このような企業は給与水準が高い傾向にあるため、英語力はキャリアアップに大いに役立ちます

英語に限らず、その他の外国語を使えることも、法務としてのキャリアアップにおいては大きな強みとなるでしょう。特に中国語韓国語など、近隣の国々で用いられている言語が使えれば、日本国内で法務として就職や転職をする際にプラスとなります。

法律に関する資格の取得

独立開業を目指すのでなくても、法律に関する資格を取得することは、法務担当者としての就職や転職においてプラスに働きます。有資格者であることは、法律に関する知見の証明になるからです。

特に宅地建物取引士行政書士は、法律系資格の登竜門のような位置づけで、独学で取得する人も比較的多く見られます。法律に関する基本的な知識の習得にもつながるので、勉強の時間が確保できる方は挑戦してみるとよいでしょう。

あまり勉強時間が確保できない方は、より手軽な「ビジネス実務法務検定」にチャレンジする選択肢もあります。1級から3級まで用意されているので、自分のレベルに合わせた受験が可能です。

キャリアアップを目指す法務担当者の勉強方法

どのようなパターンでキャリアアップを目指すとしても、法律に関する知識の習得をはじめとする自己研鑽が必要不可欠です。
以下のような勉強をして、キャリアアップを目指せる土台作りに取り組みましょう。

  • 資格試験の勉強をする
  • 法律に関する書籍を読む
  • ビジネス・経営・マネジメントなどのスキルを磨く
  • eラーニングで実務を学習する

資格試験の勉強をする

法律系資格を取得するための勉強をすれば、法律に関する基礎知識を習得することができます。実際に資格を取得できれば、法務としての就職・転職活動において有利に働きます。

資格試験の勉強は、書店で販売されている参考書や、通信講座などを用いて行うのが一般的です。現在の知識レベルや確保できる勉強時間、将来的なキャリアプランなどを総合的に考慮して、チャレンジする資格を決めましょう。

法律に関する書籍を読む

法律に関する知識を深めるためには、書籍を読むことも効果的です。

法律に関する書籍としては、以下の例が挙げられます。

・基本書
→民法や会社法などの基本的な法律について、法学者が体系的に解説した書籍です。

・逐条解説
→法律の条文を順番に詳しく解説した書籍です。

・実務書
→弁護士などの実務家が、実務における法律上の留意点などを解説した書籍です。

・判例集
→代表的な裁判例や、時事的に重要と思われる裁判例などをまとめた書籍です。

など

上記のような書籍は、法務担当者としての実務の中でも参照することがあるでしょう。
もし時間があれば、気になる書籍を読み通してみると、実務と関連付けながらより深い知識を得ることができます。

ビジネス・経営・マネジメントなどのスキルを磨く

法務担当者がキャリアアップをするためには、法務に関する知識を蓄えるだけでなく、ビジネスマネジメントに関するスキルを磨くことも大切になります。役員や別部署の従業員と話す際や、管理職になった際に役立つためです。

経営者の話を聞いたり、経営に関する書籍を読んだりして、法務領域以外の知見も深めましょう。

eラーニングで実務を学習する

法務のキャリアアップに役立つ知識を得るためには、オンライン学習教材であるeラーニング」を活用することも効果的です。

eラーニングでは、法務担当者の実務で役立つ幅広い知識を、オンラインで手軽に学ぶことができます。日々の業務に忙しい法務担当者の方には、eラーニングを活用した学習が最適です。

法務の知識を動画で学べる「Legal Learningには、法務の実務に即したさまざまなコンテンツが掲載されています。キャリアアップにつながる最先端の知識を効率的に学ぶことが可能です。
キャリアアップを目指す法務担当者の方は、「Legal Learning」の活用をご検討ください。

ヒー

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ムートン

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