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コンプライアンスを「自分ごと化」するコツとは?

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この記事について

コンプライアンス推進は企業にとって重要な課題です。ESGやSDGsにも対応しつつ、どのような施策や研修を行っていくべきか、担当者として悩んでいませんか?本特集では、さまざまな企業のコンプライアンス推進について、参考となる取り組みをご紹介します!

第4回は、セガサミーホールディングス株式会社の竹内様・伊藤様・幸田様に、コンプライアンスを社員に「自分ごと化」してもらうための工夫について、エンタテインメント企業ならではの柔軟な発想と取り組みを詳しくお聞きします。

■インタビュイー
セガサミーホールディングス株式会社 グループガバナンス本部 コンプライアンス部 部長
竹内真司(たけうち しんじ)
宣伝・マーケティング担当などを経て、2018年よりグループ全体を統括するコンプライアンス部で組織作りを推進する。
趣味は家族旅行、推しはNiziU(MAYUKA)。

セガサミーホールディングス株式会社 グループガバナンス本部 コンプライアンス部 コンプライアンス推進課 課長
伊藤紘一郎(いとう こういちろう)
法務、営業管理などを経て、コンプライアンス推進課のリーダーへ。
推しはプロレスラー・蝶野正洋。

セガサミーホールディングス株式会社 グループガバナンス本部 コンプライアンス部 コンプライアンス推進課
幸田果歩(こうだ かほ)
セガのキャラクターライセンスの管理業務を経てコンプライアンス部門へ。現在のコンプライアンス部には立ち上げ時から所属。
推しはモーニング娘。’23。

バックグラウンドの異なる5名で、グループ全体のコンプライアンスを推進

――はじめに、貴社の事業内容を教えてください。

竹内 当社の事業には3つの柱があります。1つが、セガのゲーム事業を中核とした「エンタテインメントコンテンツ事業」。そしてサミーを中心とした「遊技機事業」、加えて、ホテルの開発・運営などを手掛ける「リゾート事業」です。グループ全体で1万人を超える社員を擁しています。

――コンプライアンス部門の体制は。

竹内 当社はグループガバナンス本部の傘下に管理課と推進課からなる「コンプライアンス部」を置いています。推進課は、国内グループ従業員のコンプライアンス意識を高める啓発活動を推進している部署で、伊藤さん以下5名体制で国内グループ全体のコンプライアンスの基本的な機能を担っています。
宣伝や人事・総務・法務など、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが集まっているので、私たちの施策の受け手であるグループ従業員の気持ちを理解できるのがメリットですね。

――どのような経緯で現在のような体制になったのでしょうか。

竹内 コンプライアンス部が立ち上がった2018年頃は、グループ各社が独自のコンプライアンス施策を行っていました。事業ごとに性質が異なることから、コンプライアンスに関する共通認識がなく、それぞれの取り組みの差異が大きかったため、グループ全体を統括してコンプライアンス推進する体制を構築することとしました。

大きな目標は、風通しの良い健全な職場環境を作ること。着手するにあたりグループ各社の実態を確認したところ、想定以上に異なる文化や考え方があり、同じ事案に対しても「これはセーフ」「これはダメでしょう」と認識の違いがありました。
そんな混沌とした状態を正すために、3年後のゴールを描きながらコンプライアンス遵守の重要性の理解促進に努めてきました。宣伝一筋でコンプライアンス業務とは縁遠かった私からの指示に当初は反発もありましたが、伝えなければいけないことはマストで伝えることを進めました。
その後は1年ごとに、マイルストーンを設定しながら取り組んできましたね。

また、2023年から当部は、法務・知財本部から、新たに発足したグループガバナンス本部の傘下となりました。この改組により、戦略企画室、リスクマネジメント部とともに、グループ全体を幅広く統制していくことを目指しています。

セガサミーホールディングス株式会社・竹内様

ディスカッションを通して、コンプライアンス研修を「自分ごと化」

――具体的なコンプライアンス推進施策について教えてください。

伊藤 一つは研修です。役職に応じて内容や頻度を設定し、全ての国内グループ従業員が受けられるようにしています。外部のeラーニングも活用し、各期に必修講座を定めて受講してもらっていますね。そのほか社会の要請に応えるべく、役員に対しては年に一度、外部講師による講演を行っています。

――特に、管理職向けの研修には力を入れているそうですね。

伊藤 コンプライアンス推進のキーパーソンは管理職層であるにもかかわらず、以前はグループ各社で取り組みがバラバラな状況でした。そのため現在は管理職の教育にかなり力を入れており、レベルを1~3の三段階に分け、年1回ずつ積み上げ式で研修を実施しています。

管理職になってすぐに受けてもらうレベル1は2時間程度の研修です。管理職としてどのように判断をすべきかという判断軸や、コンプライアンス意識を醸成することを意識した内容になっています。レベル2・3は各3時間程度。レベル3では主体的なリスクマップ作りや、参加者同士のディスカッションも盛り込んだ研修です。

一般職は8,000人以上いるため、なかなか実施が難しいのですが、約3年に1回、研修を受けてもらうようにしており、講義のほかにディスカッションも行いながら定着を進めています。コンプライアンスは、担当部署のメンバーが頑張ればよいというものではなく、従業員一人ひとりが意識して、風通しを良くしていくものです。

グループを横断する研修を通して、他のグループ会社の従業員を含めたメンバーと討議することで、「あの会社はこんなことまでやっているんだ」「自分もきちんとやらなきゃ」と、自然にグループのコンプライアンス基準を自分ごと化してもらえます。ここは力を入れており、参加した従業員からもディスカッションは好評ですね。

セガサミーホールディングス株式会社・伊藤様

メルマガやウェブサイトなど、親しみやすさを重視した取り組みも

――貴社のコンプライアンス推進施策のゴールはなんでしょうか?

竹内 一言で言えば、社員に共感を生みたい、と考えています。月1回発行のメールマガジンでは、コンプライアンスで注意すべきことを中心に載せており、当初はテキストだけのシンプルなものでしたが、いまではhtml化して、幸田さんが中心となり、国内グループ従業員にとってキャッチーで読みやすい記事に仕上げています。

伊藤 メールマガジンの内容はコンプライアンスのトレンドや注意すべきポイントを紹介するものですね。私自身、営業部門で仕事をしていたこともあるので、受け手の感覚もよく分かります。長い文章や冗長な内容だと読んでもらえませんから、「せっかくなら面白いものを作ろう」とメンバー内で相談しながら制作しています。

また、毎年11月を「コンプライアンス再認識月間」と定めて取り組みを強化しています。今までは「コンプライアンス強化月間」としていましたが、現在は「再認識」にステップを上げています。この時期は、社内にあるデジタルサイネージに啓発動画を表示させたり、社員食堂で私たちが考えた特別メニューを提供したりしています。「コンプラ」をもじった「コーン(天)ぷらそば」など、エンタメ企業として楽しみながらコンプライアンスの認識を高めてもらえるように工夫しています。

コンプライアンス再認識月間・コラボメニュー「包み隠さないオムライス」

幸田 社内ネットワーク上に、コンプライアンス部独自のウェブサイト「コンプラNAVI」を展開しているのも、当社ならではの施策です。ニュースサイトのような作りで、ちょっとした雑学や、興味をひくようなもの、メルマガで発信した内容も掲載しています。

メルマガやコンプラNAVIは、エンタメ寄りに楽しい作りにして発信していますが、例えばハラスメントなどについては立場をはっきりさせ、強弱をつけることを意識しています。

―― コンプライアンス推進をうまく進めていくコツは何だと思いますか?

幸田 私が大事にしていることは、発信する時にはできるだけ同じ言葉をずっと使っていくということです。国内グループ約30社、約8,000人に対して発信するわけですから、ブレない言葉は大切。あとは、簡潔に分かりやすく伝えることを意識しています。

それに加えて、コンプライアンス推進のためにどのようなステップを踏んでいくかを考えていくことでしょうか。どこを目指すのかを考えるにあたって、「ここまではできているから、来期は不足しているこの部分を進めよう」という点を、分解して考えて、本部長を含めて相談しながら施策を進めています。

―― 社員の反応がよかったフレーズはありますか?

幸田 一般職研修の中で当社の会長である里見が発言した内容ですが、「コンプライアンス違反の上に成り立つ利益は1円もいらない」という言葉ですね。印象に残ったというグループ従業員が多く、コンプライアンス意識醸成の一つの軸、グループ従業員の判断軸になっていると思っています。

また「コンプラNAVI」にも、「その言動、家族に話せますか?」「オンでもオフでもコンプライアンス」など、印象に残る社長のメッセージを載せて、コンプライアンス意識向上に努めています。

セガサミーホールディングス株式会社・幸田様

5年でグループ全体の意識が向上|施策をさらにアップデートへ

――課題に感じていらっしゃることや、今後の展望について教えてください。

竹内 ハラスメントの施策は難しいですね。以前と比べればずいぶん改善されてきていますが、その一方で考えるべきことも多様化しています。画面越しのコミュニケーションや、リモートワークを出社に切り替えるタイミングなどで、管理職が「こんな指導もパワハラになるのかな」と迷ったり、萎縮してしまったりする場合もあるので、業務命令として適切な指導範囲を示していくことも大切だと思います。

コンプライアンス部が発足して5年が経過し、社内で実施した意識調査の結果を見ても一定の成果が出てきています。だからこそ、コンプライアンスの機能も次のステップにアップデートしていかなければなりません。
今まではどうしても「あれはだめ」「これはだめ」というネガティブなアプローチが多かったので、これからはさらにポジティブなアプローチにシフトチェンジしていくことを目指しています。

幸田 コンプライアンスについて、これからは法令遵守のみならず、誠実な対応・コミュニケーションとはといったことについてもメッセージを出していきたいと思っています。抽象度の高い領域なので、誰にでも分かりやすい言葉で、適切に発信していけるかが課題です。

伊藤 今までは国内のグループ企業を対象にコンプライアンスの施策を展開してきましたが、グローバル対応も必要になってきています。文化や風土、法令までも異なるので国内向けの資料などを一律に翻訳すれば済むわけではありません。ハードルは高いですが、グローバル企業として、国内外のグループを統制していくために取り組みを進めていきたいと考えています。

(インタビュー日:2023年3月6日)

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