音楽の著作権とは?
権利の内容・期間・使用する際の注意点
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この記事のまとめ

音楽には著作権が認められており、著作権者はその音楽を独占的に利用できます。また、音楽には著作者人格権著作隣接権も認められます。

店舗やイベントなどで音楽を使用する際は、著作権者の使用許諾が必要になる点に注意が必要です。

この記事では音楽の著作権について、権利の内容・利用許諾・使用する際の注意点などを解説します。

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ちょっと待ってください、音楽には著作権があり、無断で使用すると著作権法違反になることがあります。以下で注意点を説明しますね。

※この記事は、2024年6月5日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

音楽の著作権とは

音楽には著作権が認められており、著作権者はその音楽を独占的に利用できます。店舗やイベントなどで音楽を使用する際は、著作権者の利用許諾が必要になる点に注意が必要です。

音楽の著作権の種類

音楽の著作権には、以下の権利が含まれています。

複製権(著作権法21条)
→著作物のコピーを作成する権利です。
(例)音楽が記録された電子ファイルをコピーする

上演権・演奏権(同法22条)
→著作物を公に上演し、または演奏する権利です。
(例)音楽をコンサートホールで演奏する

公衆送信権・公衆伝達権(同法23条)
→インターネットなどを通じて、著作物を公に送信する権利です。
(例)音楽をウェブサイト上にアップロードする

口述権(同法24条)
→言語の著作物を公に口述する(読み聞かせる)権利です。
(例)歌詞を朗読会において読み聞かせる

譲渡権(同法26条の2)
→著作物(映画の著作物を除く)のオリジナルまたはコピーを譲渡して、公衆に提供する権利です。
(例)音楽CDを販売する

貸与権(同法26条の3)
→著作物(映画の著作物を除く)のコピーを貸与して、公衆に提供する権利です。
(例)音楽CDを貸し出す

翻訳権・編曲権・翻案権(同法27条)
→著作物を翻訳・編曲・翻案する権利です。
(例)歌詞を翻訳する、音楽の一部をサンプリングして別の音楽に取り入れる

音楽に関する著作権以外の権利|著作者人格権と著作隣接権

著作権のほか、音楽には「著作者人格権」や「著作隣接権」も認められています。

著作者人格権

著作者人格権」とは、著作者の人格的利益を保護するための権利です。著作者人格権としては、以下の3つの権利が認められています。

公表権(著作権法18条)
→未公表の著作物を公衆に提供し、または提示する権利です。
(例)自分が作った音楽を初めて公開する

氏名表示権(同法19条)
→著作物のオリジナルまたは公衆への提供・提示において、著作者名を表示し、または表示しない権利です。
(例)自分が作った音楽に、作曲者として本名またはアーティストネームを表示する

同一性保持権(同法20条)
→意に反して著作物を改変されない権利です。
(例)自分で作った音楽を、勝手に編曲されない

著作権は譲渡できますが、著作者人格権は譲渡が認められていません(同法61条1項・59条)。そのため、著作権者著作者は異なるケースがある点に注意が必要です(例:著作権者は音楽出版社、著作者はアーティスト)。

著作隣接権

著作隣接権」とは、著作物を公衆に伝達する役割を担う者に与えられる権利です。

音楽については、主に「実演家」と「レコード製作者」に著作隣接権が認められます。

実演家・レコード製作者とは

実演家:俳優・舞踊家・演奏家・歌手その他実演を行う者、および実演を指揮し、または演出する者(著作権法2条1項4号)

レコード製作者:レコード※に固定されている音を最初に固定した者(同項6号)
※レコード:蓄音機用音盤・録音テープその他の物に音を固定したもの(例:LPレコード・SPレコード・CD・携帯型USBメモリなど)。ただし、音を専ら影像とともに再生することを目的とするもの(例:BD・DVDなど)を除きます(同項5号)。

実演家の権利

① 録音権・録画権(同法91条)
→自らの実演を録音し、または録画する権利
(例)コンサートを録音する、コンサートの様子を録画する

② 放送権・有線放送権(同法92条)
→自らの実演を放送し、または有線放送する権利
(例)コンサートをテレビ放送または有線放送する

③ 送信可能化権(同法92条の2)
→自らの実演を送信可能化する権利
(例)コンサートをウェブサイト上で配信する

④ 譲渡権(同法95条の2)
→自らの実演を録音・録画物の譲渡により公衆に提供する権利
(例)コンサートCDを販売する

⑤ 貸与権(同法95条の3)
→自らの実演が録音されている商業用レコードを、公衆に貸与して提供する権利
(例)コンサートCDを貸し出す

レコード製作者の権利

① 複製権(同法96条)
→レコードを複製する権利
(例)原盤を販売用CDに複製する

② 送信可能化権(同法96条の2)
→レコードを送信可能化する権利
(例)原盤音源を配信用にインターネット上へアップロードする

③ 譲渡権(同法97条の2)
→レコードを複製物の譲渡により公衆に提供する権利
(例)音楽CDを販売する

④ 貸与権(同法97条の3)
→商業用レコードを公衆に貸与して提供する権利
(例)音楽CDを貸し出す

著作権者と著作隣接権者は異なるケースが多いです。そのため、両方の権利の対象となっている音楽を使用する際には、著作権者著作隣接権者それぞれとの関係で権利処理を行う必要があります

音楽の著作権等の存続期間

音楽に関する著作権・著作者人格権・著作隣接権の存続期間(保護期間)は、以下のとおりです。

著作権創作の時から、原則として著作者が死亡した日が属する年の翌年から起算して70年を経過する時まで(著作権法51条・57条)
※無名または変名の著作物については、著作物が公表された日が属する年の翌年から起算して70年を経過する時まで(同法52条・57条)
著作者人格権創作の時から、著作者が死亡する時まで(同法59条)
※著作物を公衆に提供し、または提示する者は、著作者の死後も、著作者が存在するならば著作者人格権侵害となるべき行為をしてはならない(同法60条)
著作隣接権(実演家の権利)実演を行った時から、実演が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過する時まで(同法101条1項1号・同条2項1号)
著作隣接権(レコード製作者の権利)レコードに音を最初に固定した時から、レコード発行日の属する年の翌年から起算して70年を経過する時まで(同法101条1項2号・同条2項2号)

音楽を使用する際の注意点

音楽を使用する際には、原則として著作権者または著作権管理団体使用許諾を受ける必要があります。ただし例外的に、使用許諾が不要となる場合もあります。

原則として著作権者・管理団体の使用許諾が必要

音楽の使用に当たっては、原則として著作権者の使用許諾が必要です。著作権の管理がJASRACなどの著作権管理団体に委託されている場合は、著作権管理団体が著作権者に代わって使用許諾を行います。

使用許諾を受けた場合でも、許諾の範囲外の方法による使用はできません(例:演奏だけを許可されたのに、編曲して公表するのはNG)。

著作権者の許諾が必要ないケース

音楽の著作権が制限される場合については、著作権者の許諾を得ることなく音楽を使用することができます。音楽について著作権者の許諾が不要であるケースとしては、以下の例が挙げられます。

① 私的使用目的の複製(著作権法30条)
② 付随対象著作物の利用(同法30条の2)
③ 図書館等における複製・記録・提供(同法31条)
④ 引用(同法32条)
⑤ 教科用図書等への掲載等(同法33条~33条の3)
⑥ 学校教育番組の放送・教材掲載(同法34条)
⑦ 学校などの教育機関における複製・公衆送信(同法35条)
⑧ 試験問題としての複製・公衆送信(同法36条)
⑨ 視覚障害者・聴覚障害者等のための複製等(同法37条・37条の2)
⑩ 営利を目的としない上演等(同法38条)
など

ムートン

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