【2023年最新】
アルコールチェック義務化とは?
検知器によるチェック義務化について解説

この記事のまとめ

2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則では、安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。

なお、2023年12月1日からは、目視での酒気帯び確認に加え、アルコール検知器による確認も義務付けられます。

乗車定員11人以上の自動車を1台以上、又は乗車定員10人以下の自動車を5台以上使用している事業所では、安全運転管理者の選任が必要です。いずれかに該当する事業所については、今回の道路交通法改正の影響を受けますので、改正内容を正しく理解しておきましょう。

今回は、改正道路交通法によるアルコールチェック義務化の内容を詳しく解説します。

ヒー

昨今、以前にも増して飲酒運転が社会で取り沙汰されるようになっていますよね。

ムートン

そうですね。企業としては、コンプライアンス確保・レピュテーションリスク対策の観点からも、今回の道路交通法改正で義務化されたアルコールチェックについて、きちんと遵守できる体制を構築する必要がありますね。

※この記事は、2022年6月22日時点の法令等に基づいて作成されています(2023年8月15日更新)。

改正道路交通法(道交法)によるアルコールチェック義務化の概要

2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則では、安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。

安全運転管理者とは

一定台数以上の自動車を使用する事業所において、自動車の安全な運転に必要な業務を行わせる者。
道路交通法により、一定の要件を満たす事業所(詳細は「安全運転管理者を設置しなければならない事業所とは」で解説)では、安全運転管理者を選任して、都道府県公安委員会に届け出る必要がある。

2022年10月1日からは、目視に加えてアルコール検知器による酒気帯び確認も義務付けられる予定でしたが、その施行は2022年9月に延期され、2023年12月からとなりました。

従来からアルコールチェックが義務付けられていたのは、事業用の自動車(緑ナンバー)の運転者に限られていました(2011年より義務化)。今回の改正により、自家用の自動車(白ナンバー)の運転者についても、新たにアルコールチェックが義務付けられたことになります。

ヒー

「自家用の自動車」って、各家庭が所有する車のことですか?

ムートン

世間一般では、「自家用の自動車=各家庭が所有する車」ということもありますが、ここでは違います! 道路交通法における「自家用の自動車」は、「有料で物や人を運送する車(=緑ナンバー、タクシーやトラックなど)以外の車)」を指します。具体的には、会社が業務用に所有する「営業車・社用車」などが「自家用の自動車」に該当します。

アルコールチェック義務化の背景

道路交通法改正によってアルコールチェックが義務化されたのは、2021 年6 月に起きたトラックの飲酒運転事故がきっかけです。

同事故を起こしたトラックは白ナンバー車で、運転者のアルコールチェックは義務付けられていませんでした。
運転者が飲酒していたことが見過ごされた結果、トラックが児童5 人を撥ねてしまい、そのうち2 人が死亡、3 人が重傷を負いました。運転者は懲役14 年の実刑判決を受けましたが(確定)、トラックを含む事業用自動車による飲酒運転事故の危険性は、社会的に強く問題視されました。

同事故を受けて、2022 年4 月に道路交通法施行規則が改正され、アルコールチェックの対象が白ナンバー車にも拡大されることになりました。

【2022年4月施行】目視等でのアルコールチェックが義務化

2022年4月1日より、安全運転管理者は、運転前後の運転者の状態を目視等で確認し、運転者の酒気帯びの有無を確認する義務を負います(道路交通法施行規則9条の10第6号)。

アルコールチェックを行った安全運転管理者は、その記録を作成して1年間保存しなければなりません(同条7号)。

【2023年12月施行】検知器によるアルコールチェックが義務化

2023年12月1日からは、目視等による確認に加えて、さらに検知器を用いたアルコールチェックを実施することが義務付けされます(改正後の道路交通法施行規則9条の10第6号)。
検知器によるアルコールチェックの義務化は2022年10月に予定されていたところ、2022年9月に半導体不足により延期され、2023年12月1日に施行されることとなりました。

安全運転管理者がアルコール検知器による確認を実施し、その結果を記録・保存する義務を負う点は、目視等による確認と同様です。

なお、検知器による確認を適切に実施するため、安全運転管理者は、アルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられます(同条7号)。

ムートン

用意すべきアルコール検知器については、以下の「②アルコール検知器を準備する」で解説します。

改正点の要約

✅2022年4月1日より、安全運転管理者の義務に以下が追加
①運転前後の運転者の状態を目視等で確認し、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
②①の結果を1年間記録・保存すること

✅検知器によるアルコールチェックが義務化されると、安全運転管理者の義務に以下が追加
①4月に追加された目視等による確認の義務に加え、さらに検知器を用いたアルコールチェックを実施すること
②①の結果を1年間記録・保存すること
③正常に作動し故障がない状態のアルコール検知器を、常に保持しておくこと

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