レピュテーションリスクとは?
意味・事例・リスク回避方法などを解説!

この記事のまとめ

「レピュテーションリスク」とは、会社に関するネガティブな情報が世間に広まり、会社の信用やブランドが毀損されることによって生じる損失リスクを意味します。SNSの発展等に伴い、社会的にコンプライアンス意識が高まっていることを背景として、レピュテーションリスクをコントロールすることの重要度はいっそう増しています。

レピュテーションリスクは、様々な形で顕在化し、会社に損失をもたらすおそれがあります。社内規程等のルール整備・監視体制の強化・違反者に対する制裁・従業員研修による意識向上などを通じて、レピュテーションリスクを深刻な形で顕在化させないよう努めましょう。

万が一レピュテーションリスクが顕在化した場合には、あらかじめ定めたフローに従いつつも、臨機応変に対応することが大切です。

この記事では「レピュテーションリスク」について、重要度を増す背景、損失発生事例、リスク回避の方法やトラブル発生時の留意点などを解説します。

ヒー

昨今は、SNSで情報がすぐに拡散してしまうので、とても怖いです。

ムートン

そうですね。SNS等が発展した現代では、レピュテーションリスクを顕在化させないよう予防することに加え、顕在化してしまった場合のことも想定して、さまざまなリスクに備えておかないといけません。

※この記事は、2022年4月25日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

レピュテーションリスクとは?

レピュテーションリスク

「レピュテーションリスク」とは、会社に関するネガティブな情報が世間に広まり、会社の信用やブランドが毀損されることによって生じる損失リスクを意味します。(レピュテーション(reputation)は、日本語では「評判」「評価」などを意味します。)

レピュテーションリスクが顕在化した有名な事例としては、コンビニエンスストアの従業員が、店内に設置されたアイスケースのなかに寝転がった写真がSNS上で拡散され、マスコミまで取り上げる事態となり、本部である運営会社の管理責任を問われた事例があります。

会社にとって、顧客や取引先を含む一般社会からの信用は、無形の財産とも言うべきものです。社会的に信用されているからこそ、会社は継続的に取引を獲得することができます。

裏を返せば、会社が一度信用を失ってしまうと、収益への直接的な悪影響が発生します。
失った信用を回復することは極めて難しく、そのまま倒産に追い込まれてしまうケースも少なくありません。レピュテーションリスクを軽視することは、会社にとって命とりになりかねないのです。

オペレーショナルリスク・ブランドとレピュテーションリスクの違い

企業が抱えるリスクを表す用語として、レピュテーションリスクのほかに「オペレーショナルリスク」もしばしば用いられます。オペレーショナルリスクとは、企業が運営する事業に関して抱えるリスク全般のことです。

レピュテーションリスクは「不祥事等によって企業の評判が失墜する」リスクだけを意味するのに対して、オペレーショナルリスクはレピュテーションリスクを含む幅広いリスクを意味しています。

オペレーショナルリスクの例

✅ システムの不具合によるリスク
✅ 従業員の人為的ミスによるリスク
✅ 違反者には制裁を与えることを発信する
✅ 他社から損害賠償請求を受けたり、訴訟を起こされたりするリスク
✅ 保有する資産の価値が下落するリスク
✅ 適用される法制度が変更されるリスク
✅ レピュテーションリスク
など

また、企業の「評判」や「信用」に焦点を当てた用語として、レピュテーション(リスク)のほかに「ブランド」が用いられることもあります。

レピュテーションもブランドも、企業の社会における評判、社会の企業に対する信用・イメージといったものがベースになっている点は同じです。両者は厳密に区別されてはいませんが「レピュテーション」は企業全般に幅広く用いられる傾向にあるのに対して、「ブランド」は有名企業・大手企業について特に用いられる傾向にあります。

レピュテーションリスクが重要度を増す背景

近年では、会社のレピュテーションリスクはいっそう重要度を増していると考えられます。その背景にあるのが、SNSの発展です。

SNS上では、個人が会社に対する批判などを容易に投稿できます。また、再投稿による拡散機能も整備されているため、いったん会社の悪評が投稿されれば、瞬く間に社会全体へ広がってしまう可能性が高いです。また、近年、マスメディア等もSNSで話題となったトピックを取り上げるようになってきています。
SNSの発展により、社会の各会社に対する監視能力が飛躍的に高まり、その結果としてレピュテーションリスクの重要性が増大している事情があります。

レピュテーションリスクが顕在化する原因・損失発生事例

レピュテーションリスクが顕在化する原因・きっかけには、様々なパターンが存在します。以下ではその一例を見てみましょう。

製品・サービスに関するクレーム

製品やサービス提供の不備などに関するクレームは、レピュテーションリスクを顕在化させる原因になり得ます。「広告でアピールされている内容とは全然違った」という感想が、多くの人の共感を生み、SNS上での炎上などに繋がりかねないからです。

特に、産地偽装・景品表示法違反など、違法性を指摘するクレームが寄せられた場合には要注意です。会社の信用を一挙に失墜させかねないので、早急な調査と対応を要します。

劣悪な労働環境に関する内部告発

社内の労働環境が劣悪な場合、従業員による内部告発がSNS等に投稿される可能性があります。

違法な長時間労働やハラスメントなどが発覚した場合、会社の社会的なイメージが低下してしまいます。その結果、取引先の離反を招くことに加えて、今後の人材採用にも悪影響が生じる事態になりかねません。

経営陣による不祥事

経営陣による不祥事も、会社の信用を失墜させる重大な原因の一つです。

経営陣による不祥事の典型例としては、脱税や横領などが挙げられます。また、金融機関であればインサイダー取引、相場操縦行為なども例に挙げられるでしょう。

経営陣がその立場を利用して私腹を肥やす行為は、社会全体から大きな反感を買い、会社のイメージを地に落とす事態を招くおそれがあります。

従業員による不祥事|「バイトテロ」など

いわゆる「バイトテロ」など、末端の従業員による不祥事も、会社の信用を失墜させる事態に繋がります。

特に消費者向けビジネスの場合、顧客(消費者)と直接接するのは現場にいる従業員です。

しかし、会社の規模が大きくなるほどに、経営陣による監督が現場まで行き届かないケースも増えてきます。監督が緩んだ状況では、従業員が不祥事を起こす可能性も高まってしまいます。

監督官庁による行政処分・行政指導

法令に違反した不適切な業務運営を行っていると、監督官庁から行政処分や行政指導を受けるおそれがあります。行政処分や行政指導を受けてしまうと、顧客ファーストの意識がなく、不当にコストを間引いて利益を得ようとする不公正な企業というレッテルを貼られてしまいかねません。

深刻なレピュテーションリスクの顕在化を防ぐためにも、行政処分や行政指導を受けることのないように、コンプライアンスを重視した事業運営を行うことが大切です。

レピュテーションリスクを回避するための予防策

レピュテーションリスクの顕在化を防ぐためには、事前の予防策を十分に講じておくことが大切になります。考えられる予防策の例は、以下のとおりです。

以下、順に説明してきます。

社内規程・業務マニュアル等を整備する

レピュテーションリスクの原因となる不祥事を防ぐためには、社内規程や業務マニュアル等を整備して、業務の取扱いルールを明確化しておくことが効果的です。

また、リスクマネジメントの観点から、レピュテーションリスクが顕在化した際の危機管理対応の手順についても、あらかじめマニュアル化しておき、有事の際の対応をスムーズに進められるようにしておくことが望ましいです。

社内での監視・チェック体制を強化する

不祥事の予防に当たっては、ルールの整備に加えて、監視・チェック体制を強化することも大切です。具体的には、以下の2つの観点から監視・チェック体制を強化する必要があります。

1|経営陣相互間での監視を強化する

取締役会は、取締役の職務執行に対する監督の役割を担っています(会社法362条2項2号)。経営陣による不祥事を予防しレピュテーションリスクの顕在化を防ぐためには、取締役会を通じた経営陣相互間の監視・監督が必要不可欠です。

特に非常勤取締役は、会社経営に携わる時間が短いことが想定されます。しかしその中でも、他の取締役の職務や動向に関心を持ち、積極的に監視・監督機能を果たすように努めることが求められます。

なお、取締役は、会社に対して「善管注意義務(その人の社会的な地位から一般的に要求される注意義務)」を負っています(会社法330条、民法644条)。経営陣相互の監視・監督に加え、内部統制システムの構築なども求められている点にも留意する必要があります。

2|実際の業務に関する二重・三重のチェックを行う

現場レベルで行われている業務に対しては、以下のように多段階のチェック機構を設けて、二重・三重のチェックを及ぼすことが望ましいです。

会社の規模や取り扱う業務の性質などにもよりますが、できる限りの予算(人件費等)を確保したうえで、実際の業務におけるコンプライアンス違反の芽を摘めるようなチェック体制を整備しましょう。

違反者には制裁を与えることを発信する

実効性のある形で不祥事等の予防を図るためには、「違反者は制裁を受ける」というメッセージを社内全体に発信する必要があります。違反者が従業員であれば懲戒処分を、役員であれば損害賠償請求や解任等を検討しなければなりません。

ただし、制裁の対象となった役員・従業員との間で紛争に発展するおそれがあるため、事前に弁護士のアドバイスを受けてから制裁に着手することをお勧めいたします。

従業員研修を実施する

レピュテーションリスクの重要性について、研修を通じて従業員に意識付けすることも、不祥事等の予防に一定の効果を発揮します。

6か月に1回、1年に1回など、定期的にレピュテーションリスクに関する従業員研修を実施して、不祥事の発生しにくい会社の風土を作り上げましょう。

レピュテーションリスクが顕在化してしまった場合の対処法

万が一不祥事等が発生し、レピュテーションリスクが顕在化してしまった場合には、冷静かつ臨機応変の対応が求められます。以下のポイントに留意しつつ、会社に生じる損害を最小限に抑えられるように対応してください。

危機管理マニュアルに従って対応する

事前に危機管理マニュアルを作成している場合には、マニュアル所定のフローに従って対応することが基本となります。指揮命令系統やタスクなどが整理されていれば、マニュアルに従って対応することで、最低限のリスク管理を行うことができるでしょう。

情報の真偽・原因などを迅速かつ的確に把握する

ただし、実際の危機管理対応に当たっては、不測の事態が続発することが想定されます。そのため、マニュアルに従って対応するだけでは必ずしも十分でなく、実態に即した的確な対応をとることが求められます。

レピュテーションリスクの顕在化を引き起こす事象が発生した場合には、情報を整理したうえで真偽を見極め、何が問題となっているかを迅速に把握することが大切です。早期に問題の根本的な原因を突き止めることができれば、正しい方向性で対応を進められます。

株主・取引先などに対して適時に説明を行う

会社のレピュテーションが毀損されるような事態が発生した場合、株主や取引先は大きな不安に駆られてしまうでしょう。上場会社であれば、株主が保有株式を売りに出して株価が暴落するかもしれません。また、取引先が売掛金の回収不安などを理由に、取引を打ち切ろうとすることも予想されます。

こうした動きを食い止めるためには、会社が株主・取引先などに対して、対応状況を適時に説明することが極めて重要です。会社のホームページにIR資料をまめに掲載・更新するなどして、少しでも株主・取引先などの不安を解消できるように努めましょう。

再発防止策を講じる

一度は会社のレピュテーションが毀損されてしまったとしても、その後に真摯な対応を行えば、社会からの信用を回復できる余地は残されています。

特に重要となるのが、同じ原因による不祥事を二度と発生させないために、再発防止策を講じることです。どのような原因で不祥事が発生したのかを踏まえて、再発を防ぐための組織的な改善策を考案し、その内容を対外的に公表しましょう。

なお、再発防止策の検討については、弁護士その他の有識者で構成された第三者委員会にて行うことが望ましいです。第三者委員会を組織できるだけの予算が組めない場合にも、弁護士やコンサルタント等、外部の客観的視点を持った有識者を検討メンバーに加えることが推奨されます。

根拠のない風評被害に対しては、法的措置を講じる

SNS等で会社に関する悪評が立ったとしても、その全てが真実とは限らず、中には根拠のない誹謗中傷も含まれています。

会社が根拠のない誹謗中傷を受けた場合、毅然とした態度で加害者の法的責任を追及することが、会社にとっての信頼回復に繋がります。サイト管理者に対しては投稿の削除を求めると同時に、発信者情報開示請求などを通じて投稿者を特定して、損害賠償請求等を行いましょう。

なお、加害者との対決姿勢や、係争の状況などについては、随時IR資料などで公表を行って会社の正当性をアピールすると、レピュテーションの回復に向けて効果を発揮する場合があります。

レピュテーションリスクの測定方法

会社の潜在的なレピュテーションリスクがどの程度のものかは、以下の調査を通じて大まかに知ることができます。業績のわりに評判が良くない場合や、具体性の高いネガティブな意見が寄せられている場合には、ふとしたきっかけによりレピュテーションリスクが顕在化してしまうおそれがあるので要注意です。

この記事のまとめ

レピュテーションリスクの記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!