内容証明郵便とは?
送付すべきケース・書き方・出し方・
発送時の注意点などを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「内容証明郵便」とは、郵便局が差出人・宛先・内容・差出日を証明する郵便です。
法律や契約に基づく通知・請求書等を発送するとき、時効の完成を阻止したいとき、相手方に対して強いメッセージを伝えたいときなどに内容証明郵便を送付するとよいでしょう。内容証明郵便の発送は、一部の郵便局のみ取り扱っています。内容証明郵便の取り扱いがあるかどうかを事前に確認した上で、郵便局に足を運んで発送手続きを行いましょう。
内容証明郵便を送付する際には、送付する内容文書1通に加えて、謄本2通を作成する必要があります。謄本については、厳密な書式ルールを守って作成しなければなりません。
内容証明郵便には、オプションで配達証明サービスを付けることができます。特に法律や契約に基づく通知や請求書については、相手方に到達した事実や日時を証明する必要が生じるので、配達証明サービスを利用しましょう。
この記事では内容証明郵便について、送付すべきケース・発送の手順・発送時の注意点などを解説します。
※この記事は、2024年5月7日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
内容証明郵便とは
「内容証明郵便」とは、郵便局が差出人・宛先・内容・差出日時を証明する郵便です。法的な通知や請求を行う場合などには、内容証明郵便が用いられることがあります。
内容証明郵便について郵便局が証明する事項
内容証明郵便については、郵便局が以下の事項を証明します。
- 差出人(=誰が差し出した郵便物か)
- 宛先(=誰あての郵便物か)
- 内容(=文書の記載内容の存在)
- 差出日(=いつ差し出したか)
通知や請求書を発送した事実や、その内容を後日証明できるようにするためには、内容証明郵便が有用です。
内容証明郵便と他の郵便の違い
内容証明郵便以外にも、郵便物の配達に関する記録を残すことができるサービスはあります。
例えば「特定記録」は、郵便局が郵便物等を引き受けた事実を記録するサービスです。
「書留」であれば、引受けから配達までの送達過程を記録してもらえます。
しかし、特定記録も書留も、郵便物の内容までは証明してもらえません。
内容証明郵便は、郵便物の内容まで証明してもらえる点が、他の郵便とは異なる最大の特徴です。
内容証明郵便を送付すべき場合の具体例
内容証明郵便を送付すべき場合としては、以下の例が挙げられます。
① 法律や契約に基づく通知・請求書等を発送するとき
② 時効の完成を阻止したいとき
③ 相手方に対して強いメッセージを伝えたいとき
法律や契約に基づく通知・請求書等を発送するとき
法律や契約に基づいて必要とされる通知を発送するときは、内容証明郵便を利用することが推奨されます。通知を行う義務を果たしたことを、郵便局に証明してもらえるからです。
また、自身の債権(貸金返還請求権・売掛金請求権など)に関して請求書を発送する際にも、内容証明郵便を活用するのがよいでしょう。
請求そのものに債務を履行遅滞化させる効果があることから(民法412条3項)、請求の事実および内容を証明することが重要であるためです。
時効の完成を阻止したいとき
債権の消滅時効の完成を阻止するためには、内容証明郵便を送付することが最も手軽な方法の一つです。
内容証明郵便によって債務の履行を催告すると、債権の消滅時効の完成が6カ月間猶予されます(民法150条1項)。6カ月の猶予期間のうちに、債権者は訴訟などを通じた正式な請求を行う準備を整えることができます。
相手方に対して強いメッセージを伝えたいとき
内容証明郵便は、相手方に対して「正式な文書」という印象を与えやすい傾向にあります。
口頭や通常の郵便で連絡を受けている段階と比べて、内容証明郵便によって連絡を受ければ、相手方は問題状況をより深刻に受け止める可能性が高いです。
相手方に対して、自身の主張や要求を強いメッセージとして伝えたい場合には、内容証明郵便を利用することが有力な選択肢となるでしょう。
内容証明郵便の出し方・手順
内容証明郵便を発送する際の手順は、以下の2ステップです。それぞれ注意点があるので、事前によく把握しておきましょう。
① 送付する書面を作成する
② 内容証明郵便を取り扱う郵便局で発送手続きを行う
送付する書面を作成する|書き方を解説
内容証明郵便として差し出す書面(=内容文書)は、その作成に当たって通常の書面とは異なる作法に留意しなければなりません。
具体的には、以下の各点に留意して内容文書を作成しましょう。
(a) 内容証明郵便に記載すべき事項
(b) 書面は3通作成する|送付する内容文書1通・謄本2通
(c) 内容証明郵便の謄本の書式ルール
内容証明郵便に記載すべき事項
内容文書には、必ず以下の事項を記載します。
- 差出人の住所、氏名(名称)
- 受取人の住所、氏名(名称)
- 差出日
- 本文
差出人および受取人の住所・氏名(名称)は、封筒の記載内容と同一にしなければなりません。
本文に記載すべき事項は、内容証明郵便を送付する目的によって異なります。
例えば契約に基づく通知であれば、通知の根拠となる契約条文を明記した上で、具体的な通知内容を記載します。
請求書であれば、請求の根拠となる法律や契約の条文を明記した上で、具体的な請求内容(金額、支払期限など)を記載します。
書面は3通作成する|送付する内容文書1通・謄本2通
内容証明郵便を発送するに当たっては、受取人に送付する内容文書1通に、内容文書と基本的に同一の内容を有する謄本2通を加えた計3通の書面を作成する必要があります。
内容文書と同一の書面を3通作成し、そのうち1通を送付用、残り2通を謄本用とするのが一般的です。
内容証明郵便の謄本の書式ルール
内容証明郵便の謄本については、書式に関するルールが厳密に決まっています。
具体的には、以下に挙げるような書式ルールを遵守しなければなりません。
- 内容証明郵便の謄本の書式ルール
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(a) 字数・行数
以下のいずれかのパターンから選択し、その範囲内に収めなければなりません。なお、記号などについては字数の計算方法に注意が必要です。縦書き:1行20字以内、1枚26行以内
横書き:以下のいずれか
・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内(b) 文字・記号の訂正・挿入・削除
謄本の文字または記号を訂正・挿入・削除する際には、その字数および箇所を欄外または末尾の余白に記載し、差出人の印を押印します。
訂正または削除の場合は、元の文字が明らかに読み得るように字体を残す必要があります。(c) 謄本が2枚以上にわたる場合の契印
謄本が2枚以上にわたるときは、その綴り目に契印をします。
契印には原則として差出人の印章を用いる必要がありますが、差出人が1名のみの場合は、それに代わる印章を用いることも可能です。(d) 差出人および受取人の住所氏名の記載
謄本の末尾余白に、郵便物の差出人および受取人の住所・氏名を付記します(付記された文字は、謄本の字数または枚数に算入されません)。
ただし、その住所・氏名が内容文書の記載と同一であるときは、謄本における記載は原則として省略可能です。
内容証明郵便の謄本の書式ルールに関する詳細は、日本郵便のウェブサイトをご参照ください。
参考:日本郵便ウェブサイト「内容証明 ご利用の条件等」 |
内容証明郵便を取り扱う郵便局で発送手続きを行う
内容証明郵便の発送は、全ての郵便局で取り扱っているわけではありません。基本的には、比較的大規模な郵便局のみで取り扱っています。
内容証明郵便を発送する際には、取り扱いのある郵便局を事前に調べて足を運び、発送手続きを行いましょう。
内容証明郵便を取り扱う郵便局の調べ方
内容証明郵便を差し出すことができる郵便局は、集配郵便局および支社が指定した郵便局です。小規模な郵便局では、通常は内容証明郵便を差し出すことができません。
内容証明郵便を差し出すことができるかどうかは、郵便局に電話などで問い合わせれば分かります。
郵便局の連絡先は、日本郵政グループのウェブサイト上で調べることができます。
参考:日本郵政グループウェブサイト|郵便局・ATMをさがす |
内容証明郵便の発送費用
内容証明郵便を発送する際には、基本料金・一般書留の加算料金・内容証明の加算料金を支払う必要があります。また、配達証明サービス(後述)を利用する際には、その料金の支払いも必要です。
25g以内 | 84円 |
50g以内 | 94円 |
50g以内 | 120円 |
100g以内 | 140円 |
150g以内 | 210円 |
250g以内 | 250円 |
500g以内 | 390円 |
1kg以内 | 580円 |
損害要償額10万円まで | 480円 |
さらに5万円ごとに | +23円 ※損害要償額の上限は500万円 |
1枚目 | 480円 |
2枚目以降 | 1枚当たり290円 |
350円 |
(例)
内容文書が3枚である内容証明郵便(定形郵便物・25g以内・損害要償額10万円)を、配達証明付きで発送する場合
基本料金84円+一般書留の加算料金480円+内容証明の加算料金1,060円+配達証明の加算料金350円
=1,974円
内容証明郵便を発送する際の注意点
内容証明郵便を発送する際には、特に以下の各点に注意しましょう。
① 通知や請求の内容を明確に記載する
② 書式ルールを厳密に守る必要がある
③ 配達証明サービスを利用した方がよい
④ 内容文書以外のものは同封できないので、別の郵便で送る
通知や請求の内容を明確に記載する
内容証明郵便を利用すれば、郵便局に文書の内容を証明してもらえますが、その内容が曖昧または不適切では意味がありません。発送の目的に合わせて、文書の内容を明確に記載する必要があります。
特に法律や契約に基づく通知や請求の場合は、条文上の根拠があるはずです。根拠条文を示し、その条文の定めに沿った事項を記載するなど、文書の内容が適切なものになっているかどうかを確認しましょう。
書式ルールを厳密に守る必要がある
内容証明郵便の発送に当たって最も注意すべきポイントの一つが、謄本に関する書式ルールです。
謄本の書式ルールを厳密に遵守していないと、郵便局に内容証明郵便の発送を受理してもらえません。この場合、謄本を作り直して持参し、改めて発送手続きを行う必要があります。
特に注意すべきなのは、法律や契約に定められた期限ぎりぎりで通知を発送する場合や、消滅時効の完成間近の段階で請求書を送付する場合などです。
謄本の書式ミスによって内容証明郵便の発送が遅れた結果、法令・契約違反や時効完成による権利の失効などを招いてしまっては大変です。
謄本の書式ルールはあらかじめよく確認し、万が一間違っていても訂正できるように、時間的余裕を確保しつつ発送手続きを行いましょう。
配達証明サービスを利用した方がよい
内容証明郵便を発送する際には、ほとんどのケースにおいて、配達証明サービスを利用した方がよいと考えられます。
配達証明サービスは、一般書留とした郵便物(内容証明郵便を含む)について、配達した事実を郵便局が証明するサービスです。
内容証明郵便による通知や請求書は、相手方への到達をもって効力を発するのが一般的です(発送をもって発効するクーリングオフ通知などの例外を除く)。
したがって、いつ相手に到達したかを証明できるようにすることが重要ですが、そのためには配達証明サービスを利用しなければなりません。
特に、法律・契約に基づく通知や請求を行う際には、配達証明サービスを必ず利用するようにしましょう。
内容文書以外のものは同封できないので、別の郵便で送る
内容証明郵便によって送付できるのは、内容文書1通のみです。内容文書以外のものを同封することはできません。
通知や請求などの内容・目的によっては、内容文書以外にも書類や物を添付する必要が生じるケースもあります。その場合は、内容証明郵便とは別の郵便で送らなければなりません。
添付書類や添付物を別送する場合は、内容証明郵便においてその内容や発送日などを明らかにして、内容文書と添付書類・添付物の一体性を明示しましょう。
また、添付書類・添付物の送付に当たっては、配達記録が残る方式の郵便を利用することをおすすめします。
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