保証書とは?
役割・種類・製品保証書のひな形・
主な記載事項・注意点などを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「保証書」とは、作成者が相手方に対して、何らかの事項について問題がないと請け合って責任を持つことを証明する文書です。製品保証書や身元保証書などが例に挙げられます。
企業においては、特に製品の品質を一定期間保証する場合に、購入者に対して製品保証書を交付する例がよく見られます。製品保証書の主な記載事項は、以下のとおりです。
・製造者(保証債務者)に関する情報
・製品に関する情報
・保証期間
・保証の内容
・免責事項特に保証の内容と免責事項については、企業として対応できることと対応できないことを明確に区別できるような記載を心がけましょう。
この記事では保証書について、役割・種類・ひな形・主な記載事項・注意点などを解説します。
※この記事は、2024年11月14日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- 景品表示法…不当景品類及び不当表示防止法
目次
保証書とは
「保証書」とは、作成者が相手方に対して、何らかの事項について問題がないと請け合って責任を持つことを証明する文書です。
保証書の役割
保証書の役割は、作成者が保証を行う旨を表明し、その事実を記録化することです。保証書の提出を受けた相手方は、作成者に対して保証の履行を求める際に、保証書を請求の根拠として用いることができます。
「保証」の意義|民法上の保証と製品保証の違い
「保証」という言葉には、複数の意味があります。企業間取引においては、特に民法上の保証と製品保証の2つが重要です。
- 民法上の保証と製品保証の違い
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① 民法上の保証
主たる債務者が債務を履行しなかった場合に、保証人が代わりに債権者へ債務を弁済する旨の約束です。
(例)
AがBから借りている100万円を、Cが保証した。
→AがBに対して100万円を期限どおりに返さなかった場合、CがAに代わってBに100万円を返済する義務を負います。② 製品保証
購入後一定期間において、製品の不具合が発生した場合に、販売店やメーカーが顧客のために無償で修理や代替品の提供などを行う旨の約束です。
(例)
Aが購入した家電製品につき、メーカーであるB社が1年間の製品保証を行った。
→通常の方法で使用していたにもかかわらず、購入後1年以内に家電製品が壊れた場合、AはB社に対して無償修理等を請求することができます。
保証書と保証契約の違い
「保証書」は、保証を行う人が単独で作成し、保証を受ける人に対して提出する書面です。
これに対して「保証契約」は、保証を行う人と保証を受ける人が共同で作成する書面です。
保証書や保証契約による「保証」の具体的な内容は、記載事項によって決まります。
一般的には、民法上の保証は保証契約、製品保証は保証書によって行われるケースが多いです。
主な保証書の種類
主な保証書の種類としては、製品保証書や身元保証書などが例に挙げられます。
製品保証書
「製品保証書」は、顧客が購入した商品が購入後一定期間内に破損したり、不具合が生じたりした場合に、販売店やメーカーが無償修理や代替品の提供などを行う旨を定めた文書です。
特に家電製品や家具などについては、製品保証書が添付されている例がよく見られます。
身元保証書
「身元保証書」は、本人が何らかのトラブルを起こした場合に、身元保証人がそのトラブルについて責任を負う旨を定めた文書です。
例えば、会社が従業員を雇用する際には、従業員の親族などに対して身元保証を求める例が見られます。この場合、従業員が業務上の重大なミスや横領などによって会社に損害を与えたときは、身元保証人が会社の損害を賠償しなければなりません。
製品保証書のひな形(テンプレート)
特に製品を製造するメーカーや、メーカーから製品を仕入れて販売する店舗では、製品保証書を作成する機会があるかと思います。製品保証書のひな形(テンプレート)を紹介しますので、適宜ご利用くださ
○○株式会社(以下「当社」という。)は、下記製品(以下「本製品」という。)を購入した顧客(以下「顧客」という。)のために、本書記載の条件に従って無償修理等を行う旨を約する。 製品名: シリアルナンバー: …… 以上 第1条(保証期間) 本製品の保証期間(以下「保証期間」という。)は、購入日から1年間とする。 第2条(保証の内容) 1. 顧客が、本製品の説明書、仕様書その他の当社が提供する資料の記載された注意事項その他の事項(以下「注意事項等」という。)に従って本製品を使用していたにもかかわらず、保証期間内に、本製品につき破損、故障その他の不具合(以下「破損等」という。)が生じたときは、当社は顧客のために、当該製品につき以下のいずれかの対応を無償で行うものとする。 (1)修理 (2)代替品の交付 2. 前項に基づく代替品の交付は、本製品の修理が不可能であると当社が合理的に判断した場合に限り行うものとする。 第3条(免責事項) 1. 本製品の破損等が以下のいずれかの事由によって生じたときは、保証期間内であっても、当社は本書に基づく保証の義務を負わない。 (1)注意事項等に違反した方法による使用 (2)当社が指定する純正部品以外の部品の使用 (3)落下 (4)輸送中の事故 (5)火災、地震、風水害、落雷その他の天災地変 (6)動物の行為 (7)付属品等の消耗品の破損等 (8)日本国外における使用 2. 本書の内容が、当社の事前の書面による承諾なく購入時から変更された場合、当社は本書に基づく保証の義務を一切負わないものとする。 3. 本書に記載された事項を除き、本製品の使用によって顧客が被った損害について、当社は一切損害賠償責任を負わないものとする。ただし、当社に故意または重大な過失がある場合は、この限りでない。 ○○株式会社 【住所】 問い合わせ先:【電話番号、対応時間など】 |
製品保証書の主な記載事項
製品保証書に記載すべき主な事項は、以下のとおりです。
- 製造者または販売者(保証債務者)に関する情報
- 製品に関する情報
- 保証期間
- 保証の内容
- 免責事項
上記の各事項につき、条文例を示しながら解説します。
製造者または販売者(保証債務者)に関する情報
(例) ○○株式会社(以下「当社」という。)は、下記製品(以下「本製品」という。)を購入した顧客(以下「顧客」という。)のために、本書記載の条件に従って無償修理等を行う旨を約する。 …… ○○株式会社 【住所】 問い合わせ先:【電話番号、対応時間など】 |
誰が保証の義務を負うのかを明確化するため、製造者または販売者に関する情報を明記します。顧客がスムーズに問い合わせできるように、電話番号や対応時間なども記載しておくとよいでしょう。
製品に関する情報
(例) ○○株式会社(以下「当社」という。)は、下記製品(以下「本製品」という。)を購入した顧客(以下「顧客」という。)のために、本書記載の条件に従って無償修理等を行う旨を約する。 製品名: シリアルナンバー: …… 以上 |
保証の対象となる製品を特定するための情報を明記します。
製品名のほか、個々の商品を特定するため、シリアルナンバーなどを記載しておきましょう。保証債務者の側でもシリアルナンバーなどを控えておけば、保証期間などを製品保証書と対照して確認することができます。
保証期間
(例) 第1条(保証期間) 本製品の保証期間(以下「保証期間」という。)は、購入日から1年間とする。 |
製品保証書に基づく保証が適用される期間を明記します。
特に販売店においては、顧客に対して保証期間を正しく説明することが求められます。実際の保証期間が説明した期間よりも短いと、有利誤認表示(景品表示法5条2号)として行政処分や刑事罰の対象になり得るのでご注意ください。
保証の内容
(例) 第2条(保証の内容) 1. 顧客が、本製品の説明書、仕様書その他の当社が提供する資料の記載された注意事項その他の事項(以下「注意事項等」という。)に従って本製品を使用していたにもかかわらず、保証期間内に、本製品につき破損、故障その他の不具合(以下「破損等」という。)が生じたときは、当社は顧客のために、当該製品につき以下のいずれかの対応を無償で行うものとする。 (1)修理 (2)代替品の交付 2. 前項に基づく代替品の交付は、本製品の修理が不可能であると当社が合理的に判断した場合に限り行うものとする。 |
製品の破損等に関して、販売店やメーカーがどのような保証対応を行うかを明記します。
基本的には修理で対応するケースが多いと思われますが、修理が難しい場合は代替品の交付等で対応すべきケースもあります。
ただし代替品の交付は、修理に比べてコストを要することが多いです。具体的な保証の方法は、販売店やメーカーの側で決定できるようにしておくとよいでしょう。
免責事項
(例) 第3条(免責事項) 1. 本製品の破損等が以下のいずれかの事由によって生じたときは、保証期間内であっても、当社は本書に基づく保証の義務を負わない。 (1)注意事項等に違反した方法による使用 (2)当社が指定する純正部品以外の部品の使用 (3)落下 (4)輸送中の事故 (5)火災、地震、風水害、落雷その他の天災地変 (6)動物の行為 (7)付属品等の消耗品の破損等 (8)日本国外における使用 2. 本書の内容が、当社の事前の書面による承諾なく購入時から変更された場合、当社は本書に基づく保証の義務を一切負わないものとする。 3. 本書に記載された事項を除き、本製品の使用によって顧客が被った損害について、当社は一切損害賠償責任を負わないものとする。ただし、当社に故意または重大な過失がある場合は、この限りでない。 |
免責事項は、製品保証書の中で最も注意深く内容を検討すべき部分です。
まず、顧客が不適切な方法で使用したなど、販売店やメーカーが想定しない形で発生した製品の破損等については、保証の対象外であることを明記しておきましょう。
上記の条文例では典型的な免責事項を記載していますが、製品の特徴を踏まえた上で、必要に応じて条項を追加してください。
また、製品保証書の内容が顧客側によって一方的に変更された場合にも、保証が適用されない旨を明記しておきましょう。
さらに、販売店やメーカーの責任を無制限に拡大させないように、製品保証書に記載されている内容を除いて損害賠償責任を負わない旨を記載しておきましょう。
ただし、一般消費者に向けて販売する製品については、消費者契約法の規定が適用されます。事業者側に故意または重大な過失があるにもかかわらず、事業者の責任を免除する旨の条項は無効になる点にご注意ください(消費者契約法8条1項2号・4号)。
顧客に製品保証書を交付する際の注意点
販売店やメーカーが、顧客に対して製品保証書を交付する際には、対応できることとできないことを明確に区別することが大切です。
製品保証書の記載においては、特に以下の各点を明確化しておきましょう。
- 保証対応の内容と、各対応が行われるケース
- 免責事項の内容と、免責事項に該当する場合は保証が適用されない旨
- 保証書に記載されていない損害賠償責任は、原則として負わない旨
また販売店においては、顧客に対して製品を販売するに当たって、製品保証書に記載された保証の概要を正しく説明することが大切です。
不適切な説明をしてしまうと、顧客との間でトラブルに発展するリスクが高まります。さらに、消費者庁に通報されて、措置命令や課徴金納付命令などを受けるおそれがあるので十分ご注意ください。
製品保証書を受け取った際の注意点
企業が購入した製品について製品保証書を受け取った際には、その内容をよくチェックしましょう。特に以下の各点については、慎重にチェックすることが求められます。
- 保証期間
- 保証の内容
- 免責事項
保証の条件につき、事前に説明を受けていた内容とは異なる部分がある場合は、売主に対して確認と説明を求めましょう。購入の前提としていた保証の条件について、実際と想定の間であまりにも大きな差がある場合は、代金減額請求や契約の解除なども検討すべきです。
製品を購入する際には、機能や品質などに加えて、販売店やメーカーによる保証の内容も重要な考慮要素となります。納品を受けた製品本体のチェックに加えて、製品保証書の内容についても、万が一に備えて慎重にチェックしましょう。
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