ハラスメントの調査方法とは?
調査の流れやマニュアル・報告書・
注意点などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

社内でハラスメントが発生したら、迅速かつ網羅的に調査を行うことが求められます。

ハラスメントに関する調査は、メール・チャット・録音・録画などの客観的資料の調査、および当事者や関係者へのヒアリングなどによって行います。
中立・公平な視点で調査を行うこと、被害者の精神面やプライバシーに配慮することなどが大切です。また、加害者側において口裏合わせが行われないように、調査の手順を工夫しましょう。

この記事ではハラスメントの調査方法について、実施すべき対応の内容や流れ、調査時の注意点などを解説します。

ヒー

ここだけの話なんですが、パワハラの相談があったそうです。調査を行うに当たっての注意点などはありますか?

ムートン

調査は聞き取りや証拠集めから始めることになります。口裏合わせなどを想定して、迅速に進めましょう。一般的な調査方法をご紹介します。

※この記事は、2026年6月24日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

ハラスメントの調査方法とは|基本的な流れやマニュアルの内容を解説

社内でハラスメントが発生したら、迅速かつ網羅的に調査を行うことが求められます。次の流れで事実関係を正確に把握し、適切な対応に繋げましょう。

① 相談担当者が被害者から事情を聞く
② 調査委員会を組織する
③ 調査の方法や方針を決定する
④ 客観的な資料を確認する|メール・チャット・録音・録画など
⑤ 関係者や加害者に対してヒアリングを行う
⑥ ヒアリングを踏まえて追加調査を行う
⑦ 調査結果をまとめる|報告書の作成

相談担当者が被害者から事情を聞く

まずは被害者から、ハラスメントの被害に関する事情を聴取します。被害者が安心して話せる環境を整えたうえで、いつ・どこで・誰から・どのような行為を受けたのかを具体的に確認しましょう。

この段階では、相談内容の真偽を判断することよりも、被害者の言い分を丁寧に聞き取ることが重要です(事実関係の裏付けは、その後の調査で行います)。被害者の心の傷にも配慮し、傾聴する姿勢を大切にしましょう。

調査対応マニュアルには次の事項などを定めておくと、対応のばらつきを防ぐことができます。

・聴取する事項
・相談記録の作成方法
・被害者に対する配慮事項
・聴取した内容の記録方法
・聴取した内容に関する守秘義務
など

調査委員会を組織する

ハラスメントの内容が重大で、厳密に公平な調査が求められる場合には、調査委員会を組織することが望ましいです。調査委員会は、経営層・人事担当者・コンプライアンス担当者・法務担当者などで構成します。

調査委員会の設置に当たっては、中立性公正性を確保することが重要です。加害者とされる人物との利害関係がある者を委員から除外し、必要に応じて弁護士などの外部専門家を委員に加えることも検討しましょう。

調査対応マニュアルには、調査委員会に関して次の事項などを定めておくとよいでしょう。

・調査委員会を設置する基準
・委員の選任方法
・調査委員会の権限
・各委員の役割分担
など

調査の方法や方針を決定する

ハラスメントに関する調査を始める前に、調査の方法方針を決定しましょう。誰から事情を聞くのか、どの資料を確認するのか、どのようなスケジュールで進めるのかなどを事前に整理しておくことが重要です。

調査対応マニュアルには次の事項などを定めておくと、調査の方法や方針をスムーズに決定することができます。

・調査開始から終了までの基本的なフロー
・調査する事項の決定に関する基準
・実施し得る調査の具体的な方法と、その選択の基準
・調査担当者間における情報共有のルール
など

客観的な資料を確認する|メール・チャット・録音・録画など

ハラスメントに関する事実関係を正確に把握するためには、当事者や関係者からのヒアリングだけに依拠せず、客観的な証拠を確認することが重要です。メールや社内チャットの履歴、被害者から提出を受けた録音データや録画映像などを精査しましょう。
特に当事者の認識に食い違いがある場合には、客観的な証拠の内容を慎重に分析しながら、事実関係を整理する必要があります。

調査対応マニュアルには、客観的な資料の確認について、次の事項などを定めておきましょう。

・確認すべき資料の種類、範囲
・資料の収集方法、保存方法
・資料を閲覧できる人の範囲、アクセス権の設定方法
・個人情報やプライバシーへの配慮に関するルール
など

関係者や加害者に対してヒアリングを行う

被害者からの聴取や客観的な資料の確認が終わった後は、目撃者同僚などの関係者に対してヒアリングを行います。その後、加害者とされる人物からも事情を聴取し、反論や説明の機会を与えましょう。

調査担当者には、被害者と加害者のどちらか一方だけに肩入れせず、中立的な視点から事実関係を分析・把握することが求められます。双方の言い分を十分に確認し、関係者の証言や客観的な資料との整合性を検討することで、公平かつ客観的な事実認定を行うことが重要です。

調査対応マニュアルには、関係者や加害者に対するヒアリングについて、次の事項などを定めておきましょう。

・ヒアリングの順番の決定に関する基準
・ヒアリングの方法(参加人数、配慮すべき事項など)
・ヒアリングに先立って説明すべき事項
・質問すべき事項
・聴取した内容の記録方法
・聴取した内容に関する守秘義務
など

ヒアリングを踏まえて追加調査を行う

関係者や加害者とされている人に対するヒアリングの結果、新たな事実や資料の存在が判明することもあります。その場合には、必要に応じて追加の資料収集再度のヒアリングを行いましょう。

調査対応マニュアルには、追加調査について次の事項などを定めておきましょう。

・追加調査を必要とする場合の判断基準
・追加調査の実施方法
など

調査結果をまとめる|報告書の作成

ハラスメントに関する調査が完了したら、収集した資料やヒアリングの結果などを整理・分析し、調査報告書を作成します。報告書の主な記載事項としては、次の例が挙げられます。

・調査の経緯
・認定した事実(ハラスメントの有無、認められる場合はその日時や内容など)
・事実認定の理由、根拠(資料、ヒアリングの結果など)
・ハラスメント該当性の判断
など

調査対応マニュアルには、調査報告書について次の事項などを定めておきましょう。

・様式
・記載すべき事項
・保存方法
・社内向けの共有方法(共有する人の範囲、ツールなど)
など

ハラスメントの調査を行う際の注意点

社内で発生したハラスメントの調査を行う際には、特に次に挙げるポイントに注意してください。

① 中立・公平な視点で調査を行う
② 被害者の精神面に配慮する
③ 被害者のプライバシーを保護する
④ 口裏合わせが行われないように、調査の手順を工夫する
⑤ 再発防止策や調査結果開示請求を想定して、報告書を作成する

中立・公平な視点で調査を行う

ハラスメントの調査に当たっては、被害者の申告内容を尊重しつつも、それだけを前提に結論を出してはなりません。被害者・加害者とされている人・関係者の証言や客観的な資料を総合的に検討し、事実関係を的確に把握することが重要です。

特に、調査担当者が被害者または加害者との利害関係を有している場合には、調査の公平性に疑念が生じるおそれがあります。利害関係者を調査から除外するとともに、必要に応じて弁護士などの外部専門家を活用することも検討すべきでしょう。

被害者の精神面に配慮する

ハラスメントの被害者は、精神的な苦痛不安を抱えていることが少なくありません。そのため、調査を進める際には、被害者の状態に十分配慮する必要があります。

基本的には、長時間にわたるヒアリングを避け、複数回に分けて事情を聴き取るのがよいでしょう。調査そのものが、被害者にとってさらなる負担にならないよう注意しなければなりません。

そのほか、加害者との接触を避けるための勤務場所・業務内容の見直しや在宅勤務への切り替えなど、被害者のストレスを軽減するための配慮も行いましょう。

被害者のプライバシーを保護する

被害者は、ハラスメントに関する被害の具体的な内容や、相談したことについてあまり知られたくないと考えているケースが多いです。そのため、調査に関する情報は必要最小限の範囲で共有し、無関係の人に漏えいしないよう厳重に管理しましょう。

特にセクハラについては、調査の過程で被害内容が社内に広く知られると、被害者が二次被害を受けるおそれがあります。調査担当者には守秘義務を徹底させるとともに、調査に関する資料の保管方法についても適切なルールを設けておきましょう。

口裏合わせが行われないように、調査の手順を工夫する

関係者同士の間で口裏合わせが行われると、ハラスメントについての事実関係の解明が困難になってしまいます。それを防ぐには、調査の進め方を工夫しなければなりません。

例えば、関係者へのヒアリングをできるだけ短期間に集中して実施すれば、口裏合わせをする時間的余裕がなくなります。また、ヒアリングの対象者には、調査や他の関係者の供述などの内容を必要以上に開示しないようにしましょう。

口裏合わせは、加害者が自分の行為を隠蔽したいという動機で行うケースが多いです。そのため、加害者本人に対するヒアリングは、その他の関係者に対するヒアリングが完了した後で行うのがよいでしょう。
もっとも、加害者本人に対してヒアリングを行った後、必要に応じて追加でその他の関係者にヒアリングを行うことは問題ありません。

再発防止策や調査結果開示請求を想定して、報告書を作成する

調査が終了した後は、調査結果を報告書にまとめましょう。

調査報告書は、その後の対応を検討する際の重要な参考資料となります。また、後日被害者との間で訴訟などに発展した場合にも、会社が適切な調査を行ったことを示す根拠となります。そのため調査報告書は、客観的かつ詳細な内容で作成することが大切です。

ハラスメント調査の結果を踏まえて、企業がとるべき対応

調査の結果、ハラスメントの事実が認められたときは、次の対応を適切に行って事態の収拾に努めましょう。

① 被害者に対する保護・ケア
② 加害者に対する処分
③ 再発防止策の検討・実施
④ 従業員などに対する状況の報告

被害者に対する保護・ケア

調査の結果、ハラスメントの事実が認められた場合には、被害者の保護ケアを最優先に検討する必要があります。

まずは本人の意向を確認しつつ、加害者との接触を避けるための配置転換や、業務の負担を軽減する調整などを迅速に行いましょう。被害者が不利益な取扱いを受けることがないよう、人事評価や職場環境にも十分配慮しなければなりません。被害者が安心して過ごせる環境を確保することが重要です。

また、被害者の精神的ショックが大きい場合は、産業医による面談を実施したり、外部相談窓口を案内したりすることも考えられます。

加害者に対する処分

ハラスメントを行った加害者に対しては、懲戒処分を含む厳正な対応を行いましょう。厳しい処分を行うことは、職場全体のハラスメント防止に対する意識を高めることにも繋がります。

懲戒処分の可否や種類・内容は、ハラスメントの悪質性や被害の程度、過去の問題行動の有無などを踏まえて判断します。重すぎる懲戒処分は無効になり得るので、法的な観点から慎重に検討を行いましょう。

また、懲戒処分に加えてハラスメント防止研修の受講を命じるなど、再発防止に向けた指導を行うことも考えられます。

再発防止策の検討・実施

ハラスメントが発生した原因背景を分析し、再発防止策を検討・実施することも重要です。例えば、次のような対策が考えられます。

再発防止策の例

・ハラスメント防止方針の強化、従業員に対する周知
・ハラスメントに関する相談窓口の再周知
・ハラスメントに関する従業員研修の強化
・従業員に対する定期的なアンケート調査の実施
・ハラスメント発生時の対応フローの見直し
など

従業員などに対する処分状況の周知

ハラスメント防止への意識を高める観点から、従業員などの関係者に対して、処分の状況などを周知することも検討しましょう。就業規則等に基づく厳正な対処と再発防止策を提示するなど、透明性のある対応を行えば、従業員の信頼や安心感を得ることにも繋がります。

もっとも、被害者や加害者のプライバシーに十分配慮しなければなりません。必要以上に詳細な報告をすることや、個人が特定されるような情報を開示することは避けた方がよいでしょう。

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