危機管理とは?
リスク管理との違い・平時の対策と
危機発生時の対応のポイントを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「危機管理」とは、事業者において予期せぬトラブルが発生した際、その影響を最小限に食い止めるために行う事前対策や事後対応をいいます。
特に自然災害や事故、個人情報や営業秘密の漏えい、製品に対する大規模なクレーム、役員による不祥事などは、事業に及ぼす影響が大きいと考えられるため、あらかじめ危機管理の検討を行っておくべきでしょう。危機管理は、平時の段階で行う事前対策と、危機発生時に行う対応に分類されます。
平時の段階では、発生し得る危機のリスクを分析したうえで、優先順位を設定して対策を検討します。連絡体制や対応マニュアルなどを整備し、定期的に訓練やシミュレーションを行って危機の発生に備えましょう。
実際に危機が発生したときは、事実関係を迅速かつ正確に把握したうえで、優先順位に従って対応を行います。関係者間でタイムリーに情報を共有することや、対外的にも情報を発信して社会的信頼の維持に努めることが重要です。不祥事等が発生したときは、再発防止策を実施することも求められます。
この記事では事業者の危機管理について、事前対策や危機発生時のポイントを解説します。
※この記事は、2026年8月31日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
危機管理(クライシスマネジメント)とは
「危機管理」とは、事業者において予期せぬトラブルが発生した際、その影響を最小限に食い止めるために行う事前対策や事後対応をいいます。「クライシスマネジメント」と呼ばれることもあります。
自然災害や事故、個人情報や営業秘密の漏えい、製品に対する大規模なクレーム、役員による不祥事など、事業者はさまざまな危機に直面する可能性があります。その際に何もしなければ、危機による影響がどんどん拡大し、回復不可能な損害を受けてしまうことになりかねません。
そのため、平時から危機的状況に備えた対策を検討し、実際に危機が発生した際には迅速に対応できるようにしておくことが大切です。
危機管理とリスク管理(リスクマネジメント)の違い
危機管理と似ている用語として「リスク管理(リスクマネジメント)」が挙げられます。
リスク管理は、事故や不祥事などのリスクを把握・評価したうえで、そのリスクを許容可能な範囲内に抑える取り組みです。実際に事故や不祥事が発生するより前の、平時における事前対策に焦点が当てられています。
これに対して危機管理は、どちらかといえば危機発生後の対応に焦点を当てた考え方です。
もっとも、平時からの事前対策も含めて「危機管理」と捉える考え方もあります。この考え方に従うと、危機管理とリスク管理の範囲は重なり合うことになります。
危機管理の対象となる主なトラブルのパターン
特に、事業活動への影響が大きい次に挙げるトラブルについては、危機管理対策を重点的に行うことが求められます。
① 自然災害・事故
② 個人情報や営業秘密の漏えい
③ 製品に対する大規模なクレーム
④ 役員による不祥事
自然災害・事故
地震・台風・洪水などの自然災害や、火災・爆発・設備故障などの事故は、事業活動の停止を含む深刻な悪影響につながるおそれがあります。従業員や関係者の人的被害が生じるリスクもあるため、迅速な危機管理対応が求められます。
個人情報や営業秘密の漏えい
サイバー攻撃や従業員のミス・不正行為などにより、個人情報や営業秘密が漏えいする不祥事がしばしば報道されています。
個人情報の漏えいは個人情報保護法違反、営業秘密の漏えいは不正競争防止法違反に当たる可能性があり、その責任を追及されるおそれがあります。さらに、取引先に対する秘密保持義務違反にも該当する場合は、契約解除や損害賠償のリスクも生じてしまいます。平時から情報セキュリティ対策を充実させることが大切です。
製品に対する大規模なクレーム
製品の欠陥や品質上の問題が発覚したり人身・物的被害が発生すると、多数の顧客から苦情を寄せられる可能性が高いです。例えば食品への異物混入、製品の発火・故障などが挙げられます。
製品について大規模なクレームに発展すると、企業イメージが大きく損なわれて業績の悪化につながるほか、行政処分によって事業に大きな支障が生じるおそれもあります。平時から品質管理や検査の徹底、丁寧な顧客対応などを通じて、大規模なクレームのリスクを抑えるよう努めましょう。
役員による不祥事
役員が横領・贈賄・粉飾決算・ハラスメントなどの不祥事に関与すると、社会全体でその責任を問う流れが加速する可能性があります。特にSNSが発展した近年においては、その傾向が顕著です。経営陣の交代を余儀なくされたり、企業イメージが低下して業績悪化につながったりするおそれがあります。
取締役会の機能を強化して役員の相互監視を働かせる、役員から独立したコンプライアンス部門や内部監査部門を設けるなど、不祥事のリスクを防ぐ対策を行いましょう。
企業が平時から行うべき危機管理
企業は危機の発生に備えて、平時から危機管理対策を行うことが求められます。具体的には、次の危機管理対策を検討・実施しましょう。
① リスク分析|危機の種類・発生の可能性・影響度など
② 優先順位付けと対策の検討
③ 対応体制の整備|連絡体制・対応マニュアルなど
④ 定期的な訓練・シミュレーション
リスク分析|危機の種類・発生の可能性・影響度など
まずは企業が直面し得る危機を洗い出し、発生する可能性や発生した場合の影響(=リスク)を分析・把握しましょう。
リスク分析に当たっては、自社の事業内容に照らして、想定し得る危機を具体的・網羅的に検討することが重要です。同じ業界や隣接業界での事例なども参考にするのがよいでしょう。また、事業環境は変化し得ることを踏まえて、定期的にリスク分析を実施することも求められます。
優先順位付けと対策の検討
経営資源が限られていることを踏まえると、危機管理対応の優先順位を決めることも重要になります。リスク分析の結果を踏まえ、発生する可能性が高いリスクや、発生した場合の影響が大きいリスクへの対策を重点的に検討しましょう。
特に、自社の根幹的な事業に関わるリスクについては「BCP(事業継続計画)」を策定することが推奨されます。BCPは、危機が発生した場合でも重要な事業を中断させず、仮に中断したとしても可能な限り短期間で復旧させるための方針・体制・手順等を示した計画です。
内閣府の「防災情報のページ」では、BCPの策定事例やガイドラインなどが掲載されています。
対応体制の整備|連絡体制・対応マニュアルなど
危機発生時に担当者が迅速かつ適切に対応できるように、平時の段階から連絡体制や対応マニュアルなどを整備しておきましょう。危機管理責任者や対応部署を明確化し、役割分担や意思決定の手順、対応に当たって留意すべき事項などをまとめます。
実際の現場では臨機応変な対応も求められますが、連絡体制や対応マニュアルなどは基本的な指針として役に立ちます。
定期的な訓練・シミュレーション
危機発生時の対応事項や注意点などを従業員が正しく理解し、慌てることなく行動できるように、定期的な訓練やシミュレーションを行いましょう。
例えば、災害の発生を想定した避難や安否確認の訓練、不祥事の発生を想定した疑似的な記者会見やプレスリリース、情報システムの復旧に関する訓練などを行います。訓練やシミュレーションの中で得られた教訓は、連絡体制や対応マニュアルなどに反映させましょう。
危機発生時に企業がとるべき対応
実際に危機が発生した際には、その影響を最小限に抑えるため、迅速かつ的確に対応する必要があります。事前の対策を踏まえつつ、次の対応を行いましょう。
① 事実関係の迅速・正確な把握
② 優先順位に従った危機対応
③ 関係者間でのタイムリーな情報共有
④ 対外的な情報発信|ステークホルダー・メディアなど
⑤ 再発防止策の検討・実施
事実関係の迅速・正確な把握
的確な危機管理対応を行うため、まずは事実関係を迅速かつ正確に把握するよう努めましょう。
例えば「いつ・どこで・何が起きたのか」「人的・物的被害はどの程度か」「現在も被害が拡大しているか」などを確認します。事前に定めた連絡体制や対応マニュアルに則って、関係部署から幅広く情報を収集しましょう。
推測だけに基づいて原因や状況を断定したり、未確認の情報を事実として扱ったりしてはいけません。誤った情報に基づいて対応すると、かえって被害を拡大させてしまうおそれがあります。迅速さを心がけながらも、事実と推測を明確に区別して焦らず調査を進めることが重要です。
優先順位に従った危機対応
危機発生時には、限られた人員・時間・資源を重要度の高い事項に集中させることが求められます。事前に定めた優先順位に沿った危機管理対応を行いましょう。
人命が関わる事態が生じている場合は、人命の安全確保を最優先事項とします。例えば、製品の欠陥による事故が生じた場合は出荷停止や回収、自然災害が発生した場合は従業員の安否確認や設備の安全確認などが最優先事項となります。
そのうえで、事業に悪影響を及ぼす度合いが高いと考えられる事項の対応を優先的に行いましょう。特に根幹的な事業については、できる限り停止させず、仮に停止しても短期間にとどめることが重要になります。平時にBCPを策定していれば、それを活用しましょう。
関係者間でのタイムリーな情報共有
危機管理対応は、幅広い部署が横断的に行うことが求められます。そのため、関係者間でタイムリーに情報を共有することが重要です。
危機管理責任者が中心となり、経営陣や関係部署、現場担当者の間で必要な情報が随時行き渡るように情報共有を行いましょう。
ただし、無秩序に情報が拡散されると、かえって従業員の混乱を招いてしまいます。危機対策本部などに情報を集約し、事実と推測を区別するなどの整理を行って、必要な情報を適切な形で共有できる体制を整えましょう。
対外的な情報発信|ステークホルダー・メディアなど
危機管理対応の状況は、ステークホルダーに対しても適切なタイミングで伝えることが求められます。被害者や関係官庁への報告なども欠かせません。着実に対応が進んでいること、適切な対応がなされていることが伝われば、企業としての信頼を維持しやすくなるためです。特に重大な危機が発生した際には、記者会見やプレスリリースによる情報発信を行いましょう。
対外的な情報発信に当たっては、事実を隠したり、推測に基づいて曖昧な観測を示したりしてはいけません。確定している事実とともに、企業として適切に対応する姿勢を示すことが求められます。
再発防止策の検討・実施
危機管理対応を通じて得られた教訓を今後に生かすため、再発防止策を検討・実施しましょう。
危機の発生原因や対応過程などを検証したうえで、同じような事象が発生した際にはどうすべきか、体制やマニュアルについて改善すべき事項はないかなどを検討します。個人のミスなどを責めるのではなく、危機によるリスクを防止・軽減するための組織的な対策に焦点を当てることが重要です。
再発防止策は対応マニュアルなどに反映するとともに、定期的な訓練・シミュレーションを通じて従業員に周知し、将来的な危機の発生に備えましょう。
企業が危機管理を行う際の注意点
危機管理対応を適切に行うためには、平時から危機の発生に備えることが重要です。自社の事業・業務の内容などから想定されるリスクを具体的に洗い出し、対応の優先順位や連絡体制、マニュアルなどを定めましょう。定期的に訓練やシミュレーションを行い、危機発生時の対応を周知・確認することも大切です。
実際に危機が発生した際には、人命の安全確保を最優先としつつ、影響度が大きい事項から優先的に対応を進め、事業活動への影響を最小限に食い止めましょう。推測ではなく事実に基づいて対応すること、関係者間の情報共有を適切に行うこと、ステークホルダーに対しても適切なタイミングで情報を発信することなどが求められます。
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