【最判令和3年5月17日】
アスベストを含む建材により
健康被害を生じた作業従事者に対する
国とメーカーの損害賠償責任

この記事のまとめ

令和3年5月17日には、いわゆる「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決が相次いで言い渡されました。

一連の最高裁判決では、屋内作業場においてアスベスト含有建材を取り扱った作業従事者の損害賠償請求が認められた一方で、屋外作業場のケースでは損害賠償請求が棄却されました。

同最高裁判決を受けて、屋内作業場での建設作業中にアスベスト関連疾患を発症した人を対象とする「建設アスベスト給付金制度」が設けられ、現在に至るまで運用されています。

裁判例情報
最高裁令和3年5月17日判決(民集75巻5号1359頁)
最高裁令和3年5月17日判決(集民265号201頁)
最高裁令和3年5月17日判決(集民265号267頁)

※この記事は、2025年4月30日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

事案の概要

建設アスベスト訴訟」とは、アスベストを含有する建材を用いた建設作業に従事した結果、中皮腫や肺がんなどの健康被害を受けた人やその遺族が、建材メーカーを相手に起こした損害賠償請求訴訟です。

従来から、アスベスト工場の作業従事者の健康被害については、規制権限を適切に行使しなかったことを理由に、最高裁で国の国家賠償責任が認められていました。
建設アスベスト訴訟はその後発として、アスベスト工場以外の建設現場で発生したアスベスト由来の健康被害につき、国や建材メーカーの損害賠償責任を追及したものです。

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