【東京高判令和6年1月19日】
「食べログ」のアルゴリズム変更が
独占禁止法違反や不法行為に当たらない
とされた事例
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- この記事のまとめ
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東京高裁令和6年1月19日判決の事案では、焼肉チェーン店を展開するX社が、飲食店ポータルサイト「食べログ」を運営するY社に対し、独占禁止法違反によるアルゴリズムの使用差止めおよび不法行為に基づく損害賠償を請求しました。
東京高裁は、Y社によるアルゴリズム変更が独占禁止法違反や不法行為に当たらないと判断しました。その理由として東京高裁は、アルゴリズム変更の目的が合理的であることや、X社が受けた影響がそれほど重大ではなかったことなどを挙げています。
プラットフォーム事業者においては、事業上必要なアルゴリズム変更を比較的柔軟に行い得ることが明らかになりました。しかし信頼維持の観点から、説明責任を果たすことは引き続き重要と思われます。
他方で飲食店などの登録事業者にとっては、アルゴリズム変更によって自店舗の評点が下落してしまうリスクがより強調された形となりました。複数のプラットフォームを活用する、独自の集客ルートを確保するなどの対策が求められます。
| 裁判例情報 東京高裁令和6年1月19日判決 |
※この記事は、2025年9月25日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
事案の概要
焼肉チェーン店を展開するX社が、飲食店ポータルサイト「食べログ」を運営するY社に対し、独占禁止法違反によるアルゴリズムの使用差止めおよび不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。
食べログでは、利用者の口コミや評価をもとに各飲食店の「評点」が算出されています。2019年5月、Y社は食べログの評価アルゴリズムを変更し、同一主体が複数店舗を運営するチェーン店の評点を相対的に下方修正する仕様を導入しました。この変更によって、X社の各店舗の評点は下落しました。
X社は、Y社によるアルゴリズムの変更が自社の集客力の低下や売上減少を招いたとして、独占禁止法で禁止されている取引条件等の差別取扱いおよび優越的地位の濫用、および民法上の不法行為に該当すると主張しました。
原審の東京地裁は、Y社の行為が優越的地位の濫用に当たることを認定し、Y社に対して3840万円の損害賠償を命じました(X社の請求額は6億3905万4422円、差止請求は棄却)。
X社とY社の双方は、原審の敗訴部分を不服として東京高裁に控訴を提起しました。












