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グレーゾーン解消制度とは? 制度の概要などを解説!

金山藍子弁護士

金山藍子弁護士

(公開:2022/02/18)

この記事を書いた人

カリフォルニア大学バークレー校ロースクール(LL.M.)修了。2005年弁護士登録。森・濱田松本法律事務所、国土交通省、Google合同会社を経験し、2019年1月から三浦法律事務所所属。ルールメイキング、ガバナンス、不動産取引等の一般企業法務など幅広い分野を取り扱う。

この記事のまとめ

グレーゾーン解消制度とは、「事業者が新たな事業を計画するにあたって現在の規制の適用範囲が不明確な場合に、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度」で、産業競争力強化法に基づき導入されました。

この記事では、グレーゾーン解消制度の概要や、グレーゾーン解消制度に関係するその他の制度について解説します。

グレーゾーン解消制度とは

グレーゾーン解消制度とは、「事業者が新たな事業を計画するにあたって現在の規制の適用範囲が不明確な場合に、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度」で、産業競争力強化法に基づき導入されました。

新規事業を開始するにあたり、当該事業が関連する法令の規制対象となるのか否か、取得しなければならない許認可があるのか否か、遵守しなければならないルールがあるのか否かが不明確な場合に、グレーゾーン解消制度を活用することができます。

グレーゾーン解消制度の成り立ち

2022年1月現在、事業について、ある規制が適用されるのか否か明らかではない場合に使える方法としては、以下の3つがあります。

① 担当省庁等への直接の照会
② 法令適用事前確認制度(いわゆるノーアクションレター)
③ グレーゾーン解消制度

歴史的には、①が伝統的に使われてきましたが、2001年に②が、その後③が2014年に導入されました。以下、①から順番に説明し、③グレーゾーン解消制度ができるまでの流れを解説します。

さらに、関連する制度として、新事業特例制度、規制のサンドボックス制度等についても解説します。

① 担当省庁等への直接の照会

まず、担当省庁等に直接、「所管法令の解釈」と「当該事業へのあてはめ」について照会をすることができ、伝統的にこの手法は多く行われてきました。

会社の名称を明らかにして照会を行う場合もありますし、匿名ベースで法律事務所等から照会を行うこともあります。

会社の名称を明らかにして行う場合には、会社が特定されてしまいますが、担当省庁等との関係構築に資するメリット、回答結果が公表されることなく事業モデルを検討できるメリットがあります。

ただ、省庁等によっては、抽象的な法令の解釈しか示さず、事業の事実関係を踏まえた当該事案に対するあてはめについては回答をしない場合もあり、当該事業を行ってよいのかどうか明確にならないケースもありました。

② 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)

そこで、2001年から、法令に抵触するかどうかについての予見可能性を高めるため、特定の法令の規定適用について事前に照会できるようにする措置として導入されたのが、「法令適用事前確認手続」(いわゆる日本版ノーアクションレターと呼ばれるものです。以下「ノーアクションレター」といいます。)です。

ノーアクションレターでは、行政の公正性の確保・透明性の向上を図るため、照会内容と行政機関の回答を公表することとされていました(「行政機関による法令適用事前確認手続の導入について」 (2001年3月27日閣議決定。以下「本閣議決定」といいます。))。本閣議決定に基づき、多くの省庁において2001年以降、ノーアクションレターが導入されており、2022年1月現在でも利用することができます。

本閣議決定によると、ノーアクションレターを利用できるのは、以下に該当する場合です。

① 当該条項が行政手続法2条3号にいう申請に対する処分の根拠を定めるものであって、当該条項に違反する行為が罰則の対象となる場合
② 当該条項が行政手続法2条4号にいう不利益処分の根拠を定めるものである場合
③ 当該条項が民間企業等に対して直接に義務を課し又はこれらの権利を制限するものであって、本手続の趣旨にかんがみて対象とすべきものと判断される場合

これらの基準を踏まえて各省庁が、ノーアクションレターを利用できる法令の条項を事前に指定しています。

ノーアクションレターでは、これまでも適用対象となる法令等の拡大が行われてきたものの、各行政機関が、利用できる法令と条項を事前に指定しているため、問題となる法令が指定されていない場合には使うことができず、2022年1月現在でも対象法令の範囲が限定されていることが課題の一つとなっています。

例えば、消費者庁において特定商取引に関する法律41条2項に定める「特定継続的役務」に該当するか否かについては、上記基準によれば③に該当するようにも考えられますが、消費者庁は同法41条を対象の法令として規定しておらず、同条のみではノーアクションレターを利用することができません。

他方、グレーゾーン解消制度には対象となる法令の限定がないため、特定商取引に関する法律41条の該当性についても判断がされている事例があります(インターネットを通じたプログラミング教育に関する2014年12月25日付回答 。なお、回答日は、ウェブサイト上では2014年12月12日となっていますが、該当PDFでは2014年12月25日となっています。)。

また、そもそも個人情報保護委員会、内閣官房、内閣法制局等は、手続の対象とすべき所管法令がないとして、ノーアクションレター自体を導入していません。

しかしながら、個人情報の保護に関する法律等、事業を行うにあたって適用関係が問題となるケースが多く、このような場合には、担当省庁への直接の照会や、グレーゾーン解消制度を利用することとなります。

個人情報の保護に関する法律について公表されているグレーゾーン解消制度の利用例として、例えば、疾患診断補助機器の開発のための個人情報の提供に係る個人情報保護法等の取扱いについての2018年7月31日付回答があります。

ノーアクションレターは、照会内容と行政機関の回答が公表されることに同意をしていることが要件とされていますが、照会者名は同意がない場合には公表されません。

ただ、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示事由に該当しうる情報が含まれている場合は、必要に応じ、これを除いて公表することが認められており、また、公表時期の延期をすることも可能です。

なお、全省庁におけるノーアクションレターの利用実績については、直近では2015年までの利用実績を総務省が公表していましたが、その後は公表されていません。

③ グレーゾーン解消制度

このような背景から、2014年に創設されたのがグレーゾーン解消制度です。ノーアクションレターとの違いは、以下の2点とされています。

・グレーゾーン解消制度は、事業者に具体的なビジネスプランがあり、当該ビジネスプランが複数の法令との関係で適法関係を確認する必要がある場合についても、そのビジネスプラン全体に着目をした制度であること(ノーアクションレターは、基本的には、ある企業がどのような行為をすることが具体的な法令の条文に違反しているかを確認する制度)

・グレーゾーン解消制度は、事業所管大臣が窓口になって、そのビジネスプランを全体として見て規制担当大臣に働きかけるなど、事業所管大臣がサポートすることが特徴 (西山政府参考人答弁(平成25年11月8日第185回衆議院経済産業委員会議事録第4号27頁 ))。

ただ、実際には、グレーゾーン解消制度も、その事業が具体的に「○○法の○○条に違反するか」という形で照会する必要があり、当該事業計画に関係しうる全ての法令の適法性を確認する制度ではないこと、また、事業所管大臣と規制所管大臣が同一の場合もあり、上記2点は絶対的な相違点ではないことには留意が必要です。

グレーゾーン解消制度の利用を検討するにあたっては、以下の3つを踏まえて、検討することになります。

① 新たな事業であること
② 規制を所管する省庁だけではなく、事業を積極的に推進する立場から規制の緩和等に働きかけを行う役割の事業所管省庁が存在すること
③ 規制の根拠となる法令は限定されていないこと

① 新たな事業性については、「新商品の開発又は生産、新たな役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動」のうち、当該新たな事業活動を通じて、「生産性の向上又は新たな需要の開拓が見込まれるものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがないもの」( 産業競争力強化法施行規則2条 )である必要があり、既存の事業については利用することができません。

ただし、新たな事業性については、法律上の要件とはなっていますが、実証的に実施をしているだけの場合や、同じ事業についても新たな機能を付加する場合等についても新規事業性が肯定されることもあり、既に開始している事業でも利用例があります(例: 経済産業省「グレーゾーン解消制度に係る事業者からの照会に対し回答がありました~企業間研修送出事業の取扱いについて~」 )。

事業所管大臣とは、「新事業活動に係る事業を所管する大臣」とされ(産業競争力強化法147条1項1号)、当該事業に関する規制を所管する大臣(規制所管大臣)と異なる場合には、規制所管大臣に対して確認を求め、規制所管大臣からの回答を受け、事業所管大臣から申請者に回答することとなっています(同法7条)。

これは、所管官庁への直接の照会やノーアクションレターと異なる特徴ですが、事業者から直接規制所管省庁に照会する場合には、その事業者にとって、一定の困難が伴うケースがあるとの指摘があり、グレーゾーン解消制度では、事業者を支援する事業所管省庁が、事業者に代わって、規制所管省庁に対し、照会を行うことで、事業を推進する役割を事業所管省庁が担うものと説明されていました(経済産業省「「企業実証特例制度」及び「グレーゾーン解消制度」の利用の手引き」19頁)。

実際には、事業所管大臣が経済産業大臣である事例が多く、経済産業省を間に入れて、規制所管省庁と交渉をしたい場合には適した方法ではありますが、他方、規制内容に詳しくない経済産業省が間に入ることで、より時間を要する等のデメリットもあります。

また、グレーゾーン解消制度においても、照会と回答内容は、法律上、公表することとなっています(産業競争力強化法7条2項、3項)。

なお、既に開始している事業についてグレーゾーン解消制度等を利用する際には、慎重な検討も必要です。もしも不適法という回答となった場合には、事業の継続のみならず、会社の存続に影響をしかねない状況にもなりますので、慎重に検討をする必要があります。

④ 新事業特例制度

こうしてグレーゾーン解消制度を活用した結果、企業の事業計画が規制の適用を受けると判断された場合であって、企業がその規制の緩和を求める意向を示した場合には、新事業特例制度(※)を活用することができます( 茂木敏充経済産業大臣答弁 2013年10月29日第185回国会衆議院本会議)。

(※)新事業特例制度は、当初は「企業実証特例制度」と通称されていましたが、最近では「新事業特例制度」と通称されており、以下では「新事業特例制度」という用語を用います。

新事業特例制度とは、グレーゾーン解消制度とともに産業競争力強化法に基づき創設された制度で、新事業活動を行おうとする事業者が、その支障となる規制の特例措置を「企業単位」で提案することができます。

これは、事業者の技術力等に着目し、全国一律の規制改革を先導するとともに、産業競争力の強化と安全性等の確保・向上を同時に実現することを目指した制度とされています。(経済産業省「「企業実証特例制度」及び「グレーゾーン解消制度」の利用の手引き」2頁)

事業者が、規制の特例措置を提案し、これを受けて事業・規制所管両大臣が協議し、特例措置を創設し、安全性等を確保する措置を含む事業計画の認定を通じ、規制の特例措置を認めるものとなっています。

ただ、規制の特例が常に認められるわけではなく、当該規制が守ろうとしていた保護法益などが一定担保されることなどが条件として付されることとなります。

⑤ 規制のサンドボックス制度等

さらに、イノベーション創出のために2018年に創設された時限的な制度として、「新技術等実証制度」(規制のサンドボックス制度)があります。これは、生産性向上特別措置法(2018年6月施行)に基づき、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するために施行後3年に限り、創設されました。

新事業特例制度においては、事業者が規制の特例措置の整備を求める場合、規制を緩和しても安全性などの目的を達成することが可能となる規制の代替措置の検証のための実証ができず、検討が進まないケースがありました。

規制のサンドボックス制度では、こうした課題を解決するために、期間や参加者などを限定し、規制が適用されない環境下でスピーディーに実証プロジェクトを実施することを可能にしました。参加者や期間を限定すること等により、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができるようにするものです。

新事業の迅速な実証を可能とし、かつ、実証で得られた情報・資料を活用できるようにして、規制改革を推進するための制度とされています。グレーゾーン解消制度と同様、利用できる分野・法令に限定はありません。本制度は、2021年の第204回通常国会で、産業競争力強化法に統合され、恒久的な制度となりました( 経済産業省「「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行されました」)。

手続としては、新技術等の実証を実施しようとする者は、新技術等実証計画(以下「実証計画」といいます。)を作成し、主務大臣(以下「事業所管大臣及び規制所管大臣」といいます。)に提出します。

申請を受けた主務大臣は、新事業等効果評価委員会の意見を聴いた上で、実証計画の認定の可否を判断します。

実証実験の終了後は、当該実証計画に規定された新技術等に係る規制を所管する担当大臣は、規制の特例措置の整備及び適用の状況、諸外国における同様の規制の状況、技術の進歩の状況等を踏まえて検討を加え、その結果に基づき、規制の撤廃又は緩和のために必要な法制上の措置、その他の措置を講ずるものとされています。

また、新事業等効果評価委員会は実証の終了後、当初の評価どおりに当該実証が新事業活動の実施につながったかどうかの確認を行うことになります。

このように複数の利用可能な制度が存在しており、事業者からするとどの枠組みを利用するのがよいのかわかりにくい状況ではあり、内閣官房に一元的に相談を受け付ける窓口が設けられています。

グレーゾーン解消制度の活用実績

経済産業省は、同省が事業所管省庁となっているグレーゾーン解消制度等の利用実績を公表しており(経済産業省「規制のサンドボックス制度、グレーゾーン解消制度及び新事業特例制度の活用実績」)、他省庁も各ホームページで公表しています。

グレーゾーン解消制度は、他の制度と比べても利用実績は多く、2022年1月19日の経済産業省の公表によれば、経済産業省が事業所管省庁となっている場合としては、グレーゾーン解消制度が205件、規制のサンドボックス制度が11件、新事業特例制度が16件となっています。

ノーアクションレターについては最近の実績の統計がとられておらず比較はできませんが、各省庁により利用実績にばらつきがあります。

グレーゾーン解消制度の著名な利用例としては、様々な電子契約サービスについて電子署名法2条1項への該当性について回答された事例が複数あります。

また、新規事業について、法令の適用がないことが確認された最近の事例としては、以下のようなものがあります。

・ 在籍出向のあっせんについて、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律2条1号の「労働者派遣」又は職業安定法44条において禁止される「労働者供給事業」に該当しないと回答した例(2021年11月22日厚生労働省回答)

・ 原動機のないキックボードについて道路交通法上の「軽車両」に該当しないと回答した例(2021年6月14日国家公安委員会回答)

・ 車庫ガレージやキャンプ用品を貸与するアウトドアレジャーサービスの提供等について一定の条件のもと旅館業に該当しないと回答した例(2021年2月4日厚生労働省回答)

参考元│経済産業省ウェブサイト「グレーゾーン解消制度の活用事例」

旅館業や宅地建物取引業の該当性はよく問題となる点ですが、宿泊のサブスクリプションサービスについて旅館業に該当すると回答した例もありました(2021年8月17日厚生労働省回答 )。

ノーアクションレターで新たな事業に許認可の要否を確認した例としては、法人とその従業員間における車両のシェアリングサービスに関する道路運送法80条1項の許可の要否について、許可を要しないとの回答を得た例(2020年7月31日及び2021年6月7日国土交通省回答)等があります。

グレーゾーン解消制度の適切な利用方法とは

ここまで解説してきたとおり、法令の適用関係が不明な場合の方法としてはいくつかの手法が用意されていますが、いずれを使うのが適切なのかは案件によって異なり、一律にこれがよいというものではありません。

そして、まずはそもそも白黒を明確につけたほうがよいのか自体も検討する必要があります。一般的には、新規事業を行うにあたって、実施後に違法スキームだったということにならないよう、関係する法令について事前に調査をし、どのようなリスクが存在するのかを検討し、なるべく違法となる可能性がないように確認して進めたほうがよいところはありますが、実態としては事業開始後に検討をせざる得ないケースもあるとは思います。

白黒つけたほうがよいという判断となる場合には、上記の選択肢のうち、公表を前提とした方法が望ましいのか、事業の内容、事業のステージ、当該分野における当該事業のもたらすインパクト等を踏まえ、適切な方法を選択して進めることとなります。

以上まとめると、グレーゾーン解消制度等の制度が用意されているものの、どの案件でも利用すればよいというわけではなく、案件によってどの制度がよいかはメリット・デメリットも踏まえて慎重な検討が必要です。

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