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電子帳簿保存法とは? 基本を解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2020/10/30)
この記事のまとめ

電子帳簿保存法を解説!!

2020年10月に電子帳簿保存法の施行規則が改正され、契約書や請求書などの電子取引の情報をデータのまま保存するために必要となる要件が緩和されました。 あわせて電子帳簿保存法について内容を理解しておきましょう。

この記事では、電子帳簿保存法の知識がない方にも基本から分かりやすく解説します。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 電帳法…電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
  • 電帳法規則…2020年10月施行後の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
  • 旧電帳法規則…2020年10月施行前の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
先生、電子帳簿保存法が改正されたと聞きましたが、そもそも電子帳簿保存法についてよく分かりません・・・。法務部に関係があるのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
電子帳簿保存法は、契約書などの保存に関わってきますよ。

電子帳簿保存法とは?

2020年10月に施行される電子帳簿保存法の施行規則の改正については、こちらの記事で解説しています。

電子帳簿保存法は、大きく分けて、2つの制度を定めた法令といえます。
1つは、税法上、保存が義務付けられている紙の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳など)や書類(契約書・損益計算書・貸借対照表・請求書・見積書など) について、一定の要件のもとで、電子データやスキャンデータを紙の代わりに保管することを認めている、というものです。
ちなみに、税法上、保存が義務付けられている帳簿と書類をあわせて、「国税関係帳簿書類」といいます。

電子帳簿保存法のもう1つの制度は、税法上は、保存が義務付けられていない電子取引のデータについて、保存義務を定めている、というものです。
法人税法では、書面でやり取りされた書類のみ保存義務が定められているところ、電子帳簿保存法において、 書面ではなく、取引においてデータでこれらの取引情報をやり取りした場合には、取引のデータを保存するべき、としたのです。

ムートン先生
2020年10月施行の改正は、後者の電子取引に係るデータの保存義務に関する改正です。 最近利用が増えている電子契約の保存方法も関係するものです。
電子帳簿保存法の2つの制度

国税関係帳簿書類を電子データで保存・スキャン保存するための制度

電子取引に係るデータの保存義務に関する制度

今回の電帳法の改正により、電子取引に係るデータの保存要件が緩和されます。すなわち、電子取引を行った場合、 次のいずれかの措置をとれば、電子データのまま保管してもよいこととなります。
①電子データにタイムスタンプが付された後、その取引情報のやりとりを行うこと。
②電子データを訂正・削除したときは、これらの事実と内容を確認することができるシステムか、 訂正・削除を行うことができないシステムを使用して、その取引情報のやりとりと保存を行うこと。

以下、電子帳簿保存法の2つの制度を詳しく解説します。

国税関係帳簿書類を電子データで保存・スキャン保存するための制度

電子帳簿保存法でデータ保存できる帳簿・書類とは?

まず、電子データ保存とスキャナ保存について説明します。

電子データ保存とは、帳簿・書類等を、最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成された場合に、これを電子データとして保存することで、 国税関係帳簿書類の保存義務を果たしたことになるものです(電帳法4条1項)。

スキャナ保存とは、既存の紙媒体の書類等をスキャンして読み取り、この読み取りデータを保存することで、 国税関係帳簿書類の保存義務を果たしたことになるものです(電帳法4条3項)。

帳簿については、スキャナ保存は認められていないのに対し、契約書、請求書、領収証等の書類は、スキャナ保存が可能とされています。

これに対して、電子データ保存については、帳簿・書類ともに認められます。

電帳法で規定される電子保存の対象となる国税関係帳簿書類は、以下の書類となります。

①法人税法で規定される帳簿書類
・普通法人の帳簿・書類
・青色申告法人・連結申告法人の帳簿・書類
②消費税法で規定される帳簿書類
③源泉徴収に関する書類
④関税に関する帳簿書類

以下、各書類について具体的に見ていきます。

法人税法で規定される帳簿(普通法人の帳簿)

まず、普通法人の帳簿については、法人税法施行規則別表22に、その記録方法とともに定められています。

区分 記録方法
(1)現金の出納に関する事項 取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高を記載する。ただし、少額な取引については、 その科目ごとに、日々の合計金額を一括記載することができる。
(2)当座預金の預入れ及び引出しに関する事項 預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額を記載する。
(3)手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項 受取手形、支払手形別に、取引の年月日、事由、相手方及び金額を記載する。
(4)売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 売上先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額を記載する。ただし、 保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できる取引については、その相手方別に、日々の合計金額のみを一括記載することができる。
(5)買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 仕入先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他受けた給付の内容、数量、単価及び金額を記載する。 ただし、保存している納品書、請求書等によりその内容を確認できる取引については、その相手方別に、日々の合計金額のみを一括記載することができる。
(6)(2)から(5)までに掲げるもの以外の債権債務に関する事項 貸付金、借入金、預け金、預り金、仮払金、仮受金、未収入金、未払金等に、 それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方及び金額を記載する。
(7)有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項 取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額を記載する。
(8)減価償却資産に関する事項 取引の年月日、事由、相手方、種類(その種類につき耐用年数省令別表(第19条第2項(種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額) の規定の適用を受ける場合には、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の 耐用年数省令別表)において構造若しくは用途又は細目が定められているものについては、構造若しくは用途又は細目を含む。)、数量及び金額を記載する。
(9)繰延資産に関する事項 取引の年月日、事由及び金額を記載する。
(10)(1)から(4)まで及び(6)から(9)までに掲げるもの以外の資産(商品、製品、消耗品その他棚卸しにより整理するものを除く。)に関する事項 取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額を記載する。
(11)売上げ(加工その他の役務の給付等売上げと同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 取引の年月日、売上先、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の売上総額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。
(1)保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できる取引については、その相手方別に、日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)小売その他これに類するものを行う法人の現金売上げについては、日々の現金売上げの総額のみを記載する。
(3)二以上の事業所を有する法人の売上げで日々の売上総額を記載し難いものについては、一事業所ごとに、その事業所における売上総額を記載する。
(12)(11)に掲げるもの以外の収入に関する事項 受取利息、雑収入等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、 相手方及び金額を記載する。ただし、少額な雑収入等については、それぞれ、その日々の合計金額のみを一括記載することができる。
(13)仕入れに関する事項 取引の年月日、仕入先その他の相手方、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の仕入総額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。
(1)保存している納品書、請求書等によりその内容を確認できる取引については、その相手方別に、日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)少額な現金仕入れについては、日々の合計金額のみを一括記載する。
(3)二以上の事業所を有する法人の仕入れで日々の仕入総額を記載し難いものについては、一事業所ごとに、その事業所における仕入総額を記載する。
(14)(13)に掲げるもの以外の経費に関する事項 賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、修繕費、減価償却費、 繰延資産の償却費、地代家賃、保険料、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、 運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、 それぞれ、その取引の年月日、支払先、事由及び金額を記載する。 ただし、少額の経費については、それぞれ、その日々の合計金額のみを一括記載することができる。

法人税法で規定される帳簿(青色申告法人の帳簿)

また、青色申告法人の帳簿については、法人税法施行規則第53条以下にその規定があります。

53条
※法人税法施行規則(以下この表について同じ)
その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録。
54条 全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、 全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿
55条 1項:仕訳帳 取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載

2項:総勘定元帳 その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載
56条 各事業年度終了の日において、商品又は製品(副産物及び作業くずを含む。)、半製品、仕掛品(半成工事を含む。)、 主要原材料、補助原材料、消耗品で貯蔵中のものその他これらの資産に準ずる資産のたな卸その他決算のために必要な事項の整理を行ない、その事績を明りように記録。 ここにいうたな卸については、たな卸表を作成し、たな卸資産の種類、品質及び型の異なるごとに数量、単価及び金額を記載。
57条 各事業年度終了の日現在において、その業種、業態及び規模等の実情により、おおむね別表21に掲げる科目に従い貸借対照表及び損益計算書を作成

法人税法で規定される帳簿(連結申告法人の帳簿)

連結申告法人の帳簿については、法人税法施行規則第8条の3の4以下にその規定があります。 

8条の3の4
※法人税法施行規則(以下この表について同じ)
その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録
8条の3の5 すべての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、すべての取引を勘定科目の種類別に分類して 整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、第54条(取引に関する帳簿及び記載事項)の 規定に準じて取引に関する事項を記載
8条の3の6 1項:仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載

2項:総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載
8条の3の7 1項:各連結事業年度終了の日において、商品又は製品(副産物及び作業くずを含む。)、半製品、仕掛品(半成工事を含む。)、 主要原材料、補助原材料、消耗品で貯蔵中のものその他これらの資産に準ずる資産の棚卸しその他決算のために必要な事項の整理を行い、その事績を明瞭に記録

2項:棚卸しについては、棚卸表を作成し、棚卸資産の種類、品質及び型の異なるごとに数量、単価及び金額を記載
8条の3の8 各連結事業年度終了の日現在において、その業種、業態及び規模等の実情により、 第57条(貸借対照表及び損益計算書)の規定に準じて貸借対照表及び損益計算書を作成

法人税法で規定される書類

国税関係帳簿書類のうちの「書類」については、普通法人、青色申告法人・連結申告法人に違いはありません。
次の各書類については、スキャナ保存が可能です。

取引関係書類
定義 取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、 見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
該当するもの 取引の相手方に交付している取引関係の証憑書類。又は取引の相手方から受領した取引関係の証憑書類。
決算関係書類
定義 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
該当するもの 決算に関して作成される残高試算表や精算表、実地棚卸表など。

消費税法に規定される帳簿書類

【帳簿】 ※スキャナ保存不可
消費税の課税業者は、帳簿を備え付けてこれに資産の譲渡等又は課税仕入れ若しくは課税貨物の保税地域からの引き取りに関する財務省令で定める事項を整然と、 かつ、明瞭に記録しなければなりません(消費税法施行令71条1項)。
帳簿に記載すべき具体的事項については、消費税法施行規則27条1項に、次のように定められています。

資産の譲渡等に関する事項 資産の譲渡等の相手方の氏名または名称
資産の譲渡等を行った年月日
資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
資産の譲渡等の対価の額
資産の譲渡等係る対価の返還等に関する事項 資産の譲渡等に係る対価の返還等を受けた者の氏名または名称
資産の譲渡等に係る対価の返還等をした年月日
資産の譲渡等に係る対価の返還等の内容
資産の譲渡等に係る対価の返還等をした金額
仕入れにかかる対価の返還に係る事項 仕入に係る対価の返還等をした者の氏名又は名称
仕入に係る対価の返還等を受けた年月日
仕入れに係る対価の返還等の内容(当該仕入れに係る対価等の返還等が他の者から受けた軽減対象課税資産である場合には、 仕入れに係る対価の返還等の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等にかかるものである旨)
仕入に係る対価の返還等を受けた金額
保税地域からの引取り課税貨物に係る消費税額が還付される当該課税貨物に係る事項 保税地域の所在地を管轄する税関の名称
当該還付を受けた年月日
課税貨物の内容
当該還付を受けた消費税額
貸倒れに関する事項 貸倒れの相手方の氏名又は名称
貸倒れがあった年月日
貸倒れに係る課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
貸倒れにより領収することができなくなった金額

【仕入税額控除】
仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した請求書や領収証等を保存する必要があります。
これらは、国税関係帳簿書類にいうところの書類にあたり、スキャナ保存が可能となります。

源泉徴収に関する書類

源泉徴収に関する計算は、企業によって、給与台帳等の給与計算書類で一体的に行われている場合と、独立した源泉徴収簿が作成されている場合があります。
前者の場合には、給与台帳自体が、法人税法で保存義務が課され、国税関係帳簿書類にいうところの書類に該当します。
後者の場合は、保存義務等が課される具体的法令が存在せず、国税関係帳簿書類にいうところの書類に該当しません。

他に、従業員から提出された扶養控除等申告書も、国税関係帳簿書類にいうところの書類に該当します。
よって、これらの書類について、スキャナ保存が可能となります。

関税に関する帳簿書類

関税に関する帳簿書類については、税関により、次のように例示がされています。

輸出者
帳簿
※スキャナ保存不可
品名、数量、価格、仕向人の氏名(名称)、輸出許可年月日、許可番号を記載した帳簿 (必要事項が網羅されている既存帳簿等、仕入書等に必要項目を追記したものでも可)
書類
※スキャナ保存可
輸出許可物の契約書、仕入書、包装明細書、価格表、製造者又は売渡人の作成した仕向人との間の取引についての 書類、その他税関長に対して輸出の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類
輸入者
帳簿
※スキャナ保存不可
品名、数量、価格、仕出人の氏名(名称)、輸入許可年月日、許可番号を記載した帳簿 (必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書等に必要項目を追記したものでも可)
書類
※スキャナ保存可
輸入許可貨物の仕入書、契約書、運賃明細書、保険料明細書、包装明細書、価格表、製造者または売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、 その他税関長に対して輸入の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類

電子データで保存するための要件・手続き

帳簿書類のデータ保存の要件

【所轄税務署の承認手続】
まず、帳簿書類のデータ保存を行うには、所轄税務署への届出を行い、その承認を受けることが必要となります(電帳法6条1項)。
この届出は、承認を受けようとする国税関係帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに、国税関係帳簿の種類、国税関係帳簿の作成に使用 する電子計算機及びプログラムの概要等を記載した申請書を提出しなければなりません。

もっとも、新たに業務を開始した個人事業主又は法人については、事後の届出が、次のとおり認められています。

✅承認を受けようとする国税関係帳簿の全部又は一部がその業務の開始の日から同日以後5月を経過するまでの間に備付けを開始するものである場合 ・・・業務の開始の日以後2ヶ月を経過する日まで

✅承認を受けようとする国税関係帳簿の全部又は一部がその設立の日から同日以後6月を経過するまでの間に備付けを開始するものである場合 ・・・設立の日以後3月を経過する日まで

【具体的要件】
電帳法第4条1項が、国税関係帳簿書類を電子データで保存するための要件を定めています。
その具体的な内容は、電帳法施行規則に定められています(施行規則第3条1項)が、各要件を大別すると、 真実性の確保のための要件と、可視性の確保のための要件とに分けられます。

  ルール 根拠条文
真実性の確保 1 訂正・削除履歴の確保
帳簿を作成する際に、次の条件を満たす処理システムを使用すること。
⑴帳簿に係る電磁的記録に係る記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
⑵帳簿に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後に行った場合には、その事実を確認することができること。
解説:これらの要件は、帳簿の不正改ざんを防ぐため、削除・訂正履歴機能を有したシステムないしソフトウェアを使用しなければならないことを定めています。なお、「その業務の処理に係る通常の期間」とは、2ヶ月間を最長として、各企業の事務処理規程等で任意に定めることができます。
施行規則3条1項1号
2 相互関連性の確保
帳簿に係る電磁的記録の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと。
解説:電磁的記録によって保存している国税関係帳簿と、その他の国税関係帳簿とが存在ししている場合には、 その両者の関連性が確認できるようにしておく必要があります。例えば、一方の帳簿の内容を、他の一方に転記する場合には、一連番号等を振り、 これを双方の国税関係帳簿に係る記録事項として記録する必要があります。
施行規則3条1項2号
3 関係書類等の備付け
帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)の備付けを行うこと。
解説:帳簿を事後的に調査する際に、適正・効率的な調査を行うために、帳簿に係る電磁的記録の処理方法・具体的な操作手順を明らかにした 書面を備付けて必要があります。
施行規則3条1項3号
可視性の確保 1 見読可能性の確保
帳簿に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと。
解説:紙媒体と異なり、電磁的記録を確認するためには、コンピューターのディスプレイ等に判読可能な形で表示される必要がありますので、その表示を確保する為の要件です。なお、「整然とした形式及び明瞭な状態」とは、紙媒体で作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式で出力され、かつ、出力される文字を容易に識別できる状態をいうとされています。
施行規則3条1項4号
2 検索機能の確保
帳簿に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと。
⑴取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
⑵日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
⑶二つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること
解説:まず、⑴については、例えば、仕訳帳については、取引年月日の他に、勘定科目及び取引金額の検索項目の設定が必要となり、 総勘定元帳については、記載年月日、勘定科目、相手方勘定科目及び取引金額の検索項目の設定が必要となります。
次に、⑵については、「その範囲を指定して条件を設定することができる」とは、課税期間ごとの国税関係帳簿書類別に日付又は金額の任意の範囲を 指定して条件設定を行い検索ができることをいいます。ここでいう課税期間ごととは、最大一年間ごとの区切りを指します。よってこの課税期間ごとは、 横断的に検索できるよう、ひとつの記録媒体に保存することが望ましいといえます。
⑶については、国税関係帳簿書類にかかる、⑴で解説した主要な記録項目から少なくとも2つの記録項目を任意に選択して検索をかけることができることをいいます。
施行規則3条1項5号

書類の電子データ保存方法

【所轄税務署の承認手続】
書類の電子データ保存についても、所轄税務署の承認が必要となります(電帳法6条2項)。
この届出は、承認を受けようとする電子データ保存によって紙媒体の書類の保存に代える日の3か月前の日までに、当該書類の作成に使用する電子計算機及びプログラムの概要等を記載した申請書を提出しなければなりません。
もっとも、新たに業務を開始した個人事業主又は法人については、事後の届出が、次のとおり認められています。

✅承認を受けようとする国税関係書類の全部又は一部がその業務の開始の日から同日以後5月を経過するまでの間に書類の 電子データ保存によって紙媒体の書類の保存に代えるものである場合・・・業務の開始の日以後2ヶ月を経過する日まで

✅承認を受けようとする国税関係帳簿の全部又は一部がその設立の日から同日以後6月を経過するまでの間に書類の電子デ ータ保存によって紙媒体の書類の保存に代えるものである場合・・・設立の日以後3月を経過する日まで

【具体的要件】
書類の電子データ保存要件については、施行規則3条2項において、帳簿の電子データ保存要件を準用しつつも、訂正・削除履歴の確保、相互関連性の確保、検索機能における二つ以上の記録項目の組み合わせによる検索機能の確保の要件等が除外されています。
したがって、書類の電子データ保存において遵守すべき要件は、 システム関係書類の備え付け及び、上述した可視性の確保のうち、記録項目の組み合わせによる検索機能の確保を除いた部分となります。

書類のスキャナ保存の要件

【所轄税務署の承認手続】
書類のスキャナ保存についても、所轄税務署の承認が必要となります(電帳法6条2項)。
その承認手続の概要は、書類の電子データ保存にかかる承認手続と同様です。

【具体的要件】
スキャナ保存については、電帳法4条3項にその根拠があり、その具体的要件については、施行規則3条3項以下等に定められています。
まず、スキャナ保存の対象となる書類は、請求書・領収書のように資金や物の流れに直結・連動する書類である重要書類と、 見積書・注文書のように資金や物の流れに直結しない書類である一般書類に分類されます。

スキャナ機器・システムの機能に関する要件が、施行規則3条5項2号に詳細に規定されています。
帳簿の電子データ保存と同様、記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること等が求められます。

その他解像度等についても詳細な規定がありますが、この点についての詳細は国税庁ウェブサイト (電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問12)をご参照ください。 なお、スキャナ機器については、デジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能でも可とされています。

  ルール 根拠条文
重要書類 1 記録事項入力時期
スキャナ保存にかかる書類が重要書類にあたる場合には、書類の作成または受領後、「速やかに」(おおむね7営業日以内)行うこと、 または、「その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと」が求められます。ここでいう業務の処理に係る通常の期間とは、 各企業において2ヶ月を最長として任意に定めることができます。
※ここにいう記録事項の入力とは、スキャナで読み取るだけでなく、後述するタイムスタンプの付与及び電磁的記録の訂正又は削除の履歴の確保の要件を備えることをいいます。
施行規則3条5項1号
2 タイムスタンプの付与
改ざん等防止の観点から、書類をスキャナで読み取る際、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプを付与することが求められています。
なお、国税関係書類の受領者がスキャナで読み取る場合には、受領者自らが書類に自署で署名し、 当該署名が記載された書類のスキャナを行い、受領した日からおおむね3営業日以内にタイムスタンプを付与することとされています(施行規則3条5項2号ロ「特に速やかに」)。
施行規則3条5項2号
3 適正事務処理要件
スキャナ保存にかかる、書類の受領等から入力迄の各事務について、次のとおりの規程を定め、これに基づいて処理を行うことが求められます。

✅相互に関連する各事務について、それぞれ別の者が行う体制(相互牽制)
✅当該各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続き(定期的な検査)
✅当該各事務に係る処理に不備があると認められた場合において、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制
施行規則3条5項4号
4 その他
その他、帳簿との相互関連性の確保(施行規則3条5項5号)、システムのマニュアル等の備え付け等が求められます。
施行規則3条5項5号など
一般書類 1 記録事項入力時期
重要書類のような厳格な期間制限はなく、適時に入力すればよいとされています。
施行規則3条6項
2 タイムスタンプの付与
一般書類についても、国税関係書類の受領者がスキャナで読み取る場合には、受領者自らが書類に自署で署名し、当該署名が記載された書類のスキャナを行い、 受領した日からおおむね3営業日以内にタイムスタンプを付与することは要求されています。
施行規則3条6項
3 適正事務処理要件
一般書類のスキャナ保存については、適正事務処理要件は不要とされています。
 

電子取引に係るデータの保存義務に関する制度

電子取引に係るデータの保存のルールを解説します。

電子取引の情報を電子保存するためには?(電帳法10条)

「電子取引」とは、 注文書や契約書などの取引情報を電子記録の授受によって行われる取引をいいます(電帳法2条6号)。 企業は、このような「電子取引」を行った場合、「一定のルール」に従って、電子取引の情報を保存しなければなりません(電帳法10条)。

もっとも、電子取引の情報を、書面に出力して保存していれば、この「一定のルール」に従う必要はありません(電帳法10条ただし書)。

(定義) 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑹ 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第10条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

引用元│電子帳簿保存法施行規則– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

ムートン先生
多くの企業では、電子データのまま保存するための「一定のルール」を遵守することが難しいことから、紙で出力して保存するという方法をとっているようです。

電子取引の情報を電子保存するためのルール

では、電子取引の情報を電子保存するため具体的にどのようなルールを遵守しなければならないのでしょうか?具体的には、 ①真実性の確保、②関係書類の備え付け、③見読可能性の確保、④検索機能の確保 という4つの観点から、ルールが定められています。

すなわち、電子データは、容易に改変することができることから、その内容が真実であることを担保しうるものでなければなりません(①真実性の確保)。また、電子データが保存されているシステムが、信頼がおける適切なものであるかを把握することができるように、システムのマニュアルを備えておく必要があります(②関係書類の備え付け)。さらに、人間が解読することが難しい数値やタグなどに置き換えて保存されてしまったり、どこに保存されているのか容易に把握できない方法で保存されたりしてしまうと、税務調査を的確に実施できません(③見読可能性の確保、④検索機能の確保)。

このような観点から、電子取引の情報を電子保存するためのルールが定められているのです。

電子取引の情報をデータのまま保存するときの観点

真実性の確保

関係書類の備え付け

見読可能性の確保

検索機能の確保

ルールの詳細は、電子帳簿保存法施行規則の以下の条項となります。ハイライトをかけた点が今回の改正により新たに追加された条項です。

(国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等)
第3条 法第4条第一項の承認を受けている保存義務者は、次に掲げる要件に従って当該承認を受けている 国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をしなければならない。
⑴・⑵(略)

当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、 次に掲げる書類(当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラム(法第6条第1項に規定するプログラムをいう。 以下この条及び第5条第2項において同じ。)以外のプログラムを使用する場合にはイ及びロに掲げる書類を除くものとし、当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理を他の者(当該電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラムを使用する者を除く。)に委託している場合にはハに掲げる書類を除くものとする。)の備付けを行うこと。
イ 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの概要を記載した書類
ロ 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの開発に際して作成した書類
ハ 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの操作説明書
ニ 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類)
⑷ 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。
⑸ 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと 。
イ 取引年月日、勘定科目、取引金額その他の国税関係帳簿の種類に応じた主要な記録項目(以下この号において「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
ロ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
ハ 2以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。


(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第8条 法第10条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、次項又は第三項に定めるところにより同条ただし書の書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合を除き、当該電子取引の取引情報(法第二条第六号に規定する取引情報をいう。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次の各号に掲げるいずれかの措置を行い、第3条第1項第4号並びに同条第5項第7号において準用する同条第1項第3号(同号イに係る部分に限る。)及び第5号に掲げる要件に従って保存しなければならない。
⑴ 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
⑵ 当該取引情報の授受後遅滞なく、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に 関する情報を確認することができるようにしておくこと。
⑶ 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を 行うこと。
イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。

⑷ 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
2~3(略)

引用元│電子帳簿保存法施行規則– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

ルールの詳細の要点をまとめると、次の表のとおりです。★印が、今回の改正で追加された点です。

  ルール 根拠条文
真実性の確保 以下のいずれかの措置をとること
★①電子データにタイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行うこと
②取引情報の授受後遅滞なく、電子データにタイムスタンプを付すとともに、電子データを保存する者かその監督者に関する情報を確認することができるようにすること
★③受領者がいずれかを満たすシステムを使用して、取引情報のやりとりと保存を行うこと。
イ 電子データの記録事項を訂正・削除をする場合、これらの事実・内容を確認することができること。
ロ 電子データの記録事項について訂正・削除をすることができないこと。
④正当な理由のない訂正削除の防止に関する事務処理規程(ルール)を定めて運用すること
施行規則8条1項
関係書類の備え付け 利用する電子契約システム・サービスの利用方法が誰にでも分かるよう、その概要を記載した書類(マニュアル)を備え付けておくこと 施行規則3条1項3号、施行規則8条1項
見読可能性の確保 ディスプレイやプリンターを使って電子契約の内容が速やかに画面または書面で確認できるようにしておくこと 施行規則3条1項4号、施行規則8条1項
検索機能の確保 以下のすべての方法によりデータを絞り込んで検索できるようにすること
①取引年月日や取引金額等の主要項目が検索条件として設定できる
②日付と金額については範囲指定して検索できる
③2つ以上の項目を任意に組み合わせて検索できる
施行規則3条1項5号、施行規則8条1項

※こちらの表は、法令の文言を簡易にしてまとめています。正確な文言は、根拠条文を参照して確認するようにしてください。根拠条文を末尾に引用します。

すなわち、従来は、真実性の確保のため、「受領後遅滞なくタイムスタンプをおす措置」か「訂正・削除の事務処理規程(ルール)を定める措置」のいずれかの措置を行うことが要件でした。改正により、 従来の2つの措置はそのまま認められ、新しく2つの措置(上記「真実性の確保」の①③)も選択肢として加わったことになります。

したがって、今回の改正により、真実性の確保のための選択肢が広がり、電子取引の情報を電子保存するためのルールが緩和されたといえます。

改正により追加された真実性の確保のための選択肢については、こちらの記事で更に詳しく解説しています。

参考文献

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