取締役会の実効性評価とは?
-取締役会を機能させるための仕組み-

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弁護士法人大江橋法律事務所弁護士
慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2013年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。 M&A、コーポレートガバナンス、危機管理・コンプライアンス、紛争解決等を中心に、広く企業法務全般を取り扱う。
この記事のまとめ

取締役会の実効性評価とは、自社の取締役会がその役割と責務を実効的に果たしているか否かを評価することをいいます。

コーポレートガバナンス・コードによってその実施が求められ、当初は日本になじみのない制度として対応に苦慮する上場企業も多くみられましたが、コーポレートガバナンス・コードの策定以降、取締役会の実効性評価は日本の上場企業に着実に浸透してきました。

2022年7月14日時点のプライム市場上場企業における実施率は91.78%まで上昇しています(東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2022年7月14日時点)」)。

このように日本の上場企業にも定着してきた取締役会の実効性評価は、見直しの段階を迎えています。
経済産業省が2022年7月19日付けで改訂した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」(以下「CGSガイドライン」といいます)でも、取締役会の実効性評価を社外取締役の評価へ活用する記載が拡充されるなど、新たな在り方が示されているのです。

そこで、本記事では「取締役会の実効性評価」に関して、その意義・目的や具体的な方法について説明するとともに、実務上考えられる新たな活用方法についても解説します。

※この記事は、2022年10月7日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

取締役会の実効性「評価」とは

取締役会の実効性評価とは、自社の取締役会がその役割と責務を実効的に果たしているか否かを評価することをいいます。

コーポレートガバナンス・コードは、取締役会の実効性評価として、大きく以下2点の実施を求めています。

①取締役会全体の実効性を評価すること
②その結果の開示を行うこと

この「評価」という言葉からして、取締役会の実効性評価は「取締役会全体の実効性のランク付けをするもの」、「『100点満点中●点である』といった点数化をするもの」であって、「客観的に良い評価を得ることが目的」といったイメージをもたれることもあるかと思います。

しかし、これらはいずれも誤った理解です。
取締役会の実効性評価は成績表や評価書を得るための仕組みではありません。そもそも取締役会の実効性はランク付けや点数化に当たっての客観的な水準を一律に設定しづらいものであり、具体的な実効性評価の基準は各社の目指す姿を踏まえてそれぞれ定められるべきものです。

そして、取締役会の実効性評価は、そのような各社が目指す姿に照らして、自社の取締役会がその役割と責務を実効的に果たしているか否かを評価した上で、取締役会の体制や運営において改善すべき事項があるか否か、それを改善するためにどういった取り組みを行うべきかを検討し、かかる取り組みの実施へとつなげ、取締役会をより良いものへと継続的に改善し続ける仕組みです。

その意味で、取締役会の実効性評価は、取締役会の機能向上につなげるためのPDCAサイクルの一環に位置付けられます。

実効性評価の前提として議論・共有すべきこと

それでは、自社が目指すべき取締役会の在るべき姿、その前提となる自社の取締役会の役割・責務については、どのように議論していけば良いのでしょうか。

この点については、コーポレートガバナンス・コードとCGSガイドラインの定めが参考になります。

まず、コーポレートガバナンス・コードは取締役会の役割・責務に関して、以下の3点を掲げています(基本原則4、原則4-1~4-3)。

①経営理念や経営計画等の建設的な議論を行い戦略的な方向付けを行うこと
②経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
③独立した客観的な立場から経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと

また、CGSガイドラインは、取締役会の典型的な姿として、以下の二つに大別されるとしています。

  (A)取締役会を監督に特化させることを志向する会社 (B)取締役会の意思決定機能を重視しつつ取締役会内外の監督機能の強化を志向する会社
機関設計 典型的には指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社 典型的には監査役設置会社
権限移譲 個別の業務執行決定は執行側に大幅に権限移譲 個別の業務執行決定のうち重要性の低いものは執行側に権限移譲
構成 社外者が中心 社内の業務執行者が中心(他方で、監督機能の確保のために一定数の社外取締役を選任)
指名委員会・報酬委員会 審議の効率化のために、指名委員会、報酬委員会に対してタスクアウト(委員会の決定内容は必ずしも取締役会を拘束する必要はない) 監督機能の確保のために、社外者中心の指名委員会、報酬委員会を設置し、タスクアウト(委員会の決定内容は取締役会において尊重される必要がある)
開催頻度 個別の業務執行の決定は最小限であるため、頻度は相対的に少ない(但し、経営戦略の議論などに充てるため、頻繁に開催することも考えられる) 個別の業務執行の決定を相当数行うため、迅速性を損なわないために、頻度は相対的に多いことが想定される

経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」13頁

このような取締役会の役割・責務、取締役会の在るべき姿に関する一定の基準を参考にしながら、各企業は、自社の状況に照らして、上記の取締役会の役割・責務のうち特に重視すべき事項は何かといった点を議論し、自社が目指すべき取締役会の在るべき姿を明確化していくことになります。

この明確化に向けた取締役会における議論と意識の共有が、取締役会の実効性評価に当たっての第一のステップとして重要なポイントとなります。

実効性評価として何を評価するのか

自社が目指すべき取締役会の在るべき姿や重視すべき取締役会の役割・責務が明確となった後には、コーポレートガバナンス・コード第4章で定められる取締役に関する各規律を踏まえて、自社における実効性評価の項目を検討することになります。

実務上よくみられる実効性評価の項目としては、例えば、以下のようなものが挙げられます。

分類評価項目の例
①取締役会の規模・構成・人数
・各取締役の知識・経験・専門性・ジェンダー・国際性等の観点からの多様性
・社外取締役の割合
②取締役会の運営・開催時期・開催頻度
・審議時間(重要な議題との審議時間の配分など)
・付議事項の内容・量
 →取締役会で審議すべき重要なテーマの付議の有無
 →経営方針・経営戦略にかかわる議題の付議の有無
 →付議事項が細かすぎないか
 →経営計画や投資計画の進捗状況報告の適時性
 →重要事項や経営計画の策定・見直しの付議タイミングや回数
・経営陣のプレゼンテーションの質
・各取締役(特に社外取締役)に対する審議事項に係る情報提供
 →資料の量・質(必要な情報の網羅性など)
 →取締役会資料の提供時期
・取締役会議長による活発な議論に向けた議事運営の適切性、雰囲気
・各取締役の発言の数・内容
・取締役会事務局の機能の有無
③株主・投資家との関係・対話の状況に関する取締役会へのフィードバックの有無
④取締役会での議論・主要なリスクの管理
・中長期的な競争状況・市場の動向
・外部環境の変化に応じた経営戦略・経営計画等
・IRの基本方針
・サクセッション・プラン
・ESG・SDGsへの取り組み

参考元|岩田宜子他「取締役会評価の現状と今後の課題」旬刊商事法務2262号42頁(2021年)、倉橋雄作「【連載】事務局担当者が変える 取締役会の運営 第2回 取締役会の実効性評価(上)」NBL1068号66頁以下(2016年)を参考に作成

実効性評価の項目については、毎年同じ項目を質問して定点観測をすることによって改善状況を確認することが重要です。

一方、前年の実効性評価の結果や企業を取り巻く環境・各社を巡る状況の変化に応じて、ある年に特に評価項目とすべき項目や、見直しを行うべき評価項目も存在します。

例えば、社外取締役を増員した会社においては、取締役会の構成の変化を踏まえて取締役会の付議事項の範囲や情報提供の時期・内容の見直しの状況を重点的な評価項目とすることが考えられます。

このように実効性評価の項目は一度決めればそれで終わりというものではなく、毎年毎年の見直しが必要であり、取締役会において検討・議論することが重要です。

実効性評価として何をすべきか

実効性評価の主体

コーポレートガバナンス・コードが求める取締役会の実効性評価は、「取締役会」が主体となって、「取締役会」の実効性を「自己評価」することがベースとなります。

もっとも、自己評価のみによる場合、自らの活動を甘く評価しているのではとの疑念をもたれる可能性も否定できません。

そこで、実効性評価の客観性・独立性を高めるために、第三者に評価の実施・支援(アンケート作成やインタビューの実施の委託など)を依頼する方法も考えられるところです。

しかしながら、あくまで取締役会の実効性評価の本質は自己評価です。
第三者が評価を実施・支援する場合であっても、「第三者が関与した自己評価」であるとの意識をもち、第三者の評価を受け止めて終わりとすることなく、取締役会の機能向上につなげるためのPDCAサイクルを回していくことが重要です。

実効性評価の方法

概要

コーポレートガバナンス・コードは、取締役会の実効性評価の具体的な方法について各社の合理的な判断に委ねていますが、最も主流な方法は個々の取締役や監査役に対するアンケートの実施です。

その他、個々の取締役や監査役にインタビューを実施する企業も1、2割程度みられるほか(CGSガイドライン25頁)、取締役会の直接観察や取締役会資料・議事録の閲覧などといった方法も考えられるところです。

アンケートの実施

最も主流な方法であるアンケートの実施については、以下のようなメリットが考えられます。

①回答者が答えやすく、回答時間を柔軟に確保できる
②同じ質問項目の反復により改善状況を確認することができる
③匿名性の確保により率直な意見を促すことができる

この点、毎年の取締役会を巡る状況や、前年の実効性評価の結果等に照らして、アンケート項目の見直しを進めることが重要であることは、「実効性評価の項目」においても説明したとおりです。

インタビューの実施

次に、インタビューの実施については、アンケートと異なって、実際のやりとりを通じて、対象者の意見を幅広く確認し、深掘りすることができるメリットが存在します。

もっとも、インタビューの実施は、同じ質問事項に関する回答状況・改善状況を統一的なフォーマットで確認し、定点観測することには適さない面がありますし、各取締役のインタビュー時間を確保することが困難な場合もあるかと思います。

評価方法の検討

そこで、各社においては、このような両者のメリット・デメリットや各社の状況を踏まえて、アンケートに加えてインタビューも補完的に実施するかといった具体的な実施方法を検討することが必要です。

実効性評価の実施方法や実施主体は毎年同じでなければいけないものではなく、年度ごとにメリハリをつけることも考えられます。

例えば、イギリスのコーポレートガバナンス・コードでは、FTSE350採用銘柄に対して少なくとも3年ごとに第三者からの評価を受けることを求めています。

この点を踏まえて、第三者機関によるインタビューを3年に一度行い、その他の年はアンケートの実施のみとし第三者機関を利用しない、といった評価方法を選択する企業もみられます。また、代表取締役社長が変更となる等の環境の変化があった年度についてのみ第三者機関を利用するといった方法も考えられるところです。

課題の分析と改善計画の検討・実施

アンケートやインタビューを実施した後には、主に取締役会事務局担当者が中心となって、回答内容をもとに取締役会の実効性に関する分析と評価を行い、報告書を作成することになります。

当該報告書の作成の過程では、社外取締役や任意の指名委員会の意見を聴取することや、第三者機関からの評価・分析・提言をもらうことも考えられます。

そして、取締役会においては、この報告書をベースに議論を行うことになります。

取締役会における議論で重要なのは、取締役会が実効的に機能しているかどうかに関する結論だけではなく、より良い取締役会とするための課題や改善策の抽出に関する検討です。

・取締役会の体制や運営についての課題は何か
・それらを翌年以降どのように改善していくべきか
・前年以前に抽出された課題は改善されているのか

といった点に焦点を当てて、取締役会の実効性評価がPDCAサイクルの「Check」を構成することを強く意識した議論を行い、その後の「Act」につなげていくことが重要です。

評価結果の開示

「取締役会の実効性『評価』とは」で説明したとおり、コーポレートガバナンス・コードは、①取締役会全体の実効性を評価することに加えて、②その結果の開示を行うことを求めています(補充原則4-11③)。

評価結果の開示の在り方に関しては、よくみられる典型的な開示の表現として、

「おおむね実効性があると評価されました。」

と結論のみを開示するケースがあります。

しかしながら、こういった開示内容に対する投資家からの評価は芳しくありません。なぜ「おおむね」と高い評価をされたのかといった評価過程が分からず、自社の取締役会に対する問題意識がうかがえないからです。

その他にも以下のように過去の実効性の評価をしているのみの表現も、将来の取り組みに向けた意識が見えてこないことから、同様に投資家からの評価は芳しくありません(岩田宜子他「取締役会評価の現状と今後の課題」旬刊商事法務2262号44頁(2021年))。

「…が確保されている。」「真摯・丁寧な説明がなされている。」
「当取締役会の実効性は適切に確保されていると判断しました。」

「 … 事項の整理をいたしました。」「 … の改善をいたしました。」
「アンケートの点数は前年度を上回る結果でした。」

繰り返しになりますが、取締役会の実効性評価は、過去の課題の進捗を評価するのみではなく、取締役会の課題を発見し、それを解決していくための仕組みです。将来に向けた課題への対応を評価していることが明らかになるような開示が期待されているのです。

その観点からは、例えば、以下のような項目を開示することが考えられます。

①評価方法
(アンケートかインタビューか/自己評価のみか第三者機関からの評価・支援があるのか)
②アンケート項目/インタビュー項目の具体的な内容
③前年度の実効性評価の結果として認識された課題への対応状況
④実効性評価の結果とその根拠
(「議論が活発」「監督機能が適切」「取締役会の構成が適切」など)
⑤実効性向上に向けた課題・今後の取り組み計画
(「企業戦略の議論」「監督・モニタリング」「社外役員に対する情報支援・共有体制」「ESG・SDGs」など)

金融庁が2018年6月1日付けで策定した「投資家と企業の対話ガイドライン」 3-7においても、以下のように、取締役会の実効性に関する結果のみならず、抽出された課題も含めた開示・説明が重要であることが示されています。

取締役会が求められる役割・責務を果たしているかなど、取締役会の実効性評価が適切に行われ、評価を通じて認識された課題を含め、その結果が分かりやすく開示・説明されているか。

このように開示される取締役会の実効性評価の結果は、投資家との建設的な対話をするための材料になるという観点で意義があるものです。

コーポレートガバナンス・コードで求められるのはコーポレート・ガバナンス報告書における評価「結果の概要」の開示のみであるものの、投資家との建設的な対話をするための材料となることを踏まえて、より具体的に踏み込んだ内容を、自社ウェブサイトや株主総会の招集通知(株主総会参考書類や事業報告等)、コーポレートガバナンス・ガイドラインといったさまざまな媒体で開示する企業も多くみられるところです。

取締役会「以外」の実効性評価

指名委員会・報酬委員会

冒頭で説明したとおり、コーポレートガバナンス・コードが求める実効性評価は「取締役会」を対象とするものですが、評価の対象を広げる事例も多くみられます。

例えば、指名委員会や報酬委員会を評価対象とすることはまず考えられるところです。
CGSガイドラインにおいても、指名委員会や報酬委員会が、社長・CEOら経営陣の指名・報酬等について実質的な監督機能を担うことを踏まえて、取締役会と各委員会が一体となって実効的に機能しているかについても、取締役会の実効性評価の一環として評価を行うことが有益であると指摘されています(CGSガイドライン25頁)。

取締役個人

さらに進んで、CGSガイドラインは、2022年7月19日付け改訂において、取締役個人を実効性評価の対象とし、年に一度評価と建設的なフィードバックを実施することは有益であると指摘しています(CGSガイドライン25頁)。

この点、投資家と企業の対話ガイドライン3-7においても、2021年6月11日付け改訂に当たって「取締役会の実効性確保の観点から、各取締役や法定・任意の委員会についての評価が適切に行われているか」との文言が新たに加えられており、評価の対象を任意の委員会や各取締役個人にも広げる動きが示唆されています。

社外取締役

社外取締役の選任それ自体が一般的となり、社外取締役の質の向上に焦点が移ってきている中、CGSガイドラインは、社外取締役を評価することにも以下のとおり言及しています(CGSガイドライン68頁)。

社外取締役の質の向上の観点から社外取締役が期待する役割を果たしているかについて、各社において評価することを検討すべきである。

当該記載自体は改訂前のCGSガイドラインから異なりませんが、2022年7月19日付け改訂において、新たに欧米企業の社外取締役経験者や有識者へのヒアリングを通じた先進的なプラクティスを踏まえた記載が拡充されています(CGSガイドライン68頁以下)。

特に評価の実施については、社外取締役である取締役会議長や指名委員長、筆頭独立社外取締役などが主導することが考えられるとされ、以下のような取り組み例が示されています。

・社外取締役による自己評価の実施(自らを振り返って行う自分自身に対する評価)
・社外取締役同士の相互評価(社外取締役である議長等による相互評価の聴取)
・取締役会の実効性評価の中で得られた取締役個人に係る情報を活用した評価
・株主等のステークホルダーによる評価が可能となるように、対外的に情報を発信する 等

他方で、社外取締役同士の相互評価はセンシティブなものであるため、実施する場合には書面アンケートによる評価ではなく、インタビュー等の直接的なコミュニケーションを交えた評価手法を用いることが望ましいとされています。

評価を通じて上下関係が生じることで、取締役会において率直な議論ができる関係を損ねないよう、配慮しつつ実施することも重要です。
また、評価結果の詳細全てを取締役会全体で共有はせず、結果の概要について、評価を主導した議長等が指名委員会の委員長と共有し、その結果を踏まえながら議論することが多いとされています。

情報発信に当たっても、評価結果の詳細を公表せず、評価をした事実やプロセスを中心とした開示となることが考えられるとされています。

おわりに

取締役会の現状を評価して、課題を把握する。課題を把握した後には、その課題の取り組み方針を検討し、改善に取り組む。そして翌年の取締役会実効性評価で、前年度の振り返りを行い、課題に対する取り組みの進捗を確認する。

取締役会の実効性評価は、このようにより良い取締役会とするために課題を分析し、改善のための行動計画を実行するという継続的な仕組みです。

毎年同じことをなし崩し的にやるのではなく、従来は見落とされていた課題などにしっかりと焦点を当てて、年度ごとに目的・テーマを明確にした上で、意義のある実効性評価を実施していくことで、取締役会構成員の意識の一体感が醸成され、各社のコーポレート・ガバナンスの姿も大きく変わっていく可能性があります。

他方で、これまでの取締役会の実効性評価の説明を見ると、やるべきことが多く感じられ、心理的ハードルが高いかもしれません。

しかしながら、本記事では先進的な企業として考えられる取り組みも説明しており、例えば、個々の取締役を評価対象とすることは、誰がどのような指標や方法で実効性を評価するかについて適切な設計をすることが非常に難しいものです。

各社においては、いきなり先進的な取り組みに飛びつくのではなく、まずは取締役会全体の実効性評価をPDCAサイクルの一環として軌道に乗せてから、毎年の見直しの過程で少しずつ新たな取り組みを検討していく、というステップを踏むことが現実的です。

取締役会の実効性評価について、単にコーポレートガバナンス・コードを遵守するための一項目と捉えるのではなく、コーポレート・ガバナンスの高度化につながる取り組みとして捉え、各社が積極的に取り組むことを期待しています。