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物流委託契約とは? 委託業務の例・アウトソースのメリット・ 規定すべき条項などを解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2022/06/15)
この記事のまとめ

物流委託契約とは、物流業務の依頼主(以下、荷主企業)が、物流業者に対して物流に関する業務(配送業務、入庫業務、返品回収業務など)を委託する契約です。

3PL契約(third-party logistics agreement)」とも呼ばれています。

荷主企業にとっては、物流をアウトソースすることで、
物流業者の運送網を活用でき、コスト削減につながる
自社の物流部門が抱える問題を、外部のノウハウで解決できる
などのメリットがあります。物流委託契約を締結する際には、自社のニーズに合った内容になるよう調整を行いましょう。

今回は物流委託契約について、委託業務の例・物流をアウトソースするメリット・規定すべき条項などを解説します。

ネット通販などが当たり前になり、物流委託契約を締結する場面も増加していますよね。
ジー
ムートン先生
そうですね。物流委託契約を締結する際は、外部の物流網を利用するメリットを最大限生かしつつ、自社のリスクは最小限に抑えておきたいところです。

物流委託契約(3PL契約)とは

「物流委託契約」とは、物流業務の依頼主(以下、荷主企業)が、物流業者に対して物流に関する業務(配送業務、入庫業務、返品回収業務など)を委託する契約です。「3PL契約(third-party logistics agreement)」とも呼ばれています。

「サードパーティー」と表現されているのは物流業者であり、商品製造・販売の主役を担う製造業者(ファーストパーティ)と小売業者(セカンドパーティ)に次ぐ「第三の担い手」という意味が込められています。

基本契約・個別契約の二段階制を採用することが多い

物流委託契約は、基本契約と個別契約の二段階制を採用するのが一般的です。つまり、最初に製造業者と物流業者が基本契約を締結して、その後の具体的な発注は個別契約によって行います。

基本契約の条件はすべての発注に適用されるため、詳細な取引条件を交渉することなく、機動的に個別の発注を行うことができる点が大きなメリットです。

物流委託契約は「請負」か「準委任」か

法的な観点からは、物流委託契約は民法上「請負」と「準委任」のどちらであるのかが問題になり得ます。

✅ 請負(民法632条)
→仕事の完成を目的とする契約です。物流委託契約の場合、配送完了をもって仕事が完成し、請負人(物流業者)の報酬請求権が発生します。

✅ 準委任(民法656条)
→法律行為でない事務の委託を目的とする契約です。請負とは異なり、受任者(物流業者)は仕事の完成義務を負いません。
したがって、配送が完了したかどうかにかかわらず報酬請求権が発生します(ただし配送できなかった場合、物流業者が債務不履行責任を負うことはあります)。

物流委託契約が請負と準委任のどちらであるかについては、契約内容によって解釈・判断されるため、一概には言えません。むしろ重要なのは、請負と準委任の違いそのものではなく、委託業務の内容や報酬請求権に関する事項を含めて、契約上のルールを疑義がないように定めておくことです。

準委任契約(委任契約)・請負契約の違いについては、以下の関連記事でより詳細に解説していますので、必要に応じてご参照ください。


物流委託契約によって委託される業務の例

物流委託契約では、単に荷物の配送だけでなく、以下に挙げるさまざまな業務が物流業者へ委託されます。どのような業務を物流業者に委託するかは、製造業者のニーズと物流業者の能力を照らし合わせて決めることになるでしょう。

✅ 梱包
→商品の輸送・保管のための梱包作業

✅ 流通加工
→組立て・詰め替え・包装・商品名の表示・検品・値札貼りなどの簡易的な加工

✅ 輸送
→商品の配送

✅ 保管
→商品在庫の一時的な倉庫保管

✅ 在庫管理
→在庫商品の量・鮮度などの管理

✅ 荷役
→荷物の積み下ろし・倉庫への搬入・倉庫からの搬出など

✅ 返品・回収
→荷主の顧客から返品された商品の回収輸送・保管

✅ 情報サービス
→商品・輸送・拠点運営の情報システムによる管理

✅ コンサルティング
→荷主の抱える物流課題の解決策提案・実行支援

✅ 輸出入サービス
→商品の輸出・輸入に関する事務処理

✅ 据付サービス
→納入先における商品の据付業務

✅ 求貨求車(庫)サービス
→荷物情報と倉庫や運送車両の情報のマッチング

✅ その他
→顧客からの受注代行、代金回収など

物流委託契約によって物流をアウトソースするメリット

製造業者が物流委託契約を締結し、物流業務を外部委託することには、主に以下のメリットがあります。

物流業者の広範・効率的な運送網を活用できる

物流業者は、物流を専門的に取り扱っているため、すでに広範かつ効率的な運送網を抱えています。

製造業者にとっては、物流業者の運送網を活用することで、広域かつ低コストで自社製品を供給できる点が大きなメリットです。

自社で物流部門を抱えるための初期投資を削減できる

自社内部に物流部門を抱えれば、長期的な物流コストは抑えられるかもしれませんが、膨大な初期投資が必要になります。

物流委託契約を締結すれば、既存の物流網を活用することにより、物流部門の整備にかかる初期投資を削減できます。

本職の製造業務に注力できる

物流業務をアウトソースすることで、製造業者は物流部門に人員を大きく割く必要がなくなります。

その結果、自社の得意な製造・開発業務に注力できるため、会社全体の生産性向上に繋がる可能性があります。

物流上のミスの責任を物流業者に転嫁できる

物流業務を自社で担当する場合、その過程で生じたミスの責任は、すべて自社が負わなければなりません。

これに対して、物流委託契約を締結していれば、物流の過程で生じたミスの責任を、損害賠償請求等によって物流業者に転嫁できる可能性があります。製造業者にとっては、物流上のミスによるリスクを分散・軽減できる点がメリットです。


物流委託契約を締結する際の注意点

物流委託契約を締結する際には、契約上のトラブルをできる限り回避するため、以下の各点にご注意ください。

業務内容を複雑にし過ぎない

物流業者に委託する業務の内容は、手順を明確にしてわかりやすく記載することが望ましいです。

委託業務の内容・工程が複雑だと、実際の作業過程でミスやトラブルが生じる可能性も高くなります。契約締結の段階で、業務フローをきちんと整理しておくことが大切です。

情報漏洩のリスクに注意する

製造業者と物流業者は、それぞれが保有するノウハウや製品情報などの営業秘密をやり取りします。これらの営業秘密の流出を防止するため、情報漏洩対策を十分に講じておくことが大切です。

具体的には、自社で利用している情報システムのセキュリティを強化し、従業員研修によって情報管理の重要性を徹底的にインプットしましょう。また、相手方との間で秘密保持契約を締結し、さらに物流委託契約の中でも秘密保持規定をきちんと定めておくことが重要になります。

物流に関する責任の所在を明確化する

物流の過程では、一定の確率でミスが生じることは避けられません。そのため、ミスにより生じた損害を製造業者と物流業者のどちらが負担するのか、明確に定めておくことが大切です。

後述する損害賠償規定などを通じて、できる限り疑義のない形で損害の分担を定めましょう。


物流委託契約に定めるべき主な条項

物流委託契約では、主に以下に挙げる条項を規定します。自社にとって不当に不利益な条項が含まれていないか、契約締結前の段階できちんと確認しましょう。

委託業務の範囲

物流業者に委託する業務の範囲を明記します。具体的には、以下の事項を明確に定めておくことが大切です。

✅ 委託する業務の内容
✅ 委託しない業務の内容(特に除外したい業務がある場合に記載する)
✅ 条件付きで委託する業務については、その条件
など

委託業務の運営方法

「委託業務の範囲」で明示された業務につき、その運営(遂行)に関するフローを細かく具体的に記載します。

実際の業務状況に応じて改定すべき場合も想定されるため、改定手続についても定めておきましょう(当事者の協議・書面合意など)。

秘密保持

営業秘密などの流出を防止するため、以下の秘密保持に関する事項を定めておきましょう。

✅ 秘密情報の定義
✅ 第三者に対する秘密情報の開示・漏洩等を原則禁止する旨
✅ 第三者に対する開示を例外的に認める場合の要件
✅ 秘密情報の目的外利用の禁止
✅ 契約終了時の秘密情報の破棄・返還
✅ 秘密情報の漏洩等が発生した際の対応
など

事故発生時の報告等

物流の過程でミスが発生した場合、製造業者と物流業者が連携して対応に当たる必要があります。そのため、事故発生時の報告等に関する事項として、以下の内容を定めておきましょう。

✅ 報告対象となる「事故」の定義(荷物の毀損・汚損・紛失、配送遅延、配送不能など)
✅ 物流業者の事故報告義務・報告の方法
✅ 当事者間で連絡が取れない場合の対応
など

損害賠償

物流業者の配送ミスや、製造業者の発注ミスなどにより、当事者に損害が生じるケースも想定されるため、損害賠償のルールを定めておきましょう。具体的には、以下の事項を定めることが考えられます。

✅ 損害賠償の範囲(故意・過失、通常損害・特別損害など)
✅ 損害賠償額の算定方法
✅ 損害賠償の限度額
✅ 損害賠償請求の期限
✅ 不可抗力免責
など

損害保険の付保

物流事故による損害をカバーするため、損害保険を付保するのが一般的となっています。損害保険の付保については、以下の事項を定めておきましょう。

✅ 付保すべき者(製造業者or物流業者)
✅ 付保内容(対人・対物、限度額など)
✅ 付保証明の方法(保険証券の写しの交付など)
✅ 保険契約を変更・解約する際の手続
など

委託報酬に関する事項

製造業者が運送業者に支払う委託報酬については、精算に関するトラブルを防止するため、以下の事項を明確に定めておきましょう。

✅ 委託報酬の金額、計算方法
✅ 委託報酬の請求方法(請求書の発行締め日など)
✅ 委託報酬の支払方法(銀行振込など)
など

契約期間

物流業者に業務を委託する契約期間を定めておきます。

物流業者としては、製造業者毎に個別の投資(倉庫・設備・情報システムなど)を行う関係で、投資回収に時間がかかるケースもあります。そのため、契約期間は十分長く設定することが望ましいですが、製造業者側との交渉事項です。

なお、契約期間満了前の一定期間に解約申入れがない場合、自動更新される旨を定めるケースもあります。

中途解約に関する事項

いずれかの当事者の都合による中途解約を認める場合、中途解約に関するルールを定めます。具体的には、以下の事項を定めておきましょう。

✅ 中途解約の申入れ期間(解約日の●週間前まで、など)
✅ 中途解約時の違約金の精算
✅ 契約期間中に発生した資産の権利帰属(建物、設備、ソフトウェアなど)
など

契約解除の要件

いずれかの当事者の責任により、物流委託契約に基づく取引の続行が困難になった場合に備えて、契約解除の要件を定めておきましょう。物流委託契約の契約解除要件としては、以下の例が挙げられます。

✅ 契約違反が催告から一定期間を経ても是正されない場合
✅ 重大な契約違反が発生した場合
✅ 監督官庁から営業停止処分などを受けた場合
✅ 当事者について倒産手続が開始した場合
✅ 当事者について民事保全処分又は強制執行が行われた場合
✅ 当事者が解散した場合
✅ 当事者の信用状況が著しく悪化した場合
など

再委託の可否・範囲

物流業者は、物流に関連する各種業務を、下請事業者に再委託するのが一般的です。そのため物流委託契約では、再委託に関して以下の内容を定めておきます。

✅ 再委託できる業務の範囲
✅ 再委託先の指定(もしあれば)
✅ 再委託の故意・過失により発生した損害の負担について
など

価格情報の取扱い

物流業務の過程で、商品に関する価格情報(原価・中間マージンなど)を物流業者が知り得るケースがあります。

価格情報は製造業者の事業の根幹に関わるため、秘密保持の規定とは別に取扱いを定めておくのが一案です。具体的には、以下の事項を定めることが考えられます。

✅ 価格情報の定義
✅ 価格情報を開示できる相手の範囲
✅ 価格情報の流出を防止する措置
✅ 秘密保持義務に違反した場合の措置
など

荷主の協力義務

物流業務を円滑に行うため、荷主である製造業者の協力義務を規定するケースがあります。荷主の協力義務の対象となる事項の例は、以下のとおりです。

✅ 物流目標・施策・拠点の閉鎖や移転などに関する方針の提示
✅ 商品・荷姿・届け先情報などの提示
✅ 物流に関する業務改善の推進
✅ 物流業者が必要とする情報の開示請求方法の提示
など

改善効果の評価項目・管理指標

物流業務の総合的な改善を目指す場合には、現状のオペレーションのモニタリングや、検証の仕組みを整備しておくことも大切です。たとえば、以下の事項を物流委託契約で定めることが考えられます。

✅ 評価項目
✅ 管理指標(コスト削減、輸送品質、保管品質、物流品質、取引制度など)
✅ 評価方法
✅ 評価の報告
✅ 管理指標の見直し
✅ 評価の期間
✅ 評価結果の是正方法
✅ 評価未達の場合の対応
など

利益配分

物流業務の改善によって得られた経済効果は、製造業者と物流業者で適切に配分することが望ましいです。

前述の評価項目・管理指標による評価の結果を、委託報酬の増減等によって反映することが考えられます。

反社会的勢力の排除

コンプライアンスの観点から暴力団などとの取引を防ぐため、反社会的勢力の排除に関する条項(反社条項)を定める例もよく見られます。反社条項の内容としては、以下の事項を定めるのが一般的です。

✅ 当事者(役員等を含む。以下同じ)が暴力団員等に該当しないことの表明・保証
✅ 暴力的な言動等をしないことの表明・保証
✅ 相手方が反社条項に違反した場合、直ちに契約を無催告解除できる旨
✅ 反社条項違反を理由に契約を解除された当事者は、相手方に対して損害賠償等を請求できない旨
✅ 反社条項違反を理由に契約を解除した当事者は、相手方に対して損害全額の賠償を請求できる旨

合意管轄・準拠法

製造業者と物流業者の間で契約トラブルが発生した場合に備えて、第一審の合意管轄裁判所を定めておくとよいでしょう。

また、製造業者と物流業者のいずれかが海外企業の場合は、契約解釈の準拠法も定めておきます。


この記事のまとめ

物流委託契約の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!



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