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【著作権法改正(2020年10月施行)に対応】 著作権ライセンス契約の レビューポイントを解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2020/09/18(公開:2020/09/11)
この記事のまとめ

改正著作権法(2020年10月1日施行)に対応した契約のレビューポイントを解説!!

改正著作権法(2020年10月1日施行)では、 ①リーチサイト対策、②写り込みにかかる権利制限規定の対象範囲の拡大、③著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入 という点が見直されました。 著作権法の改正に伴い、著作権に関する契約のレビューを見直してみましょう。著作権法について知識がない方も、この記事を読めば、すぐに契約書レビューに実践できます!

見直すポイントは、2つです。それぞれのポイントを分かりやすく解説します。

ポイント1

著作権ライセンス契約のライセンサーは、「第三者にライセンス契約の存在を対抗する」という条項が不要になる

ポイント2

著作権譲渡契約の譲受人は、ライセンス契約を締結していない旨の表明保証を追加すべき

著作権法の改正点について、もっと詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

新旧対照表のダウンロードはこちらから

 【2020年10月施行】著作権法の新旧対照表 (解説つき)

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 著作権法…2020年10月施行後の著作権法(昭和45年法律第48号)
  • 旧著作権法……2020年10月施行前の著作権法(昭和45年法律第48号)
先生、今回の著作権法改正をふまえて、契約レビューに影響がある点はありますか?
ムートン先生
「著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入」という改正点は、契約レビューにも少し関係がありますよ。この機会に見直してみましょう!

著作権とは?

著作権とは、 著作者が、自分が創作した著作物について有する権利です(著作権法17条)。簡単に言うと、小説、音楽などを創作した人が、その創作物の利用を独占できる権利といえます。 「その著作物を利用したい人に対して、利用の許諾を与えることができる権利」ともいえます。

著作者とは、「著作物を創作する者」をいいます(著作権法2条1項2号)。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文系、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(同法2条1項1号)。 具体的には、小説、論文、音楽、絵画、建築、映画、写真、プログラムなどがあります。

著作者は、著作物を創作すれば、直ちに著作権を取得することができます。特許権や商標権などと異なり、出願・登録などの手続きを行う必要はありません(同法17条2項)。

著作権は、著作権(財産権)と、著作者人格権、からなる権利です。
著作権(財産権)には、複製権、上映権、公衆送信権などの権利があります(同法21条~28条)。
著作者人格権には、公表権、氏名表示件、同一性保持権があります(同法18条1項、19条1項、20条1項)。
著作権とは、これらの複数の権利の束のようなイメージです。

著作権に関する契約とは?

著作権を第三者へ譲渡するとき、または著作権の利用を第三者へ許諾する(ライセンスする)ときなどは、契約を締結することになります。

契約は、当事者間の合意があれば成立するので、必ずしも契約書を作成する必要はありません。ですが、対象となる著作権の範囲などの契約条件を明確にして、争いを防ぐために、契約書を作成することが重要です。

また、著作権譲渡契約、著作権ライセンス契約のほかにも、業務委託契約や売買契約において、業務の過程で発生した著作物、または売買の目的物である著作物について著作権の帰属に関する定めが置かれることがあります。

著作権ライセンス契約とは?

著作権ライセンス契約とは、著作権者が、第三者に対して著作物の利用を許諾する契約です。

著作権者は、複製権、公衆送信権などを専有しており、著作物を利用する権利を独占できますが、第三者に対して、利用を許諾することができます(著作権法63条)。

著作権者をライセンサー、利用の許諾を受けた第三者をライセンシーと呼びます。
ライセンシーは、利用の許諾を受ける対価として、利用料(ロイヤリティ)を支払うのが通常です。

著作権譲渡契約とは?

著作権譲渡契約とは、著作権者が、第三者に対して著作権を譲渡する契約です。

著作権は、その全部または一部を譲渡することができます(著作権法61条1項)。
ただし、著作者人格権は譲渡することができません(同法59条)。

著作権法改正(2020年10月施行)で気を付けるべき、契約レビューのポイント

それでは、今回の改正をふまえて、気を付けるべきレビューポイントを解説します。

改正により、気を付けるべき契約書レビューポイント(2つ) 重要度

ポイント1

著作権ライセンス契約における契約上の地位の移転条項


(自社に有利にするための対応)

ポイント2

著作権譲渡契約における、「ライセンス契約を締結していない」旨の表明保証条項


(自社に有利にするための対応)

※重要度について

  • 高(対応必須)…気を付けないと、法令違反となるおそれがあります。
  • 中(自社に有利にするための対応)…気を付けなくても法令違反となるおそれはありません。自社に有利な契約内容とするために理解しておくとよいものです。
  • 低(確認的規定)とは?…改正された法令の定めを、契約でも確認的に定めるものです。定めなくても法令違反となるおそれはなく、法令の規定が適用されます。契約で定めることにより、改正された法令に違反しないための注意喚起となります。

ポイント1│著作権ライセンス契約における契約上の地位の移転条項

ライセンサーの立場でレビューする場合

これまで、著作物ライセンス契約におけるライセンシーは、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合、その譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができませんでした。
つまり、著作権が第三者へ譲渡された場合、ライセンシーは著作物の利用を継続することができませんでした。

しかし、それではライセンシーの不利益が大きいということで、今回の改正によって、「著作権者などから許諾を受けて著作物などを利用する権利について、その著作権などを譲り受けた者その他第三者に当然対抗できる」ようになりました。

つまり、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合でも、譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができるようになりました。

これは、元々、特許法、実用新案法、意匠法では、当然対抗できるという制度が導入されており(特許法99条など)、それにならうものです。

ライセンサーとしては、著作権ライセンス契約の対象となっている著作権について、第三者へ著作権を譲渡する場合、 「著作権ライセンス契約が存在することを譲渡先へ説明する」、「ライセンス契約の存在がないことを表明保証しない」、といったことに気を付ける必要があります

なお、対抗制度については、施行日である2020年10月1日以前に締結されたライセンス契約のライセンシーも、2020年10月1日以後に著作権が譲渡された場合には、譲渡先に対抗できます(著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律、附則8条)。
つまり、改正前に生じていた著作権の利用権についても、施行日以後に、著作権などを取得した第三者に対しては対抗できます

ライセンシーの立場でレビューする場合

上述したように、これまで、著作物ライセンス契約におけるライセンシーは、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合、その譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができませんでした。
つまり、著作権が第三者へ譲渡された場合、ライセンシーは著作物の利用を継続することができませんでした。

そこで、ライセンシーとしては、例えば、以下のように契約で定める必要がありました。

これは、ライセンサーが本ソフトウェアに関連する著作権などを譲渡した場合、ライセンサーは譲渡先に本契約上のライセンサーの地位も移転する、と定めるものです。
この場合、具体的には、ライセンサー、ライセンシー、譲渡先の第三者、の三者間で、本契約上のライセンサーの地位が譲渡先に移転する旨を合意することになります(民法539条の2参照)。

記載例

(地位の譲渡禁止)
1. 本契約の当事者は、相手方の事前の書面による承諾なしに、本契約に基づく地位を移転し、又は本契約に基づく権利義務の全部若しくは一部について、第三者に譲渡若しくは継承させ、又は担保権を設定する等一切の処分をすることができない。
2. ライセンサーは、本ソフトウェアに関連する著作権等を第三者に譲渡する場合は、本契約上のライセンサーの地位も譲渡先に移転しなければならない。

著作権法改正によって、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合でも、譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができるようになったため、 このように契約で定める必要がなくなりました

ポイント2│著作権譲渡契約における、「ライセンス契約を締結していない」旨の表明保証条項

譲渡人の立場でレビューする場合

上述したように、改正によって、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合でも、譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができるようになりました。

ライセンサーとしては、第三者にライセンス契約が存在する著作権を譲渡した場合、ライセンシーが譲渡先である第三者に当然対抗できることによって、譲渡先である第三者から、責任を追及される可能性が高まります。

そこで、ライセンサーとしては、第三者へ著作権を譲渡する場合、 「著作権ライセンス契約が存在することを譲渡先へ説明する」、「著作権譲渡契約において、ライセンス契約の存在がないことを表明保証しない」、といったことに気を付ける必要があります

記載例

(不保証)
1. 譲渡人は、本件著作権を現状のままで譲渡するものとし、本件著作権に何らかの本契約の内容との不適合が存在しないことまでを保証するものではない。
2. 本契約締結後、本件著作権について本契約の内容との不適合の存在が明らかになった場合でも、第2条1項に基づいて支払われた譲渡代金は返還されないものとする。

譲受人の立場でレビューする場合

上述したように、これまで、著作物ライセンス契約におけるライセンシーは、ライセンサーが著作権を第三者に譲渡した場合、その譲渡先である第三者に、ライセンス契約の存在を対抗することができませんでした。
つまり、著作権が第三者へ譲渡された場合、ライセンシーは著作物の利用を継続することができませんでした。

そこで、著作権譲渡契約の譲受人としては、譲渡の対象となっている著作権について、譲渡人とライセンシーの間のライセンス契約の存在については、あまり気にする必要はありませんでした。
しかし、改正によって、ライセンサーが著作権を譲受人に譲渡した場合でも、ライセンシーは譲受人に、ライセンス契約の存在を対抗することができるようになりました。

そこで、譲受人としては、予期せずにライセンシーから権利を主張されることを防ぐために、 著作権譲渡契約において、譲渡人に、「ライセンス契約が存在しないこと」を表明保証させる必要があります

記載例

(表明保証)
譲渡人は、本件著作物の全ての著作権が譲渡人に単独で帰属し、いかなる第三者にも本件著作物の利用を許諾していないことを表明し保証する。

まとめ

改正著作権法(2020年10月1日施行)に対応した契約書のレビューポイントは以上です。
実際の業務でお役に立てていただけると嬉しいです。

参考文献

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