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限定提供データとは?

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2021/03/01 (公開:2021/02/25)
この記事のまとめ

限定提供データを解説!!

平成30年の不正競争防止法改正により「限定提供データ」の不正取得等が不正競争行為となりました。 これは、価値のあるデータのうち、一定の要件を満たしたデータを「限定提供データ」として保護しようとするものです。

この記事では、不正競争防止法の改正で導入された、限定提供データについて解説します。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 不競法…不正競争防止法(平成5年法律第47号)
「限定提供データ」という言葉は聞いたことがありますが、どんなデータなのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
例えば、法律情報を提供する企業が、判例データベースを提供する場合のデータベースが限定提供データにあたり得ますよ。 「限定提供データ」の定義等を確認してみましょう!

不正競争防止法とは?

不競法は、他人の技術開発、商品開発等の成果を冒用する行為等を不正競争として禁止しています。

具体的には、ブランドの表示の盗用、商品の形態模倣等とともに、営業秘密の不正取得・使用・ 開示行為等を規制しており、差止めや損害賠償の対象としています。

不正競争防止法については、以下の関連記事で解説しています。

また、不正競争防止法上の営業秘密については、以下の関連記事で解説しています。

限定提供データとは?

不競法上の「限定提供データ」とは、 業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、 及び管理されている技術上又は営業上の情報をいいます(不競法2条7項)。

具体的には、ビッグデータ等を念頭に、商品として広く提供されるデータや、コンソーシアム内で共有されるデータ等、事業者等が取引等を通じて第三者に提供する情報が該当します。

「限定提供データ」として法律による保護を受けるためには、 ①業として特定の者に提供する情報であること(限定提供性)②電磁的方法により相当量蓄積されていること(相当蓄積性)、及び ③電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)が必要になります。

また、保護の対象は④技術上又は営業上の情報に限られますが、 ⑤秘密管理性があるものは除かれます。

不競法の「限定提供データ」

①業として特定の者に提供する情報であること(限定提供性)
②電磁的方法により相当量蓄積されていること(相当蓄積性)
③電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)
④技術上または営業上の情報であること
⑤秘密管理性があるものは除く

以下、これらの要件を詳しく見ていきましょう。

業として特定の者に提供する情報であること(限定提供性)

限定提供性の要件のうち、「業として」とは、 反復継続的に提供している場合、又はまだ実際には提供していない場合であっても、 データ保有者の反復継続して提供する意思が認められる場合のことをいいます。

具体的には、データ保有者が繰り返しデータ提供を行っている場合が該当します。

また、同じく限定提供性の要件のうち、「特定の者」とは、一定の条件の下でデータ提供を受ける者を指します。

具体的には、会費を払えば誰でも提供を受けられるデータについて、会費を払って提供を受ける者が該当します。

電磁的方法により相当量蓄積されていること(相当蓄積性)

相当蓄積性の要件にいう「相当量」とは、 個々のデータの性質に照らし、社会通念上、電磁的方法により蓄積されることによって 価値を有する程度の量を指します。

その判断に当たっては、当該データが電磁的方法により蓄積されることで生み出される付加価値、利活用の可能性、取引価格、 収集・解析に当たって投じられた労力・時間・費用等が勘案されます。

相当蓄積性を満たすとされる具体例は以下のとおりです。

「相当蓄積性」を満たす具体例

✅携帯電話の位置情報を全国エリアで蓄積している事業者が、 特定エリア (例:霞ヶ関エリア)単位で抽出し販売している場合、その特定エリア分のデータについても、 電磁的方法により蓄積されていることによって取引上の価値を有していると考えられるデータ
✅自動車の走行履歴に基づいて作られるデータベースについて、実際は分割提供していない場合であっても、 電磁的方法により蓄積されることによって価値が生じている部分のデータ

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日発行)

電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)

電磁的管理性が認められるためには、「特定の者に対してのみ提供するものとして管理する」という保有者の意思を 第三者が認識できるようにされている必要があります。

これに該当する措置としては、データ保有者と、当該保有者から提供を受けた者(特定の者)以外の者がデータにアクセスできないようにする措置、 つまりID・パスワード、生体情報等によって、アクセスを制限する技術が施されていることが必要です。

技術上または営業上の情報であること

「技術上又は営業上の情報」には、利活用されている(又は利活用が期待される)情報が広く該当します。

具体的には、「技術上の情報」として、地図データ 、機械の稼働データ、AI技術を利用したソフトウェアの開発(学習)用のデータセット (学習用データセット)や当該学習から得られる学習済みモデル等の情報が該当します。

また、「営業上の情報」として、消費動向データ、市場調査データ等の情報が該当します。

秘密管理性があるものを除く

なお、不競法上の営業秘密の要件である「秘密として管理されている」(不競法2条6項)に該当し、秘密管理性が認められる情報は、 別途営業秘密としての保護を受けることから、限定提供データとしては保護されていません。


「営業秘密」は、事業者が秘密として管理する情報である一方、「限定提供データ」は、一定の条件を満たす特定の外部者に提供することを目的とする情報です。 両者の違いに着目して重複を避けることが、限定提供データから秘密管理性が認められる情報を除外する趣旨です。

不正競争防止法に違反する行為とは?

「限定提供データ」に関して、「不正競争」とされる行為はどのような行為なのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
不競法は、以下の図のとおり、限定提供データの取得・使用・開示行為のうち、 限定提供データ保有者の利益を直接的に侵害する行為等の悪質性の高い行為を、「不正競争」として規定しています。
pic72➀

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日)



以下では、限定提供データに関して「不正競争」の対象となる各類型について説明します。

限定提供データに関する不正競争行為に共通する要件

不競法2条1項11号から16号では、「限定提供データ」を「取得」、「使用」又は「開示」する行為のうち、「不正競争」となる行為が規定されています。

以下では、まず各類型に共通する「取得」、「使用」又は「開示」の意味を説明します。

「取得」とは?

「取得」とは、データを自己の管理下に置くことをいいます。

・データが記録されている媒体等を介して自己又は第三者がデータ自体を手に入れる行為
・データの映っているディスプレイを写真に撮る等、データが記録されている媒体等の移動を伴わない形で、データを自己又は第三者が手に入れる行為
が該当します。

「取得」の具体例は以下のとおりです。

限定提供データの「取得」の具体例

✅サーバや媒体に保存されているデータを自分のパソコンやUSBメモリにコピーする行為
✅データが記録された電子ファイルを添付したメールを他者に依頼して送付させ、受信する行為(当該ファイルにアクセス制限がかかっていないことが前提)
✅データを紙にプリントアウトする行為
✅データを開いたパソコンのディスプレイの写真やビデオを撮影する行為

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日発行)

「使用」とは?

「使用」とは、データを用いる行為をいいます。

データの作成、分析等に用いる行為が該当します。

「使用」の具体例は以下のとおりです。

限定提供データの「使用」の具体例

✅取得したデータを用いて研究・開発する行為
✅取得したデータを用いて物品を製造し、又は、プログラムを作成する行為
✅取得したデータをAI技術を利用したソフトウェアの開発に利用する行為
✅取得したデータを用いて営業活動を行う行為

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日発行)

「開示」とは?

「開示」とは、データを第三者が知ることができる状態に置くことをいいます。

「開示」の具体例は以下のとおりです。

限定提供データの「開示」の具体例

✅データを記録した媒体(紙媒体を含む)を第三者に手渡す行為
✅第三者がアクセス可能なホームページ上にデータを掲載する行為
✅データが記録された電子ファイルを第三者にメールで送付する行為
✅取得したエクセル形式のデータをPDFに変換して保存しているサーバにおいて、当該データへの第三者へのアクセス権を設定する行為

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日発行)

限定提供データの直接取得類型

次に、限定提供データの保有者から当該データを直接的に取得したケースにおいて、不正競争行為に該当する場合を説明します。

この場合に不正競争行為に該当するのは、以下の図の赤枠部分です。

pic72②

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日)



以下では、各類型について説明します。

不正の手段による限定提供データの取得・使用・開示

不競法は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(限定提供データ不正取得行為) 又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項11号)。

不競法2条1項11号

✅窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得
✅不正の手段により取得した限定提供データを使用
✅不正の手段により取得した限定提供データを開示

ここでいう「窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段」とは、窃盗、詐欺、強迫のほか、これらと同等の違法性を有すると判断される、 公序良俗に反する手段を用いる場合も含みます。
「窃取」、「詐欺」、「強迫」 は、不正の手段の例示として挙げたものです。

「不正の手段」に該当する具体例は以下のとおりです。

「不正の手段」に該当する具体例

✅データが保存されたUSBメモリを窃取する行為
✅データ保有者の施設に侵入して、データを紙にプリントアウトして、又 は、自らのUSBメモリにコピーして保存し、持ち去る行為
✅データ保有者にコンピュータ・ウイルスを送り付けて、同社管理の非公開のサーバに保存されているデータを抜き取る行為

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日発行)

限定提供データの提供を受けた者による、図利加害目的での使用・開示

不競法は、限定提供データを保有する事業者からその限定提供データを示された場合において、 不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で(図利加害目的)、 その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項14号)。

不競法2条1項14号

① 限定提供データを保有する事業者からデータを示された場合に、②不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で・・・
✅限定提供データを使用
✅限定提供データを開示
※使用についてはその限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。

「保有する事業者からその限定提供データを示された」とは、契約に従って限定提供データを受ける等不正取得以外の態様で保有者から取得する場合であることを意味します。

また、不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的のことを、一般に図利加害目的といいます。

図利加害目的は、限定提供データ保有者からライセンス契約や業務委託契約等に基づき正当に取得したデータを使用又は開示する行為について、 適正な行為を過度に萎縮させることのないよう、単なる契約違反を超えて「不正競争」に該当する場合を限定するための主観的要件です。

加えて、不正使用行為については、データの取得自体は正当に行われていることから、取得者の事業活動を委縮させないよう、 「その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。」という加重要件を付し、「不正競争」に該当する場合を限定しています。

限定提供データの転得者類型

次に、限定提供データの転得者が取得・使用・開示したケースにおいて、不正競争行為に該当する場合を説明します。

この場合に不正競争行為に該当するのは、以下の図の赤枠部分です。

pic72③

引用元│経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日)



以下では、各類型について説明します。

限定提供データの取得時悪意転得者による取得・使用・開示

不正の手段により限定提供データを取得した者からの転得

まず、不競法は、その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、 又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項12号)。

不競法2条1項12号

その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って(悪意)・・・
✅限定提供データを取得
✅限定提供データを使用
✅限定提供データを開示

「悪意」の対象となる「限定提供データ不正取得行為」とは、不競法2条1項11 号に規定する不正取得のことを指します。

また、「介在」とは、自らが取得する前のいずれかの時点で不正取得行為がなされたことを意味します。

正当に限定提供データを取得した者の、図利加害目的での開示による転得

次に、不競法は、その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為であること若しくはその限定提供データについて 限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、 若しくは開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項15号)。

不競法2条1項15号

その限定提供データについて、限定提供データ不正開示行為であること又は限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って(悪意)・・・
✅限定提供データを取得
✅限定提供データを使用
✅限定提供データを開示

「悪意」の対象となる「限定提供データ不正開示行為」とは、不競法第2条1項14 号に規定する、 不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的(図利加害目的)で、 限定提供データ保有者から示された限定提供データを開示する行為を指します。

限定提供データの取得時善意転得者による開示

不正の手段により限定提供データを取得した者からの転得

まず、不競法は、その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が 介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項13号)。

不競法2条1項13号

その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って(悪意)・・・
✅限定提供データを開示

不競法2条1項13号は、限定提供データの取得時に不正行為の介在等について知らなかった(善意)ケースにおいて、不正競争となる場合を定めるものです。

正当に限定提供データを取得した者の、図利加害目的での開示による転得

次に、不競法は、その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて 限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為を不正競争行為としています(不競法2条1項16号)。

不競法2条1項16号

その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて 限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って(悪意)・・・
✅限定提供データを開示

不競法2条1項16号も、不競法2条1項13号と同様、 「限定提供データ」の取得時に不正行為の介在等について知らなかった(善意)ケースにおいて、不正競争となる場合を定めるものです。

不競法2条1項13号、16号の適用除外

不競法は、データ保有者の被害拡大防止の要請と、取得時には善意であった者の保護とのバランスを考慮し、取得後に悪意に転じた転得者については、 拡散により保有者が甚大な損失を被るおそれがある開示行為に限定して「不正競争」としています。

悪意に転じた後の開示行為であっても、取得時において不正な行為の介在を知らずにデータを取得した転得者が不測の不利益を被り、 取引の安全が害されるのを避ける必要があります。

このため、善意でデータを取得した転得者の取引の安全を確保する観点から、取引によって「限定提供データ」を取得した者が、 その取引である契約等に基づき取得した権原の範囲内での開示行為については、不正競争とはしないとの適用除外を設けています(不競法19条1項8号イ)。

ここでいう「権原の範囲内」とは、限定提供データを取得した際の取引において定められた条件(開示の期間、目的、態様に関するもの)の範囲内という意味です。

オープンデータと同一の情報についての適用除外

これまで、限定提供データの要件や、限定提供データに関して不正競争となる行為についてみてきました。

不正競争に該当すると、差止めや損害賠償の対象となりますが、相手を特定・限定せずに無償で公衆に利用可能となっているデータは、 誰でも使うことができるものであるため、このようなデータと同一の「限定提供データ」を取得し、又はその取得したデータを使用し、 若しくは開示する行為については、限定提供データに関する規制は適用されません(不競法19条1項8号ロ)。

この適用除外について、簡単にポイントをみていきましょう。

オープンデータと同一の情報についての適用除外

① 無償で利用可能
② 公衆に利用可能
③ 不正競争の対象となる限定提供データとの同一性

まず、ここでいう「無償」とは、データの提供を受けるにあたり、金銭の支払いが必要ない(無料である)場合を指します。

また、「公衆に利用可能」とは、不特定かつ多数の者が、当該データにアクセスできることを指します。
例えば、誰でも自由にホームページ上に掲載された当該データにアクセスできる場合等がこれに該当します。

そして、「同一」とは、そのデータが「オープンなデータ」と実質的に同一であることを指します。
例えば、「オープンなデータ」の並びを単純かつ機械的に変更しただけの場合は、実質的に同一であると考えられます。

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