契約審査受付とは?
整備する重要性・効率化する方法などを
分かりやすく解説!

この記事のまとめ

契約審査受付」とは、法務部が取引を担当する所管部(営業部門・購買部門など)から、契約審査(契約書のレビュー)の依頼を受け付けることをいいます。

契約審査受付の主な目的は、その後の契約審査をスムーズかつ適切に進めること、および法務部内での業務負担を平準化・適正化することにあります。会社の規模・取引件数に合った方法を選択して、効率的に契約審査受付を行いましょう。

契約審査受付の段階では、法務部内または所管部・法務部間でのコミュニケーション不足によるトラブルが生じることがあります。その後の契約審査をスムーズに進めるためにも、初期段階に当たる契約審査受付において、適切な交通整理を行うことが大切です。

この記事では契約審査受付について、重要性・効率化の方法・よくある問題点と解決方法などを解説します。

次から次へと契約審査依頼が来て、案件の見落としをしてしまいそうです! どうしたらよいのでしょう?

落ち着いて、フローに沿って契約審査受付をしましょう。手順を整えることで、所管部にとっても、法務部にとっても、スムーズで効率的な契約審査を行うことができますよ。

※この記事は、2022年12月20日時点の法令等に基づいて作成されています。

契約審査受付とは

契約審査受付」とは、法務部が取引を担当する所管部(営業部門・購買部門など)から、契約審査契約書のレビュー)の依頼を受け付けることをいいます。

契約審査を受け付けた後、法務部は契約書のレビュー(チェック)を行い、所管部との調整を経て、相手方へコメントを返します。その後、何回かにわたってコメントのやり取りを経て、契約締結へと至ります。

契約審査受付フローの整備が重要である理由

契約審査受付は、契約審査の最初の段階に位置するプロセスです。その後の契約審査をスムーズかつ適切に進める観点から、契約審査受付は適切なフローによって行う必要があります

契約審査受付フローの整備が重要である主な理由は、以下のとおりです。

・契約業務全体を効率化するため
契約書作成・レビューの質を確保するため
・法務部内での業務負担を平準化・適正化するため

契約業務全体を効率化するため

契約審査受付で行うべきことの一つは、その後の契約審査を進める上での交通整理です。具体的には、契約審査の担当者を決めたり、契約で定めるべき事項について認識の共有を行ったりする必要があります。

契約審査の受付フローが定まっていないと、さまざまなルートから契約審査の依頼がなされてしまい、適切に交通整理を行うことができません。その結果、適切な審査担当者が割り当てられない、きちんとスケジュール管理が行われず審査が遅延するなどの弊害が生じる可能性があります。

契約審査受付の統一的なフローを整備しておけば、こうした事態を防ぎ、契約業務全体を効率化することにつながります。

契約書作成・レビューの質を確保するため

契約審査受付の段階では、契約審査に必要な情報を所管部からヒアリングする必要があります。

ヒアリングすべき情報は、契約の種類・内容ごとに異なります。ヒアリングすべき事項を、その都度すべて法務担当者の裁量で決めていると、契約書作成・レビューの質が安定しません。

契約審査受付のマニュアルを整備して、契約の種類・内容ごとにヒアリングすべき事項をあらかじめ整理しておけば、契約書作成・レビューの質の安定につながります

法務部内での業務負担を平準化・適正化するため

企業は日々さまざまな契約を締結するため、法務部として審査を受け付ける契約も多数に及びます。法務部員が複数人いれば、その間で分担して契約審査を行うことになります。

しかし、契約審査受付のフローが定まっていないと、一部の法務担当者に審査業務集中してしまい、法務部内における業務負担のバランスが崩れてしまいかねません。法務部内での業務負担を平準化・適正化し、審査の質とワークライフバランスを確保することも、契約審査受付の重要な役割です。

契約審査受付におけるよくある課題

契約審査受付の効率の悪さが問題となっている場合、多くのケースでは、以下の課題が解決されていません。各課題の解決状況を分析して、できる限り改善を図ることが大切です。

受付方法がばらばら
・審査に必要な情報・資料などが共有されない
・今回の案件と過去の案件の関連性が分からない
・法務部内で誰がどの程度案件を持っているかが分からない

受付方法がばらばら

契約審査受付を行うに当たって、もっとも基本的かつ重要な事項は、受付方法を統一することです。

契約審査の受付方法が決まっていないと、適性のある審査担当者を適切に割り当てることができません。また、法務部内で審査業務の負担が偏ってしまい、審査の質の低下やワークライフバランスの悪化につながるおそれもあります。

審査に必要な情報・資料などが共有されない

契約審査の目的は、契約によって想定される取引の内容を踏まえて、適切な条項が盛り込まれているかどうかチェックすることです。そのためには、どのような取引が想定されているのか、自社として懸念すべきポイントは何かなどにつき、必要な情報・資料を所管部から共有してもらわなければなりません。

所管部と法務部の間の情報共有は、契約審査受付の段階で行う必要があります。最初の段階で適切に情報共有が行われなければ、その後の契約審査を正しく進めることができないからです。

しかし、契約審査受付のフロー・マニュアル等が整備されていないと、所管部に対してヒアリングすべき事項に漏れが生じ、審査に必要な情報・資料などの共有を受けられない可能性があります。

とりあえず依頼してもらって、後から気になることが出てきたら聞いていく、というのはダメですか?

もちろん、後から所管部にヒアリングすることはできますが、二度手間はできるだけ避けるべきでしょう。

今回の案件と過去の案件の関連性が分からない

契約審査を行うに当たっては、過去に対応した案件と今回の案件の関連性にも留意しなければなりません。

例えば関連契約が存在する場合は、今回の契約との間で整合性を確保する必要があります。今回の案件と直接の関係がなくても、過去に同種の契約を締結している場合には、基本的には条項の内容・水準を揃えることが望ましいでしょう。

こうした事項を適切に検討・審査するためには、過去の案件が今回の案件とどのように関連しているか、所管部との間で情報共有を行うことが必要です。しかし、契約審査受付のフローが整備されていない場合、このような情報共有がなされず、過去の案件との関連性を見落としたまま契約審査が行われてしまう可能性があります。

法務部内で誰がどの程度案件を持っているかが分からない

法務部内における業務負担のバランスを取るため、各担当者の業務負担を考慮しながら適切に案件を割り当てることも、契約審査受付の重要な役割です。

しかし、契約審査受付のフローが適切に整備されていない会社では、多くの場合、法務部内における業務の状況が可視化されていません。
各法務担当者が、どのような案件をどの程度抱えているのかを速やかに把握できないと、契約審査受付の段階で適切な割り当てを行うことはできないでしょう。

契約審査受付を効率化する方法

契約審査受付を効率化するには、以下の各点に留意してフローを整備・改善しましょう。

・契約審査の受付方法・窓口を一本化する
・契約審査受付のフォーマットを作成・整備する
・システムなどを導入し、一元的に案件管理する
・契約審査受付フローを社内に周知浸透させる
会社の規模・取引件数に合った方法を選ぶことが重要

契約審査の受付方法・窓口を一本化する

経験や業務状況などを考慮して適切な担当者を割り当て、契約審査の質を安定させるためには、契約審査の受付方法・窓口を一本化することが重要です。

契約審査受付の方法としては、メールチャットツールを使用する方法のほか、独自の社内システムを構築することも考えられます。

メールを使用する場合

メールによって契約審査を受け付ける場合には、件名の付け方を統一する、本文に記載すべき事項をフォーマット化するなど、法務部側で管理しやすいような仕組みを整えましょう。

また、契約審査を受け付けるメールアドレスは、法務部全員が参照できるグループアドレスとすべきです。業務上の必要性から、個々の法務担当者に対して直接連絡をする場合にも、必ずグループアドレスをCcに加えてもらうようにしましょう。

チャットツールを使用する場合

インターネット上で提供されているチャットツールには、複数の従業員をグループ化できる仕組みが備わっているのが一般的です。

メールを活用する場合と同様、法務部全員が参照できるグループチャットにおいて、契約審査を統一的に受け付けるのがよいでしょう。

独自の社内システムを構築する場合

開発コストはかかりますが、独自の社内システムを構築して契約審査を受け付けることも考えられます。

情報共有すべき事項の入力フォームを設けることに加えて、その内容が自動的にデータベース管理されるようなシステムを構築すれば、契約審査業務の大幅な効率化につながるでしょう。契約を締結する頻度が非常に高い大規模な企業では、このようなシステムを導入することも有力な選択肢となります。

契約審査受付のフォーマットを作成・整備する

契約審査をスムーズに行うためには、契約審査受付の段階で必要な事項を漏らさずヒアリングする必要があります。そのためには、契約審査受付のフォーマットを整備しておくことが効果的です。

どの契約でも共通してヒアリングすべき項目の例

契約の内容・種類にかかわらず、以下の事項は共通してヒアリングする必要があります。

・取引の内容
・所管部が懸念しているポイント
・関連契約があるかどうか
・過去に同種の契約を締結しているかどうか
など

契約類型ごとにヒアリングすべき項目の例

さらに、契約の種類・内容に応じて必要な事項についても、併せてヒアリングしておきましょう。

以下は契約ごとにヒアリングすべき事項の一例で、契約審査受付のフォーマットを整備する際には必ず盛り込むべきです。ただしこれらに限らず、取引に応じて個別に懸念される事項については、備考などとしてできる限り記載してもらう形でフォーマットを整備しましょう。

<NDA(秘密保持契約)>
・やりとりする秘密情報の内容
・関連会社への開示の可否
など

<売買契約>
・売買の目的物
・代金とその支払方法
・契約締結日と実行日
・契約不適合責任の有無、内容
など

<業務委託契約>
・委託業務の内容
・報酬とその支払方法
・契約期間
など

システムなどを導入し、一元的に案件を管理する

契約審査全体を効率化するに当たっては、審査状況を一元的に管理するシステムなどを導入することも考えられます。

各担当者による審査の担当状況や、審査の進捗状況などを登録できるシステムを導入すれば、所管部は審査のスケジュールについて目安を知ることができます。また法務部としても、各担当者の業務負担のバランスを取ることにつながるでしょう。

また、システム上で過去の契約を検索できれば、今回の案件と過去の案件の整合性を確保することが容易になります。

契約審査受付フローを社内に周知・浸透させる

契約審査受付のフローを整備・一元化しても、それを無視して五月雨式に契約審査の依頼が行われるようでは意味がありません。契約審査受付のフローを効果的に機能させるためには、その内容を十分に社内へ周知・浸透させる必要があります。

例えば広報部などと連携して、契約審査受付のフローが整備されたことを周知してもらうのがよいでしょう。また、契約審査に関する社内研修を実施して、審査受付のフローについて講義を行うことも考えられます。

会社の規模・取引件数に合った方法を選ぶことが重要

契約審査受付のフローをどのように整備すべきであるかは、会社の規模や取引件数によっても異なります。

小規模で取引件数がそれほど多くない会社の場合は、コストをかけて契約審査受付のフローを整備するメリットは大きくありません。そのため、メールやチャットツールなどの汎用的な業務効率化ツールや、会社規模に応じたSaaSなどを活用して、できる範囲でフローの効率化に努めましょう。

これに対して、大規模で取引件数が多い会社の場合は、契約審査受付に関するシステムの導入なども検討すべきです。自社の状況を鑑みて、どのような方法によって契約審査受付のフローを整備するかについてご検討ください。

この記事のまとめ

契約審査受付の記事は以上です。 最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!