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基本契約と個別契約の違いとは? 基本を解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2022/05/20 (公開:2021/07/16)
この記事のまとめ

基本契約と個別契約の違いを分かりやすく解説!

「売買契約」や「業務委託契約」を締結する際、実務の便宜上、取引基本契約を締結することがあります。この場合、個別の取引が発生する時には別途個別契約を締結することになります。

この記事では、基本契約と個別契約それぞれに何が定められるのかを整理し、両者の違いを解説します。

物品の売買取引などでは、基本契約と個別契約があることが多いですが、その違いがいまいちよく分かっていません。
ヒツジ
ムートン先生
基本契約は、企業間で継続的に取引を行うときに締結されることが多いですね。基本契約が、個々の取引にまとめて適用されることになりますよ。

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基本契約とは

基本契約とは、特定の取引先と継続的に取引が行われる場合に、すべての取引に共通する基本的な事項を定める契約をいいます。売買契約、業務委託契約などでよく活用されています。

継続的な取引では、取引ごとに毎回契約条件を交渉し、合意して取引することは煩雑ですので、どの取引にも共通して適用される基本契約を作成すると便利です。

基本契約は、こうした共通の基本的な条件を定め、取引をより迅速・円滑に進めるために作成します。

個別契約とは

個別契約とは、個々の取引に際して締結される契約のことをいいます。 個別契約では、実際の個別の取引について具体的な内容を定めます。例えば、売買なら、品物の種類や数量、価格などが個別契約で定められます。

基本契約と個別契約の違い

基本契約と個別契約で定められる事項

基本契約と個別契約には、それぞれどんなことが定められるのでしょうか。
典型的な取引基本契約である「売買取引基本契約」と、これに基づいて作成される個別契約を中心にして、詳しく説明します。

取引基本契約で定められる事項

取引基本契約では通常、各個別契約に共通して適用される事項を定めます。

売買に関する取引基本契約書に記載される事項には以下のようなものがあります。

売買基本契約書に記載する事項の例

・契約の目的
・基本契約の適用範囲
・個別契約・基本契約間の関係
・代金
・検査
・納品・引渡し
・危険負担
・契約不適合責任
・製造物責任
・知的財産権の帰属
・第三者の権利侵害 など

これらの売買の基本的な条項に加えて、秘密保持、契約の解除、損害賠償、不可抗力条項、反社排除条項、存続条項、合意管轄、準拠法といった契約の一般的な条項を定めます。

基本契約が、個別契約に適用される旨を明示し(基本契約の適用範囲)、個別契約に定める事項については、「別途個別契約に定める。」と記載します。

そのほか、個別契約と、基本契約の内容が矛盾し、どちらを適用したらよいかわからない状態にならないよう、内容が矛盾した場合にどちらが優先するか(個別契約・基本契約間の関係)を基本契約に定めるのが望ましいです。

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「売買取引基本契約(中立)」

個別契約で定められる事項

個別契約では、 基本契約において定めていない事項で、個々の取引上確認が必要な事項を定めます。

例えば、基本契約に定めにくい、取引の具体的な数量価格などについて定めるほか、個々の取引に応じた禁止事項などを定めます。

個別契約には、原契約である取引基本契約に基づいた個別契約である旨を明記することが必要です。

具体的には、「売主と買主の間で、20YY年MM月DD日付で締結された売買取引基本契約に基づき・・・」といった記載をすることになります。この記載がないと、基本契約と個別契約の関係が不明確となってしまいます。

売買に関する個別契約書に記載される事項には以下のようなものがあります。

個別契約書に記載する事項の例

・目的物の詳細
・数量
・代金
・目的物の引渡しの時期・方法
・代金の支払時期・方法

また、注文書・注文請書の形式による個別契約書の例は以下の通りです。

実務上は、継続的売買の場合は買主側が注文書で発注し、売主側からの納品があることで事後的に受注者である売主側が注文を受注し、売買契約が成立したとみなされることもあります。

しかし、発注者側にとっては、注文請書などの書面を発行してもらい、受注を確約する方が安全です。

その際、文書のタイトルは「注文書」にし、中身には「注文をお受けします」といった「受注」を約束させる文言を追加することが安全です。

基本契約と個別契約の関係

基本契約と個別契約のどちらが優先するかは、契約の定めがあればそれに従います。

これに対して、優先劣後関係に関する契約の定めがなければ、後から締結される個別契約が優先すると解するのが一般的です。しかし、当事者間で契約の解釈が分かれるケースも生じ得るため、どちらが優先するかを契約上明記しておきましょう。

基本契約を優先させる場合と個別契約を優先させる場合には、それぞれメリット・デメリットが存在するため、状況に応じて適切な方を選択してください。

基本契約を優先させるメリット・デメリット

基本契約を優先させるメリットは、取引全体でのルールの統一性を確保しやすい点です。

個別契約による発注内容について、基本契約とは矛盾する内容を気づかずに記載してしまった場合でも、原則として基本契約が優先するため、取引ルールの統一性が保たれます。経営者主導のトップダウンで取引を管理したい場合などには、基本契約優先の方針をとることも考えられるでしょう。

その反面、基本契約とは違うルールを意図的に適用したい場合には、個別契約の条文を作成する際に慎重な配慮が求められます。

個別契約において、特に注釈なく基本契約と矛盾する内容を定めてしまうと、基本契約優先の原則によって個別契約の条文が無効になり、取引当事者が想定しない事態が発生してしまうおそれがあります。このように、取引当事者の意図しない形で個別契約の内容が修正されるリスクが、基本契約優先のデメリットと言えるでしょう。

あえて個別契約を基本契約に優先させたい場合には、「契約優先の原則にかかわらず」当該個別契約の条文が適用されることを、きちんと明記しておくことが大切です。現場担当者の判断だけで個別契約の条文を作成してしまうと、上記の取扱いとの関係でトラブルを生じるリスクが高まってしまいます。そのため、法務部などが関与して個別契約のリーガルチェックを慎重に行うことが大切です。

個別契約を優先させるメリット・デメリット

個別契約を優先させるメリットは、取引の実情に応じて柔軟にルールを変更しやすい点です。

個別契約で基本契約と異なる内容を定めれば、特に注釈を付さずとも個別契約の内容が優先され、当事者間の新たな合意が取引に反映されます。そのため、基本契約優先の場合に比べると、個別契約の条文が無効になるリスクは低く、個別契約をチェックする際の工数やコストも省ける傾向にあります。現場担当者主導で取引を進めたい場合は、個別契約優先の方針をとることが有力でしょう。

その反面、何でもかんでも個別契約で自由にルールを決めて良いことにすると、基本契約が形骸化し、取引全体のルールの統一性を確保できなくなる点がデメリットと言えます。個々の発注ごとに適用されるルールが違う場合、当事者双方にとって取引の管理が煩雑になってしまいます。

上記の個別契約優先のデメリットをカバーするには、契約締結・管理に関する取扱いをマニュアル化することが考えられます。マニュアル等によって、基本契約の重要部分の変更を禁止し、取引担当者の権限の範囲を限定すれば、ある程度取引ルールの統一性を確保することができるでしょう。

2020年の民法改正による基本契約書への影響

基本契約書のひな形を作成している場合、法改正の内容をひな形に随時反映する必要があります。

最近では2020年4月1日に改正民法(以下、2020年民法改正)が施行され、契約実務に大きな影響を与えました。基本契約書は、「危険負担」や「瑕疵担保責任(現行民法では契約不適合責任)」などに関する改正の影響を受ける場合がありますので、必要に応じてひな形の改訂を行いましょう。

危険負担

「危険負担」とは、当事者のどちらにも責めに帰すべき事由がなく、契約の履行が不能となった場合に、どちらが損失を負担するかを決めるための考え方・ルールを意味します。2020年民法改正では、特定物の引渡し債務の危険負担について、「債権者主義」から「債務者主義」へとルールが転換された点が重要です。

債権者主義では、当事者の責任によらず特定物の引渡しが不能となった場合でも、引渡しを受ける権利を持っていた側(買主等=債権者)は、相手方(売主等=債務者)に対して代金を支払わなければなりません。
これに対して債務者主義では、当事者の責任によらず特定物の引渡しが不能となった場合、買主等は売主等に対して代金を支払う義務を免れます。

2020年民法改正により、特定物の引渡し債務についても債務者主義が採用されました(民法536条1項)。したがって、売買契約や業務委託契約等において、目的物が特定された後で引渡しが不能となった場合、今後は代金請求権が消滅することになります。

なお、契約書で別段の定めをすれば、民法の原則(債務者主義)とは異なる危険負担のルールを採用することが可能です。債務者主義では不都合がある場合には、基本契約書のひな形に、危険負担に関する特約を規定しておきましょう。

瑕疵担保責任

2020年民法改正では、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められた点も大きな変更ポイントです。

瑕疵担保責任と契約不適合責任は、いずれも契約の目的物に欠陥等がある場合に、売主等が買主等に対して負担する法的責任を意味します。従来、瑕疵担保責任が発生するのは、目的物に「隠れた瑕疵」がある場合と抽象的に表現されており、「隠れた瑕疵」の意義は判例法理によって補完されていました。

しかし2020年民法改正により、契約不適合責任が発生するのは「目的物が種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない」場合であると明記されました(民法562条1項)。したがって今後は、基本契約又は個別契約において、目的物の種類・品質・数量をできる限り具体的に特定することが重要になります。

また、買主等が売主等の責任を追及する方法として、従来の損害賠償請求・契約解除に加え、新たに履行の追完請求(修補請求)と代金減額請求が追加されました(民法562条、563条)。自社が売主等・買主等のどちらの立場かにもよりますが、責任追及方法の選択肢が増えたことも踏まえたうえで、契約不適合責任に関する規定が自社にとって不利な状況を生まないかを再検討する必要があります。

2020年民法改正前に作成した基本契約書のひな形を使っている場合、旧民法の瑕疵担保責任を前提とした条文の規定ぶりになっていると思いますので、未対応の場合には早急に見直しを行いましょう。

この記事のまとめ

ここまで基本契約と個別契約について紹介してきました。ポイントをまとめると、次の通りです。

・ 基本契約は継続的取引における共通の条件を定め、すべての個別取引に対して適用される
・個別契約は個々の取引の具体的な条件や、個々の取引に応じた特則を定める
・個別契約は、様々な形式で締結される
・個別契約と基本契約の内容に矛盾が生じることがあるので、双方の優先関係を定めておくのが望ましい

参考文献

この記事を書いた人

柄澤 愛子

株式会社LegalForce 法務開発

慶應義塾大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。都内法律事務所、特許庁審判部(審・判決調査員)を経て、2019年から現職。社内で法務開発等の業務を担当する。LegalForceのウェブメディア「契約ウォッチ」の企画・執筆にも携わる。

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