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反社チェックとは? 基本と実施方法を解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2021/09/10 (公開:2021/08/18)
この記事のまとめ

企業に強く求められる、反社会的勢力との関係遮断。
ひとたび反社会的勢力との関係が疑われると、様々な不利益を被る可能性があります。

この記事では、「反社チェック」とは何か、なぜ企業で「反社チェック」を行う必要があるのか、といった「反社チェック」の基本と、その具体的な実施方法について解説します。

「反社チェック」というと、契約を締結する際に反社条項が入っていたり、反社会的勢力の排除に関する誓約書の提出を求められることがありますよね。
ヒツジ
ムートン先生
そうですね。企業にとって反社会的勢力との関係遮断は重要であり、それ自体が重要なリスク管理の一貫であるという認識が広がっています。

反社チェックとは

取引の開始前に、その取引先が「反社会的勢力」に該当しないか、また、「反社会的勢力」との関係を有しないか、を確認することを、「反社チェック」と呼びます。

この「反社チェック」の対象には、取引先について行われるだけではなく、自社の従業員、更には自社の株主なども含まれます。

これらのステークホルダーについて、反社会的勢力に該当しないか、反社会的勢力との関係を有しないか、を都度確認をする必要があります。

そもそも反社会的勢力とは何か、反社チェックはなぜ必要なのか、について以下で解説します。

反社会的勢力とは何か

そもそも、「反社会的勢力」とは具体的にどんな組織・個人を指すのでしょうか。

2007年(平成19年)6月19日付で発表された政府指針「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」において、「反社会的勢力」について、以下のように記載されています。

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

引用元│法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」

「反社会的勢力」について、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されていますが、その定義に該当するか否かを判断するためには、以下の各要件を確認し、総合的な判断を行う必要があるとされています。

属性要件
暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等の属性に該当するか

行為要件
暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為を行っているか

また、後述する東京都の「東京都暴力団排除条例」では、「暴力団関係者」について、以下のように定義されています。

第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑴暴力的不法行為等 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する暴力的不法行為等をいう。
⑵暴力団 法第2条第2号に規定する暴力団をいう。
⑶暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
⑷暴力団関係者 暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者をいう。
⑸~⑿ (略)

引用元│東京都暴力団排除条例

なぜ反社チェックを行うのか

なぜ反社チェックを行う必要があるのでしょうか。

企業が反社会的勢力と取引などを行い、それにより何らかの損害を被った場合、当該企業の取締役が善管注意義務違反で責任を問われる可能性(会社法423条)、第三者から損害賠償請求を受ける可能性(会社法429条)などが考えられます。

その他、企業が反社会的勢力と関わることによる損害・デメリットとしては、反社会的勢力から直接金銭的な要求がなされる可能性がある、社会的信用を失ってしまう可能性がある、といったことも挙げられます。

政府や、各地方自治体、証券取引所などが、反社会的勢力の排除に動いている状況もあり、反社会的勢力と関わることによって、企業は社会的な信用を失ってしまうおそれがあります。

政府指針

前述した、2007年(平成19年)6月19日付で発表された政府指針「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中の「反社会的勢力による被害を防止するための基本原則」で、反社会的勢力との関係遮断が要求されています。

1 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
◯ 組織としての対応
◯ 外部専門機関との連携
◯ 取引を含めた一切の関係遮断
◯ 有事における民事と刑事の法的対応
◯ 裏取引や資金提供の禁止

引用元│法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」

政府指針によると、企業は反社会的勢力について「取引を含めた一切の関係遮断」が求められていることになります。

また、政府指針には、上記の基本原則に基づく望ましい対応についても記載されています。

企業において、反社チェックを担当する部門は、こちらの政府方針に沿った対応をするのが望ましいです。

暴排条例

政府指針の公表もあり、各都道府県においても反社会的勢力の排除についての動きが活発になりました。2011年までの間にかけて全国各地で暴力団排除条例(暴排条例)が制定され、47都道府県全てで暴排条例が制定されました。

東京都の「東京都暴力団排除条例」の第18条は、暴力団関係者と契約することで暴力団の活動を助長などしないように確認すること、契約締結においては、いわゆる「反社条項」を定めて、相手方などが暴力団関係者であることが判明した場合に無催告解除できるようにすること、などの努力義務を定めています。

(事業者の契約時における措置)
第18条
1 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。
⑴当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。
⑵工事における事業に係る契約の相手方と下請負人との契約等当該事業に係る契約に関連する契約(以下この条において「関連契約」という。)の当事者又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は当該事業に係る契約の相手方に対し、当該関連契約の解除その他の必要な措置を講ずるよう求めることができること。
⑶前号の規定により必要な措置を講ずるよう求めたにもかかわらず、当該事業に係る契約の相手方が正当な理由なくこれを拒否した場合には、当該事業者は当該事業に係る契約を解除することができること。

引用元│東京都暴力団排除条例

そのほか、東京都暴力団排除条例では、暴力団への利益供与の禁止(東京都暴力団排除条例24条)、名義貸しの禁止(同25条)などが定められています。
この利益供与の禁止、名義貸しの禁止に違反した場合、公安委員会から勧告を受ける可能性があり(同27条)、勧告の受けたにもかかわらず、再度違反行為を行った場合などには、公表される可能性があります(同28条)。

証券取引所のガイドライン

また、企業として、資金調達の面においても「反社チェック」は重要です。 反社会的勢力との関係は、企業としての社会的な信用に関わる問題であり、投資家の利益・権利の保護にも影響を及ぼします。

東京証券取引所が公表している「上場審査等に関するガイドライン」においても、以下のように、反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制の整備・構築が求められています。

(公益又は投資者保護の観点)
6.規程第207条第1項第5号に定める事項についての上場審査は、次の⑴から⑹までに掲げる観点その他の観点から検討することにより行う。
⑴~⑵ (略)
⑶ 新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。
⑷~⑹ (略)

引用元│東京証券取引所「上場審査等に関するガイドライン」

反社チェックを行う場面

反社チェックはいつ行われるのでしょうか。

具体的には、以下のような場面を一例として挙げることができます。
企業としては前述のとおり「一切の関係遮断」を求められているため、これらに限られず、必要な場面では都度反社チェックを行う必要があります。

反社チェックが行われる場面の例

✅ 取引開始・契約締結の前
✅ 取引の継続・契約の更新前
✅ 資金調達・上場審査前
✅ M&Aにおけるデューデリジェンスの際
✅ 従業員の採用時

反社チェックの実施方法

ここまでで、そもそも反社会的勢力とは何か、反社チェックはなぜ必要なのか、を解説してきました。

では、具体的にどのような方法で「反社チェック」を行えばよいのでしょうか。
代表的な方法を以下で紹介していきます。

インターネット検索などによる情報収集

まず、世間に公表されている情報(公知情報)を収集する方法が考えられます。

具体的には、インターネットによる検索(Googleなど)や、新聞記事の情報検索(日経テレコンなど)を利用して情報を収集して、反社会的勢力に該当するか否かを確認する方法です。

また、調査対象の企業の商業登記を確認し、社名、住所、役員の変更などに不審な点がないかを確認すること、企業の住所へ直接赴いて現地調査を行い、不審な点がないか確認することも考えられます。

商業登記は、法務局へ申請することによって閲覧することができます。
また、「登記情報提供サービス」といウェブサービスを利用すれば、オンライン上で商業登記を閲覧することができます。


情報収集を行った場合には、その方法や、日付、確認結果などを記録しておき、「反社チェック」の履歴を残すことが望ましいです。
担当者が変更した場合の引き継ぎも容易になり、また、企業としての取組みの証拠を残すこともできます。

調査会社など専門機関の利用

より正確性の高い情報を得たい場合、また、上記の公知情報の収集により反社会的勢力の疑いがあると判断した場合には、専門機関である調査会社へ調査を委託するという方法が考えられます。

警察・暴追センターへの問合せ

暴力追放運動推進センター(暴追センター)は、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に基づいて指定される組織です。

この暴追センターは、全国レベルの組織として「全国暴力追放運動推進センター」が存在し、そのほか、各都道府県にも暴追センターが存在します。

暴追センターへ問い合わせて情報提供を依頼することが考えられます。

また、警察へ問い合わせて情報提供を依頼することも考えられます。
この際、「確認を求める契約相手の氏名、生年月日(可能であれば住所)が分かる資料」「暴力団排除の特約を定めた契約関係資料、契約相手が暴力団関係者の疑いがあると判断した資料(理由)」(警視庁ウェブサイト「東京都暴力団排除条例 Q&A」より)などを準備しておくとよいでしょう。

契約で反社条項を定める

契約を締結する際に、必ず「反社会的勢力の排除」についての条項(反社条項)を定めることも「反社チェック」の一つの方法です。

契約を締結する段階で、取引相手が暴力団・暴力団員などの反社会的勢力ではないことや、反社会的勢力との関係がないことを約束(表明確約・保証)させることで、相手方に注意を促すことができ、相手が反社条項を定めることに抵抗を示した場合には、相手方との取引は中止するといった対応が可能となります。

また、反社会的勢力に該当する場合の無催告解除を定めることによって、もし相手方が反社会的勢力との関係があることが判明した場合でも、速やかに相手方との取引を解除して関係を遮断することが可能になります。

具体的には、以下のような反社条項を定めることが考えられます。

記載例

(反社会的勢力の排除)
1 本契約の当事者は、自社、自社の株主・役員その他自社を実質的に所有し、若しくは支配するものが、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
⑴暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
⑵暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
⑶自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってする等、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
⑷暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与する等の関与をしていると認められる関係を有すること
⑸役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
2 本契約の当事者は、暴力団員等と取引関係を有してはならず、事後的に、暴力団員等との取引関係が判明した場合には、これを相当期間内に解消できるよう必要な措置を講じる。
3 本契約の当事者は、相手方が本条の表明又は確約に違反した場合、何らの通知又は催告をすることなく直ちに本契約の全部又は一部について、履行を停止し、又は解除することができる。この場合において、表明又は確約に違反した当事者は、相手方の履行停止又は解除によって被った損害の賠償を請求することはできない。
4 本契約の当事者は、相手方が本条の表明又は確約に違反した場合、これによって被った一切の損害の賠償を請求することができる。

また、すでに取引開始済み、契約締結済みの場合であって、反社条項を契約で定めていない場合などは、個別に「反社会的勢力の排除に関する覚書」の締結などを検討することも考えられます。取引相手のみならず、自社の従業員を雇用する際にも、従業員の反社チェックを行うことが考えられます。
このとき、採用時に「反社会的勢力の排除に関する誓約書」などの提出を求める方法があります。

反社会的勢力の排除に関する覚書のひな形

反社会的勢力の排除に関する覚書を作成する際は、以下のひな形が参考になります。

契約書ひな形を無料でダウンロードできます

「反社会的勢力の排除に関する覚書のひな形」をダウンロードする

この記事のまとめ

反社チェックの記事は以上です。

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