生理休暇とは?
法的要件・就業規則への記載方法・
運用上の注意点などを解説!
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- この記事のまとめ
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「生理休暇」とは、生理日の就業が著しく困難である女性労働者が取得できる休暇です。労働基準法68条によって認められています。生理による体調不良が非常に重い女性にとっては、取得しやすい生理休暇の制度が整備されれば体調を整えやすくなり、働きやすさの向上につながります。
生理休暇の取得率は低迷しており、企業としては女性労働者の取得しやすさに配慮することが大切です。
例えば、医師の診断書のような厳格な証明を求めるのは適切でなく、同僚の証言などによる簡単な証明も認めるべきです。また、男性上司には申請しにくいとの意見が多いため、女性従業員に窓口対応を行わせるなどの配慮をすることが望ましいでしょう。この記事では生理休暇について、要件・メリット・運用上の注意点などを解説します。
※この記事は、2025年11月12日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
生理休暇とは
「生理休暇」とは、生理日の就業が著しく困難である女性労働者が取得できる休暇です。
生理休暇の法的根拠|労働基準法68条
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
生理休暇は、労働基準法68条によって認められています。生理日の就業が著しく困難な女性から請求を受けた場合は、生理休暇を付与しなければなりません。
労働基準法のルールは、労働者を雇用するすべての使用者に対して強制的に適用されます。会社独自の制度によって、生理休暇を与えないものとすることはできません。
生理休暇の目的
生理休暇の目的は、生理時の状態に応じて必要な休暇を付与し、女性労働者の働きやすい環境を整えることにあります。
生理が起こった時の体調や症状は、人によって異なります。かなり重い下腹痛・腰痛・頭痛などが起こり、働くことが困難になってしまう女性もいます。このような女性が無理に働かなければいけない状況を避けるために、使用者には生理休暇の付与が義務付けられています。
生理休暇を取得するかどうかは、女性労働者の自由です。生理時の症状や体調がさまざまであることを踏まえ、必要な場合に限って生理休暇を取得できるようになっています。
生理休暇の要件|生理日の就業が著しく困難であること
使用者に生理休暇の付与義務が生じるのは、生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求された場合です。「就業が著しく困難」であるかどうかは、女性労働者の体調や業務の内容などを考慮して総合的に判断されます。
なお、生理休暇の申請をしやすくする観点から、上記の要件に関する特別の証明は原則不要としつつ、証明を求めるとしても簡単な方法にとどめることが推奨されます。
生理休暇の取得単位|半日単位や時間単位でも取得可能
生理休暇は、必ずしも暦日(1日)単位ではなく、半日単位や時間単位で請求することも認められています。使用者は、要件を満たしている女性労働者に請求された範囲で生理休暇を与える義務を負います。
生理休暇を充実させるメリット
企業が生理休暇の制度を充実させると、以下のようなメリットを得られる可能性があります。
① 女性労働者が働きやすくなる|エンゲージメントの向上・離職率の低下
② 対外的な企業イメージが向上する
女性労働者が働きやすくなる|エンゲージメントの向上・離職率の低下
生理痛が重い女性労働者にとって、生理休暇が充実していると働きやすさが向上します。その結果、今の職場で長く働き続けたいという気持ちが増し、エンゲージメント(=企業に貢献しようとする意欲)の向上や離職率の低下につながることが期待されます。
対外的な企業イメージが向上する
近年では働き方改革の流れが加速していることに伴い、働きやすい「ホワイト」な企業への評価が高まっています。
生理休暇を充実させることは、長労働時間の抑制や勤務時間の柔軟化などとともに、労働者に「無理をさせない」働き方改革の一環としても捉えられるので、対外的なプラスのイメージにつながるでしょう。
さらに生理休暇の充実化には、生理による体調不良という女性労働者のハンディキャップを緩和する意味合いもあります。この点は男女共同参画の考え方に親和的であり、やはり対外的な好印象につながります。
生理休暇に関する就業規則の定め方と記載上の注意点
常時10人以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成する必要があります。
休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項(=必ず記載しなければならない事項)です(労働基準法89条1号)。生理休暇については、必ず就業規則に定めておきましょう。
生理休暇について就業規則に定めるべき事項
生理休暇について、就業規則に定めるべき主な事項は以下のとおりです。
- 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、生理休暇を与える旨
- 生理休暇期間の賃金の取り扱い(有給、無給のいずれも可)
上記のほか、生理休暇の申請手続きを定めることも考えられます。申請手続きについては、就業規則以外の社内規程で定めても構いません。
生理休暇に関する就業規則の条文例
モデル就業規則における、生理休暇に関連する条文の記載例を紹介します。
(育児時間及び生理休暇)
第27条 (略)
2 生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。(休暇等の賃金)
第43条 (略)
2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間、子の看護休暇期間及び介護休暇期間、慶弔休暇、病気休暇、裁判員等のための休暇の期間は、【無給 / 通常の賃金を支払うこと】とする。
3 (略)引用元│厚生労働省「モデル就業規則」
生理休暇の日数を就業規則で限定することはできない
生理による苦痛や就労の困難さの程度、その状態が続く期間などは人によって異なるものであるため、就業規則によって生理休暇の日数を限定することは許されないと解されています。
例えば「生理休暇の付与日数は○日までとする」などと就業規則で定めてはなりません。
ただし、生理休暇は無給でも差し支えなく、有給とするかどうかは使用者の任意とされています。そのため、有給の生理休暇の日数を限定しつつ、生理休暇自体は上限日数を設けずに与えるのであれば問題ありません。
生理休暇の運用に関する企業の注意点
企業が生理休暇を運用する際には、以下のポイントなどに注意してください。
① 生理休暇の要件の確認方法|申請しやすさに配慮すべき
② 「男性上司には申請しにくい」との意見が多い|女性による窓口対応などの検討を
③ 生理休暇の代わりに有給休暇を申請されたら、原則として認めるべき
④ 生理休暇を想定したバックアップ体制を整えるべき
⑤ PMS(月経前症候群)に対し生理休暇を付与するかは企業の判断による
生理休暇の要件の確認方法|申請しやすさに配慮すべき
生理休暇の申請手続きを複雑にすると、女性労働者が申請をためらってしまうおそれがあります。企業としては、申請手続きを簡素化して生理休暇を取得しやすくすることが望ましいです。
申請のしやすさに配慮する観点からは、原則として特別の証明がなくても、女性労働者の請求があった場合には生理休暇を与えることが推奨されます。
また、特に証明を求める必要がある場合でも、医師の診断書のような厳格な証明は求めずに、例えば同僚の証言程度の簡単な証明によることで差し支えないと解されています。
「男性上司には申請しにくい」との意見が多い|女性による窓口対応などの検討を
日経BPの「20~40代働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活調査」によれば、生理休暇を利用しにくい要因として「男性上司に申請しにくい」が61.8%と最多を占めました。
女性労働者が生理休暇を取得しやすくするためには、男性上司に対する直接の申請を義務付けるのは避けるべきでしょう。例えば、所属部署とは別の部署(人事部など)に女性担当者を設置して、そこで生理休暇の申請を受け付けるなどの配慮をすることが望ましいです。
生理休暇の代わりに有給休暇を申請されたら、原則として認めるべき
生理休暇が無給である場合は、取得すると賃金が減ってしまうため、その代わりに有給休暇を取得しようとする女性労働者も出てくるでしょう。
有給休暇は原則として、労働者が請求する時季に与えなければなりません(労働基準法39条5項本文)。
有給休暇の取得理由は問われず、生理を理由とする取得も可能です(そもそも、有給休暇を取得する理由を使用者に伝える必要はありません)。
したがって使用者としては、生理休暇の代わりに有給休暇を申請されたら、原則として認めなければなりません。
なお例外的に、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に有給休暇を与えることができます(同項但し書き)。これは使用者の時季変更権と呼ばれるものです。
時季変更権の行使が認められるのは、例えば以下のようなケースです。
- 代替人員を確保できない場合
- 有給休暇の取得希望者が重なった場合
- 本人の参加が欠かせない業務がある場合
など
これに対して、「繁忙期だから」などの曖昧な理由で時季変更権を行使することはできません。
時季変更権の行使が認められる場合は、生理休暇の代わりに有給休暇を取得したいという申請を拒否できます。ただしこの場合も、生理休暇の取得を拒否することはできません。
いずれにしても休暇を与えることになるので、労働者とのトラブルを避けるためにも、申請どおりに有給休暇を与えた方が無難でしょう。
生理休暇を想定したバックアップ体制を整えるべき
女性労働者が生理休暇を申請するタイミングを、使用者が予期することは困難です。生理周期や生理時の体調は流動的なものですし、「次はいつ生理休暇をとるの?」などと本人に聞いたらセクハラに該当する可能性が高いと思われます。
使用者としては、女性労働者からいつ生理休暇の申請を受けてもいいように、業務のバックアップ体制を整えておくべきです。例えば以下のような方法が考えられます。
- 各労働者につき、バックアップを担当する他の労働者を1~2名程度決めておく。
- メールのCcやチャットグループなどを利用して、労働者が送受信する業務上のメッセージを他の労働者が確認できるようにしておく。
など
生理休暇以外にも、傷病や有給休暇の取得などによって労働者が欠けることはあり得るので、他の労働者がカバーできる体制を整えることは有用と言えます。
PMS(月経前症候群)に対し生理休暇を付与するかは企業の判断による
生理休暇を取得できるのは、実際に生理が起こっている女性労働者のみです。生理開始の3~10日前から生じるPMS(月経前症候群)は、生理休暇の対象になりません。
ただし一部の企業では、PMSも生理休暇に準じた休暇の対象としているようです。
PMSを理由とする休暇を認めるかどうかは、企業の判断によります。女性労働者の働きやすさを向上させる観点からは、PMSに関する休暇を認めることは効果的と考えられるので、一考の価値があるでしょう。
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