「資する」とは?
読み方・意味・法律における使用例などを
分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

資する(しする)」とは、「助けとなる」「役立つ」という意味の言葉です。

法律の条文においては、「資する」という言葉がしばしば登場します。意味は一般的な用語法と変わりません。特に、法律の目的や趣旨を宣言する規定(=目的規定趣旨規定)において「資する」が用いられることが多いです。

この記事では「資する」について、読み方・意味・法律における使用例などを解説します。

ヒー

「資する」は役所の文書や法律でたまに目にしますね。意味? こう、ふわっと捉えていました…

ムートン

その活動や法律などが何のためにあるのか、ということを理解するには、「資する」と書かれている目的規定・趣旨規定が重要になります。解説していきましょう!

※この記事は、2023年12月15日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 薬機法…医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • ADR法…裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律
  • 特定調停法…特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律

「資する(しする)」とは

資する(しする)」とは、「助けとなる」「役立つ」という意味の言葉です。法律の条文においては、「資する」という言葉がしばしば登場します。

「資する」の辞書的意味

「デジタル大辞泉」によると、「資する」は以下の意味を有するとされています。

し・する【資する】
助けとなる。役立つ。「公益に—・するところが大きい」

デジタル大辞泉(小学館)「資する」
ヒー

解説は割とシンプルですね。

ムートン

やや堅い言い回しではありますが、意味はすんなりしています。

法律の条文における「資する」の意味

法律の条文における「資する」の意味は、一般的な用語法と変わりません。「助けとなる」「役立つ」という意味で用いられています。
特に、法律の目的や趣旨を宣言する規定(=目的規定趣旨規定)において「資する」が用いられることが多いです。

目的規定・趣旨規定とは

法律における目的規定および趣旨規定は、1条などの冒頭に定められるのが一般的です。特に近年において制定される法律では、目的規定または趣旨規定のいずれかが置かれるケースが多くなっています。

①目的規定
法律の制定目的を簡潔に表現した規定です。

②趣旨規定
法律の内容を要約したものです。制定の目的も記載されることがありますが、法律で定める内容そのものの方に重点があります。

目的規定や趣旨規定は、それ自体が具体的な権利や義務を定めるものではありません。しかし、訴訟の審理や行政運営などにおいては、その法律における他の規定を解釈・運用する際に、目的規定または趣旨規定が重要な指針として考慮されます

法律における「資する」の使用例・条文例

法律の条文において「資する」が使用されている例として、以下の法律を紹介します。

法律における「資する」の使用例

① 消費者契約法
② 薬機法
③ ADR法
④ 特定調停法

消費者契約法

消費者契約法は、消費者と事業者の間の情報の質・量や交渉力の格差に鑑み、消費者・事業者間で締結される契約に関する規制を定め、消費者の利益を擁護することを目的とした法律です。

消費者契約法では、13条1項、27条および39条1項において「消費者の被害の防止及び救済に資する」という表現が用いられています。消費者契約法の制定目的を反映した表現といえるでしょう。

消費者契約法
(適格消費者団体の認定)
第13条 差止請求関係業務(不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使する業務並びに当該業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集並びに消費者の被害の防止及び救済に資する差止請求権の行使の結果に関する情報の収集及び提供に係る業務をいう。以下同じ。)を行おうとする者は、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2~5 略

(判決等に関する情報の提供)
第27条 適格消費者団体は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、消費者に対し、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。

(判決等に関する情報の公表)
第39条 内閣総理大臣は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、適格消費者団体から第23条第4項第4号から第9号まで及び第11号の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の概要、当該適格消費者団体の名称及び当該差止請求に係る相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。
2、3 略

消費者契約法– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

薬機法

薬機法では、5か所にわたって「資する」が用いられています。

そのうち、薬機法36条の7第2項、68条の2の5および76条の12の3つを抜粋して紹介します。いずれも「役立つ」という意味で「資する」が用いられています。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(一般用医薬品の区分)
第36条の7 一般用医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)は、次のように区分する。
(1)第一類医薬品 略
(2)第二類医薬品 略
(3)第三類医薬品 略
2 厚生労働大臣は、前項第1号及び第2号の規定による指定に資するよう医薬品に関する情報の収集に努めるとともに、必要に応じてこれらの指定を変更しなければならない。
3 略

(医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号の容器への表示等)
第68条の2の5 医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者は、厚生労働省令で定める区分に応じ、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の特定に資する情報を円滑に提供するため、医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号のこれらの容器への表示その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

(調査研究の推進)
第76条の12 国は、指定薬物等の薬物の濫用の防止及び取締りに資する調査研究の推進に努めるものとする。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

ADR法

ADR法1条では目的規定が定められており、その中で「資する」が用いられています。

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律
(目的)
第1条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。以下同じ。)が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっていることに鑑み、裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、併せて時効の完成猶予等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とする。

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ヒー

…目的規定、長すぎないですか? 正直、読みづらいって思っちゃいますけど…

ムートン

以下のように3段階に分けると読みやすくなりますよ。

ADR法の目的規定では、以下のように「目的の達成手段」「直接の目的」「大目的」が定められており、「資する」は大目的について用いられています

① 目的の達成手段
・裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定める
・民間紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、併せて時効の完成猶予等に係る特例を定めてその利便の向上を図る
など

② 直接の目的
紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にする

③ 大目的
国民の権利利益の適切な実現に資する

特定調停法

特定調停法では、債務整理の一種である「特定調停」の手続きを定めています。特定調停は裁判所において行われ、調停委員が債務者と債権者の利害調整を行い、新たな返済スケジュールが定められます。

特定調停法の中では、1条の目的規定において「資する」が用いられているほか、2条2項、15条、17条2項および18条1項において「特定債務者の経済的再生に資する」という表現が繰り返し用いられています。

特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律
(目的)
第1条 この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法(昭和26年法律第222号)の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とする。

(定義)
第2条 略
2 この法律において「特定債務等の調整」とは、特定債務者及びこれに対して金銭債権を有する者その他の利害関係人の間における金銭債務の内容の変更、担保関係の変更その他の金銭債務に係る利害関係の調整であって、当該特定債務者の経済的再生に資するためのものをいう。
3、4 略

(調停委員会が提示する調停条項案)
第15条 調停委員会が特定調停に係る事件の当事者に対し調停条項案を提示する場合には、当該調停条項案は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。

(調停委員会が定める調停条項)
第17条 特定調停においては、調停委員会は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる。
2 前項の調停条項は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。
3~6 略

(特定調停の不成立)
第18条 特定調停においては、調停委員会は、民事調停法第十四条の規定にかかわらず、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、当事者間に公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容の合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであるとは認められない場合において、裁判所が同法第十七条の決定をしないときは、特定調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。
2 略

特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
ムートン

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