【2025年4月制度変更】育児休業給付金とは?
手取り10割になる出生後休業支援給付金
についても分かりやすく解説!
- この記事のまとめ
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「育児休業給付金」とは、雇用保険の被保険者が育児休業を取得する際に支給される給付金です。また、いわゆる「産後パパ育休」を取得する雇用保険の被保険者を対象とした「出生時育児休業給付金」も設けられています。
育児休業給付金と出生時育児休業給付金は、いずれも育児休業中の労働者の収入を保障し、育児休業の取得を促進することを目的としています。
育児休業給付金と出生時育児休業給付金の支給額は、いずれも賃金額面の67%(手取りで8割相当)です。
2025年4月からは新たに「出生後休業支援給付金」が創設され、育児休業給付金と合わせて受給すると、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)の給付金を受給できるようになります。この記事では、育児休業給付金の支給要件・支給期間・支給額・申請手続きや、2025年4月から導入される出生後休業支援給付金などについて解説します。
※この記事は、2024年9月30日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- 育児介護休業法…育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
- 育児介護休業法施行規則…育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
目次
育児休業給付金とは|原則1歳までの育休に支給
「育児休業給付金」とは、雇用保険の被保険者が育児休業を取得する際に支給される給付金です。原則として、1歳未満の子を養育するために取得する育児休業の期間について受給できます。
育児休業給付金の支給要件・支給期間・支給タイミング
育児休業給付金は、以下の要件をいずれも満たす場合に支給されます。
- 育児休業給付金の支給要件
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① 雇用保険の被保険者が、以下のアとイの両方に該当する育児休業を取得したこと(2回まで分割取得可)
ア 被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づき、事業主が取得を認めたもの
イ 原則として、子が1歳に達する日より前の期間に取得するもの※出生日の翌日から8週間は産後休業とみなされ、育児休業給付金の対象外となります。
※「パパ・ママ育休プラス」とは、両親がともに育児休業を取得する場合に、育児休業期間を2カ月間延長できる制度です(育児介護休業法9条の6)。② 休業開始日前2年間について、以下のアとイのうち少なくとも一方に該当すること
ア 賃金支払基礎日数が11日以上あること
イ 賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月(=完全月)が12カ月以上あること※育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、その期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)。
③ 一支給単位期間中の就業日数が10日以下、または就業した時間数が80時間以下であること
※「支給単位期間」とは、育児休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間です。就業日数が11日以上かつ就業した時間数が80時間超の支給単位期間については、育児休業給付金が支給されません。
④ (有期雇用労働者の場合)子が1歳6カ月(保育所等で保育の実施が行われないなどの理由で、それ以降も育児休業を取得する場合は2歳)に達する日までの間に、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
上記①のとおり、育児休業給付金の支給期間は、原則として子が1歳に達する日の前日までです。
ただし次の項目で解説するとおり、支給期間の延長が認められるケースがあります。
育児休業給付金が支給されるのは、支給決定がなされてから約1週間後です。原則として2カ月に一度、支給単位期間ごとに受給申請を行う必要があります。
育児休業給付金の支給期間が延長されるケース
「パパ・ママ育休プラス」を利用して両親がともに育児休業を取得すれば、子が1歳2カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給できます。
また、子どもが保育所等に入れない場合には、最長で子どもが2歳になる日の前日まで、育児休業を延長することが認められています(育児介護休業法5条3項2号・4項2号、育児介護休業法施行規則6条1項・6条の2)。
この場合には、子が2歳に達する日の前日まで育児休業給付金を受給可能です(半年ごとに延長手続きが必要)。
育児休業給付金の支給額・上限
育児休業給付金の支給額は、以下の式によって計算します。
支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%
※「休業開始時賃金日額」とは原則として、育児休業開始前直近6カ月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を、180で除して得た額です。
※支給日数は、原則として30日間です。ただし、育児休業終了日の属する支給単位期間については、休業終了日までの日数が支給対象となります。
※育児休業開始から181日目以降は、支給率が50%となります。
休業開始時賃金日額の上限額は1万5690円、下限額は2869円です(~2025年7月31日)。
したがって、支給日数が30日の場合の支給上限額と支給下限額は、下表のとおりとなります。
支給上限額 | 支給下限額 | |
---|---|---|
給付率67% | 31万5369円 | 5万7666円 |
給付率50% | 23万5350円 | 4万3035円 |
育児休業給付金の支給申請手続き
育児休業給付金の支給を受けるには、まず事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークで受給資格確認を受ける必要があります。
受給資格確認の必要書類は、以下のとおりです。
- 育児休業給付金の受給資格確認の必要書類
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① 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
② 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
③ 育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
(例)賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など④ 育児の事実、出産予定日および出生日を確認することができるもの(写し可)
(例)母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など
受給資格確認後の育児休業給付金の支給申請も、原則として事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに対して行います。支給申請の必要書類は以下のとおりです。
- 育児休業給付金の支給申請の必要書類
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① 育児休業給付金支給申請書
② 育児休業給付金支給申請書の記載内容を確認できるもの
(例)賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカードなど
育児休業給付金の支給申請は、原則として2カ月に一度行いますが、被保険者本人が希望する場合は1カ月に一度申請することもできます。
初回の支給申請については、育児休業開始日から4カ月以内である場合に限り、受給資格確認の申請と同時に行うことが可能です。
【2025年4月制度変更】育児休業給付金の延長の申請手続き
育児休業給付金の延長を申請する際には、ハローワークに対して以下の書類を提出します。
- 延長申請の必要書類(2025年3月まで)
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① 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
② 市区町村の発行する、保育所等の利用ができない旨の通知
(例)入所保留通知書、入所不承諾通知書など
ただし2025年4月以降は、育児休業給付金の延長申請の必要書類が追加される点にご注意ください。
- 延長申請の必要書類(2025年4月以降)
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① 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
② 延長事由認定申告書
③ 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
④ 市区町村の発行する、保育所等の利用ができない旨の通知
(例)入所保留通知書、入所不承諾通知書など
出生時育児休業給付金とは|産後パパ育休に支給
「出生時育児休業給付金」は、いわゆる「産後パパ育休」を取得する雇用保険の被保険者を対象とした給付金です。
出生時育児休業給付金の支給要件・支給期間
出生時育児休業給付金は、以下の要件をいずれも満たす場合に支給されます。
- 出生時育児休業給付金の支給要件
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① 雇用保険の被保険者が、以下のアとイの両方に該当する産後パパ育休(出生時育児休業)を取得したこと(2回まで分割取得可)
ア 被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づき、事業主が取得を認めたもの
イ 出生日または出産予定日のうち早い日から、そのうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)の範囲で取得されたもの
※母親は出生日の翌日から8週間は産後休業とみなされ、育児休業給付金の対象外(出産手当金の対象)となります。② 休業開始日前2年間について、以下のアとイのうち少なくとも一方に該当すること
ア 賃金支払基礎日数が11日以上あること
イ 賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月(=完全月)が12カ月以上あること
※育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、その期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)。③ 休業期間中の就業日数が10日以下、または就業した時間数が80時間以下であること
④ (有期雇用労働者の場合)子の出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
出生時育児休業給付金の支給額・上限
出生時育児休業給付金の支給額は、以下の式によって計算します。
支給額=休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%
※「休業開始時賃金日額」とは原則として、育児休業開始前直近6カ月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を、180で除して得た額です。
ただし、産後パパ育休中に一定の時間働いて賃金の支払いを受けた場合は、支給額が下表のとおり変更されます。
支払われた賃金の額 | 支給額 |
---|---|
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下 | 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67% ※満額支給 |
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超~80%未満 | 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額 |
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上 | 支給されない |
また、育児休業給付金と同様に、出生時育児休業給付金についても、休業開始時賃金日額の上限額は1万5690円とされています。
したがって、休業28日間に対応する出生時育児休業給付金の上限額は29万4344円です。
出生時育児休業給付金の支給申請手続き
出生時育児休業給付金の支給を受けるには、事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに対して、受給資格確認と支給申請の手続きを同時に行う必要があります。
その際の必要書類は、以下のとおりです。
- 出生時育児休業給付金の受給資格確認・支給申請の必要書類
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① 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
② 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書
③ 出生時育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
(例)賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など④ 育児の事実、出産予定日および出生日を確認することができるもの(写し可)
(例)母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など
【2025年4月施行】出生後休業支援給付金の創設で「手取り10割」に
2025年4月から改正雇用保険法が施行され、新たに「出生後休業支援給付金」が創設されます。
育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給すると、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)の給付金を受給できるようになります。
出生後休業支援給付金の支給要件・支給期間
出生後休業支援給付金は、2025年4月以降、以下の要件をいずれも満たす場合に支給されます。
- 出生後休業支援給付金の支給要件
-
① 雇用保険の被保険者が、対象期間内に子を養育するための休業(=出生後休業)をしたこと
② 休業開始日前2年間について、以下のアとイのうち少なくとも一方に該当すること
ア 賃金支払基礎日数が11日以上あること
イ 賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月(=完全月)が12カ月以上あること
※育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、その期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)。③ 対象期間内にした出生後休業の日数が、通算して14日以上であること
④ 配偶者も、その子について14日以上の出生後休業をしたこと
※配偶者が専業主婦(専業主夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の出生後休業は不要
出生後休業支援給付金の支給期間は、最大で28日間です。
出生後休業支援給付金の支給額|育児休業給付金等と合わせて「手取り10割」
出生後休業支援給付金の支給額は、休業開始時賃金日額の13%相当額です。育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給すると、給付率が80%(手取りで10割相当)となります。
育児休業中の給付金がいっそう充実することにより、特に男性の育児休業取得がさらに促進される効果が期待されています。