カスハラ研修とは?
伝えるべき内容・eラーニングの活用・
効果を高めるポイントなどを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「カスハラ研修」とは、カスタマーハラスメント(=顧客の企業に対する理不尽なクレームや言動)への対応について理解を深めるため、役員や従業員に対して行う研修です。
カスハラ研修では、カスハラと正当なクレームの違い、カスハラの具体例やパターン別の対応方法、実際にカスハラ対応を行う際のフローや注意点などを受講者に伝えます。受講者が当事者意識を持って受講できるように、実際の業務で起こり得る具体例を示しながら研修を進めるとよいでしょう。
この記事ではカスハラ研修について、伝えるべき内容・eラーニングの活用・効果を高めるポイントなどを解説します。
※この記事は、2024年11月26日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
カスハラ研修とは
「カスハラ研修」とは、カスタマーハラスメント(=顧客の企業に対する理不尽なクレームや言動)への対応について理解を深めるため、役員や従業員に対して行う研修です。
カスハラ(カスタマーハラスメント)とは
「カスハラ(カスタマーハラスメント)」とは、顧客の企業に対する理不尽なクレーム・言動をいいます。
近年ではSNSを通じて、顧客が企業を容易に批評できるようになりました。その結果、顧客側の発言力が増し、企業に対して理不尽なクレームや言動(=カスハラ)を行う例が増えています。
企業としては、カスハラから従業員を守るための対策を講じなければなりません。
カスハラ研修の目的
カスハラ研修の目的は、従業員に対して、カスハラへの適切な対処法を浸透させることです。
カスハラ対応の要点は、企業としての弱みを突かれないような対応をすること、および理不尽なクレームや言動から従業員を守ることにあります。
これらの要点を踏まえて、カスハラに直面した際にとるべき行動や注意点などを、カスハラ研修を通じて従業員にインプットします。
カスハラ研修の実施方法|講義・eラーニング
カスハラ研修を実施する方法は、主に「講義」と「eラーニング」の2つがあります。
- カスハラ研修の実施方法
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① 講義
カスハラについて知見を有する講師(弁護士や接客業経験者など)を招き、従業員に向けて対面やオンラインで講義をしてもらいます。② eラーニング
カスハラに関する講義プログラムが搭載されているソフトやアプリを活用して、動画の視聴・スライドの閲覧・設問への回答などを通じて学習します。
カスハラ研修で伝えるべき主な内容
カスハラ研修によって従業員に伝えるべき主な事項は、以下のとおりです。
- カスハラと正当なクレームの違いと判断基準
- カスハラに当たる可能性が高い行為の具体例
- カスハラのパターン別対応方法
- カスハラに遭遇した場合の対応フロー
- カスハラ対応を行う際の注意点
カスハラと正当なクレームの違いと判断基準
カスハラと正当なクレームは、以下の2つの基準によって区別します。
- カスハラと正当なクレームの違い(判断基準)
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① 顧客の要求内容に妥当性があるか
自社に何らかの過失があり、顧客の主張に一定の妥当性がある場合には、正当なクレームとして真摯に対応すべきです。
これに対して、自社に何らの過失がなく、顧客の主張が言いがかりに過ぎない場合などは、カスハラとして厳しく対応すべきです。② 要求を実現するための手段や態様が、社会通念に照らして相当か
顧客のクレームの内容自体は妥当であっても、その手段や態様が社会通念上不当であれば、カスハラとして対応を拒否すべきです。
(例)長時間に及ぶ説教、暴力、暴言、土下座の要求など
カスハラ研修においては、従業員がカスハラと正当なクレームを区別できるように、上記の2つの基準について解説しましょう。
カスハラに当たる可能性が高い行為の具体例
カスハラに当たる行為の具体例を示すと、従業員も実際の対応をイメージしやすくなります。
例えば以下のような具体例を題材として、ケーススタディ形式で研修を行うことが考えられます。
・従業員を怒鳴りつける
・従業員に土下座を要求する
・不手際のお詫びに、店舗の商品を無料で提供するようにしつこく要求する
・顧客自ら商品を壊した上で「商品が壊れていた」とクレームを入れる
など
カスハラのパターン別対応方法
カスハラのよくあるパターンを示した上で、それぞれの対応方法を示すような形で研修を行えば、従業員が頭の中を整理しやすくなります。
カスハラは、主に以下のパターンに分類されます。それぞれのパターンについて1,2個の設例を示し、具体的な対応方法を解説すると、バランスよく従業員の理解を深めることができるでしょう。
- 時間拘束型
- リピート型
- 暴言型
- 暴力型
- 威嚇・脅迫型
- 権威型
- 店舗外拘束型
- インターネット上での誹謗中傷型
- セクシュアルハラスメント型
時間拘束型
店舗に居座る、長時間電話を続けるなど、顧客が従業員を長時間にわたって拘束するパターンです。
- 時間拘束型のカスハラへの対応例
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・対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に告げる。
・膠着状態に至ってから一定時間を超える場合は、退去を求め、または電話を切る。
・複数回電話がかかってくる場合は、あらかじめ対応できる時間を伝えて、それ以上は対応しない。
・顧客等が退去しない場合は、毅然とした態度で退去を求める。
・状況に応じて、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
リピート型
顧客が理不尽な要求をして、繰り返し電話で問い合わせをしたり、面会を求めたりしてくるパターンです。
- リピート型のカスハラへの対応例
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・連絡先を保存し、繰り返し不合理な問い合わせが来る場合は注意して、次回は対応できない旨を伝える。
・通話内容を記録し、窓口を一本化して、今後同様の問い合わせを止めるように伝えて毅然と対応する。
・状況に応じて、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
暴言型
「馬鹿」などの侮辱的な発言、人格否定や名誉を毀損する発言など、顧客が従業員に対して暴言を浴びせるパターンです。
- 暴言型のカスハラへの対応例
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・周囲の迷惑となるため、止めるように求める。
・後で事実確認ができるように、発言内容を録音する。
・暴言の程度がひどい場合には、退去を求める。
暴力型
殴る・蹴る・叩く・物を投げつける・わざとぶつかってくるなど、顧客が従業員に対して暴力を振るうパターンです。
- 暴力型のカスハラへの対応例
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・顧客から危害を加えられないよう一定の距離を保つなど、対応者の安全確保を優先する。
・警備員等と連携を取りながら複数名で対応する。
・直ちに警察に通報する。
威嚇・脅迫型
「殺されたいのか」と脅迫する、反社会的勢力との繋がりをほのめかす、異常に接近する、「対応しなければSNSで酷評する」と脅すなど、威嚇的または脅迫的な言動をするパターンです。
- 威嚇・脅迫型のカスハラへの対応例
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・複数名で対応し、警備員等と連携を取りながら、対応者の安全確保を優先する。
・状況に応じて、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
・毅然と対応し、退去を求める。
権威型
会社の重役や政財界の有力者と懇意にしているから特別扱いをしろと要求するなど、正当な理由なく権威を振りかざして要求を通そうとするパターンです。
- 権威型のカスハラへの対応例
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・不用意な発言はせず、対応を上位者と交代する。
・要求には応じない。
店舗外拘束型
クレームの詳細が分からない状態で、顧客が自宅や喫茶店などの職場外に従業員を呼びつけるパターンです。
- 店舗外拘束型のカスハラへの対応例
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・基本的に単独での対応は行わず、クレームの詳細を確認した上で対応を検討する。
・返金等に関して、事前に金額や条件の基準を設けておく。
・店外で対応する場合は、公共性の高い場所を指定する。
・従業員を帰社させない場合は、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
インターネット上での誹謗中傷型
匿名掲示板やSNSなどのインターネット上で、会社や従業員の名誉を毀損する情報や、プライバシーを侵害する情報を掲載するパターンです。
- インターネット上での誹謗中傷型のカスハラへの対応例
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・掲載先のホームページ等の運営者(管理人)に削除を求める。
・投稿者に対して損害賠償等を請求する際には、必要に応じて弁護士に相談しつつ、発信者情報の開示を請求する。
・投稿者の処罰を望む場合は、弁護士や警察への相談等を検討する。
・法務局、違法・有害情報相談センター、誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会)などに相談する。
セクシュアルハラスメント型
従業員の身体に触る、待ち伏せする、つきまとう、食事やデートに執拗に誘う、性的な冗談を言うなど、従業員に対して性的な言動をするパターンです。
- セクシュアルハラスメント型のカスハラへの対応例
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・録音や録画によって証拠を残す。
・被害者および加害者に事実確認を行い、加害者には警告を行う。
・施設への出入り禁止を伝える。
・繰り返される場合は、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
カスハラに遭遇した場合の対応フロー
実際にカスハラへ直面した場合に適切に対応できるように、具体的な対応フローを示すことも重要です。
カスハラ研修においては、以下の内容を参考にして、カスハラ対応のフローを分かりやすく解説しましょう。
① 初期対応を適切に行う
録音・録画・対応記録・時間の計測などにより、後から検証できる証拠を収集します。悪質なカスハラに対しては、複数名で対応しましょう。
② 現場監督者または相談窓口へ情報共有をする
現場の担当者だけで解決できなければ、本社・本部と連携して対応しましょう。
③ 会社としての意思決定を待ち対応する
現場の担当者の独断で安易な対応をすることは避け、会社としての統一的な意思決定に沿って対応します。
従業員に対しては、自分だけで判断できることとそうでないことを明確に区別することや、必要に応じて上位者の指示・助言を受けることの意識付けをしましょう。
カスハラ対応を行う際の注意点
適切なカスハラ対応を行うためには、以下のような注意点を押さえておくことも大切です。カスハラ研修においては、具体例を交えながらこれらの注意点を従業員にインプットしましょう。
① 対象を明確に限定して謝罪する
正確に状況が把握できていない段階では、会社として丸ごと非を認めたような発言はせず、謝罪をするとしても対象を明確に限定すべきです。
(OK例)
「不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」
→「不快な思いをさせたこと」に対象を限定しているのでOK
(NG例)
「当社が全面的に責任を負います」
→対象が限定されていないのでNG
② 状況を正確に把握する
以下の事項などを正確に把握しましょう。顧客の誤解を正しつつ必要な情報を聞き出すため、常に冷静かつ穏やかに対応することが大切です。
・顧客の名前、住所、連絡先
・顧客の主張内容
・顧客の主張の妥当性
など
③ 適切に情報共有を行う
初動対応をした従業員は、現場責任者へ速やかに情報共有を行うべきです。
現場責任者は、状況に応じて現場だけで対応できるかどうかを判断し、難しいと判断すれば本部・本社の相談窓口へ情報共有を行います。
情報共有に当たっては、できる限り事実関係を時系列順に整理して報告することが望ましいです。
カスハラ研修にeラーニングを活用するメリット
「Legal Learning」の「従業員コンプライアンス教育プラン(ビジネスプラン)」は、カスハラ研修に活用できるeラーニングサービスです。「Legal Learning」の活用には、主に以下のメリットがあります。
① カスハラ研修を最小限のリソースで実施できる
② カスハラ防止体制を素早く構築できる
カスハラ研修を最小限のリソースで実施できる
講師が講義を行う場合、資料の準備や当日の講師の手配が必要になるため、労力や人件費の負担が大きくなりがちです。
「Legal Learning」を活用すれば、すでに用意された講座を選択するだけで、簡単にカスハラ研修を実施できます。
カスハラ防止体制を素早く構築できる
カスハラを効果的に防止するためには、カスハラ研修の実施体制を構築することが最も重要な要素の一つです。しかし何から手を付けるべきか分からず、なかなかカスハラ研修を開始できずに悩んでいる企業もあるかと思います。
「Legal Learning」を活用すれば、カスハラ防止のために最も重要となる研修の実施体制を、少ないコストでスムーズに構築することができます。
カスハラ研修の効果を高めるためのポイント
カスハラ研修の効果を高めるためには、以下のポイントに留意しつつ、研修内容の設計や改善に努めましょう。
① カスハラの具体例を分かりやすく示す
② 定期的に繰り返し実施する
③ フィードバックを踏まえて研修内容を改善する
カスハラの具体例を分かりやすく示す
研修において身近な具体例を分かりやすく示せば、カスハラに関する従業員の理解が深まります。ケーススタディを効果的に用いて、具体的にイメージしやすい形でカスハラに関する知識を伝えましょう。
定期的に繰り返し実施する
カスハラ研修を定期的に繰り返し実施すると、カスハラに対する従業員の理解がいっそう深まり、効果的なカスハラ防止につながります。
できれば半年に1回程度、少なくとも1年に1回程度は、定期的にカスハラ研修を実施しましょう。
フィードバックを踏まえて研修内容を改善する
カスハラ研修を受講した従業員に対しては、フィードバックを依頼しましょう。従業員のフィードバックは、カスハラ研修の改善を試みる際に役立ちます。
特に「内容が分かりにくかった」という指摘や、実際に経験したカスハラ事例の報告などを受けた場合には、積極的に検討・反映して、次回以降のカスハラ研修を改善しましょう。
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「研修でそのまま使う」「自社にあわせてカスタマイズしてから使う」などといった用途で自由にご活用ください。