マイナ保険証とは? 登録しないとどうなる?
メリット・デメリット・登録手順・
利用方法・注意点などを分かりやすく解説!
- この記事のまとめ
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「マイナ保険証」とは、健康保険証としての登録を行ったマイナンバーカードのことです。2021年10月から、マイナ保険証が本格的に運用されています。2024年12月2日以降は、従来の健康保険証は新たに発行されず、マイナ保険証を基本とする運用に移行しました。
マイナ保険証には、以下のようなメリットがあります。また、安全性対策も十分に行われている旨が厚生労働省によってアナウンスされています。
・データに基づくより良い医療が受けられる
・手続きなしで高額療養費制度を利用できる
・確定申告時に医療費控除を簡単に受けられる
・医療現場で働く人の負担が軽減されるマイナ保険証を利用するには、マイナンバーカードを取得したうえで、健康保険証として登録する必要があります。
その後、医療機関や薬局のカードリーダーにマイナンバーカードを置いて本人認証などを行うと、マイナ保険証を利用することができます。マイナンバーカードの電子証明書には5年間の有効期限があるので、マイナ保険証の利用に当たっても、5年ごとに電子証明書の更新が必要になります。
また、マイナ保険証で受付ができない場合や、マイナ保険証を登録しない場合の受診方法についてもチェックしておきましょう。この記事ではマイナ保険証について、メリット・利用方法・注意点などを解説します。
※この記事は、2025年2月26日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
マイナ保険証とは
「マイナ保険証」とは、健康保険証としての登録を行ったマイナンバーカードのことです。2021年10月から、マイナ保険証が本格的に運用されています。
すでに多くの医療機関や薬局において、マイナ保険証による受付が行われています。2024年12月2日以降は、従来の健康保険証は新たに発行されず、マイナ保険証を基本とする運用に移行しました。
マイナ保険証のメリット
マイナ保険証には、主に以下のようなメリットがあります。
- データに基づくより良い医療が受けられる
- 手続きなしで高額療養費制度を利用できる
- 確定申告時に医療費控除を簡単に受けられる
- 医療現場で働く人の負担が軽減される
データに基づくより良い医療が受けられる
マイナ保険証を利用すると、マイナンバーカードに処方された薬や特定健診などの情報が登録されます。
医療機関や薬局を利用した際に、情報提供に同意すると、過去の処方薬や特定健診などの情報を医師や薬剤師へスムーズに共有できます。医師や薬剤師はデータを確認しながら診察や調剤を行うことができるため、より良い医療を受けることが可能となります。
手続きなしで高額療養費制度を利用できる
「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担額につき、1カ月ごとに上限を設ける制度です。高額の医療費が発生する場合でも自己負担額が低く抑えられるため、被保険者の経済的な負担が減ります。
高額療養費制度を利用する場合、従来は原則として、医療機関や薬局の窓口で全額を支払った後、別途還付の手続きを行う必要がありました。
事前に「限度額適用認定証」を申請すれば、窓口負担を上限額までに抑えられますが、申請が間に合わなければ一時的に高額な自己負担が発生してしまいます。
マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証がなくても高額療養費制度が自動的に適用され、限度額を超える自己負担が発生しません。
なお、入院時の食費や差額ベッド代、自由診療の費用などは、高額療養費制度の対象外であることにご注意ください。
確定申告時に医療費控除を簡単に受けられる
1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円を超える場合は、超過額に相当する所得控除(=医療費控除)を受けることができます。
医療費控除を受けるためには、従来は医療費の領収書を参照して「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告時に添付する必要がありました。領収書の保管や情報の手入力が面倒なのが大きな難点です。
マイナ保険証を利用すると、マイナポータルとe-Taxを連携することで、医療費控除のデータを自動入力できるようになります。医療費の領収書の管理が不要になるほか、データ入力の手間が省けるのが大きなメリットです。
医療現場で働く人の負担が軽減される
従来は、医療機関や薬局において、飲み合わせの悪い薬や過去の健診情報などを、問診でその都度確認する必要がありました。
マイナ保険証を利用して、医療機関や薬局に対する情報提供に同意すると、医師や薬剤師が過去の処方薬や健診情報などをスムーズに知ることができます。その結果として問診の手間が省け、医療現場における業務の効率化につながります。
さらに、マイナ保険証であれば顔認証付きカードリーダーを用いて資格情報を自動で取得できるため、保険証を確認する事務職員の負担も軽減されます。
マイナ保険証のデメリット
マイナ保険証にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。ただし、いずれも注意していればそれほど深刻なものではありません。
- 有効期限がある|更新手続きが必要
- 紛失すると、再発行に時間がかかる
- 対応していない医療機関がある
- システムに不具合が発生した際は利用できない場合がある
有効期限がある|更新手続きが必要
マイナンバーカードには電子証明書が搭載されており、電子証明書には5年間の有効期限があります。電子証明書の有効期限が切れると、原則としてマイナンバーカードの読み取りが必要な手続きができなくなってしまいます。
健康保険証としての利用については、例外的に有効期限が満了する月の3か月後の月末までは可能です。しかし、3カ月以上経過すると利用できなくなるので、住民票がある市区町村の窓口で更新を申請する必要があります。
なお、医療機関・薬局でマイナ保険証を利用する際には、電子証明書の有効期限の3カ月前から3カ月後まで、顔認証付きカードリーダーで更新アラートが表示されます。
紛失すると、再発行に時間がかかる
マイナ保険証(マイナンバーカード)を紛失すると、再発行には通常時で1~2カ月程度の期間がかかります。緊急であることを伝えれば再発行に要する期間が短縮されることもありますが、最低5日程度はかかります。
マイナ保険証が手元にない場合は、医療機関や薬局では従来の健康保険証を提示するか、または健康保険資格確認書を提示する必要があります。ただし、従来の健康保険証が使えるのは2025年12月1日までです。
どの書類も提示できない場合は、窓口で医療費全額を負担しなければならない可能性があるのでご注意ください。
対応していない医療機関がある
医療機関や薬局ではマイナ保険証への対応が進んでいますが、依然としてマイナ保険証を利用できないところも存在します。
マイナ保険証に対応していない医療機関や薬局を利用する際には、従来の健康保険証または健康保険資格確認書を提示しなければなりません。
各医療機関・薬局におけるマイナ保険証への対応状況は、厚生労働省のウェブサイト上で確認できます。心配であれば念のため、利用する前に医療機関や薬局へ問い合わせましょう。
システムに不具合が発生した際は利用できない場合がある
マイナ保険証は、以下のような理由で利用できないケースが稀にあります。
・顔認証付きカードリーダーなどの機器が壊れている
・ネットワークに不具合が生じている
・マイナンバーカードのICチップが破損している
・停電が発生している
など
マイナ保険証を提示したものの受付ができない場合は、以下のいずれかの方法によって資格確認を受ける必要があります。
- マイナ保険証が使えない場合の対応
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① マイナポータル上で医療保険の資格情報を表示し、窓口職員に画面を提示する
② 保険者から交付される「資格情報のお知らせ」の書面を、窓口職員に画面を提示する
※スマートフォンでの提示等は不可③ ①②のいずれも提示できない場合は、以下の方法による
(a) 再診の場合
医療機関や薬局において資格確認に必要な情報を把握していれば、窓口職員が口頭で確認する(b) 初診の場合
窓口職員から「被保険者資格申立書」の用紙を受け取り、記入して提出する
マイナ保険証の安全性対策
マイナ保険証に関しては、個人情報の漏洩リスクなどを懸念する声がありますが、行政において安全性対策が講じられています。
具体的には、マイナンバーカードにはプライバシー性の高い個人情報は記録されず、偽造防止などにも対応したセキュリティ対策が施されています。仮にマイナンバーを見られたとしても、利用するためには顔写真付き身分証明書などによって本人確認を受ける必要があるため、悪用は困難です。
マイナ保険証を利用する方法
マイナ保険証を利用する際の手順は、以下のとおりです。
① マイナンバーカードを申請・取得する
② マイナンバーカードの健康保険証として登録する
③ 医療機関や薬局でマイナンバーカードを用いて受付をする
マイナンバーカードを申請・取得する
まずは、市区町村にマイナンバーカードの交付を申請し、実際に交付を受ける必要があります。
マイナンバーカードの交付申請は、以下のいずれかの方法によって行います。オンライン申請は、マイナンバーカード総合サイトから行うことができます。
- PCやスマートフォンからのオンライン申請
- 郵便による申請
- まちなかの証明写真機からの申請
マイナンバーカードの健康保険証として登録する
マイナンバーカードを取得したら、それを健康保険証として利用するための登録を行いましょう。
マイナ保険証の利用登録は、以下のいずれかの方法によって申請します。登録が完了すると、マイナ保険証を利用できるようになります。
- 顔認証付きカードリーダーからの申請
- マイナポータルからの申請
- セブン銀行ATMからの申請
医療機関や薬局でマイナンバーカードを用いて受付をする
マイナ保険証の登録が完了したら、医療機関や薬局に持参して、以下の手順で受付をしましょう。
(a) マイナ保険証を顔認証付きカードリーダーの読み取り口に置く
(b) 顔認証または暗証番号によって本人確認を受ける
(c) 過去の健康医療情報の提供につき、同意するか否かを選択する
過去の健康医療情報の提供については、同意してもしなくてもマイナ保険証での受付はできます。ただし、より良い医療を受けるためには、情報提供について同意することが推奨されます。
上記(a)~(c)の手続きが済むと、マイナ保険証による受付が完了します。カードリーダーからマイナ保険証を取り出すのを忘れないようにしましょう。
マイナ保険証の登録を解除する方法
マイナ保険証の利用登録を解除したい場合は、保険者に対して解除の申請を行いましょう。
例えば、市区町村の国民健康保険であれば市区町村役場、勤務先の健康保険であれば協会けんぽや健康保険組合などに対して解除の申請を行います。
解除申請の具体的な手続きについては、加入している健康保険の保険者にお問い合わせください。
マイナ保険証を使わない場合の受診方法|資格確認書による受診
マイナンバーカードを保有していない、またはマイナ保険証の利用登録をしていない人は、資格確認書を提示すれば健康保険を利用することができます。
資格確認書は、現行の健康保険証の有効期限内に、保険者から無償で交付されます。郵送などによって資格確認書の交付を受けたら、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。