【知財高判令和6年10月30日】
有名すしチェーンと類似した
すし店の名称等の表示について、
商標権侵害が否定された事例

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この記事のまとめ

知財高裁令和6年10月30日判決の事案では、日本国内で「すしざんまい」の名称で飲食店を展開するX社が、マレーシアやシンガポールで「Sushi Zanmai」という名称の店舗を展開するY社に対し、商標権侵害および不正競争防止法違反を理由に営業上の表示の差止めと損害賠償を請求しました。

知財高裁は、Y社による商標権侵害を否定しました。その理由として知財高裁は、Y社のウェブサイト全体の構成や内容に鑑みると、「Sushi Zanmai」などの表示は食材の海外輸出を検討する国内事業者に向けた各ウェブページの中で、Y社の事業を紹介するために使用されているに過ぎないことなどを挙げています。

本判決は事例判決に過ぎませんが、ウェブサイト上の表示に関する商標権侵害の成否を、サイト全体の構成や内容を総合的に考慮して判断するという枠組みが示された点は一定の参考となります。

裁判例情報
知財高裁令和6年10月30日判決

※この記事は、2025年9月25日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

事案の概要

日本国内で「すしざんまい」の名称で飲食店を展開するX社が、マレーシアやシンガポールで「Sushi Zanmai」という名称の店舗を展開するY社に対し、商標権侵害および不正競争防止法違反を理由に営業上の表示の差止めと損害賠償を請求した事案です。

X社は「すしざんまい」に関する複数の商標権を保有し、これを国内外の広告や営業活動に使用してきました。他方でY社は、グループ会社である「スーパースシ」を通じて飲食店を運営し、そのウェブページやSNSアカウントに「Sushi Zanmai」などの表示を使用していました。

X社は、Y社による「Sushi Zanmai」などの表示が日本国内の顧客に混同を生じさせ、自社ブランドの信用を毀損すると主張しました。

原審の東京地裁は、Y社による商標権侵害を認定し、X社の差止請求および損害賠償請求の一部を認容しました。Y社は原審判決を不服とし、知財高裁に対して控訴しました。

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