取適法のNG・禁止行為チェックリストを確認!
下請法からの変更点や
委託事業者(旧:親事業者)の注意点を
分かりやすく解説!
- この記事のまとめ
-
2025年5月23日に、下請法の改正法が公布されました。改正法は2026年1月1日から施行され、下請法は「取適法」へと改められます。
取適法の適用範囲は下請法よりも広がったほか、委託事業者(旧:親事業者)の禁止行為も追加されました。他社に業務を発注している事業者は、取適法の適用の有無や、委託事業者の禁止行為を確認しておきましょう。
記事の最後にチェックリストもご用意しています。現場との認識を揃えるためにも、項目に該当するケースがないか、社内の確認にご活用ください。
この記事では、取適法に基づく委託事業者の禁止行為について、下請法からの変更点や委託事業者の注意点などを解説します。
※この記事は、2025年11月17日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- ・下請法…下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号)による改正前の下請代金支払遅延等防止法
- ・取適法…下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号)による改正後の製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
目次
取適法(旧:下請法)とは
2025年5月23日に、下請法の改正法が公布されました。改正法は2026年1月1日から施行され、下請法は「取適法」へと改められます。
下請法が取適法に変更された理由
今回の改正により、法令の名称が以下のとおり変更されます。
【変更前】
下請代金支払遅延等防止法
※略称は「下請法」
【変更後】
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
※略称は「中小受託取引適正化法」「中小受託法」「取適法」など
上記の法令名称の変更は、発注者と受注者が対等な関係にあることを強調するためのものです。法令名称とともに、以下に挙げる用語の変更も行われます。
- 親事業者 → 委託事業者
- 下請事業者 → 中小受託事業者
- 下請代金 → 製造委託等代金
取適法が適用される取引|下請法よりも範囲が広がった
下請法から取適法への改正には名称のみならず、規制内容の変更も含まれています。
特に以下の2点の変更により、適用される取引の範囲が従来よりも広がったことにご注意ください。
| 取適法が適用される取引の拡大 |
|---|
| (a) 運送委託の対象取引への追加 発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引(=特定運送委託)も、資本金基準または従業員基準を満たす場合は取適法が適用されるようになりました。 (b) 従業員基準の追加 下請法の適用の有無は、当事者の資本金の額または出資の総額によって判定する仕組みとなっていました。取適法ではこれに加えて、従業員数で判定する基準が新設されました。 具体的には、以下の取引が新たに取適法の適用対象となります。 ・委託事業者の従業員数が300名超、かつ中小受託事業者の従業員数が300名以下である製造委託、修理委託および特定運送委託 ・委託事業者の従業員数が100名超、かつ中小受託事業者の従業員数が100名以下である情報成果物作成委託および役務提供委託 |
公布日・施行日
下請法から取適法への変更等の公布日および施行日は、以下のとおりです。
- 公布日・施行日
-
公布日:2025年5月23日
施行日:2026年1月1日
取適法による委託事業者(旧:親事業者)の禁止行為
取適法では、委託事業者(旧:親事業者)の禁止行為として以下の事項が定められています。すでに下請法で禁止されていたもののほか、今回の改正で新たに追加されたものも含まれています。
① 受領拒否
② 製造委託等代金の支払遅延
③ 製造委託等代金の減額
④ 返品
⑤ 買いたたき
⑥ 購入・利用強制
⑦ 報復措置
⑧ 有償支給原材料などの対価の早期決済
⑨ 不当な経済上の利益の提供要請
⑩ 不当な給付内容の変更、不当なやり直し
⑪ 協議に応じない一方的な代金決定
委託事業者が禁止行為をすると、中小受託事業者の了解を得ている場合や、委託事業者に違法性の意識がない場合も取適法違反に該当します。禁止行為の内容を正しく理解して、取適法違反に当たる行為をしないようにご注意ください。
取適法による委託事業者の禁止行為について、具体的な内容を解説します。
受領拒否
委託事業者は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒んではなりません(取適法5条1項1号)。
- 受領拒否の具体例
-
・委託事業者が一方的に発注を取り消して、中小受託事業者が納入した製品を受け取らず、持ち帰るように要求した。
・委託事業者が一方的に納期を延期して、当初の納期において中小受託事業者が納入した製品を受け取らなかった。

なお、中小受託事業者の責めに帰すべき理由としては、納入物が契約に適合していないことや、納期を大幅に過ぎたために納入物自体が不要となったことなどが挙げられます。
これらの場合には、委託事業者は中小受託事業者の給付の受領を拒否できると考えられます。












