風評被害とは?
意味・主な原因・具体例・
企業がとるべき対応などを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「風評被害」とは、根拠のない情報が拡散されることにより、事業者が売上の低下や社会的信用の低下などの被害を受けることをいいます。
例えばSNSや報道を通じて、製品やサービスに欠陥がある、反社会的勢力とつながっているなどの虚偽情報が拡散されると、それが事実でなくても企業の社会的信用が害されます。こうした風評被害を放置すると、売上や人材採用などに悪影響が生じ、事業を立て直すのが困難になってしまいます。
企業が風評被害を受けたときは、いち早く正しい情報を発信して、社会の誤解を解くことが大切です。また、風評被害を拡大させた者を発信者情報開示請求などによって特定したうえで、損害賠償請求や刑事告訴を行いましょう。
この記事では風評被害について、主な原因や具体例、企業がとるべき対応などを解説します。
※この記事は、2026年8月31日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
風評被害とは
「風評被害」とは、根拠のない情報が拡散されることにより、事業者が売上の低下や社会的信用の低下などの被害を受けることをいいます。
例えば、SNS上で製品の欠陥や役員の不適切な行動についての虚偽情報が拡散されると、それを根拠なく信じる人が多数発生します。その結果、何も悪いことをしていないのに企業イメージが低下してしまいます。このようなケースは、風評被害の典型例です。
風評被害を放置すると、企業イメージの低下によって業績の悪化や従業員の離職、新規採用の難航といった事態につながるおそれがあります。企業としては、風評被害を最小限に食い止めるための迅速な対応が求められます。
風評被害と誹謗中傷の違い
企業のイメージを不当に損なうものとしては、風評被害のほかに「誹謗中傷」が挙げられます。誹謗中傷とは、根拠のない情報や悪意のある言動によって、他人に精神的ショックを与えたり、他人の評判を不当に貶めたりする行為です。
特に近年ではSNSが発展したことにより、誹謗中傷に当たる内容を簡単に、気軽に投稿できてしまうことが問題視されています。
誹謗中傷は言動そのものを指すのに対し、風評被害は企業イメージの低下などの被害(損害)を指します。
特に、誹謗中傷の言動が原因となって風評被害が生じるケースがよく見られます。例えば「企業がSNS上で誹謗中傷を受け、その言動が無秩序に拡散された結果、業績の悪化などの風評被害が生じた」というケースであれば、誹謗中傷が原因、風評被害が結果の関係にあります。
なお、誹謗中傷は「悪意のある言動」という側面が強いのに対し、風評被害は悪意のない言動によって広がるケースも少なくありません。
特に「無知」や「不安」などが原因で、多くの人が根拠のないネガティブな情報を信じてしまうことにより風評被害を生むことがよくあります。企業が風評被害の対策を講ずるに当たっては、このような大衆心理を念頭に置きつつ、どのような対応が効果的であるかを検討することがポイントになります。
注意点や誤用の危険性
企業が実際に不適切な行為をした場合に、正当な批判やクレームが行われたことによって企業イメージが低下したとしても、それは「風評被害」とは呼びません。根拠のない風評被害と、正当な批判やクレームは区別する必要があります。
企業としては、自社に対する批判的な報道などに対し、安易に「風評被害を受けた」と主張することは避けるべきです。批判や問題提起そのものを封じようとしている、企業としての説明責任を果たしていないといった印象を与え、さらなる企業イメージの低下につながるリスクがあります。
風評被害だと断定する前に、事実関係を正確に把握することが重要です。そのうえで、事実に基づいた反論や情報発信を適切に行えば、風評被害の拡大を最小限に抑えられる可能性が高まります。
風評被害が広がる主な原因と対策
風評被害が広がる主な原因としては、SNSによる誤情報や憶測の急速な拡散や、企業の説明不足・対応の遅れなどが挙げられます。
企業としては、風評被害に関する事実関係を迅速かつ正確に把握し、公式の情報発信によってその拡大を食い止めることが求められます。そのためには、平時から風評被害の発生を想定した対策を講じておくことが重要です。
例えば、情報収集や部署間の連絡に関する体制を整備すること、風評被害を確認した際の対応手順を定めておくことなどが有効と考えられます。さらに、平時から透明性のある情報発信を行い、企業に対する信頼を蓄積しておくことも風評被害の拡大防止につながります。
風評被害の具体例・事例
企業の風評被害に関する次の具体例を、実際に発生した事例とともに紹介します。
① 製品やサービスに関する虚偽情報の拡散
② 反社会的勢力とのつながりがあるとする虚偽情報の拡散
③ 役員の私生活に関する根拠のない噂の拡散
④ 経営状況に関する虚偽情報の拡散
製品やサービスに関する虚偽情報の拡散
製品について「危険である」「健康被害を生じさせる」などの虚偽情報がSNSなどで拡散されると、消費者の不安が掻き立てられ、売上の減少や企業イメージの低下につながる可能性があります。
2025年には、日産化学株式会社が販売する除草剤「ラウンドアップ」について、SNS上で「猛毒」「枯れ葉剤と同じ成分」などの科学的根拠に基づかない情報を投稿した事案につき、同社が複数の投稿者を相手に損害賠償請求訴訟を提起しました。
最終的には、一部の投稿者が和解に応じ、和解に応じなかった投稿者に対しては損害賠償が命じられたとのことです。
| 参考:日産化学株式会社「ラウンドアップ®に対する誹謗中傷に対する損害賠償請求訴訟につきまして」 |
反社会的勢力とのつながりがあるとする虚偽情報の拡散
近年では、企業間取引から暴力団などの反社会的勢力を排除する動きが強まっています。そのため、企業や役員について「暴力団と関係がある」「反社会的勢力から資金提供を受けている」などの虚偽情報が流布されると、取引先や金融機関から取引を敬遠されるなど、深刻な信用低下につながります。
当時東京スタンダード市場に上場していたAbalance株式会社(2026年9月26日をもって上場廃止)の連結子会社であるWWB株式会社およびその代表取締役は、会社と代表取締役が暴力団と関係を有しているかのような表現を用いたとして、株式会社Glass Beeらを相手に損害賠償請求訴訟を提起しました。
Abalance株式会社のニュースリリースによれば、裁判所によって名誉毀損による不法行為が認定され、損害賠償と該当表現の削除を命ずる判決が言い渡されたとのことです。
| 参考:Abalance 株式会社「当社連結子会社に関する訴訟の判決結果に関するお知らせ」 |
役員の私生活に関する根拠のない噂の拡散
役員の私生活について、異性関係や違法行為などの根拠のない情報が拡散されると、役員個人の名誉が傷つけられるだけでなく、企業イメージの低下にもつながる可能性があります。
東京地裁平成15年7月17日判決では、化粧品の販売などを行う株式会社ディーエイチシーの代表取締役について、インターネット上の掲示板で「女性従業員を愛人として扱っている」という趣旨の投稿がなされた事案が問題となりました。
東京地裁は名誉毀損による不法行為を認定し、会社に対して300万円、代表取締役個人に対して100万円の損害賠償を支払うよう掲示板の管理運営者に命じました。
経営状況に関する虚偽情報の拡散
「倒産する」「資金繰りが破綻している」などの虚偽情報が広まると、顧客や取引先の信用不安を招き、顧客流出や取引停止につながるおそれがあります。
東京地裁平成23年11月8日判決では、投資用マンションの販売などを行う株式会社エフ・ジェー・ネクストの元従業員が、同社の顧客に対して「倒産のおそれがある」「倒産すれば子会社も連鎖倒産する」などと告知した事案が問題となりました。東京地裁は、従業員の言動によって同社の営業上の信用が害されたことを認定し、元従業員に損害賠償を命じました。
企業が風評被害を放置することのリスク
企業が風評被害を放置すると、虚偽の情報が社会全体で事実として受け止められたままになってしまいます。悪い企業イメージが定着して、顧客離れや従業員の離職、新規採用の難航といった事態につながりかねません。
風評被害による悪影響は、放置されている期間が長ければ長いほど深刻化しやすい傾向にあります。事業を立て直すのが困難になり、最悪の場合は倒産に追い込まれてしまうリスクも否定できません。
SNSや報道などで根拠のない情報が拡散されているのを発見したら、放置せず迅速に対応することが求められます。
風評被害を受けた企業がとるべき対応
SNSや報道などによって風評被害を受けた企業は、その悪影響を最小限に食い止めるため、次の対応を検討しましょう。
① 正しい情報の発信
② 発信者情報開示請求による投稿者の特定
③ 損害賠償請求
④ 刑事告訴
正しい情報の発信
誤った情報を訂正するため、事実関係を迅速かつ正確に確認したうえで、正しい情報を公式に発信しましょう。
例えば「製品に有害物質が含まれている」という虚偽情報が広がった場合、クレームの内容や製品の仕様などを調査したうえで、事実に基づいて誤情報であることを説明します。プレスリリースや記者会見による公の情報発信のほか、必要に応じて取引先や顧客へ個別に説明することも考えられます。
注意すべきなのは、未確認の情報を事実と断定して発信したり、感情的な発信をしたりしないことです。事実と推測を区別し、発信する情報については客観的な資料によって裏付けながら、一貫した説明を行うことが求められます。
発信者情報開示請求による投稿者の特定
投稿者を特定して損害賠償請求や刑事告訴などにつなげるために「発信者情報開示請求」を検討しましょう。
発信者情報開示請求は、サイト管理者やインターネット接続業者などに対し、投稿者の個人情報の開示を求める手続きです。主に裁判所に対する申立てによって行います。発信者情報開示請求によって投稿者を特定できれば、損害賠償請求や刑事告訴ができるようになります。
発信者情報開示請求を行うためには、権利侵害を受けた事実を疎明することが必要です。また、誹謗中傷などの投稿に紐づいたIPアドレスなどの情報は、一定期間が過ぎると削除されてしまう可能性があります。
そのため、不適切な投稿を発見したら速やかに証拠を保存しましょう。URL・投稿日時・投稿者名・投稿内容などをスクリーンショット等で保存したうえで、ログが失われる前に速やかに検討や手続きを進めることが重要です。
損害賠償請求
風評被害によって受けた損害を金銭的に回復し、投稿者に責任を負わせるために損害賠償請求を検討しましょう。
風評被害によって引き起こされた損害は、幅広く損害賠償の対象になります。例えば、売上の減少や対応に要する人件費などについて損害賠償を請求できる可能性があります。
損害賠償請求を行う際には、まず投稿者に連絡して和解交渉を試みるのが一般的です。発信者情報開示請求によって特定した投稿者に対し、内容証明郵便を送付するなどして賠償金の支払いを求めます。基本的には、弁護士を代理人に立てて対応するのがよいでしょう。
投稿者が損害賠償請求に応じないときは、裁判所に対する訴訟提起を検討します。
訴訟では、投稿と損害の間の因果関係などを客観的証拠に基づいて立証しなければなりません。代理人弁護士と協力して、十分な準備を整えたうえで訴訟に臨みましょう。
刑事告訴
悪質な投稿については、投稿者を刑事告訴することも検討すべきです。
刑事告訴は、被害者などが犯罪をした人の処罰を求める手続きです。警察官などに対して告訴状を提出して行います。刑事告訴が受理されると犯罪捜査が行われるため、投稿者の摘発につながる可能性があります。
例えば、企業の信用を低下させるような虚偽の事実を拡散した場合は「信用毀損罪(刑法233条前段)」や「偽計業務妨害罪(同条後段)」などに該当する可能性があります。
営業秘密の不正な使用・開示等については、不正競争防止法違反によって処罰の対象となることがあります。
刑事告訴を行う際には、犯罪の成立要件を踏まえたうえで、それに該当する事実を客観的証拠により示すことが大切です。警察や検察が捜査に動くきっかけとするのに、十分な資料を提出することが求められます。
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