【最判令和8年7月7日】
火災事故と解体費用との相当因果関係、
および損益相殺と過失相殺の
先後に関する考え方が示された事例

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この記事のまとめ

最高裁令和8年7月7日判決では、岐阜市が所有するごみ処理施設につき、施設の運転・保安業務を受託していたY社の従業員Aの重過失により、溶接作業中に火災が発生した事案が問題になりました。
施設は修繕不能として解体され、岐阜市はY社に対して代替処理費などの損害賠償を請求しました。

本件では下記の2つが争点となりました。
① 施設の解体費用が損害賠償の対象に含まれるか(相当因果関係の有無)
② 運転管理費の損益相殺と、過失割合による減額(過失相殺)はどちらを先に行うか

最高裁は、将来における解体の時期や可能性(蓋然性)について具体的な検討を行い、「将来いつか解体される」というだけでは、火災事故と施設の解体費用との相当因果関係は否定されないとしました。
また、岐阜市が支出を免れた運転管理費の損益相殺と、岐阜市の過失割合(3割)による減額(過失相殺)は、損益相殺を先に行うのが相当であると判示しました。

解体を伴う大規模な設備事故や、損益相殺と過失相殺の両方が問題になる事故などに対しては、本判決が高い先例的価値を有すると考えられます。

裁判例情報
最高裁令和8年7月7日判決(裁判所ウェブサイト)

※この記事は、2026年9月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

事案の概要

岐阜市が所有するごみ処理施設につき、施設の運転・保安業務を受託していたY社の従業員Aの重過失により、溶接作業中に火災が発生した事案です。施設が焼損・水損して使えなくなったため、岐阜市はY社に対して不法行為に基づく損害賠償を請求しました。

Aは平成27年10月、施設内のコンベア下にある金属板の亀裂を補修するために溶接作業を行ったところ、重過失により出火しました。火災は複数のコンベアに燃え広がり、延べ床面積4253.81㎡のうち1280㎡が焼損、931㎡が水損する大規模な損傷が生じました。なお、施設所有者である岐阜市にも3割の過失が認定されています。

施設は修繕不能として解体されました。施設の法定耐用年数は38年で、事故当時において竣工から約18年が経過していました。

岐阜市は火災事故によって施設が使えなくなった後、仮設破砕機を使用するなどして従前の粗大ごみ処理を継続し、令和3年3月までに5億1451万円余りの代替処理費を支出しました。

その一方で、火災事故によって施設を使用しなくなったため、従来かかっていた運転管理費3億9278万円余りの支出を免れました。

本件における主な争点は、次の2点です。

① 施設の解体費用が損害賠償の対象に含まれるか
② 運転管理費の損益相殺と、過失割合による減額(過失相殺)はどちらを先に行うか

原審の名古屋高裁は上記①について、将来的にいずれ解体される施設である以上、解体費用は火災事故と相当因果関係のある損害ではないとして、損害賠償の対象から除外しました。
上記②については、過失割合による減額(過失相殺)を先に行い、その後に運転管理費の損益相殺を行うとしました。

岐阜市は原審の判断を不服として、最高裁に上告しました。

判決の要旨

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