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【2022年4月15日施行】 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」 のポイントを解説!

磯田翔弁護士

磯田翔弁護士

(公開:2022/07/12)

この記事を書いた人

弁護士 磯田 翔

三浦法律事務所

慶應義塾大学法科大学院法務研究科中退
2016年弁護士登録(東京弁護士会所属)、2016年~18年三宅・今井・池田法律事務所において倒産・事業再生や一般企業法務の経験を積み、2019年1月より現職。

この記事のまとめ

2022(令和4)年3月4日に、全国銀行協会が事務局を務める中小企業の事業再生等に関する研究会が「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を策定・公表し、同年4月15日より同ガイドラインが施行されました。

また、同日、経営者保証ガイドラインについても、「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的な考え方」が公表されるとともに、経済産業省、金融庁、財務省が連名で「中小企業活性化パッケージ」を発表しました。

新たなガイドラインでは、従前の「私的整理に関するガイドライン」とは異なり、中小企業を念頭として、
✅平時
✅有事
✅事業再生計画成立後のフォローアップ
の各段階における中小企業(債務者)及び金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化し、また第三者支援専門家が関与する新たな準則型私的整理手続を定めて、迅速・柔軟な事業再生等を可能とすることを目的としています。

中小企業事業再生ガイドラインでは、特に「平時」の段階における中小企業(債務者)及び金融機関の対応を定めたことに特徴があるといえます。

この記事では、中小企業事業再生ガイドラインの概略やポイントについて解説します。

中小企業事業再生ガイドライン公表・改定の背景

これまで、中小企業向けに特化して、企業の債務処理の解消を支援する民間ガイドラインは存在していませんでした。2001年9月に策定された「私的整理に関するガイドライン」(以下「私的整理ガイドライン」といいます。)は、大企業や中堅企業が念頭に置かれており、従前より、中小企業の事業再生のためのガイドラインの策定が求められていました。

このような中、2021年6月18日に閣議決定された「成長戦略実行計画」では、「中小企業の事業再構築・事業再生の環境整備」として、中小企業の実態を踏まえた事業再生のための私的整理等のガイドラインの策定について検討するものとされました。

この背景には、2020年以降に世界的に流行した新型コロナウイルス感染症による、日本経済への影響もあると考えられます。特に、日本の企業のうち約99.7%は中小企業であって、中小企業の多くは、新型コロナウイルス感染症による影響を受けていました。実際、「成長戦略実行計画」の中では、中小企業のうち34.5%の企業が、コロナ禍の中で債務の過剰感があると回答している旨が報告されています。

「成長戦略実行計画」を受け、中小企業の事業再生・廃業(以下「事業再生等」といいます。)に関して、関係者間の共通認識を醸成し、事業再生等に係る総合的な考え方や具体的な手続等をガイドラインとして取りまとめることを目標として、全国銀行協会を事務局とし、2021年11月5日、「中小企業の事業再生等に関する研究会」が発足しました。そして、2022年3月4日、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(以下「中小企業事業再生ガイドライン」といいます。)が公表され、同年4月15日より施行されています。

この記事では、新たに公表された中小企業事業再生ガイドラインの概略やポイントについて、解説していきます。なお、この記事では、中小企業事業再生ガイドラインの対象となる「中小企業者」(中小企業基本法2条1項)につき、便宜上、「中小企業」といいます。

私的整理とは

私的整理の定義

そもそも、私的整理とは、どういった手続でしょうか。

いわゆる「倒産・再生」と呼ばれる手続の中で、法律に定めがある代表的なものとして、破産、民事再生、会社更生等の法的手続があります。

これに対して、私的整理は、法律に定められた法的手続によらず、債務整理を行うことを言います。私的整理には、債務を整理して事業を継続させる再建型(再生型)もあれば、事業を消滅させる清算型(廃業型)もあります。

また、私的整理ガイドラインや事業再生ADR等のように、公表されているルールに基づいて進められる私的整理もあれば、これらのルールに基づかずに、任意で進められる私的整理もあります。

この記事で解説する中小企業事業再生ガイドラインは、公表されているルールに基づいて進められる私的整理に該当します。

私的整理を行うメリット・デメリット

法的手続によらず、私的整理を選択するメリット・デメリットとして、一般的に以下の点が挙げられます。

私的整理によるメリット

・非公開で密かに協議を行うことができる
・対象債権者を金融機関等に限定することができる
・商取引債権を支払うことにより、事業価値を維持することができる

私的整理によるデメリット

・対象債権者全員の同意が必要である
・専門のアドバイザー(弁護士、公認会計士、コンサルタント等)を起用する必要がある

このように私的整理は、非公開の場において、対象となる債権者を金融機関等に限定して協議して、一体となって合意を形成するものと言えます。そのため、取引先には知られないままに、商取引債権の支払を継続することによって、事業価値の毀損を防止することができます。

他方で、あくまでも私的整理は、対象となる債権者全員の同意を得られないと成立しません。そのため、企業としては、金融債権者の理解・同意が得られるように、丁寧な説明や情報開示が求められます。

中小企業事業再生ガイドラインの目的

中小企業事業再生ガイドラインは、上記で説明した私的整理のうち、中小企業向けの民間ルールを定めたものです。ガイドラインは三部構成となっており、それぞれ以下の内容が定められています。

第一部:ガイドラインの目的等
第二部:中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方
第三部:中小企業の事業再生等のための私的整理手続

まず、ガイドラインの第一部では、以下の二つの目的が掲げられています。

中小企業事業再生ガイドラインの目的

①中小企業の「平時」、「有事」、「事業再生計画成立後のフォローアップ」、各々の段階において、中小企業(債務者)、金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化し、中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方を示すこと
②新型コロナウイルス感染症による影響からの脱却も念頭に置きつつ、より迅速かつ柔軟に中小企業者が事業再生等に取り組めるよう、新たな準則型私的整理手続を定めること

中小企業の事業経営にあたっては、中小企業と金融機関との良好な信頼関係が重要です。そのため、1点目の目的では、中小企業と金融機関が、お互いの立場をよく理解し、共通認識のもとで継続的かつ良好な信頼関係の構築・強化して、融資の円滑化、また中小企業が事業の発展や再構築等への取組意欲の増進を図り、中小企業の活力を向上することが掲げられています。金融機関からの融資への返済に窮して、すぐに事業を廃業してしまったり、成長・発展を諦めてしまったりするのではなく、中小企業が債務を整理して再チャレンジする機会・意欲を与えることを目的としています。

2点目の目的は、中小企業が私的整理を実施にするに当たって、準拠すべきルールを定めることです。ガイドラインに定められたルールでは、中立かつ公平・公正な第三者の支援専門家が、中小企業が策定する事業再生・弁済計画の相当性や経済合理性等を検証することを通じて、中小企業や金融機関等による迅速かつ円滑な私的整理手続を可能としています。

中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方

概要

次に、ガイドラインの第二部では、中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方が定められています。ガイドラインの1点目の目的について、詳細を定めるものです。

第二部では、「平時」、「有事」、「事業再生計画成立後のフォローアップ」の各段階に分けて、中小企業や金融機関が留意すべき事項について定められています。

  中小企業 金融機関
平時 ・収益力の向上と財務基盤の強化
適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
・法人と経営者の資産等の分別管理
予防的対応
・経営課題の把握・分析等
・最適なソリューションの提案
・中小企業に対する誠実な対応
予兆管理
有事 ・経営状況と財務状況の適時適切な開示等
本源的な収益力の回復に向けた取組
事業再生計画の策定
・有事における段階的対応
・事業再生計画の策定支援
・専門家を活用した支援
・有事における段階的対応
事業再生計画成立後 ・事業再生計画の実施に向けた取組
・金融機関への適時適切な状況方向
・事業再生計画の継続的なモニタリング
・経営相談や経営指導
・事業再生計画の見直しの要否の検討・提案等

平時における中小企業と金融機関の対応

特に、ガイドラインでは、「平時」における留意事項が定められている点が特徴です。

これは、中小企業が有事に陥らないための予防的効果があることだけではありません。平時の段階から、中小企業と金融機関が適時適切な対話を通じて信頼関係を構築しておくことによって、仮に中小企業が有事に陥った場合でも、金融機関による迅速で、円滑な支援検討を可能とし、これにより中小企業の早期の事業再生等に資することが期待されています。

そのためには、中小企業は、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保に努めるとともに、有事へ移行する兆候を自覚した場合には、

・金融機関へ報告する
・専門家等の助言を得る
・本源的な収益力の改善に向けた事業改善計画の策定等の予防的対応をとる

ことが重要であるとされています。

他方で、金融機関としても、中小企業から開示・説明を受けた事実や内容だけをもって中小企業に不利な対応を行わないように努め、また有事への段階的な移行の兆候を把握することに努めるとともに、事業改善計画の策定やその実行に関する主体的な取組を促し、支援するように予兆管理が求められています。

有事における中小企業と金融機関の対応

有事」とは、ガイドラインにおいて、「収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じたため、経営に支障が生じ、又は生じるおそれがある場合」とされています。

有事においては、「本源的な収益力の回復」が必要不可欠です。債務返済猶予や債務減免等によって借入金の負担が軽減されたとしても、「平時」に有していた収益力と同水準を確保するだけでは、抜本的な事業再生を行うことはできません。

ポストコロナを見据えた成長を実現するためには、中小企業自身が、自律的・継続的な成長に向けて、収益力の回復に取り組むことが必要です。

事業計画成立後のフォローアップ

事業再生計画の成立は、中小企業の再生のスタートラインであって、計画達成に向けたフォローアップも必要です。

事業再生計画成立後」において、外部専門家や主要債権者は、計画の遂行状況を定期的にモニタリングします。その結果、計画と実績の乖離が大きい場合には、中小企業や主要債権者が、相互に協力して乖離の理由を分析したうえで、計画の見直しや法的整理、廃業を含めた抜本的な対策を検討する必要があります。

私的整理検討時の留意点

中小企業の債務整理においては、経営者の保証債務の整理も避けて通れず、保証債務の問題が現実化することから経営者が廃業等を決断できない場合もあります。

そのため、中小企業事業再生ガイドラインでは、中小企業の私的整理を行う場合には、その中小企業の経営者の保証債務についても、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証ガイドライン」といいます。)を積極的に活用する等して、中小企業の主債務と一体に整理を図るように努めることが求められています。

そして、中小企業ガイドラインの公表に併せて、経営者保証に関するガイドライン研究会で定めた「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」が公表されており、両ガイドラインが一体的に運用されることが期待されています。

また、中小企業が選択した私的整理手続の協議が残念ながら不調に終わって、法的整理手続に移行する場合があります。

しかしながら、このような場合にも、中小企業と金融機関は、移行後の手続において、従前の私的整理手続における合意又は同意事項を尊重するものとしています。これは、仮に手続が移行したとしても、中小企業と金融機関が双方誠実に協力し、手続間の円滑な移行を行うためです。

中小企業の事業再生等のための私的整理手続

私的整理手続の基本的な考え方

中小企業事業再生ガイドラインの第三部では、具体的な私的整理手続(以下「中小企業版私的整理手続」といいます。)が定められています。

具体的には、経営困難な状況にある中小企業を対象に、法的手続によらずに、中小企業と金融機関等の間の合意に基づき、債務について返済猶予、債務減免等を受けることにより、中小企業の円滑な事業再生等を行うことを目的として、各種ルールが定められています。

このようなルールは、あくまでも法律上定められたものではないため、法的拘束力はありません。しかしながら、銀行や信用金庫等の金融機関をはじめとした金融界・産業界を代表する者や、弁護士等の中立公平な専門家、学識経験者等とともに、協議を重ねて策定されたものです。

そのため、債務者である中小企業、債権者である金融機関及びその他の利害関係人によって、自発的に尊重され遵守されることが期待されています。

なお、中小企業版私的整理手続による場合、法的手続による場合と比較して、事業価値や資産等の毀損が少ない等、中小企業と対象債権者双方にとって、相当性や合理性があることが前提とされています。

再生型私的整理手続について

再生型私的整理手続は、事業再生計画案を作成し、対象債権者全員の同意を得たうえで、債務の返済猶予や減免を行うものです。

この再生型私的整理手続において、対象となる債権者は、「金融機関」(銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合及び政府系金融機関)や信用保証協会、サービサー等の貸金業者です。

再生型私的整理手続のフローは、概ね下図のとおりです。

① 再生型私的整理の開始
・主要債権者に対して、手続利用の申出
・主要債権者全員からの同意を得て、第三者支援専門家を選任
・第三者支援専門家は、中小企業の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を開始
② 一時停止の要請
・資金繰りの安定化のために必要があるときは、対象債権者に対して、元本返済等の一時停止を要請(※1)
③ 事業再生計画案の立案・内容・調査報告
・中小企業は、開始から3~6か月程度で、自ら又は外部専門家から支援を受けて、事業再生計画案を作成
・事業再生計画案の内容は、中小企業事業再生ガイドライン20頁から21頁参照(※2)
・第三者支援専門家は、独立して公正な立場で、事業再生計画案の内容の相当性や実行可能性等について調査し、調査報告書を作成
④ 債権者会議の開催と事業再生計画の成立
・原則として、全ての対象債権者による債権者会議を開催
・第三者支援専門家が、対象債権者全員に対して、事業再生計画案の調査結果を報告
・事業再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行い、対象債権者の合意形成向けた努力
・全ての対象債権者が同意した場合には、事業再生計画が成立
・全ての対象債権者から同意を得ることができないことが明確になった場合には、私的整理手続が終了(※3)
⑤ 保証債務の整理
・経営者の保証人が保証債務の整理を図る場合には、経営者保証ガイドラインを活用して、中小企業の主債務と一体的に整理
⑥ 事業再生計画成立後のモニタリング
・外部専門家や主要債権者は、計画成立後3事業年度を目安として、定期的なモニタリングを実施
・主要債権者による、計画達成に向けた助言
・計画の変更や抜本再建、法的整理手続、廃業等への移行

※1. 一時停止の要請は、原則として倒産法上の「支払停止」や銀行取引約定書に定められた期限の利益喪失事由に該当しないと考えられています。
※2. 特に、経営責任に関しては、経営者の退任を必須としていません。経営者責任の明確化の内容として、役員報酬の削減、経営者貸付の債権放棄、資材提供や支配株主からの離脱等もあり得るものとされています。
※3. なお、対象債権者は、事業再生計画案に対して不同意とする場合には、速やかにその理由を第三者支援専門家に対して、誠実に説明する義務を負うとされています。これにより、対象債権者に対して、より一層事業再生計画案を誠実に検討することを求め、不合理な理由によって再生計画の成立が阻害されないようにすることが期待されています。

廃業型私的整理手続について

廃業型私的整理手続は、弁済計画案を作成し、対象債権者全員の同意を得たうえで、一部弁済を実行し、残存する債務について免除を受けるものです。

この廃業型私的整理手続において、対象債権者には、再生型私的整理の対象となる債権者に加えて、リース債権者も含まれます。これは、廃業型の場合には、リース対象物件も処分し清算することが想定されているためです。

廃業型私的整理手続のフローは、概ね下図のとおりであって、基本的な流れは再生型と大きく変わりません。そのため、再生型と大きく異なる点について、下線を付しています。

① 廃業型私的整理の開始
・主要債権者に対して、手続利用の申出
第三者支援専門家の選任は不要(※1)
外部専門家は、中小企業の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を開始
② 一時停止の要請
主要債権者全員からの同意を得た場合には、対象債権者に対して、元本返済等の一時停止を要請可能(※2)
③ 弁済計画案の立案・内容・調査報告
・中小企業は、開始から3~6か月程度で、自ら又は外部専門家から支援を受けて、弁済計画案を作成
・弁済計画案の内容は、中小企業事業再生ガイドライン25頁から26頁参照
主要債権者全員からの同意を得て、第三者支援専門家を選定
・第三者支援専門家は、独立して公正な立場で、弁済計画案の内容の相当性や実行可能性等について調査し、調査報告書を作成(※3)
④ 債権者会議の開催と事業再生計画の成立
・原則として、全ての対象債権者による債権者会議を開催
・第三者支援専門家が、対象債権者全員に対して、弁済計画案の調査結果を報告
・弁済計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行い、対象債権者の合意形成向けた努力
・全ての対象債権者が同意した場合には、弁済計画が成立
・全ての対象債権者から同意を得ることができないことが明確になった場合には、私的整理手続が終了
⑤ 保証債務の整理
・経営者の保証人が保証債務の整理を図る場合には、経営者保証ガイドラインを活用して、中小企業の主債務と一体的に整理
⑥ 弁済再生計画成立後のモニタリング
廃業を行う前提での簡易的なモニタリングを実施

※1. 廃業型においては、再生型と比べて、比較的簡素で把握しやすい弁済計画案となることが想定されるため、また費用の捻出が困難なため、手続開始当初から第三者支援専門家の選任は必須とされていません。
※2. 廃業型においては、再生型と異なり将来収益からの弁済が期待できないため、一時停止の要請には一定の制約があります。
※3. 公租公課や労働債権等の優先する債権を弁済することにより、金融債務への弁済が全く行われない弁済計画案も排除されていません。

従来の私的整理ガイドラインとの違い

従前の私的整理ガイドラインは、大企業や中堅企業を念頭に置いたものでした。しかしながら、今回策定された中小企業事業再生ガイドラインでは、主に、以下の点が定められるようになり、より中小企業の実態に即したものとされるようになりました。

従前のガイドラインとの相違

① 「平時」における中小企業と金融機関の対応を策定
② 事業再生計画成立後のフォローアップについて明示
③ 再生型と並んで廃業型の債務整理手続の策定
④ 独立・公正な第三者である支援専門家の関与
⑤ 中小企業の実態を踏まえた基準への変更(債務超過の解消を3年以内から5年以内に変更、経営者の退任を原則としない等)

従来の準則型私的整理手続では、廃業型の手続に関する言及がなく、廃業を検討する場合には、法的手続も行われずに放置されることがありました。また、全ての中小企業が、事業再生を目指しているわけではありません。

そこで、中小企業が法的手続を取らないままに放置されることを回避し、また早期に債務整理を行うことによって、従業員の転職期間の確保や経営者の再スタート支援、取引先等への影響を抑制するため、新たに「廃業型」の私的整理手続が定められています。

また、中小企業版私的整理手続では、「再生型」と「廃業型」のいずれにおいても、弁護士、公認会計士等の専門家であって、再生型私的整理手続及び廃業型私的整理手続を遂行する適格性を有し、その適格認定を得た第三者支援専門家の関与が必要であるとされています。

第三者支援専門家が、中小企業及び金融機関の間に立って公正・中立の立場から関与することで、円滑かつ迅速に事業再生を進めることが期待されています。

そして、従来の私的整理ガイドラインでは、中小企業による利用を排除していないものの、中業企業版私的整理手続では、より中小企業によって利用しやすいものとされました。

具体的には、従来の私的整理ガイドラインでは、企業の債務超過解消までの期間が3年以内を目途とされていたところ、これを5年以内に変更し、また経営者の退任を原則としないものとされています。

終わりに

中小企業事業再生ガイドラインが2022年4月15日に施行され、また、同月8日にはガイドラインに関するQ&Aも公表されました。

経済状況に関して言えば、新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少傾向を見せて、繁華街や観光地への人流も戻り、外国人観光客の受入れも再開していますが、長引くコロナ禍によって業績回復の見通しが立てにくい状況が続いています。他方では、コロナ禍での緊急融資や公租公課の納付猶予等によって、過剰債務の企業が増加していることも事実です。

コロナ禍においては、借入金の金利だけを支払い、返済の返済猶予していた企業も多くいるものと考えられますが、過剰債務を抱えた中小企業の事業価値が毀損する可能性も否定できません。今後、事業再生や廃業を検討する中小企業も多く見られるものと考えられ、今後、中小企業事業再生ガイドラインの運用が進んでいくものと考えられます。

この記事が、中小企業事業再生ガイドラインの周知や中小企業の事業再構築・再建の一助になれば幸いです。

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