【2020年4月施行】
労働者派遣法改正とは?
改正点を分かりやすく解説!(新旧対照表つき)
- この記事のまとめ
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改正労働者派遣法(2020年4月1日施行)のポイントを解説!!
「働き方改革関連法」(2018年7月6日公布)では、様々な労働関連法令が見直されました。 この記事では、2020年4月1日に施行される労働者派遣法の改正について解説します。改正のポイントは5つです。
ポイント1
派遣元は、「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」のいずれかの待遇決定方式を採用しなければならないポイント2
労働者派遣契約を締結するときの派遣元・派遣先の対応ルールが変更されるポイント3
派遣元による派遣労働者への説明義務が強化されるポイント4
派遣労働者の待遇差を解消するための派遣先による対応ルールが新設されるポイント5
紛争解決の促進に関する特例が設けられ、「行政ADR」が整備されるそれぞれのポイントを分かりやすく解説します。
この記事では、改正の目的と法令について基本的な事項も解説しています。
基本的なことを理解されている方は、 「改正のポイント」 からお読みください。
法改正に対応した「労働者派遣契約」のレビューポイントは、こちらの記事をご覧ください。
※この記事は、2020年6月1日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
・労働者派遣法…2020年4月施行後の労働者派遣法(昭和60年法律第88号)
・旧労働者派遣法…2020年4月施行前の労働者派遣法(昭和60年法律第88号)
目次
2020年の改正労働者派遣法とは?
改正の目的
今回の改正は、「働き方改革」の一環として行われます。 「働き方改革」は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。 今回は、大きく2つの点について見直しがなされています。
- 働きすぎを防ぐための労働時間制度の創設
- 正社員と非正規社員の間の不合理な格差の是正
それぞれ、次の法令が改正されました。
改正事項 | 改正された主な法令 |
---|---|
①働きすぎを防ぐための労働時間制度の創設 | 労働基準法 労働安全衛生法 労働時間等設定改善法 |
②正社員と非正規社員の間の不合理な格差の是正 | 労働者派遣法 パートタイム・有期雇用労働法 |
労働者派遣法の改正は、このような働き方改革の一環として、 「正社員と非正規社員の不合理な格差の是正」 を目的として行われるものです。
従来、派遣労働者は、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わることから、不安定な所得であることが問題視されていました。 しかも、所得の変動は、職務の難易度に比例しているわけではありません。 正社員であれば、職務の難易度が上がるにつれて、所得も増え、段階的なキャリア形成を築くことができるところ、 派遣労働者については、このような段階的なキャリア形成を築くことが困難な状況にありました。
そこで、今回の改正では、派遣労働者の待遇について、 派遣先の労働者との均衡(=不合理な待遇差をしない)、均等(=不利な待遇差をしない)を確保すること が目指されました。これにより、派遣労働者の安定的な所得とキャリアアップの機会が確保されることが期待されます。

公布日・施行日
改正の根拠となる法令名は、 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」(通称:「働き方改革関連法」) です。公布日と施行日は、それぞれ次のとおりです。
- 公布日・施行日
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公布日│2020年7月6日
施行日│2020年4月1日
働き方改革関連法には、派遣法改正以外にも、パートタイム・有期雇用労働法・労働基準法などの改正について定められています。 中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は、2021年4月1日とされていますが、労働者派遣法にはこのような経過措置はありません。
また、企業の規模に関係なく、すべての派遣元企業と派遣先企業に適用されます。 派遣事業を行っている派遣元企業はもちろん、派遣労働者を受け入れている派遣先企業の方も、2020年4月施行の労働者派遣法について、理解する必要があります。