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【建設業法改正(2020年10月施行)に対応】 建設工事の下請契約のレビューポイントを解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2021/10/08 (公開:2020/09/24)
この記事のまとめ

【建設業法改正(2020年10月施行)に対応】建設工事の下請契約のレビューポイントを解説!

建設業法の改正により、気を付けるべき「建設工事の下請契約」のレビューポイントが追加されました。
この記事では、

・建設工事の下請契約では、何に気を付けるべきか?

という建設工事の下請規制を分かりやすく解説したうえで、

・改正建設業法の下で、建設工事の下請契約をレビューするときに、どのようなポイントに気を付けたらよいか?

について、解説します。

新旧対照表のダウンロードはこちらから

【2020年10月施行】 改正建設業法の新旧対照表 (解説つき)

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 建設業法…2020年10月施行後の建設業法(昭和24年法律第100号)
  • 旧建設業法……2020年10月施行前の建設業法(昭和24年法律第100号
先生、元請人と下請人の間で建設工事請負契約を締結するときに、注意することってありますか?
ヒツジ
ムートン先生
建設業法で、建設工事請負の下請契約に適用される、下請規制が定められていますよ。10月に施行される改正建設業法による影響も併せてみてみましょう。

建設工事請負契約とは?

建設工事請負契約とは、建設業者(請負人)が、建設工事(仕事)を完成させることを約束し、注文者がその建設工事(仕事)の結果に対して、工事代金(報酬)を支払うことを約束する契約です。 これは、民法に定められた「請負契約」(民法632条)にあたります。 そのため、基本的には、民法の請負のルールが適用されます

請負契約とは?
請負契約とは?

契約書のタイトルに、「請負」という名称が使われていない場合であっても、工事代金(報酬)を支払って建設工事(仕事)の完成を目的として締結する契約であれば、「建設工事請負契約」に該当します。 たとえば、契約書タイトルが、「業務委託」「委任」「雇用」という名称であっても、建設工事請負契約にあたる可能性があるので注意しなければなりません。

建設業法では、「請負」以外の名称を使うことによる脱法行為を防ぐために、契約書のタイトルがどのような名称であろうと、工事代金(報酬)を支払って建設工事(仕事)の完成を目的として締結する契約は、すべて、「建設工事請負契約」とみなすものとしています(建設業法24条)。

第24条(請負契約とみなす場合)
委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。

引用元│ 建設業法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

建設工事請負契約の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

建設工事の下請契約とは?

建設工事の下請契約とは、注文者から建設工事を請け負った請負人(元請人)が、更にその工事を下請人に委託する契約です。

建設工事の下請契約も、建設工事請負契約の一つですので、建設業法の規制が及びます。

また、建設工事の下請契約については、建設業法上の下請規制があります
一般的に元請人は下請人に比して会社の規模が大きく、立場が強いことが多いため、元請人が立場を濫用して、下請人が不利な扱いを受けることが少なくありませんでした。
そこで、これを防ぐために、建設業法において各種の下請規制が定められています。

建設工事の下請とは
建設工事の下請とは

建設業法上の下請規制とは?

建設工事の下請契約について適用される、建設業法上の下請規制について、以下、解説していきます。

なお、建設業法上の下請規制については、国土交通省総合政策局建設業課が発行している「建設業法令遵守ガイドライン」が参考になります。

見積条件の提示

元請人は、下請契約を締結する前に、見積条件として、以下の内容を下請人に提示しなければなりません(建設業法20条3項)。
これは、建設工事請負契約書に必ず定めなくてはならない事項(同法19条1項)のうち、「請負代金の額」を除く全ての事項となります。

元請人は、下請人に見積条件を提示するときは、書面で提示することが望ましいです。

提示しなければならない見積条件

・工事内容
・工事着手の時期・工事完成の時期
・請負代金の前金払・出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期・方法
・設計変更・工事着手の延期・工事の中止の申し出があった場合における、工期の変更・請負代金の額の変更・損害の負担と算定方法
・天災などの不可抗力による工期の変更・損害の負担・算定方法
・価格等の変動・変更に基づく請負代金の額・工事内容の変更
・工事の施工により第三者が損害を受けた場合における、賠償金の負担
・注文者が工事に使用する資材・建設機械を提供・貸与するときの内容・方法
・注文者が工事の完成を確認するための検査の時期・方法・引渡しの時期
・工事完成後における請負代金の支払の時期・方法
・工事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合における、その不適合を担保すべき責任・当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
・遅延利息・違約金その他の損害金
・契約に関する紛争の解決方法
・工事を施工しない日・時間帯の定めをするときは、その内容(←改正で追加されたもの)

このうち、「工事内容」については、例えば以下の内容を最低限明示するべき、と解されています(「建設業法遵守ガイドライン」)。

①工事名称
②施工場所
③設計図書(数量などを含む)
④下請工事の責任施行範囲
⑤下請工事の工程および下請工事を含む工事の全体工程
⑥見積条件および他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
⑦施行環境、施行制約に関する事項
⑧材料費、産業廃棄物処理などに係る元請下請間の費用負担区分に関する事項

また、提示後、契約締結までの間に、下請人が、下請工事の見積りをするために必要な一定の期間を設けなくてはいけません(同法20条3項)。 この「一定の期間」は、建設業法施行令に定められています。

工事1件の予定価格 一定の期間

500万円未満

1日以上

500万円以上5000万円未満

10日以上
*「やむを得ない事情」があるときは、5日以内に限り短縮できる

5000万円以上

15日以上
*「やむを得ない事情」があるときは、5日以内に限り短縮できる

この「一定の期間」は、最低限設けなくてはいけない期間となりますので、元請人としては、この一定の期間に限らず、十分な見積期間を設けることが望ましいです。

書面による契約締結

建設業法では、建設工事請負契約は、書面で締結することを定めています(建設業法19条)。
これは、下請契約でも同様です。

旧法(2020年9月まで)には、契約に必ず記載すべき項目として、14項目が定められていました(旧建設業法19条1項1号~14号)。
新法(2020年10月から)では、これに加えて、新たに、「工期を施工しない日・時間帯」も追加されました(建設業法19条1項4号)。

契約に必ず定めるべき14項目(旧法)

①工事内容
②請負代金の額
③工事着手の時期・工事完成の時期
④請負代金の前金払・出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期・方法
⑤設計変更・工事着手の延期・工事の中止の申し出があった場合における、工期の変更・請負代金の額の変更・損害の負担と算定方法
⑥天災などの不可抗力による工期の変更・損害の負担・算定方法
⑦価格等の変動・変更に基づく請負代金の額・工事内容の変更
⑧工事の施工により第三者が損害を受けた場合における、賠償金の負担
⑨注文者が工事に使用する資材・建設機械を提供・貸与するときの内容・方法
⑩注文者が工事の完成を確認するための検査の時期・方法・引渡しの時期
⑪工事完成後における請負代金の支払の時期・方法
⑫工事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合における、その不適合を担保すべき責任・当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑬遅延利息・違約金その他の損害金
⑭契約に関する紛争の解決方法


新法で追加された契約に必ず定めるべき項目

⑮工事を施工しない日・時間帯の定めをするときは、その内容

契約の内容

契約の内容については、以下に注意する必要があります。

建設工事標準下請契約約款またはこれに準拠した内容となっているか
→建設業法18条に違反する可能性

片務的な内容となっていないか
→建設業法19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に違反する可能性

一定規模以上の解体工事などの特例

また、一定規模以上の解体工事などの下請契約を行うときは、以下の事項を追加で、契約に記載しなければなりません(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律13条)。

①分別解体の方法
②解体工事に要する費用
③再資源化などをするための施設の名称および所在地
④再資源化などに要する費用

契約の追加・変更

契約の追加・変更をする際は、以下に注意する必要があります。

追加工事の着工前に、変更の内容を書面に記載して、署名または記名押印しているか(建設業法19条2項)

追加工事などの費用を下請人に負担させていないか
→建設業法19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に違反する可能性

不当に低い請負代金

建設工事の注文者は、取引上の地位を不当に利用して、不当に低い請負代金で契約を締結してはいけません(建設業法19条の3)。

これは、下請契約でも同様です。
つまり、下請工事の元請人は、取引上の地位を不当に利用して、不当に低い請負代金で契約を締結してはいけません

特に下請契約においては、元請人と下請人との契約においては、取引上の地位を不当に利用することが起こりやすいので、気を付ける必要があります。

「取引上の地位を不当に利用する」とは、取引上優越的な地位にある元請人が、下請人の指名権、選択権などを背景にして、不当な取引を強制することです。 下請人によって元請人が大口取引先であるか、下請代金の額を決定するにあたり十分な協議が行われたか、などにより判断されることになります。
「不当に低い請負代金」とは、「注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額」をいいます(同条)。

「通常必要と認められる原価」とは、当該工事の施工地域において、工事を施工するために一般的に必要と認められる価格をいいます。

指値発注

元請人が、下請人と十分な協議をせずに、または下請人の協議に応じることなく、一方的に決めた請負代金の額を指示して(指値)、その額で契約を締結させる(指値発注)ことは、建設業法に違反する可能性があります。

具体的には、建設業法19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に違反する可能性があります。

また、下請人が見積りを行うために十分な見積期間を設けなかった場合、建設業法20条3項に違反する可能性があります。

不当な使用材料などの購入強制

建設工事の注文者は、契約を締結した後、自己の取引上の地位を不要に利用して、建設工事に使用する材料など、または材料などの購入先を指定して購入させて、請負人の利益を害してはいけません(建設業法19条の4)

これは、下請契約も同様です。
つまり、下請工事の元請人は、契約を締結した後、自己の取引上の地位を不要に利用して、建設工事に使用する材料など、または材料などの購入先を指定して購入させて、下請人の利益を害してはいけません。

特に下請契約においては、元請人と下請人との契約においては、取引上の地位を不当に利用することが起こりやすいので、気を付ける必要があります。

購入強制が禁止されるのは、「契約を締結した後」ですので、契約を締結する前に、元請人が使用する材料などを指定することは禁止されていません。下請人としては、元請人の指定に基づいて見積りを行うことになります。

「取引上の地位を不当に利用する」とは、取引上優越的な地位にある元請人が、下請人の指名権、選択権などを背景にして、不当な取引を強制することです。 下請人によって元請人が大口取引先であるか、下請代金の額を決定するにあたり十分な協議が行われたか、などにより判断されることになります。

「材料など、または材料等の購入先を指定する」とは、具体的な会社名、商品名などを指定することをいいます。

「下請人の利益を害する」とは、下請人に金銭的損害を与えること、または信用面で損害を与えることをいいます。具体的には、以下のような場合が想定されます。

・予定していた購入価格より高い価格で購入せざるを得なくなり金銭的に損害を被る
・既に購入していた材料などを返却せざるを得なくなり、販売店との取引関係が悪化して信用面で損害を被る

やり直し工事

やり直し工事を行うとき、費用負担を明確にしないまま下請人にやり直し工事を行わせ、費用を下請人に負担させることは、建設業法に違反する可能性があります。

具体的には、建設業法19条2項(建設工事の請負契約の内容)、19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に違反する可能性があります。

やり直し工事を行う際には、工事内容や請負代金に変更が生じるため、契約の変更に当たります。そこで、やり直し工事を行う際には、追加工事の着工前に、変更の内容を書面に記載して、署名または記名押印する必要があります(建設業法19条2項)。

下請人の帰責性がないのに、やり直し工事の費用を下請人に負担させて、下請代金の額が「不当に低い請負代金」となった場合、建設業法19条の3に違反する可能性があります。

「下請人の帰責性」がある場合とは、下請人の施行が契約書に明示された工事内容と異なる場合、または下請人の施行に瑕疵等がある場合に限られます。

赤伝処理

元請人が「赤伝処理」を行うことは、建設業法に違反する可能性があります。

具体的には、建設業法19条(建設工事の請負契約の内容)、19条の3(不当に低い請負代金の禁止)、20条3項(建設工事の見積もり等)に違反する可能性があります。

赤伝処理とは、元請負人が以下の費用を下請代金の支払時に差引く行為のことです。
① 一方的に提供・貸与した安全衛生保護具などの費用
② 下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)
③ 下請工事の施工に伴い、副次的に発生する建設廃棄物の処理費用
④ 上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)

元請人は、赤伝処理を行うときは、下請人と合意の上、契約書に記載し、差引額の算出根拠・使途などを明らかにする必要があります。

赤伝処理を行う場合の、内容や差引額などの算定根拠などについて、見積条件に明示しなかった場合は建設業法20条3項違反となります。契約書面に明示しなかった場合は、同法19条違反となります。

赤伝処理で差引く額が過大であり、下請代金の額が「不当に低い請負代金」となった場合、建設業法19条の3に違反する可能性があります。

支払保留

元請人が、下請代金について、不要に支払いを保留することは建設業法に違反する可能性があります。

元請人は、注文者から請負代金の出来形部分に対する支払い、または工事完成後に支払いを受けたときは、下請人に対して、その支払いのうち、下請人が施工した部分に相当する下請代金を、 支払いを受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません(建設業法24条の3)。

また、元請人が特定建設業者であり、下請人が一般建設業者(資本金額が4000万円以上の法人を除く)である場合、 発注者から工事代金の支払いがあったか否かにかかわらず、下請人が引渡しの申出(同法24条の4第2項)を行った日から50日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、下請代金を支払わなければなりません(同法24条の5)。

下請代金の支払期限
原則 注文者から支払いを受けた日から1か月以内
元請人が特定建設業者であり、下請人が一般建設業者(資本金額が4000万円以上の法人を除く)である場合 文者から支払いを受けた日から1か月or下請人が引渡しの申出を行った日から50日の、いずれか早い日まで

建設業法上の支払期限を守ることはもちろん、この期限内で、元請人は下請人に対しては、できる限り早期に支払代金を支払うのが望ましいです。

長期手形

元請人は、下請代金の支払いとして、長期手形を発行することは、建設業法に違反する可能性があります。

元請人が特定建設業者であり、下請人が一般建設業者(資本金額が4000万円以上の法人を除く)である場合、 下請代金の支払いにあたって、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはいけません(建設業法24条の5第3項)。

具体的には、元請人が手形期間120日を超える長期手形を交付した場合は、「割引を受けることが困難である手形の交付」に当たる可能性があります。

帳簿の備付けおよび保存

元請人は、適切に帳簿を備え付け、保存しなければ、建設業法に違反する可能性があります。

建設業者は、営業所ごとに、営業に関する事項を記録した帳簿を備えて、5年間保存しなければなりません(建設業法40条の3)。

また、帳簿には以下の事項を記載する必要があります(同法施行規則26条1項)

①営業所の代表者の氏名・代表者がその営業所の代表者となった年月日
②注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
③下請人と締結した下請契約に関する事項
④元請人が特定建設業者で、下請人が一般建設業者(資本金額が4000万円以上の法人を除く)、または個人の一般建設業者と下請契約を締結したときは、以下の事項
・支払った下請代金の額、支払年月日、支払い手段
・(支払手形を交付したとき)手形の金額、公布年月日、手形の満期
・(代金の一部を支払ったとき)その後の下請代金の支払残高
・(遅延利息を支払ったとき)支払った遅延利息の額、支払年月日

更に、帳簿には、契約書、契約書の写し、契約に関する電磁的記録のいずれかを添付しなければなりません(同法26条2項)。

帳簿に添付するもの

✅契約書、契約書の写し、契約に関する電磁的記録のいずれか
✅元請人が特定建設業者、下請人が一般建設業者(資本金額が4000万円以上の法人を除く)、または個人の一般建設業者の間の下請契約の場合
→下請人に支払った下請代金の額、支払年月日、支払い手段を証明する書類(領収書など)またはその写し
✅特定建設業者が、3000万円(建築一式工事の場合4500万円)以上の下請契約を締結した場合
→施工体制台帳のうち、以下の事項が記載された部分
・元請人が工事現場に置いた監理技術者の氏名、その者が有する監理技術者資格
・元請人が監理時技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容、その者が有する主任技術者資格
・下請人の商号または名称、許可番号
・下請人に請け負わせた建設工事の内容、工期
・下請人が工事現場に置いた主任技術者の氏名、その者の有する主任技術者資格
・下請人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容、その者が有する主任技術者資格

建設工事の下請契約で気を付けるべきレビューポイント1つ

それでは、建設工事の下請契約で気を付けるべきレビューポイントを1つ解説します。

建設工事の下請契約で気を付けるべき契約書レビューポイント(1つ) 重要度

ポイント1

工事完了時の検査期間が20日を超えていないか?


(対応必須)

※重要度について

  • 高(対応必須)…気を付けないと、法令違反となるおそれがあります。
  • 中(自社に有利にするための対応)…気を付けなくても法令違反となるおそれはありません。自社に有利な契約内容とするために理解しておくとよいものです。
  • 低(確認的規定)とは?…改正された法令の定めを、契約でも確認的に定めるものです。定めなくても法令違反となるおそれはなく、法令の規定が適用されます。契約で定めることにより、改正された法令に違反しないための注意喚起となります。

ポイント1|工事完了時の検査期間が20日を超えていないか?

建設業法の下請規制

建設工事の下請契約においては、元請人は、下請人から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、通知を受けた日から20日以内で、かつできる限り短い期間内に、その完成を通知するための検査を完了しなければなりません(建設業法24条の4条第1項)。

以下、それぞれの立場にたって解説します。


元請人の立場でレビューするとき

工事完了時の検査期間を20日を超えて定めると、建設業法24条の4第1項に違反します。
元請人としては、下請契約に、工事完了時の検査期間を20日以内とするよう気を付けなくてはいけません。

記載例

(完成及び検査)
1. 受注者は、本工事を完了した場合、設計図書等のとおりに実施されていることを確認して、発注者に検査を請求し、発注者は直ちに監理者立会いのもとに検査を行うものとする。
2. 前項の検査は、受注者から前項の検査の請求があった日から20日以内に行うものとする。
3. 第1項の検査に合格しない場合、受注者は、工期内又は監理者の指定する期間内に修補し、又は改造して、発注者に検査を請求し、発注者は監理者立会いのもとに検査を行うものとする。
4. 受注者は、本契約の目的物の引渡し後、●●営業日以内に、仮設物の取払い、後片付け等の処置を行うものとする。この場合、処置の方法について発注者又は監理者の指示があるときは、当該指示に従って処置するものとする。
5. 前項の処置が遅れている場合で、発注者が催告しても正当な理由がなく処置が行われないときは、発注者又は監理者は受注者に代わってこれを行い、処置に要した費用を受注者に請求できる。

下請人の立場でレビューするとき

元請人が工事完了時の検査期間を20日を超えて定めると、建設業法24条の4第1項に違反します。
下請人としては、契約において工事完了時の検査期間が20日を超えて定められていた場合、建設業法違反であることを指摘して、修正を求めることが考えられます。

記載例

(完成及び検査)
1. 受注者は、本工事を完了した場合、設計図書等のとおりに実施されていることを確認して、発注者に検査を請求し、発注者は直ちに監理者立会いのもとに検査を行うものとする。
2. 前項の検査は、受注者から前項の検査の請求があった日から20日以内に行うものとする。
3. 第1項の検査に合格しない場合、受注者は、工期内又は監理者の指定する期間内に修補し、又は改造して、発注者に検査を請求し、発注者は監理者立会いのもとに検査を行うものとする。 この場合、検査に不合格となった原因が発注者の責めに帰すべき事由によるときは、発注者及び受注者は、別途協議のうえ工期を定めるものとする。

建設業法改正(2020年10月施行)で気を付けるべき、建設工事の下請契約のレビューポイント1つ

それでは、建設工事の下請契約について、改正をふまえて、気を付けるべきレビューポイントを解説します。
2020年10月1日以降、建設工事の下請契約を締結するときは、次のレビューポイントを確認しましょう。

改正により、気を付けるべき契約書レビューポイント(1つ) 重要度

ポイント1

下請代金のうち、労務相当分について現金払いとされているか?


(自社に有利にするための対応)

ポイント1|下請代金のうち、労務相当分について現金払いとされているか?

改正ポイント

新法では、改正建設業法(2020年10月施行)では、元請負人(注文者)は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければなりません(改正建設業法24条の3)。 ただし、これは配慮義務にとどまりますので、現金で支払わなかった場合に、これが直ちに建設業法違反となるものではありません。

元請人の立場でレビューするとき

元請人としては、建設業法24条の3を遵守するため、現金で支払うことが可能である場合は、下請契約において、「労務費に相当する請負代金は現金で支払う」旨を明記するのが望ましいです。
これは、現金での手渡しでなくても、銀行振込、銀行振出小切手による支払いでも問題ありません。

下請人の立場でレビューするとき

下請人としても、労務費に相当する部分については、確実に請負代金を回収したいことから、下請契約において、「労務費に相当する請負代金は現金で支払う」旨を明記するのが望ましいです。

記載例

(工事内容)
発注者と受注者とは、工事請負契約約款、設計図書等に基づいて、以下のとおり工事請負契約を締結する。
⑴工事名: ●●●●
⑵工事場: ●●●●
⑶請負代金額: 金●●円(うち、消費税及び地方消費税●●円)
⑷請負代金の支払方法
①前払: 契約成立時に、金●●円
②部分払: 金●●円、支払請求締切日●●年●●月●●日
③完成引渡しの時に、金●●円
労務費に相当する請負代金は現金で支払うものとする。
⑸工期
①着手: ●●年●●月●●日
②完成: ●●年●●月●●日
③引渡し: ●●年●●月●●日

まとめ

改正建設業法(2020年10月1日施行)に対応した契約書のレビューポイントは以上です。
実際の業務でお役立ちいただけると嬉しいです。

改正点について、解説つきの新旧対照表はこちらをご覧ください

新旧対照表のダウンロードはこちらから

 【2020年10月施行】建設業法改正の新旧対照表(解説つき)

ムートン先生
ぜひ、業務のお供に!ご活用いただけると嬉しいです!

〈サンプル〉

参考文献

この記事を書いた人

柄澤 愛子

株式会社LegalForce 法務開発

慶應義塾大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。都内法律事務所、特許庁審判部(審・判決調査員)を経て、2019年から現職。社内で法務開発等の業務を担当する。LegalForceのウェブメディア「契約ウォッチ」の企画・執筆にも携わる。

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