【2025年5月施行】戸籍法改正とは?
氏名のフリガナの登録義務化はいつから?
目的・通知書などを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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2025年5月26日から戸籍法改正が施行され、戸籍に氏名のフリガナが新たに記載されます。フリガナの記載を追加する目的としては、行政手続きの円滑化、本人確認資料としての利便性向上、金融機関などでの本人確認の潜脱防止などが挙げられます。
戸籍に登録されている人には、本籍地の市区町村長から氏名のフリガナの届出に関する通知書が送られてきます。2026年5月25日までに、市区町村長の窓口・郵送・マイナポータルのいずれかの方法で、氏名のフリガナの届出を行いましょう。
届出をしなくてもペナルティはありませんが、間違ったフリガナが登録される可能性があるのでご注意ください。
この記事では、2025年5月施行の戸籍法改正による氏名のフリガナの追加について詳しく解説します。
※この記事は、2025年5月1日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
【2025年5月施行】戸籍法改正とは
2025年5月26日から戸籍法改正が施行され、戸籍に氏名のフリガナが新たに記載されます。
戸籍法改正による変更点|氏名のフリガナが追記される
戸籍法
第13条 戸籍には、本籍のほか、戸籍内の各人について、次に掲げる事項を記載しなければならない。
① 氏名
② 氏名の振り仮名(氏に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「氏の振り仮名」という。)及び名に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「名の振り仮名」という。)をいう。以下同じ。)
③ 出生の年月日
④ 戸籍に入つた原因及び年月日
⑤ 実父母の氏名及び実父母との続柄
⑥ 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
⑦ 夫婦については、夫又は妻である旨
⑧ 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
⑨ その他法務省令で定める事項2、3 略
※下線・太字は今回の改正で新設されたもの
来の戸籍には、氏名のフリガナが記載されていませんでした。
行政手続きの円滑化、本人確認資料としての利便性向上、金融機関などでの本人確認の潜脱防止などを目的として、今回の戸籍法改正により、戸籍の記載事項に氏名のフリガナが追加されました。
公布日・施行日
戸籍法改正の公布日および施行日は、以下のとおりです。
- 公布日・施行日
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公布日:2023年6月9日
施行日:2025年5月26日
戸籍に氏名のフリガナが記載されるメリット
戸籍に氏名のフリガナが記載されることには、主に以下のメリットがあります。
① 行政側でのデータベース処理がしやすくなる
② 本人確認資料として利用できる
③ 金融機関等での本人確認の潜脱を防止できる
行政側でのデータベース処理がしやすくなる
行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字で表記されているところ、同じ漢字でもさまざまな字体が存在します。また、外字が使用されているケースもあるため、フリガナなしではデータベース化の作業が複雑で、特定の人を検索するのに時間を要していました。
氏名のフリガナが戸籍に登録されれば、そのフリガナを用いてデータベース上での検索等をスムーズに行うことができ、誤りを防げるようになります。
本人確認資料として利用できる
戸籍に記載された氏名のフリガナは、住民票の写しやマイナンバーカードにも記載できるようになります。
住民票の写しやマイナンバーカードを本人確認資料として提示する際、氏名のフリガナが記載されていれば、難しい読み方でも正確に氏名を呼んでもらえます。
金融機関等での本人確認の潜脱を防止できる
金融機関等(銀行など)では、氏名のフリガナが本人確認のために利用されているケースがあります。
現状では戸籍上に氏名のフリガナが記載されていないことを悪用し、複数のフリガナを使用して別人を装って規制を逃れようとする例がしばしば見られました。
戸籍上の氏名のフリガナが一つに特定されれば、このような規制逃れの行為を防止することができます。
戸籍に氏名のフリガナが記載されるまでの手続き
2025年5月26日以降、戸籍に氏名のフリガナを記載するための手続きが始まります。具体的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 戸籍に氏名のフリガナを記載するための手続き
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① 【2025年5月~】本籍地の市区町村長から通知書が送られてくる
② 2026年5月25日までに、氏名のフリガナを届け出る
③ 届出がなかった場合は、市区町村長がフリガナを記載する※初めて戸籍に記載される者は、上記の手続きによらず、出生届や帰化届などの際に併せてフリガナを届け出ます。その際、フリガナが「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」(後述)に当たるかどうかが審査されます。
【2025年5月~】本籍地の市区町村長から通知書が送られてくる
2025年5月26日以降、戸籍への氏名のフリガナの記載に関して、本籍地の市区町村長から戸籍に登録された人へ通知書が送られます。すぐに届くとは限らず、数週間程度遅れることもあり得るのでご留意ください。
本籍地の市区町村長の通知には、戸籍に記載される予定の氏名のフリガナが記載されています。
通知に記載されたフリガナは、住所地の市区町村が事務処理の便宜上保有している情報等を参考にしたものです。誤っている可能性もあるので、正しいかどうかを必ず確認しましょう。
2026年5月25日までに、氏名のフリガナを届け出る
2025年5月26日から2026年5月25日までの1年間、本籍地の市区町村へ氏名のフリガナを届け出ることができます。
後述するように、届出をしなくても1年後には戸籍に氏名のフリガナが記載されますが、以下の場合には届出を行ってください。
- 氏名のフリガナを届け出るべきケース
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・市区町村長の通知に記載されたフリガナが誤っている場合
・改正法の施行後1年間の経過を待たず、早期に戸籍へ氏名のフリガナを記載してほしい場合
以下、戸籍に記載する氏名のフリガナの届出に関する留意事項を解説します。
氏名のフリガナの届出を行う人
氏(苗字)のフリガナの届出を行うのは、原則として戸籍の筆頭者です。戸籍の筆頭者が氏のフリガナを届け出ると、同じ戸籍に記載された人全員のフリガナが戸籍に記載されます。
名のフリガナの届出を行うのは、原則として本人です。
なお、未成年者(18歳未満)の氏名のフリガナについては、親権者が届出を行います。ただし、未成年者でも15歳以上であれば、本人が氏名のフリガナを届け出ることもできると考えられます。
氏名のフリガナを届け出る方法
氏名のフリガナを届け出る方法は、以下の3通りです。自分にとって便利な方法を選択しましょう。
- 氏名のフリガナを届け出る方法
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(a) 窓口
本籍地の市区町村の窓口に届出書を提出します。担当者から手続きの案内を受けることができます。(b) 郵送
本籍地の市区町村の戸籍担当課へ届出書を郵送します。本籍地から遠方に住んでいる場合や、窓口に行く時間がない場合などに利用できる方法の一つです。
郵送の場合は、法務省のウェブサイトから届書の様式をダウンロードするのが便利です。参考:法務省ウェブサイト「戸籍にフリガナが記載されます フリガナが記載されるまで」
(c) マイナポータル
マイナポータルにログインして、オンライン上で氏名のフリガナを届け出ます。本籍地の遠方からでも手続きができるほか、郵送料がかからないなどのメリットがあります。
マイナポータルを通じた届出の手続きは、法務省のウェブサイト上で詳しく案内されています。
戸籍に記載する氏名のフリガナとして認められるもの・認められないもの
戸籍に記載する氏名のフリガナは、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」でなければなりません。
例えば、以下のようなフリガナは原則として認められないものと考えられます。
- 戸籍に記載する氏名のフリガナとして認められないもの
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(a) 漢字の意味や読み方との関連性をおよそまたは全く認めることができない読み方
(例)「太郎」を「ジョージ」や「マイケル」と読む(b) 漢字に対応するものに加え、これと明らかに異なる別の単語を付加し、漢字との関連性をおよそまたは全く認めることができない読み方を含む読み方
(例)「健」を「ケンイチロウ」や「ケンサマ」と読む(c) 漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方
(例)「高」を「ヒクシ」と読む(d) 漢字の持つ意味や読み方からすると、別人と誤解されたり読み違い(書き違い)と誤解されたりする読み方など、社会を混乱させるもの
(例)「太郎」を「ジロウ」と読む(e)社会通念上相当とはいえない読み方
(例)差別的・卑猥・反社会的な読み方
ただし、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」以外の読み方を現に使用している場合は、これを尊重するものとされています。
一般の読み方以外のフリガナを届け出る場合は、その読み方が通用していることを証する書面を提出しなければなりません。提出すべき書面としては、旅券(パスポート)や預貯金通帳などが想定されています。
氏名のフリガナの届出に手数料はかからない
戸籍に記載する氏名のフリガナを届け出る際には、手数料はかかりません。
戸籍法改正に乗じて、「氏名のフリガナの届出を受け付けるので手数料を払ってください」などと騙そうとする詐欺が懸念されています。法務省のフライヤーでも注意喚起がなされているので、手数料詐欺には十分ご注意ください。
届出がなかった場合は、市区町村長がフリガナを記載する
2026年5月25日までに氏名のフリガナを届け出なかった場合は、市区町村長が戸籍に氏名のフリガナを記載します。
本籍地の市区町村へ氏名のフリガナを届け出なくても、罰則などのペナルティはありません。2026年5月26日以降、市区町村長によって氏名のフリガナが戸籍に記載されます。
ただし、氏名のフリガナを届け出ないと、戸籍に間違ったフリガナが記載されてしまう可能性もあります。
戸籍に記載される氏名のフリガナは、市区町村長からの通知に記載されていたものです。通知を受け取った段階で、氏名のフリガナが間違っていないかどうかを必ず確認しましょう。
戸籍上の氏名のフリガナが間違っている場合の変更手続き
2026年5月26日以降、戸籍に記載された氏名のフリガナが間違っている場合は、一定の手続きによってフリガナを変更することができます。
氏名のフリガナの変更手続きは、自らフリガナの届出を行ったかどうかによって異なります。各手続きの概要は以下のとおりです。
氏名のフリガナを自ら届け出た場合の変更手続き
戸籍に記載する氏名のフリガナを自ら届け出た場合に、そのフリガナを変更するためには、原則として家庭裁判所の許可を得なければなりません。
氏名のフリガナの変更を許可してもらう手続きは、(漢字の)氏名の変更許可の手続きに準じます。
氏やそのフリガナを変更するためには「やむを得ない事情」、名やそのフリガナを変更するためには「正当な事由」が必要です。名よりも氏の方が、変更の要件が厳しくなっています。
氏または名の変更許可に関する手続きの詳細については、裁判所のウェブサイトをご参照ください。
家庭裁判所の許可を受けた後、本籍地の市区町村に変更を届け出れば、氏名のフリガナが変更されます。変更届の手続きについては現時点で詳しい案内がありませんが、市区町村の窓口・郵送・マイナポータルでの受付が想定されます。
氏名のフリガナを自ら届け出ていない場合の変更手続き
2025年5月26日から2026年5月25日までの間に、本籍地の市区町村へ届出を行っておらず、市区町村長によって氏名のフリガナが戸籍に記載された場合は、一度に限り家庭裁判所の許可を得ることなく氏名のフリガナを変更できます。
この場合、本籍地の市区町村に対して氏名のフリガナの変更を届け出れば足ります。
ただし、氏名のフリガナを自ら届け出ていない場合でも、二回目以降の変更については家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
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