キャラクターライセンス契約とは? 著作権法との関係・事例・契約書に規定すべき条項などを解説!

この記事のまとめ

キャラクターライセンス契約とは、キャラクターの著作権をもつ者が、第三者に対してキャラクターの使用を認めることと引き換えに、対価(使用許諾料)をもらう内容の契約です。

キャラクターライセンス契約を締結する際には、著作権・著作者人格権に関する権利処理が適切に行われるように、契約内容を調整する必要があります。その他、規定すべき各条項の内容を踏まえて、契約トラブルを防止できるキャラクターライセンス契約を作成・締結しましょう。

今回はキャラクターライセンス契約について、著作権法との関係や規定すべき条項などを解説します。

昨今、キャラクターとコラボしたアイスやペットボトル飲料などの商品をよく見かけますね。

そうですね。法務担当者としては、キャラクターライセンスビジネスを展開する中でトラブルとならないよう、キャラクターライセンス契約書の中で、適切にリスクを制御する必要があります。

※この記事は、2022年5月23日時点の法令等に基づいて作成されています。

キャラクターライセンス契約とは

キャラクターライセンス契約とは、キャラクターの著作権をもつ者(以下、著作権者)が、第三者に対してキャラクターの使用を認めることと引き換えに、対価(使用許諾料)をもらう内容の契約です。著作権者を「ライセンサー(licenser)」、使用許諾を受ける側を「ライセンシー(licensee)」と呼びます。

ライセンサーは権利を保有するキャラクターコンテンツを収益化し、ライセンシーはキャラクターを利用して独自のビジネス展開に繋げることが、各当事者の主な目的・関心事です。

キャラクターに関する著作権・著作者人格権とは

キャラクターライセンス契約の締結に当たっては、著作権法に基づく「著作権」と「著作者人格権」に関する権利処理が重要なポイントになります。

著作権とは

著作物を自分で利用し、又は他人に利用を許諾する権利

著作者人格権とは

著作者の人格的利益を保護する権利

以下、著作権と著作者人格権に含まれる権利の具体的な内容について、解説します。

著作権の内容

著作権には、以下の権利が含まれます。著作権者はこれらの権利を専有(自分ひとりだけで所有)しており、第三者が該当する行為をするためには、著作権者の許諾を得なければなりません。

著作権法で認められている権利

✅ 複製権(著作権法21条)
→著作物を複製(コピー)する権利

✅ 上演権・演奏権(同法22条)
→著作物を公の場で上演・演奏する権利

✅ 上映権(同法22条の2)
→著作物を公の場で上映する権利

✅ 公衆送信権等(同法23条)
→著作物を公に向けて送信(インターネットへのアップロードなど)する権利

✅ 口述権(同法24条)
→言語の著作物を公に口述(朗読など)する権利

✅ 展示権(同法25条)
→美術の著作物・未発行の写真の著作物を、原作品によって公に展示する権利

✅ 頒布権(同法26条)
→映画の著作物を複製によって頒布する権利

✅ 譲渡権(同法26条の2)
→著作物(映画の著作物を除く)の原作品又はコピーを、譲渡により公衆に提供する権利

✅ 貸与権(同法26条の3)
→著作物(映画の著作物を除く)の原作品又はコピーを、貸与により公衆に提供する権利

✅ 翻訳権、翻案権等(同法27条)
→著作物の翻案(翻訳・編曲・変形・脚色・映画化など)を行う権利

なお、これらの著作権は譲渡できるため(著作権法61条1項)、著作物を実際に制作した者(著作者)とは別の者が著作権者の場合もあります。

著作者人格権の内容

著作者は、著作物について以下の著作者人格権を有します。著作権とは異なり、著作者人格権の譲渡は認められていません(著作権法59条)。

著作者人格権の内容

✅ 公表権(著作権法18条)
→未公表の著作物を公衆に提供・提示する権利

✅ 氏名表示権(同法19条)
→著作物の原作品又はコピーについて、著作者の実名又は変名(ペンネーム)を表示する権利(+表示しないことを決める権利)

✅ 同一性保持権(同法20条)
→著作物とそのタイトルを意に反して改変されない権利

著作権・著作者人格権の侵害に関するペナルティ

著作権・著作者人格権を侵害した場合、以下の法的なペナルティを受ける可能性があります。

  • 差止請求
  • 損害賠償請求
  • 名誉回復措置請求
  • 刑事罰

以下、それぞれ詳しく解説します。

差止請求

著作権・著作者人格権の侵害に当たる行為をした場合、当該行為の停止・予防を請求される可能性があります(著作権法112条)。

キャラクターに関する著作権を侵害した場合、著作権者の差止請求によって、キャラクターを使用した商品の販売停止などを強いられることになりかねません。

損害賠償請求

著作権・著作者人格権を侵害した者は、権利者に生じた損害を賠償する義務を負います(民法709条)。

例えば、キャラクターの著作権を侵害したことにより、著作権者が販売しているキャラクター商品の売上が減少した場合、減少分に相当する金銭を支払わなければなりません。

名誉回復措置請求

著作者人格権を侵害した場合、著作者の名誉・声望を回復するための措置を請求される可能性があります(著作権法115条)。

例えば、キャラクターについて悪意のある改変を行い、著作者の同一性保持権を侵害した場合、謝罪広告の掲載などを求められるかもしれません。

刑事罰

著作権を侵害した場合、「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金」のいずれかを科される可能性、両方を科される可能性があります(著作権法119条1項)。

著作者人格権を侵害した場合、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金」のいずれかを科される可能性、両方を科される可能性があります(同条2項)。

ライセンス契約と著作権譲渡契約の違い

キャラクターライセンス契約は、著作物の利用を第三者に許諾する「ライセンス契約」の一種です。ライセンス契約の場合、著作権自体はライセンサー(=著作権者)が保有したうえで、ライセンシー(著作物を利用する側)に使用権が認められます。

これに対して「著作権譲渡契約」は、著作権そのものを譲渡してしまう内容の契約です。譲渡実行後は、譲渡した者は著作権を失い、譲渡を受けた者が新たに著作権を保有し、行使できるようになります。

キャラクターライセンス契約を締結すべき場面とは(事例あり)

キャラクターライセンス契約を締結すべきなのは、ライセンシーがキャラクターについて、著作権によって保護されている行為を行ってビジネス展開をしようとする場合です。

具体的には、以下の場合などにキャラクターライセンス契約が締結されています。

  • キャラクター商品を販売する場合
    →複製・譲渡の許諾が必要
  • キャラクターを広告に掲載する場合
    →複製・譲渡の許諾が必要
  • キャラクターイメージをインターネット配信する場合
    →公衆送信の許諾が必要
  • キャラクターを用いた映像作品を制作する場合
    →複製・上映・頒布・翻案の許諾が必要

キャラクターライセンス契約に規定すべき主な条項

ライセンサーとライセンシーの間では、契約トラブルが発生することも想定されます。万が一トラブルが発生した際に不測の損害を被らないように、キャラクターライセンス契約の条項はきちんと精査しましょう。

以下、キャラクターライセンス契約に規定すべき主な条項を解説していきます。

キャラクター使用許諾の範囲

ライセンサーが想定しない方法によりキャラクターが使用されて、トラブルに発展する事態を防ぐため、使用許諾の範囲は明確に定めておきましょう。具体的には、以下の事項を定めておくことが考えられます。

  • 認められる使用行為の内容
  • 使用できる場面
  • 使用を認める地域の範囲
  • 使用許諾期間
    など

独占的許諾or非独占的許諾に関する事項

キャラクターの使用について、

  • ライセンシーだけに許諾するのか(独占的許諾)
  • ライセンシー以外の第三者に許諾する可能性があるのか(非独占的許諾)

を、キャラクターライセンス契約において明記しておくべきです。

ライセンシーとしては、独占権許諾を獲得したいところです。一方ライセンサーとしては、非独占的許諾として自由度を確保しておく方が、一般的には望ましいでしょう。

ライセンシーの独占権を認めるのかどうか、認めるとして範囲をどのように設定するかといった点が、契約交渉のポイントになります。

使用許諾料に関する事項

ライセンシーがライセンサーに支払うキャラクターの使用許諾料については、以下の事項を定めておきます。

  • 使用許諾料の対象期間と金額
    (例)1か月当たり●●万円
  • 使用許諾料の支払方法
    (例)ライセンサー指定口座への銀行振込
  • 期間途中で契約が終了した場合における使用許諾料の取扱い
    (例)日割り按分

    など

ライセンシーの遵守事項

キャラクターライセンス契約で定めた許諾の範囲を超えてキャラクターを利用される行為や、キャラクターのイメージを害する行為などを防ぐため、ライセンシーの遵守事項を定めるケースが多くなっています。

以下はライセンシーの遵守事項の一例です。

  • 使用できるキャラクターイメージは、ライセンサーから提供されたものに限るものとし、勝手に改変しないこと
  • ライセンサーの指定する方法により、著作者・著作権者の表示を行うこと
  • 第三者による著作権侵害行為を発見した場合には、直ちにライセンサーへ報告すること
    など

著作権人格権の行使に関する事項

ライセンサー(著作権をもつ者)が著作者(著作物を創作した者=著作者人格権の保有者)でもある場合には、著作権人格権の行使に関する事項についても定めておきましょう。

著作者人格権を行使できる範囲を明記せず、契約解釈に委ねてしまうと、実際に著作者人格権に関するトラブルが発生した際の結果を予測することが困難になるからです。

具体的には、ライセンシーが契約書に記載した範囲での利用を行い、遵守事項を守っている限り、著作者人格権を行使しない旨を定めておくのがよいでしょう。

使用許諾期間満了後の対応

使用許諾期間が満了した場合、ライセンサーはライセンシーに対して、速やかにキャラクターの使用を止めさせなければなりません。

そのため、使用許諾期間満了後の対応として、以下の内容を契約中に明記しておきましょう。

  • キャラクター商品の販売を速やかに停止すること
  • ライセンサーが提供したキャラクターイメージを返還・破棄すること
    など

再許諾の可否

ライセンサーがライセンシーに許諾したキャラクターの使用を、ライセンシーがさらに第三者へ許諾することを認めるかどうかも定めておきます。

予期せぬ形でのキャラクター使用を防ぐ観点から、再許諾は認めないケースの方が多いです。ただし、ライセンシーの関係会社などに絞って、限定的に再許諾を認める場合もあります。

製造物責任に関する事項

使用許諾に基づいて製品化されたキャラクター商品に何らかの欠陥があった場合、製造を行ったライセンシーに加えて、ライセンサーも製造物責任に関するクレームを受けるリスクがあります(製造物責任法3条)。

キャラクターライセンス契約では、ライセンサーが製造物責任の追及を受けないような製品表示をライセンシーに義務付けるとともに、製造物責任に関するクレームをライセンシーの責任において処理するべき旨を定めるべきでしょう。

契約の更新に関する事項

使用許諾期間を更新する際の手続についても定めておきましょう。

「当事者の合意により更新できる」と定めるのが一般的ですが、期間満了の一定期間前までに契約終了の申し出がない場合、自動更新とすることもあります。

秘密保持

契約交渉の段階やライセンス期間においては、当事者間で営業秘密などのやり取りが行われるケースも多いので、秘密保持義務を相互に課すのが一般的です。

秘密保持に関する主な規定内容としては、以下の事項が挙げられます。

  • 秘密情報の定義
  • 第三者に対する秘密情報の開示・漏えい等を原則禁止する旨
  • 第三者に対する開示を例外的に認める場合の要件
  • 秘密情報の目的外利用の禁止
  • 契約終了時の秘密情報の破棄・返還
  • 秘密情報の漏えい等が発生した際の対応
    など

契約の解除

相手方に契約違反があった場合に備えて、契約解除についてのルールも定めておきましょう。

キャラクターライセンス契約の解除事由としては、以下の事項を規定することが考えられます。

  • ライセンシーが使用許諾料を期限どおり支払わなかったこと
  • ライセンシーが遵守事項に違反したこと
  • ライセンサーがキャラクターの著作権を有しないことが判明したこと
  • キャラクターの著作権が期限切れにより失効したこと
  • 当事者のいずれかが秘密保持義務に違反したこと
  • 当事者のいずれかが反社会的勢力に該当することが判明したこと
    など

損害賠償

相手方の契約違反に起因して、自社が損害を被るケースも想定されるため、損害賠償の範囲についても定めておくべきでしょう。

民法のルールを基準とすることが多いものの、契約交渉次第で、損害賠償の範囲を広げる場合・狭める場合もあります。

損害賠償の範囲の定め方

✅ 民法の原則どおりとする場合
→「相当因果関係の範囲内で損害を賠償する」など

✅ 民法の原則よりも範囲を広げる場合
→「一切の損害を賠償する」など

✅ 民法の原則よりも範囲を狭くする場合
→「直接発生した損害に限り賠償する」、損害賠償の上限額を定めるなど

反社会的勢力の排除

取引上のコンプライアンスを確保する観点から、キャラクターライセンス契約にも反社会的勢力の排除に関する条項(反社条項)を定める例が増えています。

反社条項として規定すべき主な事項は、以下のとおりです。

  • 当事者(役員等を含む。以下同じ)が暴力団員等に該当しないことの表明・保証
  • 暴力的な言動等をしないことの表明・保証
  • 相手方が反社条項に違反した場合、直ちに契約を無催告解除できる旨
  • 反社条項違反を理由に契約を解除された当事者は、相手方に対して損害賠償等を請求できない旨
  • 反社条項違反を理由に契約を解除した当事者は、相手方に対して損害全額の賠償を請求できる旨

反社チェックについては、以下の記事で解説しています。

合意管轄・準拠法

キャラクターライセンス契約の当事者間でトラブルが発生した場合に備えて、第一審の管轄裁判所を定めておくのがよいでしょう(合意管轄)。

また、いずれかの当事者が海外企業の場合には、契約解釈に関する準拠法も定めておく必要があります。

この記事のまとめ

キャラクターライセンス契約の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

参考文献

公益社団法人著作権情報センターウェブサイト「みんなのための著作権教室」

公益社団法人著作権情報センターウェブサイト「著作権Q&A  著作権って何?(はじめての著作権講座)」

文化庁ウェブサイト「著作者の権利の内容について」

奥田百子著『なるほど図解著作権法のしくみ〈第3版〉』中央経済社、2017年

小坂準記編著『ライセンス契約書作成のポイント』中央経済社、2020年