立替払い契約とは?
ローンとの違い・活用されるケース・
法規制の概要などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

立替払い契約」とは、顧客が商品やサービスを購入するに当たって、信販会社などに代金を立替払いしてもらう契約です。
クレジットカードの利用契約や、個々の商品・サービスについて締結される代金の後払い契約などが立替払い契約に当たります。

立替払い契約には、割賦販売法の規制が適用されます。
クレジットカードを通じて包括的に立替払いを行うものは「包括信用購入あっせん」、個々の商品・サービスの代金を立替払いするものは「個別信用購入あっせん」に当たり、それぞれ適用される法規制が異なります。

この記事では立替払い契約について、ローンとの違い・活用されるケース・法規制の概要などを解説します。

ヒー

「立替払委託契約書」の審査依頼がありました。立替払い契約って、クレジットカードのことですか?

ムートン

クレジットカードだけでなく、商品・サービスの代金を立て替える契約もありますよ。関係する法令も押さえておきましょう。

※この記事は、2024年4月24日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 法…割賦販売法
  • 令…割賦販売法施行令
  • 規則…割賦販売法施行規則

立替払い契約とは

立替払い契約」とは、顧客が商品やサービスを購入するに当たって、信販会社などに代金を立替払いしてもらう契約です。

立替払い契約の仕組み

立替払い契約では、顧客信販会社に対して、商品やサービスの代金を代わりに支払うことを委託し、信販会社がこれを受託します。

立替払い契約に基づき、信販会社は売主等に対して、買主等である顧客に代わり商品やサービスの代金を支払います。顧客は立替払い契約に定められた方法・期限に従って、信販会社に対して立替金を返済します。

立替払い契約の法的性質|準委任契約

立替払い契約は、法的には「準委任契約」であると解されています。

準委任契約とは、法律行為でない事務の委託を内容とする契約です(民法656条)。
立替払い契約に基づく委任事務は商品やサービスの代金の支払いであり、これは法律行為でない事務に当たるため、立替払い契約は準委任契約に該当します。

準委任契約には、委任に関する規定が準用されます(民法656条)。

準委任契約については、以下の記事を併せてご参照ください。

立替払い契約とローンの違い

立替払い契約は、商品やサービスの代金を、信販会社が利用者に代わって立替払いするものです。立替金が未払いとなっている間は、実質的に利用者が信販会社からお金を借りている状態と考えることができます。

しかし立替払い契約は、利用者が銀行や貸金業者からお金を借り入れる「ローン」とは法的に異なるものです。具体的には、以下のような点が異なります。

立替払い契約とローンの違い

① 利用者に対する金銭の交付の有無
ローンでは、銀行や貸金業者が利用者に対して金銭を交付します。利用者は金銭消費貸借契約の約定に従い、銀行や貸金業者に対して借入金を返済しなければなりません。

これに対して立替払い契約では、信販会社から利用者に対して金銭が交付されることはありません。信販会社はあくまでも、利用者に代わって商品やサービスの購入代金を立替払いするのみです。

② 必要な許認可の違い
営業として顧客にローンを貸し付ける事業者は、銀行業の免許または貸金業の登録を受ける必要があります。

これに対して、営業として立替払いを行う信販会社は、割賦販売法に基づく登録(包括信用購入あっせんまたは個別信用購入あっせん)を受ける必要があります。

③ 利息制限法の適用の有無
ローンの金利には利息制限法が適用され、元本額に応じた上限(年利15%・18%・20%)が設けられています。

これに対して、立替払い契約には利息制限法が適用されません。したがって、実質的に金銭の貸付けであると評価される場合や、公序良俗に反する法外な利率を設定する場合などを除き、立替払い契約の金利(手数料)には上限がありません。

立替払い契約のメリット・デメリット

立替払い契約のメリットとして、利用者は、立替払い契約を利用することにより、手元に十分なお金がない状態でも商品やサービスを購入できます。特に高額の商品やサービスを購入する際には、立替払い契約によって代金の負担を分散させることが可能です。
その一方で、分割回数や支払時期などに応じて、手数料の負担が発生するデメリットがあります。

信販会社は、立替払いの対価として手数料を得ることができます。クレジットカード(=包括信用購入あっせん)については売主等である事業者から、個別信用購入あっせんについては買主等である利用者から手数料を収受します。
その一方で信販会社は、立替金の返済が滞り、回収不能になってしまうリスクを負います。

立替払い契約が活用されるケース

立替払い契約として広く行われているものの代表例が、クレジットカードの利用です。
クレジットカードについては、カード会社があらかじめ審査を行った上で、利用者ごとにショッピング利用額を設定します。利用者はその金額の範囲内で、クレジットカードを利用して後払いで商品を購入できます。

また、個々の商品やサービスの代金についても、個別に立替払い契約が締結されることがあります。
立替払い契約が活用される商品・サービスとして挙げられるのは、賃貸物件のメンテナンス工事・リフォーム工事、大規模な医療機器、機械の据付工事などです。

立替払い契約に関する法規制|割賦販売法

立替払い契約には、割賦販売法の規制が適用されます。
立替払いは「包括信用購入あっせん」と「個別信用購入あっせん」の2つに分類され、それぞれ適用される法規制が異なります。

包括信用購入あっせんと個別信用購入あっせんの違い

包括信用購入あっせん」とは、クレジットカードを通じた立替払いです(法2条3項)。
クレジットカードの利用契約では、信販会社(カード会社)が立替払いを行う商品やサービスは特定されません。利用者はショッピング利用額の範囲内で、後払いで購入する商品やサービスを自由に選ぶことができます。

個別信用購入あっせん」とは、クレジットカードを介さずに行う立替払いです(法2条4項)。個々の商品・サービスを特定した上で、その商品・サービスに限り信販会社が立替払いを行います。

包括信用購入あっせんに適用される割賦販売法の主な規制

包括信用購入あっせんに適用される割賦販売法の主な規制としては、以下の例が挙げられます。

① 取引条件に関する情報提供
② 包括支払可能見込額の調査
③ 包括信用購入あっせん業者に対する抗弁
④ 事業者の登録制

取引条件に関する情報提供

包括信用購入あっせん業者は、利用者に対してクレジットカード等を交付・付与するときは、取引条件に関する以下の情報を利用者に提供しなければなりません(法30条、規則36条6項・37条5項)。

(a) 一定時期払いの場合(一回払い・分割払い)
・包括信用購入あっせんに係る商品もしくは権利の代金または役務の対価(手数料を含む)の支払の期間および回数
・手数料の料率
・支払総額の具体的算定例
・極度額について定めがあるときは、その金額
・上記のほか、カード等の利用に関する特約があるときは、その内容

(b) リボ払いの場合
・利用者が弁済をすべき時期および当該時期ごとの弁済金の額の算定方法
・手数料の料率
・弁済金の額の具体的算定例
・極度額について定めがあるときは、その金額
・上記のほか、カード等の利用に関する特約があるときは、その内容

包括支払可能見込額の調査

包括信用購入あっせん業者は、利用者に対してカード等を交付・付与しようとする場合、または極度額(限度額)を増額しようとする場合には、原則としてそれに先立ち、利用者の年収・預貯金・信用購入あっせんに係る債務の支払状況・借入の状況などを調査しなければなりません(法30条の2第1項)。

調査によって得られた事項を基礎として算定した包括支払可能見込額(=利用者が日常の生活を維持しながら、持続的に支払うことができると見込まれる1年間当たりの金額)の90%を極度額が上回る場合、カード等の交付・付与または極度額の増額は禁止されます(法30条の2の2)。

ただし例外的に、極度額が30万円以下のカード等を交付・付与しようとする場合などには、包括支払可能見込額の調査義務が免除されています(規則43条1項)。

包括信用購入あっせん業者に対する抗弁

利用者は、商品やサービスの売主等に対して生じている事由をもって、その代金の支払いを請求する包括信用購入あっせん業者に対抗できます(法30条の4)。

例えば、契約の解除や取り消しによって代金の支払義務が消滅した場合には、利用者は包括信用購入あっせん業者に対しても、当該代金の支払いを拒否することが可能です。

ただし例外的に、支払総額が4万円未満(リボ払いの場合は3万8000円未満)の場合には、上記の包括信用購入あっせん業者に対する抗弁が認められません(法30条の4第4項、令21条)。

事業者の登録制

包括信用購入あっせんを業として営むことができるのは、原則として経済産業省の登録を受けた法人に限られています(法31条)。

個別信用購入あっせんに適用される割賦販売法の主な規制

個別信用購入あっせんに適用される割賦販売法の主な規制としては、以下の例が挙げられます。

① 取引条件の表示
② 個別支払可能見込額の調査
③ 契約書面の交付
④ クーリングオフ
⑤ 個別信用購入あっせん業者に対する抗弁
⑥ 事業者の登録制

取引条件の表示

個別信用購入あっせん業者は、立替払いを行う商品・サービス等の取引条件に関して、以下の事項を利用者に対して表示しなければなりません(法35条の3の2)。

  • 商品もしくは権利の現金販売価格または役務の現金提供価格
  • 購入者または役務の提供を受ける者の支払総額
  • 個別信用購入あっせんに係る商品もしくは権利の代金または役務の対価の全部または一部(手数料を含む)の支払の期間および回数
  • 手数料の料率

なお、商品・サービス等の販売業者・提供事業者においても、同様の事項を個別信用購入あっせんの利用者に表示することが義務付けられています。

個別支払可能見込額の調査

個別信用購入あっせん業者は、個別信用購入あっせんに関する契約を締結しようとする場合には、原則として利用者の年収・預貯金・信用購入あっせんに係る債務の支払状況・借入の状況などを調査しなければなりません(法35条の3の3第1項)。

調査によって得られた事項を基礎として算定した個別支払可能見込額(=利用者が日常の生活を維持しながら、持続的に支払うことができると見込まれる1年間当たりの金額)を1年間の支払総額が上回る場合、個別信用購入あっせんに関する契約の締結は禁止されます(35条の3の4)。

契約書面の交付

個別信用購入あっせん業者は、利用者から個別信用購入あっせんに関する契約の締結の申込みを受けた場合には、遅滞なく契約事項を記載した書面交付しなければなりません(法35条の3の9)。

クーリングオフ

個別信用購入あっせんに関する契約については、利用者によるクーリングオフが認められています。

利用者は、契約書面の交付を受けた日から起算して8日間に限り、個別信用購入あっせんに関する契約を無条件で解除できます(法35条の3の10第1項)。クーリングオフの効力は、個別信用購入あっせん業者に対してその通知を発した時点で生じます(同条2項)。

個別信用購入あっせん業者は利用者に対して、クーリングオフに伴う損害賠償または違約金の支払いを請求することができません(同条3項)。

個別信用購入あっせん業者に対する抗弁

利用者は、商品やサービスの売主等に対して生じている事由をもって、その代金の支払いを請求する個別信用購入あっせん業者に対抗できます(法35条の3の19)。

例えば、契約の解除や取り消しによって代金の支払義務が消滅した場合には、利用者は個別信用購入あっせん業者に対しても、当該代金の支払いを拒否することが可能です。

ただし例外的に、支払総額が4万円未満の場合には、上記の個別信用購入あっせん業者に対する抗弁が認められません(法35条の3の19第4項、令26条)。

事業者の登録制

個別信用購入あっせんを業として営むことができるのは、原則として経済産業省の登録を受けた法人に限られています(法35条の3の23)。

ムートン

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