株主総会開催後にやるべきこととは?
必要な手続き・会社法の根拠規定などを解説!
※この記事は、2023年2月20日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
株主総会開催後にやるべきことの一覧
株主総会が終了した後、会社がやるべきことは主に以下のとおりです。
1|取締役会の開催
2|株主に対する書類の送付
3|株主総会議事録の作成
4|登記手続き
5|計算書類の公告
6|書面の備え置き
7|株主からの指摘を踏まえた検証・改善
株主総会開催後にやるべきこと1|取締役会の開催
株主総会の終了後には取締役会を開催し、以下の事項を決定する必要があります。
① 代表取締役の選定等
② 株主総会・取締役会の招集者、および議長となるべき取締役の順位の決定
③ 法定・任意の委員会に係る委員の選定
④ 取締役の競業取引・利益相反取引の承認
⑤ 取締役の報酬の配分決定
など
代表取締役の選定等
代表取締役が取締役の任期満了を迎えると、その時点で代表権を失います。株主総会で取締役に再選された場合でも、いったん代表権を失っているため、改めて取締役会で代表取締役を選定しなければなりません(会社法362条3項)。
役付取締役や業務執行取締役などについても同様です。
株主総会・取締役会の招集者、および議長となるべき取締役の順位の決定
取締役が改選または再選された場合には、従前決めていた株主総会・取締役会の招集者や、株主総会・取締役会の議長となるべき取締役の順位に空席が生じることがあります。この場合、改めて取締役会決議で招集権者や順位を決定しなければなりません。
なお、招集権者や議長となるべき順位が役職などによって自動的に決まる場合は、改めて取締役会決議を行う必要はありません。
法定・任意の委員会に係る委員の選定
指名委員会等設置会社では、指名委員会・報酬委員会・監査委員会の各委員を、取締役の中から取締役会決議で選定しなければなりません(会社法400条2項)。
株主総会で改選または再選された取締役がいずれかの委員会の委員である場合には、委員に空席が生じるため、直後の取締役会決議で選任する必要があります。
法定の委員会のほか、取締役で構成される委員会を任意に設置している場合にも、空席が生じれば取締役会決議によって補充するのが一般的です。
取締役の競業取引・利益相反取引の承認
株主総会決議に基づき新たに就任した取締役は、他の会社の役員などを兼務している関係で、会社法上の競業取引・利益相反取引規制に抵触するケースがあります。
新任の取締役が競業取引または利益相反取引を行う場合、当該取締役は取締役会に重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(会社法356条1項・365条1項・419条2項)。
取締役の報酬の配分決定
取締役の報酬は実務上、株主総会でその総額を定め、具体的な配分については取締役会で決定するのが一般的です。
したがって、取締役報酬の総額が株主総会で決議された場合、続く取締役会では具体的な配分を決議する必要があります。
株主総会開催後にやるべきこと2|株主に対する書類の送付
上場会社では、株主総会の終了後、株主に対して、決議内容の通知書面(決議通知)と配当関係書類を送付するのが一般的です。決議通知については、書面で発送せずウェブサイトに掲載する例もよく見られます。
非上場会社でも、株主総会に不参加の重要株主がいる場合などには、これらの書面を発送することなどを検討すべきでしょう。
株主総会開催後にやるべきこと3|株主総会議事録の作成
株主総会の開催後は、議事録を作成することが義務付けられています(会社法318条1項)。
株主総会議事録に記載すべき事項
株主総会議事録には、以下の事項を記載しなければなりません(会社法318条1項、会社法施行規則72条3項)。
① 株主総会の開催日時・場所(役員・株主が会場以外で出席した場合には、その出席の方法)
② 株主総会における議事経過の要領・結果
③ 以下の事項について、株主総会において述べられた意見・発言内容の概要
・監査等委員である取締役等の選任、解任、辞任についての意見(会社法342条の2第1項)
・監査等委員である取締役を辞任した者による、辞任した旨およびその理由の陳述(同条2項)
・監査等委員会が選定する監査等委員による、監査等委員である取締役以外の取締役の選任、解任、辞任についての監査等委員会の意見(同条4項)
・会計参与による、会計参与の選任、解任、辞任についての意見(会社法345条1項)
・会計参与を辞任した者による、辞任した旨およびその理由の陳述(同条2項)
・監査等委員である取締役による、監査等委員である取締役の報酬等に関する意見(会社法361条5項)
・監査等委員会が選定する監査等委員による、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等についての監査等委員会の意見(同条6項)
・計算書類等の作成につき、会計参与が取締役と意見を異にする場合における、会計参与の当該計算書類等についての意見(会社法377条1項)
・会計参与による、会計参与の報酬等についての意見(会社法379条3項)
・監査役による、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類等の法令違反、定款違反、著しく不当な事項についての報告(会社法384条)
・監査役による、監査役の報酬等についての意見(会社法387条3項)
・定款により、監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合において、監査役による会計調査結果の報告(会社法389条3項)
・計算書類等の法令、定款への適合性につき、会計監査人が監査役と意見を異にする場合における、会計監査人の意見(会社法398条1項)
・定時株主総会において、会計監査人の出席を求める決議があった場合における、会計監査人の意見(同条2項)
・監査等委員による、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類等の法令違反、定款違反、著しく不当な事項についての報告(会社法399条の5)
④ 株主総会に出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名または名称
⑤ 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
⑥ 議事録の作成に関する職務を行った取締役の氏名
株主総会議事録の作成期限
株主総会議事録の作成期限は、会社法上特に定められていません。
ただし、役員の変更など登記すべき事項が決議された場合は、株主総会の開催日から2週間以内に変更登記手続きを行う必要があります(会社法915条1項)。
その際、株主総会議事録が添付書類となるため、少なくとも登記手続きに間に合うように株主総会議事録を作成しなければなりません。
株主総会開催後にやるべきこと4|登記手続き
株主総会において、会社に関する一定の事項の変更が決議された場合には、法務局で変更登記手続きを行う必要があります。
変更登記が必要な事項
株主総会決議により変更した場合に、変更登記手続きが必要となる事項は以下のとおりです(会社法915条1項・911条3項)。
① 目的
② 商号
③ 本店および支店の所在場所
④ 存続期間または解散の事由についての定款の定め
⑤ 資本金の額
⑥ 発行可能株式総数
⑦ 発行する株式の内容
⑧ 単元株式数
⑨ 発行済株式の総数ならびにその種類および種類ごとの数
⑩ 株券発行会社か否か
⑪ 株主名簿管理人の氏名or名称・住所・営業所
⑫ 新株予約権に関する事項
⑬ 株主総会参考書類等の電子提供措置をとる旨
⑭ 取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く)の氏名
⑮ 代表取締役の氏名および住所(指名委員会等設置会社を除く)
⑯ 取締役会設置会社であるか否か
⑰ 会計参与設置会社であるか否か、会計参与の氏名or名称、会計参与が定める計算書類等の備置場所
⑱ 監査役設置会社であるか否か、監査の範囲に会計に関するものに限定するか否か、監査役の氏名
⑲ 監査役会設置会社であるか否か、社外監査役であるか否か
⑳ 会計監査人設置会社であるか否か、会計監査人の氏名or名称
㉑ 一時会計監査人の氏名or名称
㉒ 特別取締役による議決の定めに関する事項
㉓ 監査等委員会設置会社であるか否か、および関連する事項
㉔ 指名委員会等設置会社であるか否か、および関連する事項
㉕ 役員の責任免除に関する定款の定め
㉖ 責任限定契約に関する定款の定め
㉗ 計算書類の電子公告に関する事項
㉘ 公告方法についての定款の定め
㉙ 電子公告による公告方法に関する事項
㉚ 官報に掲載する方法を公告方法とする旨
変更登記手続きの期限・場所
上記の各事項に関する変更登記手続きは、変更日(=株主総会決議の日)から2週間以内に、会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局で行います(会社法915条1項)。
なお、支店の所在地における登記手続きは、2022年9月1日以降不要となりました。
株主総会開催後にやるべきこと5|計算書類の公告
株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、所定の計算書類を公告しなければなりません(会社法440条1項)。
公告すべき計算書類
株式会社が定時株主総会の終結後に公告すべき計算書類は、以下のとおりです(会社法440条1項)。
① 大会社の場合
→貸借対照表と損益計算書
② それ以外の場合
→貸借対照表
ただし、公告方法が官報掲載または日刊新聞紙への掲載である場合には、貸借対照表(大会社の場合は貸借対照表と損益計算書)の要旨を公告すれば足ります(同条2項)。
公告の方法
公告方法は、定款によって以下のいずれかを定めることができます(会社法939条1項)。
① 官報に掲載する方法
② 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
③ 電子公告
定款の定めがない場合は、官報に掲載する方法が公告方法となります(同条4項)。
なお、公告方法が官報掲載または日刊新聞紙への掲載であっても、貸借対照表(大会社の場合は貸借対照表と損益計算書)の要旨についてのみ、自社のウェブサイトなどに電子掲載することが可能です(会社法440条3項)。
ただしこの場合、掲載先ウェブサイトのURLを登記する必要があります(会社法911条3項26号)。
株主総会開催後にやるべきこと6|書面の備え置き
株主総会に関連する書面や電磁的記録は、会社法の規定に従い、一定期間備え置かなければなりません。
各書面・電磁的記録の備置期間・備置場所は以下のとおりです。
備え置くべき書面 | 根拠条文 | 期間 | 備え置く場所 |
---|---|---|---|
議決権の代理行使に関して、代理権を証明する書面または電磁的記録 | 会社法310条5項 | 株主総会の日から3カ月間 | 本店 |
議決権行使書面 | 会社法311条3項 | 株主総会の日から3カ月間 | 本店 |
議決権行使の電磁的記録 | 会社法312条4項 | 株主総会の日から3カ月間 | 本店 |
株主総会議事録 | 会社法318条2項 | 株主総会の日から10年間 | 本店 |
株主総会議事録の写し | 会社法318条3項 | 株主総会の日から5年間 | 支店 |
各事業年度に係る計算書類・事業報告・付属明細書 ※監査報告または会計監査報告を含む | 会社法442条1項1号 | 定時株主総会の日の1週間前の日(取締役会設置会社では2週間前の日)から5年間 | 本店 |
各事業年度に係る計算書類・事業報告・付属明細書の各写し ※監査報告または会計監査報告を含む | 会社法442条2項1号 | 定時株主総会の日の1週間前の日(取締役会設置会社では2週間前の日)から3年間 | 支店 |
臨時計算書類 ※監査報告または会計監査報告を含む | 会社法442条1項2号 | 臨時計算書類を作成した日から5年間 | 本店 |
臨時計算書類の写し ※監査報告または会計監査報告を含む | 会社法442条2項2号 | 臨時計算書類を作成した日から3年間 | 支店 |
株主総会開催後にやるべきこと7|株主からの指摘を踏まえた検証・改善
株主総会では、株主から経営に関する意見や、改善点の指摘などが寄せられることもあります。
会社が中長期的に発展を続けるためには、株主と対話しながらアップデートを重ねることが不可欠です。経営陣としては、株主の貴重な意見に耳を傾けつつ、合理的と思われる内容は経営改善に取り入れていくことが求められます。
株主総会は、経営陣が株主の意見を直接聴ける貴重な場です。株主総会における株主との対話を最大限に活かし、さらなる会社の発展を目指しましょう。
この記事のまとめ
株主総会開催後にやるべきことの記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!