【2022年1月施行】
電子帳簿保存法(電帳法)改正とは?
改正ポイントを分かりやすく解説!
- この記事のまとめ
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改正電子帳簿保存法・施行規則(2022年1月施行)のポイントを解説!!
経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上等に資するため、令和3年度の税制改正において電子帳簿等保存手続について抜本的な見直しがなされました。
この改正により、帳簿書類や電子取引情報を電子的に保存する際の手続や要件が大幅に緩和され、電子帳簿等保存制度が使いやすくなる一方で、電子取引情報を書面に出力する方法で保存する方式は廃止され、また、不正に対するペナルティが強化されています。
既に電子帳簿等保存制度を取り入れている会社も、今後の導入を検討している会社も、この機会に電子帳簿等保存制度とは何か、今回の改正で何が変わったかを再確認してみてはいかがでしょうか。
この記事では、電子帳簿保存法の知識がない方にも分かりやすく改正のポイントを解説します。
(※この記事は、2021年11月26日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。)
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
・電帳法…2022年1月施行後の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
・旧電帳法…2022年1月施行前の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
・電帳法規則…2022年1月施行後の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
・旧電帳法規則…2022年1月施行前の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
・電帳法通達…電子帳簿保存法取扱通達(2021年7月9日改正 2022年1月1日施行分)
目次
電子保存は義務化まで2年間の猶予がある
2021年12月24日に閣議決定された「令和4年度税制改正の大綱」にて、今回の電帳法改正における重要ポイントの「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務化」につき、2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間の宥恕措置(経過措置)が設けられました。
以下のすべての要件を満たす場合に限り、上記の期間中については、電子取引の取引情報を紙媒体で印刷保存することなども認められます。
- 宥恕措置の適用要件
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✅ 保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が、電帳法の規定に従った電磁的記録の保存ができなかったことについてやむを得ない事情があると認めたこと
✅ 保存義務者が、質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしていること
宥恕措置の適用を受けるためには、特に税務署への届出等は不要です。各事業者には、宥恕措置が適用される2年間のうちに、電帳法の規定に従った電子帳簿保存ができる体制を整備することが求められます。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務化の詳細については、本記事の後半で解説しているので、併せてご参照ください。
2022年1月施行の改正電子帳簿保存法(電帳法)とは?
改正の目的
今回の電帳法改正は、令和3年度税制改正の中で、納税環境を整備するための改正の一環として行われるものです。財務省は、令和3年度税制改正の解説において、今回の電帳法改正の目的について、以下のように説明しています。
経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直しました。
財務省 令和3年度 税制改正の解説「令和3年度税制改正について」
財務省は、さらに、具体的な改正内容について以下の通りとしています。
具体的には、自己で作成する帳簿書類を電子的に保存するにあたり、税務署長の事前承認を廃止し、モニターや説明書の備付けなど最低限の要件を満たす電子帳簿に関して電子データのまま保存可能(紙での保存を不要)としたほか、検索機能や訂正削除履歴を備えた信頼性の高い電子帳簿に関しては過少申告加算税を5%軽減するなどのインセンティブ措置を適用することとしました。また、取引相手から受領した紙の領収書等について紙原本に代えてスキャナ画像を保存できるスキャナ保存制度については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、税務署長の事前承認を廃止し、スキャン後直ちに紙原本を廃棄できるようにするなど手続・要件を大幅に緩和した一方で、電子データに関して改ざん等の不正が把握されたときは重加算税を10%加重する措置を講じました。
財務省 令和3年度 税制改正の解説「令和3年度税制改正について」
公布日・施行日
改正の根拠となる法令は、以下のとおりです。
| ・「所得税法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第11号) ・「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(令和3年財務省令第25号) |
今回の改正では、電子帳簿等保存制度を利用する際の事前承認の廃止や不正利用についてのペナルティの強化を含めた抜本的な見直しがなされているため、令和2年度改正とは異なり、電帳法自体の改正が行われています。なお、今回の電帳法改正は、令和3年度税制改正の一環のため、「所得税法等の一部を改正する法律」により、他の税制関連法とともに改正する形式がとられています。
- 公布日・施行日
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公布日│2021年3月31日
施行日│2022年1月1日












