安全配慮義務とは?
意味・問題となった事例・法的根拠
(労働契約法や民法)などを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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安全配慮義務とは、労働者の生命・身体・健康が害されることがないように配慮する義務です。
安全配慮義務は、使用者(会社)に義務付けられたものであり、安全配慮義務に違反した場合、民事上の損害賠償責任だけでなく、刑事上・行政上の責任を負う可能性があります。
本記事では、安全配慮義務について、基本から分かりやすく解説します。
※この記事は、2024年2月22日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
安全配慮義務とは
安全配慮義務とは、労働者の生命・身体・健康が害されることがないように配慮する義務です。
具体的には、労働災害の危険を発見し、その危険を事前に排除(予防)する義務です。
① 危険発見
職場における危険、特に労働者の周りにある危険を予知して発見する
② 事前排除(予防)
リスクを除去・低減させ、残存したリスクに対しては作業者にその存在などを示し、危険が顕在化しないように対策をとる
安全配慮義務の法的根拠(労働契約法・民法など)
安全配慮義務は、労働契約に付随する義務として、信義則に基づき認められる義務です。(民法1条2項)
従来は、判例により認められていましたが、2007年に制定された労働契約法により明文化されました。
(労働者の安全への配慮)
「労働契約法」e-gov法令検索 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
第5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
同条に定める「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれます。
また、「必要な配慮」は、一律に定まるものではなく、労働者の職種、労務内容、労務提供場所などの具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められます。
安全配慮義務の適用範囲
安全配慮義務は労働契約法5条により、労働契約を結んだ使用者と労働者の間で適用されます。
また、労働契約を結んでいなくても、次のような、労使関係に類似した特別な社会的接触の関係に入った当事者間においても信義則上負うことがあります。
1|元請けと下請け事業者
元請けと下請けのような請負関係の場合、下請け事業者は独立した立場で請負業務を行いますから、原則として、元請け事業者に安全配慮義務は生じません。
しかし、下請け事業者の労働者と元請け事業者との間に「特別の社会的接触の関係」が認められる場合(例:下請事業者の労働者が元請け事業者の管理する設備、工具等を用い、元請け事業者から直接指揮監督されている)には、元請け事業者が下請け事業者の労働者に対し安全配慮義務を負う場合があります。
2|発注者と個人事業主
個人事業主も独立した立場で業務を行いますから、原則として、発注者には安全配慮義務は生じません。
しかし、業務の遂行に際して、個人事業主が発注者の指揮監督を受けていた場合には、労働契約に準じるような使用従属関係があったとして安全配慮義務が認められる場合があります。
3|派遣先と派遣労働者
労働者派遣では、派遣労働者は、派遣先の設備や器具を使用し、派遣先の指揮命令に従って就業するため、派遣先は、派遣労働者に対し安全配慮義務を負います。
また、派遣元も、派遣労働者に対して安全配慮義務を負っています。そのため、
- 派遣元が派遣先の安全衛生管理状況を把握していない
- 安全衛生管理が徹底されていないことを知りつつ放置している
といった場合には、安全配慮義務違反となります。
4|出向社員と出向元・出向先
在籍出向では、出向労働者は、出向元・出向先の双方との雇用契約関係が認められます。
- 在籍出向とは
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出向元と出向先との間の出向契約によって、労働者が出向元・出向先の両方と雇用契約を結び、出向先に勤務すること
この場合、出向労働者は、出向期間中、出向先の指揮命令に従って出向先に対し労務を提供しますから、基本的には、出向先が安全配慮義務を負います。出向元は、出向先での労働について労働者の心身の健康を損なうような具体的な問題を認識しえたような場合に、適切な措置を講ずる義務を負います。
安全配慮義務と労働安全衛生法の関係
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律です。
事業者は、同法の規定に基づき職場における労働者の安全と健康を確保するためのさまざまな措置をとらなければなりません。
このような労働安全衛生法に定める措置を講じる義務は、安全配慮義務とは異なる義務ですが、いずれも労働者の安全を確保するという目的は共通です。
そのため、具体的事情によっては、労働安全衛生法や同法規則に定める内容が安全配慮義務違反があるか否かの判断基準の一部となる場合があります。
もっとも、安全配慮義務の内容は、労働安全衛生法や同法規則に定めるものだけではありませんから、同法の規定を満たしていても安全配慮義務違反となる可能性があることに注意が必要です。
安全配慮義務の具体的な内容
安全配慮義務の内容は労働者の職種や労務内容の具体的な状況に応じて異なりますが、大まかに分類すると、主に以下のとおりです。
- 物的施設の管理に関する義務
- 人的組織の管理に関する義務
- 健康配慮義務
- 職場環境配慮義務
1|物的施設の管理に関する義務
物的施設の管理に関する義務とは、労務を提供する際に使用する場所、施設、器具などを管理するにあたり安全策を講じ、労働者の生命・身体などを危険から保護するよう配慮すべき義務をいいます。
施設や器具の整備や点検のほか、事故の要因となりうる作業環境を確認し、必要な対策を実施することなどがこれに当たります。
2|人的組織の管理に関する義務
人的組織の管理に関する義務とは、労働者や組織を適切に管理し、労働者の生命・身体などを危険から保護するよう配慮すべき義務をいいます。
- 労働者に対する十分な安全教育の実施
- 労働者の安全を脅かす行為に対し適切な注意・指導を行う義務
- 有資格者や安全監視員を配置する義務
などがこれに当たります。
3|健康配慮義務
健康配慮義務とは、労働者の健康状態を把握し、これに応じて業務の軽減などの適切な措置を講じて、労働者の健康に配慮する義務をいいます。
適切な頻度で健康診断を実施したり、必要に応じて、労働内容の変更、労働時間の短縮などの適切な措置を講じることなどがこれに当たります。
4|職場環境配慮義務
職場環境配慮義務とは、働きやすい良好な職場環境を維持する義務をいいます。
作業環境などの物理的な面の環境を整えることに加え、職場でハラスメントやいじめが生じないよう十分な防止措置を講じたりすることもこれにあたります。
安全配慮義務違反の判断基準
安全配慮義務は、前述したとおり、労働災害の危険を発見し、その危険を事前に排除(予防)する義務です。
しかし、労働者の心身の安全が害される可能性を使用者が予見できなければ、安全配慮を行うことができません。また、このような危険が、使用者の行動で回避できない種類のものであった場合にも安全配慮を行うことができません。
そこで、労働者が、労働の過程で生命、身体及び健康が害された場合、使用者に予見可能性と結果回避可能性の両方があったときに、安全配慮義務違反となります。
予見可能性
予見可能性とは、労働者の心身の安全が害される可能性を使用者が予見できたことをいいます。
予見可能性があるのは、例えば以下のような場合です。
- 工作機械の整備不良があれば誤作動が起こり、労働者がけがをする可能性がある
- 受動喫煙によって健康が害される可能性がある
- 長時間労働により心身が害される可能性がある
他方、以下のような場合には、予見可能性がないとされる可能性があります。
- 想定される自然災害への備えはしていたが、想定を超えた自然災害が生じた
- 持病などをもたない従業員が通常であれば心身障害が生じない程度の業務に従事していたが、突発的な疾患が生じた
結果回避可能性
結果回避可能性とは、予見できた労働者の危険を、会社が適切な行動をとれば回避できたことをいいます。
結果回避可能性があるのは、例えば以下のような場合です。
- 工作機械の整備はきちんと行っており、マニュアルも備えていたが、労働者に対する安全管理教育が不十分だったため、事故がおきた
- 就業規則を超えた過度の残業が行われており、使用者側もそれを知りえたにもかかわらず放置したため心身が害された
- ハラスメント相談窓口がなく被害を訴えられなかったため、心身が害された
他方、以下のように、社会通念上相当と評価される措置を講じたにもかかわらず損害が発生したような場合は、結果回避可能性がないとされる可能性があります。
- 工作機械の整備はきちんと行い、マニュアルも備え、労働者に対する安全管理教育を十分に行っていたにもかかわらず、事故がおきた
- 特別な事情がないのに、建築基準法に適合し、適切に管理された建物内の階段で足を踏み外してけがをした
安全配慮義務に違反した場合の責任
民事上の責任
使用者が安全配慮義務に違反した結果、労働者の生命、身体または健康が害された場合、使用者は、以下の条文を根拠に損害賠償義務を負います。
- 債務不履行責任(労働契約違反)|民法415条
- 不法行為責任|民法709条・民法715条
① 積極的損害(安全配慮義務違反により現実に生じた損害)
治療関係費、通院交通費、装具・器具等購入費など
② 消極的損害(安全配慮義務違反がなければ得たであろう利益)
休業損害、逸失利益など
③ 慰謝料
刑事上の責任
刑法
刑法では、安全配慮義務違反自体を処罰する条項はありません。
しかし、安全配慮義務違反により、職場内で事故などが生じて労働者が死傷したような場合、職務上安全配慮すべきことを義務付けられている者(経営者や安全管理者)が、業務上過失致死(致傷)罪に問われる可能性があります。(刑法211条)
労働安全衛生法
また、労働安全衛生法では、労働災害の予防のための安全衛生管理措置を定め、事業者に対し遵守を義務づけています。
そして、(労働災害の発生の有無を問わず)安全衛生管理措置を怠ると、職務上安全配慮すべきことを義務付けられている者に、刑事責任が科せられます。(労働安全衛生法116条、117条、119条、120条)
なお、同法違反には両罰規定があり、同法に違反した場合、会社自体にも罰金が科されます。(労働安全衛生法122条)
行政上の責任
労働安全衛生法では、
- 同法に定める安全衛生管理措置に違反している場合
- 労働災害発生の急迫した危険がある場合
などには、監督官庁は是正勧告・改善指導・機械設備の使用停止処分・作業停止処分などを行うことができるとされています。(労働安全衛生法88条、89条、98条、99条など)
そのため、安全配慮義務違反がある場合、このような行政上の処分がなされる可能性があります。
その他、労働災害が発生したような場合には、安全配慮義務違反を理由として行政機関から取引停止(指名停止)を受けることもあります。
安全配慮義務が問題となった事例
事例1|陸上自衛隊八戸車両整備工場事件(最高裁昭和50年2月25日判決)
- 概要
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陸上自衛隊の八戸駐屯地車両整備工場において、車両整備中の隊員が、後退してきたトラックと接触して死亡したことについて、遺族が国に対し損害賠償を請求した事件
この事件において、最高裁判所は、最高裁として初めて安全配慮義務という概念を認めました。
国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解すべきである。
厚生労働省「参考となる主な裁判例」
また、同判決では、「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められる」として、安全配慮義務が雇用などにより特別な社会的接触に入った者の間で一般的に認められる義務であるとしました。
事例2|三菱重工神戸造船所事件(最高裁平成3年4月11日判決)
- 概要
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造船所において、下請け事業者の従業員が騒音性難聴となったことについて、元請け事業者の安全配慮義務違反が問われた事件
この事件において、最高裁判所は、具体的事情に照らして特別な社会的接触の関係があると認められれば、元請け事業者は、直接の雇用関係にない下請業者の従業員に対しても安全配慮義務を負うことを明確にしました。
いわゆる社外工として、上告人の管理する設備、工具等を用い、事実上上告人の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、上告人は、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負うものである
裁判所ウェブサイト「最高裁平成3年4月11日判決」
事例3|電通事件(最高裁平成12年3月24日判決)
- 概要
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大手広告代理店に勤務する労働者が、長時間にわたり残業を行う状態を1年余り継続した後にうつ病を発症し、入社2年目に自殺。遺族が会社に対し、使用者責任に基づく損害賠償を請求した事件
この事件において、最高裁判所は、使用者は、安全配慮義務として労働者の健康状態や労働実態に応じ、業務の軽減など具体的な措置を行うべきと判断しています。
甲(被害者)の上司は、甲が業務遂行のために徹夜までする状態にあることを認識し、その健康状態が悪化していることに気付いていながら、甲に対して業務を所定の期限内に遂行すべきことを前提に時間の配分につき指導を行ったのみで、その業務の量等を適切に調整するための措置を採らず、その結果、甲は、心身共に疲労困ぱいした状態となり、それが誘因となってうつ病にり患し、うつ状態が深まって衝動的、突発的に自殺するに至ったなど判示の事情の下においては、使用者は、民法715条に基づき、甲の死亡による損害を賠償する責任を負う。
裁判所ウェブサイト「最高裁平成12年3月24日判決」
事例4|川崎市水道局(いじめ自殺)事件(東京高裁平成15年3月25日判決)
- 概要
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川崎市水道局に勤める局員が、水道局内でのいじめや嫌がらせを苦に自殺。遺族が川崎市に対し、安全配慮義務違反に基づく慰謝料等を請求した事件
この事件について、東京高等裁判所は、職場責任者は、職場内でのいじめを認識した際には、いじめを制止するなどの対応が必要であることを明らかにしました。
職員の安全の確保のためには,職務行為それ自体についてのみならず,これと関連して,ほかの職員からもたらされる生命,身体等に対する危険についても,市は,具体的状況下で,加害行為を防止するとともに,生命,身体等への危険から被害職員の安全を確保して被害発生を防止し,職場における事故を防止すべき注意義務(以下「安全配慮義務」という。)があると解される。
裁判所「東京高裁平成15年3月25日判決」
安全配慮義務に対応するためのポイント
安全配慮義務に対応するためのポイントは以下のとおりです。
- 安全衛生管理体制の確立
- 安全衛生管理計画の策定
- 危険源を取り除くための仕組みづくり
- 各職場での安全衛生活動
- 安全衛生教育の実施
ポイント1|安全衛生管理体制の確立
会社は、以下のステップで、安全衛生管理体制を確立する必要があります。
- 安全衛生方針を定める
- 役員や管理者と労働者それぞれの役割や責任・権限を明らかにした安全衛生管理体制を整備する
- 会社全体で計画的・組織的に安全衛生管理活動に取り組む
労働安全衛生法では、安全衛生管理者の選任など、労働安全衛生体制についても定めていますから、同法も踏まえ、自社の職種や規模に照らし適切な安全衛生管理体制を構築しましょう。
ポイント2|安全衛生管理計画の策定
安全衛生管理を行うためには、企業が取り組む安全衛生活動の目標や内容、実施時期などを事前に定める必要があります。
安全衛生管理計画は、安全衛生管理体制とともに、安全配慮義務に対応するための柱となるものですから、自社の負う安全配慮義務の内容にあったものを策定する必要があります。
安全配慮義務の内容は会社の職種や規模、設備の有無、従業員の属性などにより異なりますから、自社が具体的にどのような内容の安全配慮義務を負うのかを整理し、それに合わせて、策定しましょう。
もっとも、策定するにあたっては、実行できないような内容のものを作成しても意味がないので、あくまで、実行可能な内容となるよう現場の意見も聴取のうえ策定するとよいでしょう。
ポイント3|危険源を取り除くための仕組みづくり
安全配慮義務の具体的内容は、個々の会社により異なります。
そのため、
- 自社がどのような危険源を有しているのか
- 危険源を取り除くためにどのような対策をとるべきなのか
を確認するための仕組みづくりが必要です。
以下のように、各職場で危険源の洗い出しとその対策の策定・実施を行い、それらを安全対策委員会などで定期的に検証し、結果をフィードバックする仕組みづくりを行うとよいでしょう。
① 各職場において、以下のような面から危険源を洗い出し、これに対する対策を策定・実施する。
・資格や特別教育が必要な作業の有無
・ケガや健康被害が発生する可能性がある場所・業務の有無
・ケガや健康被害が発生するような場所・業務における現状の対策状況
(業務者の制限、安全装置の取り付け、保護具の使用 など)
・労働者の心身に負担が生じるような職場環境となっていないかの確認
・労働者の属性に照らし過度な労働時間・労働内容となっていないかの確認
↓
② 安全対策委員会などで、各職場での対応を以下のような面から検証し、各職場へフィードバックする。
・資格や特別教育が必要な業務の抜け漏れの有無
・ケガや健康被害が発生する可能性がある場所・業務の安全性、対策の妥当性
・ケガや健康被害が発生する可能性がある場所・業務の追加対策の必要性
・各職場の労働環境調査・対策の妥当性
・各労働者の労働時間・労働内容の調査・対策の妥当性
・その他、各職場が気付いていない業務上の危険の有無の検証
ポイント4|各職場での安全衛生活動
各職場では、安全管理者や安全衛生推進者が中心となって、安全衛生管理計画や職場で行うべき危険源への対策などを職場内でくりかえし周知し、これらに沿った安全衛生活動を行います。
- ステッカーなどによる危険個所の見える化
- 安全衛生活動における重要項目の掲示
- 危険業務の際のチェックリストの作成
- 声かけ運動
- 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動
- 労働者への定期的な面談・問題点の共有
ポイント5|安全衛生教育の実施
安全衛生教育は、労働者が安全かつ健康に作業を行うために必要な活動です。
安全衛生教育の準備として、まずは、教育すべき事項、目的、対象者、内容、方法などを整理し、教育の実施計画を立てましょう。
また、安全衛生教育を行う際には、危険予知訓練やヒヤリハット事案の報告会など、従業員が主体的に参加するものを取り入れる、朝礼・夕礼時にワンポイント講義を行うなど、日常的に行えるものを取り入れるとよいでしょう。
なお、安全衛生教育は、雇用期間にかかわらず、全ての労働者に対して実施する必要があります。
おわりに
安全配慮義務は、従業員の生命や健康を守るために使用者に義務付けられたものであり、安全配慮義務に違反した場合、民事上の損害賠償義務だけでなく、刑事上、行政上の責任を負う可能性があります。
安全配慮義務の具体的な内容は、会社の業種、規模、施設、設備、従業員の属性などにより、それぞれ異なります。
本記事を参考に、会社が負う安全配慮義務の内容を確認し、会社の安全衛生管理体制、各職場での安全衛生活動や安全衛生教育が適切か、確認してみてはいかがでしょうか。
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