ハラスメント研修とは?
目的・種類・内容・実施方法・eラーニング活用・
ポイントなどを分かりやすく解説!

この記事のまとめ

ハラスメント研修」とは、企業内におけるハラスメントを予防するために、役員・従業員に対して行う研修です。

職場でハラスメントが発生すると、従業員の離職につながることがあるほか、外部に発覚すれば企業の社会的評価も低下してしまいます。そのため、定期的にハラスメント研修を実施して、従業員のハラスメント予防に関する意識を向上させることが大切です。

ハラスメントには、セクハラ・パワハラ・マタハラなどのさまざまな種類があります。各種類のハラスメントについて、個別に時間を割いて研修を行うのがよいでしょう。

ハラスメント研修では、問題になりやすい事例・ハラスメントをした場合のリスク・ハラスメントをしないために意識すべきこと相談窓口などを従業員に伝えます。従業員が当事者意識を持てるように、身近な具体例を示しながら研修を進めると効果的です。

この記事ではハラスメント研修について、目的・主な種類・伝えるべき事項・効果を高めるポイントなどを解説します。

ヒー

毎年全社員にハラスメント研修を行っていますが、飽きられてしまわないようにするにはどうしたらよいでしょうか?

ムートン

研修担当者のネタ探しは大変ですね。効果的な研修の方法を紹介していきます!

※この記事は、2024年9月24日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

ハラスメント研修とは

ハラスメント研修」とは、企業内におけるハラスメントを予防するために、従業員に対して行う研修です。

ハラスメントとは

ハラスメント(harassment)」はいやがらせ」や「迷惑行為」などを指す言葉で、相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般を意味します。職場でのいじめ行為などもハラスメントに含まれます。

近年では、多様な種類のハラスメントが問題視されています。特に「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ(パタハラ)」は、職場において問題になりやすいハラスメントの代表例です。

ハラスメントの種類(一例)

パワハラ(パワーハラスメント)
職場における優越的な関係を背景とした言動により、労働者の労働環境を害するハラスメントです。

セクハラ(セクシュアルハラスメント)
職場における性的な言動により、労働者に対して不利益を与えるハラスメントです。

マタハラ(マタニティハラスメント)
妊娠・出産・育児に関する言動により、女性労働者の就業環境を害するハラスメントです。

パタハラ(パタニティハラスメント)
育児に関する言動により、男性労働者の就業環境を害するハラスメントです。

ハラスメント研修の目的

ハラスメント研修の目的は、職場におけるハラスメントを未然に防ぐことです。

ハラスメント防止を徹底するためには、全ての従業員にハラスメントに関する正しい理解や意識を浸透させる必要があります。そのためには、役員・従業員を対象としたハラスメント研修を定期的に実施することが効果的です。

ハラスメント研修を適切に実施すれば、職場におけるハラスメントの発生リスクを最小限に抑えることができます。

ハラスメント研修の実施方法|講義・eラーニング

ハラスメント研修を実施する際の方法は、主に「講義」と「eラーニング」の2つがあります。

ハラスメント研修の実施方法

① 講義
ハラスメントについて知見を有する講師(弁護士や社会保険労務士など)が、従業員に向けて対面やオンラインで講義を行います。

② eラーニング
ハラスメントに関する講義プログラムが搭載されているソフトやアプリを活用して、動画の視聴・スライドの閲覧・設問への回答などを通じて学習します。

ハラスメント研修の主な種類

企業において実施すべきハラスメント研修の種類としては、主に以下の例が挙げられます。

① セクシュアルハラスメント研修(セクハラ研修)
② パワーハラスメント研修(パワハラ研修)
③ マタニティハラスメント研修(マタハラ研修)

セクシュアルハラスメント研修(セクハラ研修)

職場におけるセクハラを予防することの重要性は、近年特に高まっています。どのような行為がセクハラに該当するのかを例示した上で、同僚取引先の人に対するセクハラをしないように強く注意喚起しましょう。

パワーハラスメント研修(パワハラ研修)

職場におけるパワハラは、特に上司部下の関係性においてしばしば発生します。管理職の従業員に対しては、身近な例からパワハラに当たる行為を示しつつ、部下に対するパワハラをしないための留意事項を周知しましょう。

マタニティハラスメント研修(マタハラ研修)

妊娠出産に関して不快な言動をするマタハラを防止することは、特に女性労働者の働きやすさや定着率の改善を図るために重要と考えられます。
妊娠や出産についての理解を深め、従業員同士がお互いに配慮し合える職場をつくるため、マタハラについてもハラスメント研修で取り上げるとよいでしょう。

ハラスメント研修で伝えるべき主な内容

ハラスメント研修で伝えるべき内容としては、主に以下の例が挙げられます。

① 問題になりやすいハラスメント事例
② ハラスメントをした場合のリスク
③ ハラスメントをしないために意識すべきこと
④ ハラスメントに関する相談窓口

問題になりやすいハラスメント事例

どのような行為がハラスメントに該当するのか具体的に示すことは、従業員のハラスメントに対するイメージを明確化する観点から重要です。
職場において発生しがちなよくあるハラスメントを、できる限り豊富かつ具体的に挙げて示しましょう。

ハラスメントをした場合のリスク

ハラスメントをした従業員は懲戒処分損害賠償請求を受けることがあるほか、企業にとってもハラスメントが発覚すれば社会的評価の低下などにつながります。
ハラスメント研修では、ハラスメントには大きなリスクが伴うことを伝え、従業員の警戒意識を喚起しましょう。

ハラスメントをしないために意識すべきこと

ハラスメントに当たる言動は、日常の何気ない会話の中から生まれてしまうこともあります。
特に近年では、ハラスメントに対する問題意識が急速に強まっています。数年から十数年程度前の感覚では許されていた言動も、現在ではアウトというケースが珍しくありません。

ハラスメント研修では、現代の感覚に合わせた意識を持ち、職場での発言には慎重な配慮を要する旨を従業員に対して周知しましょう。

ハラスメントに関する相談窓口

ハラスメントの被害を受けた従業員をサポートするため、企業はハラスメントに関する相談窓口を設けるべきです。
ハラスメントに関する相談窓口を設けた場合には、ハラスメント研修の中で相談方法などを周知しましょう。

ハラスメント研修を実施する方法

ハラスメント研修を実施する際の手順は、大まかに以下のとおりです。

ハラスメント研修実施の手順

① 取り上げるハラスメントの種類を決定する
② 対象・実施方法・講師を決定する
③ ハラスメント研修を実施する
④ 従業員からフィードバックを受ける

取り上げるハラスメントの種類を決定する

まずは、ハラスメント研修において取り上げるハラスメントの種類を決定しましょう。

幅広いハラスメントを取り上げることも考えられますが、各ハラスメントに対する理解を深めるためには、特定のハラスメントにテーマを絞ることも効果的です。例えば1年間を通じて、セクハラ研修・パワハラ研修・マタハラ研修を1回ずつ開催するなどの方法も考えられるでしょう。

年間を通した研修スケジュールを立てた上で、各回におけるテーマを定めることをおすすめします。

対象・実施方法・講師を決定する

テーマとして取り上げるハラスメントの種類が決まったら、研修の対象実施方法(講義またはeラーニング)を決めましょう。

講義の場合は、講師を決める必要があります。
社内に法務担当者やコンプライアンス担当者がいれば、その人に講師を依頼することも考えられるでしょう。社内に講師を担える人がいなければ、外部の弁護士や社会保険労務士に講師を依頼する選択肢もあります。

日時に融通をきかせたい場合や、講師を招聘するだけの経済的余力がない場合は、eラーニングの利用も検討しましょう。

ハラスメント研修を実施する

事前の準備が完了したら、予定されたスケジュールに従ってハラスメント研修を実施します。

講義の場合、従業員は決められた日時に聴講するのが原則です。ただし、アーカイブを残しておいて後日動画を視聴させることも考えられます。

eラーニングの場合は、従業員に対してログイン方法などを周知し、決められた期間内に各々のタイミングで受講させるのが一般的です。

従業員からフィードバックを受ける

ハラスメント研修が完了したら、従業員にフィードバックを求めましょう。

講義の場合は、会場においてアンケート用紙を配付し、記入させた上で回収する方法が考えられます。オンライン受講の従業員に対しては、ウェブ上のフォームなどを通じてアンケートへの回答を求めましょう。

eラーニングの場合は、ソフトやアプリにアンケート機能が搭載されていることもあるので、適宜利用してフィードバックを受けましょう。

ハラスメント研修にeラーニングを活用するメリット

ヒー

社内に詳しい人はいないし、体制もありませんが、最新の研修を手軽に実施する方法はありませんか?

ムートン

ハラスメント研修を行う際には、eラーニングを活用することが効果的です。

Legal Learning」の「従業員コンプライアンス教育プラン(ビジネスプラン)」は、ハラスメント研修に活用できるeラーニングサービスです。「Legal Learning」の活用には、主に以下のメリットがあります。

① 研修を最小限のリソースで実施できる
② 研修のネタ探しが不要になる
③ ハラスメント防止の体制を素早く構築できる

研修を最小限のリソースで実施できる  

講師が講義を行う場合、資料をその都度準備しなければならず、当日の講師の手配も必要になるため、労力や人件費の負担が大きくなってしまいがちです。

「Legal Learning」を活用すれば、すでに用意された講座の中から自社に適したものを選択するだけで、簡単にハラスメント研修を実施できます。

研修のネタ探しが不要になる

定期的にハラスメント研修を実施していると、研修のネタとして新鮮な題材を毎回用意するのは大変です。同じようなテーマを繰り返し採用していると、従業員は飽きてしまい、ハラスメント研修の効果は低減します。

「Legal Learning」では、毎月新しい講座が追加されていくため、ハラスメント研修に当たって苦労することなく多様で新鮮なテーマを用意することができます。

ハラスメント防止の体制を素早く構築できる

職場におけるハラスメントの防止を強化するためには、ハラスメント研修の実施体制を構築することが最も重要な要素の一つです。
しかし、ハラスメント防止対策に取り組みたいものの、何から手を付ければよいのか分からず、専門の人員を割くこともできずに悩んでいる企業もあるかと思います。

「Legal Learning」を活用すれば、ハラスメント防止対策に当たって最も重要となる研修の実施体制を、少ないコストでスムーズに構築することが可能です。

ヒー

これなら、必要な研修を漏れなく実施できそうです!

ハラスメント研修の効果を高めるためのポイント

ハラスメント研修の効果を高めるためには、以下のポイントに留意しつつ、研修内容の設計や改善を行いましょう。

① ハラスメントの具体例とリスクを分かりやすく示す
② 定期的に繰り返し実施する
③ フィードバックを踏まえて研修内容を改善する

ハラスメントの具体例とリスクを分かりやすく示す

ハラスメントに関する従業員の理解を深めるためには、身近な具体例を分かりやすく示すことが大切です。ケーススタディを示して、具体的にイメージしやすい形でハラスメントに関する知識を伝えましょう。

また、ハラスメントをした場合のリスクについても、どのようなペナルティを負うのかを明確化すべきです。懲戒処分や損害賠償請求を受けたら、キャリアや生活へどのような影響が生じるのかを具体的に示し、従業員に対して注意喚起を行いましょう。

定期的に繰り返し実施する

ハラスメント研修の効果は、一度実施するだけでは限定的です。定期的に繰り返し実施することで、ハラスメントに対する従業員の理解がいっそう深まり、職場におけるハラスメントを効果的に防止できます。

できれば半年に1回程度、少なくとも1年に1回程度は、定期的にハラスメント研修を実施することが望ましいです。

フィードバックを踏まえて研修内容を改善する

従業員から受けたフィードバックは、ハラスメント研修の改善に役立ちます。
内容が分かりにくかったという指摘や、取り上げるべきテーマの提案などを受けた場合には、積極的に検討および反映をして、次回以降のハラスメント研修の改善を図りましょう。

ムートン

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