譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律
(譲渡担保法)とは?
民法のルールを踏まえた改正内容を
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この記事のまとめ

2025年6月6日に「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(譲渡担保法)が公布されました。

同法は、従来から慣習上認められていた「譲渡担保」と「所有権留保」について明文化し、法律関係の安定化を図るものです。公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日までに施行される予定となっています。

この記事では、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律について分かりやすく解説します。

ヒー

民法の担保法に関係する法律が制定されたと聞きました。どんな内容なのでしょうか?

ムートン

以前から法慣習として認められてきた「譲渡担保」と「所有権留保」を明文化して、登記制度などを整える法律です。譲渡担保契約にも影響があるため、内容を理解しておきましょう。

※この記事は、2025年7月16日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 法…譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律

目次

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律とは

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(譲渡担保法)とは、長年にわたって法慣習上認められていた「譲渡担保」と「所有権留保」に関するルールを整備する法律です。2025年の国会で成立し、同年6月6日に公布されました。

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律が制定された背景・目的

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律が制定されたのは、譲渡担保と所有権留保に関する明文のルールを整備するためです。

譲渡担保と所有権留保は、法律上の明文規定がないものの、法慣習上担保権として認められています。しかし、具体的なルールは判例や実務に依存しており、その内容が必ずしも明確とは言えません。

そこで、法律関係の予見可能性や取引の安定性を高めるため、新たに譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律が制定されました。同法の制定によって、譲渡担保や所有権留保がより使いやすくなり、資金調達の多様化を促進する効果などが期待されています。

公布日・施行日

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の公布日および施行日は、以下のとおりです。

公布日・施行日

公布日2025年6月6日
施行日:公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日
※一部の規定を除く

譲渡担保・所有権留保とは

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律は、法慣習上の担保権である「譲渡担保」と「所有権留保」についてのルールを定めています。譲渡担保と所有権留保の概要は、以下のとおりです。

譲渡担保とは

譲渡担保」とは、担保の目的で物の所有権を形式的に移転(譲渡)することを言います。

例えば、A社がB社からお金を借りる際、A社が持っているソーラーパネルに、B社のための譲渡担保権を設定するとします。この場合、ソーラーパネルの所有権はA社からB社へ移ります。

しかし実態としては、B社は担保権者に過ぎないため、ソーラーパネルを自由に使えるわけではありません。ソーラーパネルはA社が使い続け、B社は担保権のみを取得します。

A社がB社に約束どおりお金を返さなければ、B社は譲渡担保権を実行して、ソーラーパネルを自分のものにするか、または売却することができます。
ただし、B社が回収できるのは、あくまでもA社に対して貸したお金の残高のみです。超過額が生じた場合には、その額をA社に返さなければなりません。

このように譲渡担保は、物の所有権を形式的に移転することによって、実質的には担保権を設定するものです。特に動産については、質権と異なり、担保権設定者が使用を続けられるという特徴があります。

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