勤怠不良とは?
適切な対応の流れや注意点、
予防策を分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

勤怠不良とは、従業員が正当な理由なく、遅刻や早退、無断欠勤などを繰り返し、所定の勤務時間を守らない状態のことです。

・勤怠不良は、業務への支障や職場全体の士気低下を招くだけでなく、対応を誤れば法的な紛争にも発展しかねない重大な問題です。
・解決に向けては、就業規則に基づき、本人に改善の機会を与えながら段階的に対応を進め、その経緯を客観的に記録しておくことが重要です。
・単なる怠慢ではなく、メンタル不調やハラスメントなどが背景にある可能性も考慮し、原因を見極めた上で慎重に対応する必要があります。

本記事では、勤怠不良について、基本から詳しく解説します。

ヒー

遅刻や欠勤を繰り返す従業員に困っているのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。

ムートン

まずは面談で勤怠不良の理由を聴取し、背景に体調不良などがないかを確認したうえで、段階的に対応を進めていく必要があります。

※この記事は、2025年12月4日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

勤怠不良とは

勤怠不良とは、正当な理由なく、従業員が常習的に遅刻や早退、無断欠勤などを繰り返し、所定の勤務時間を守らない状態を指します。

勤怠不良は、業務に重大な支障をきたすだけでなく、他の従業員の士気やモチベーションの低下、業務負担の偏りなど、職場全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。

勤怠不良に該当する行為(遅刻や無断欠勤など)

勤怠不良の典型例は、遅刻早退欠勤です。特に事前の届出や正当な理由がない無断欠勤は、重大な服務規律違反となります。

他には、出勤していても業務中に居眠りを繰り返したり、私的行為を行ったりすることも、勤務不良として職務専念義務違反となり、懲戒処分の対象です。在宅勤務においても同様に、始業時間にPCにログインせず連絡が取れない状態などは、業務に従事していないと判断され、遅刻や職務専念義務違反に該当します。また、フレックスタイム制でも、コアタイムに遅れれば遅刻として扱われます。

勤怠不良は対応を誤ると法的リスクにも

度重なる遅刻や欠勤に対して感情的に即時解雇を告げたり、強引な退職勧奨を行ったりすることは避けるべきです

労働契約法16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

会社が改善の機会を十分に与えていない場合、解雇は不当解雇と判断されるケースがあり、解雇期間中の賃金支払いや損害賠償が発生する可能性があります。就業規則に基づいた指導を行い、経緯を書面やデータで記録しておくことが重要です。

勤怠不良を繰り返す従業員の適切な対応の流れ

勤怠不良を繰り返す従業員には、以下の流れで対応することが推奨されます。

  1. 面談で理由をヒアリングする
  2. 注意指導する
  3. 書面で指導・警告する
  4. 改善しない場合は懲戒処分を検討する
  5. 退職勧奨を行う

ステップ1. 面談で理由をヒアリングする

対象となる従業員と面談を行い、勤怠不良が続く理由をヒアリングします

遅刻や欠勤が発生した日時や回数を提示したうえで、原因の特定を進めます。本人の怠慢ではなく、体調不良や家庭の事情など、やむを得ない理由がないかどうかを慎重に探ります。

体調不良が原因の場合は、産業医との面談や診断書の提出を求め、休職や業務調整といった配慮を検討します。

ステップ2. 注意指導する

ヒアリングの結果、正当な理由がなく、寝坊やルールの軽視などが原因と判断できた場合は、口頭で注意指導を行います

指導の際は「始業時刻には必ずデスクに着くこと」「遅れる場合は必ず始業前に電話で連絡を入れること」など、就業規則に基づいた具体的な行動を指示します。

ステップ3. 書面で指導・警告する

口頭注意を繰り返し行っても改善が見られない場合は、注意書警告書を発行し、書面による指導に切り替えます

注意書や警告書には、具体的な違反事実、違反している就業規則の条項、期待する改善行動、改善が見られない場合の措置を明記することが推奨されます。文書を交付する際は、本人の受領サインを求めます。もし受領を拒否された場合は、交付を試みた日時や場所、本人が受領を拒否した事実を面談記録に残すことが重要です。

ステップ4. 改善しない場合は懲戒処分を検討する

書面での警告後も改善が見られない場合は、就業規則の懲戒規定に基づいた処分を検討します。懲戒処分は、妥当性を確保するため、段階的に行うことが望ましいです

一般的には、まず始末書の提出を求める譴責(けん責)や戒告から始め、改善しない場合は減給、出勤停止と段階的に処分を重くしていきます。

ただし、違反行為の重大性や悪質性(横領、暴力行為、重大なハラスメントなど)によっては、例外的に段階を経ず重い処分を行うことが認められる場合もあります。ただし、違反の程度に対して重すぎる処分は労働契約法15条により無効になる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

処分を決定する際は、本人の弁明の機会を必ず設け、就業規則で定められた手続きを経て決定します。

ステップ5. 退職勧奨を行う

指導や懲戒処分を経ても勤怠不良が改善されない場合、退職勧奨を検討します

退職勧奨とは、会社から退職を促し、従業員との合意によって雇用契約を終了させる方法です。退職勧奨を行う際は、指導記録や注意書、懲戒処分の履歴を示し、会社として対応を尽くしたが改善が見込めない事実を伝えます。

ただし、威圧的な態度や長時間の説得は退職強要として違法になるため、本人の自由意思を尊重し、回答を持ち帰らせて検討させる時間を与える必要があります。

退職勧奨については以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。

勤怠不良による解雇が不当解雇となるケース

勤怠不良を理由に解雇しても、不当解雇と判断されるケースがあります。

  • 遅刻や無断欠勤などの頻度が低い
  • 他の従業員と比べて不公平な処分
  • 事前に十分な指導なく解雇した

遅刻や無断欠勤などの勤怠不良の頻度が低いケース

勤怠不良の頻度が低く、程度が軽微な場合には、労働契約法16条により、解雇は「権利濫用」として無効と判断されることがあります

解雇は、労働者の生活基盤を左右する重大な処分であり、裁判所は違反行為の重大さと処分の重さが釣り合っているかを厳格に審査するためです。

「短期間に数回程度、数分の遅刻」「電車遅延による不可抗力での遅刻」といった程度では、解雇を正当化する理由として不十分とされます。解雇が認められるには、長期間にわたる常習的な遅刻、業務運営への重大な支障、再三の指導後も改善が見られない悪質性の証明が必要です。軽微な違反での性急な解雇は、会社側が損害賠償を請求されるリスクがあります。

他の従業員との公平性を欠くケース

同じように遅刻や欠勤を繰り返している他の従業員がいるにもかかわらず、特定の対象者だけを解雇した場合、「平等取扱いの原則」に反し、無効と判断されます

例えば、営業成績が良いAさんの遅刻は黙認されているが、成績が振るわないBさんが同じ回数の遅刻をした際に解雇するといったケースです。恣意的に運用されたルールに基づく処分は、差別的な取り扱いとみなされます。

懲戒処分や解雇を行う際は、同様の違反行為をしている他の従業員がいないか確認が必要です。

事前に十分な指導なく解雇するケース

勤怠不良の事実が明らかかつ程度が重い場合でも、事前に適切な改善指導を行わずに解雇を通知することは不当解雇と判断されるリスクがあります

判例では、解雇はあくまで最終手段という位置づけです。また、客観的に合理的な理由がなく、一般的に見て妥当といえない解雇は無効とされています。裁判所が解雇の有効性を判断する際には、企業が従業員に対して注意や指導を行い、改善の機会を与えたかどうかが重要な判断要素になります。

例えば、口頭での注意のみで解雇した場合、改善機会が不十分として解雇が無効と判断されかねません。ただし、必要な指導の程度は個別の事情により異なります。

解雇が有効であると判断される確度を高めるためには、実務上、まず口頭での注意で改善を促し、改善が見られなければ書面による警告で指導することが望ましいです。それでも改善されない場合は、減給や出勤停止などの懲戒処分を実施し、最終的に解雇を検討するという段階的な対応を取ることで、解雇が客観的に妥当な対応であると判断されやすくなります。

なお、各段階で指導内容を記録し、十分な改善機会を提供したにもかかわらず改善されなかった事実を証明することも重要です。

勤怠不良に適切に対応するための注意点

勤怠不良に対応する際は、適切な手順を踏まなければ不当解雇と判断されるリスクがあります。対応時に注意すべき点は、以下のとおりです。

  • メンタル不調やハラスメントの可能性を考慮する
  • 注意指導の内容は記録する
  • 体調不良が理由の場合は診断書の提出を求める

メンタル不調やハラスメントの可能性を考慮する

遅刻や欠勤などの勤怠の乱れは、背景に深刻な原因が潜んでいる場合があります。上司からのパワーハラスメントや職場いじめによる適応障害、過重労働によるうつ病などが関係している可能性を考慮しなければなりません

メンタルヘルス不調やハラスメントが勤怠不良の原因であるにもかかわらず、背景を確認せず一方的に「やる気がない」と決めつけて懲戒処分を行った場合、企業側が安全配慮義務違反を問われ、損害賠償請求を受けるリスクがあります。朝起きられない、出勤しようとすると動悸がするといった訴えは、睡眠障害やメンタル不調の初期症状である可能性があるためです。

初期段階の面談では、業務上の指導を行う前に、体調や職場の人間関係についてヒアリングを行います。健康面に不安を感じる兆候が見られた場合は、まず医師への受診を促し、その結果に応じて対応を検討することが重要です。

もし健康上の問題が確認された場合は、懲戒処分の検討を中断し、本人の同意を得て産業医との面談を設定するなど、健康回復を優先した対応へ切り替えることが求められます。

注意指導の内容は記録する

日々の口頭注意であっても、「いつ、誰が、誰に、どのような事実について、どう指導し、本人がどう答えたか」を文書やデータで記録に残す必要があります

勤怠不良に関するトラブルが解雇無効訴訟や労働審判といった法的紛争に発展した際、裁判所は客観的な証拠を重視します。会社側が「何度も口頭で注意した」と主張しても、記録が一切なければ「指導は行われていなかった」と判断され、処分が無効になりかねません。

適正な指導実績を証明するためには、指導した際にその場でメモを取ることが推奨されます。

体調不良が理由の場合は診断書の提出を求める

従業員が体調不良を理由に頻繁に遅刻や欠勤を繰り返す場合、医師による診断書の提出を求めて事実確認を行います。体調不良が一過性のものか、長期的な治療を要する病気か、業務に耐えられない状態かを客観的に把握し、適切な安全配慮を行うためです。

診断書には、本人の同意を得たうえで、病名を記載してもらうことが望ましいです。さらに、現在の職務内容に耐えられる状態か、就業を継続する場合にどのような配慮が必要かについて、主治医の具体的な意見を記載してもらうことも推奨されます。残業禁止や時短勤務、通院日の確保といった具体的な就業上の措置を判断する際の根拠となるためです。

本人が受診や提出を拒む場合、業務に支障が出ている以上、安全配慮義務を履行するために必要であると説明します。

就業規則に「正当な理由なく受診命令に従わない場合は懲戒処分の対象とする」といった規定がある場合は、就業規則に基づき、業務命令として医療機関の受診を命じることが可能です。

ただし、メンタルヘルス不調が疑われる場合は、強引に提出を求めると症状が悪化する懸念があります。そのため、まずは産業医面談のような代替手段を提案する慎重な対応が求められます。懲戒処分は最終手段として位置づけ、段階的な対応を経ることが重要です。

勤怠不良の予防策

勤怠不良は発生してから対応するのではなく、未然に防ぐための仕組みづくりが重要です。具体的な予防策は、以下のとおりです。

  • 勤怠不良に関する処分を就業規則で明確に定める
  • 就業規則における遅刻や欠勤の定義を定期的に見直す
  • 勤怠管理システムを導入する
  • 定期的に面談を実施する

勤怠不良に関する処分を就業規則で明確に定める

勤怠不良への対応の前提として、違反行為に対する懲戒処分の内容を就業規則の懲戒規定に明確に定めておく必要があります

「正当な理由なく遅刻・早退・欠勤を月○回以上繰り返したとき」や「○回以上の改善指導にもかかわらず是正が見られないとき」といった要件を具体的に記載し、全従業員に周知します。ただし、「遅刻を3回したら即解雇する」のような過度に厳しい規定は、労働契約法の観点から無効と判断される可能性があるため注意が必要です。

就業規則の遅刻や欠勤の定義を定期的に見直す

勤怠不良に対する指導を一貫性のあるものにするためには、就業規則を具体的に定義することが重要です

フレックスタイム制や在宅勤務が普及した現在、「コアタイムに1分遅れただけで遅刻になるのか」「チャットで連絡すれば無断欠勤にならないのか」といった曖昧な点が生じやすくなっています。

「フレックス制であっても、コアタイム開始時刻に所定の場所で業務を開始していなければ遅刻とする」といった具体的な運用ルールを明文化し、周知する必要があります。

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを導入することで、客観的な打刻データをリアルタイムで可視化し、勤怠不良の予兆を早期に発見できます

手書き出勤簿やExcel管理では打刻の修正履歴が残りにくく、遅刻や早退の頻度が増加している兆候を把握することが困難です。勤怠管理システムでは、「月3回以上の遅刻」や「週2回以上の打刻修正」といった具体的な基準を設定し、超過した時点で管理者へ自動的にアラート通知を送ることができます。

正確なログは、懲戒処分の際に会社側の主張を裏付ける証拠としても有効です。

定期的に面談を実施する

遅刻や欠勤という問題が起きてから対処するのではなく、日常的に上司と部下がコミュニケーションを取れる定期面談を実施し、小さな変化を早期に把握することが重要です

月1回程度、業務の進捗確認だけでなく、「最近よく眠れているか」「体調に変化はないか」「業務量に無理はないか」といった対話を行います。もし従業員に不調の兆候や悩みが見られた場合には、早期に業務調整や産業医面談などの対応を行うことで、長期休職や退職といった事態の回避が可能です。

ムートン

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参考文献

e-Gov 法令検索「労働契約法」

監修者

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涌井好文 社会保険労務士(神奈川県会横浜北支部)
就業規則作成、社会保険手続き、給与計算、記事執筆及び監修