【東京地判令和6年5月16日】
AIを発明者として記載した特許出願が
認められなかった事例
| おすすめ資料を無料でダウンロードできます ✅ 知財担当者が押さえておきたい法令まとめ |
- この記事のまとめ
-
東京地裁令和6年5月16日判決の事案では、AI(人工知能)を発明者として記載した特許出願を却下する処分の取消しを求めて、出願者が国を提訴しました。
東京地裁は、特許法上の発明者は自然人に限られるとして、出願者の請求を棄却しました。その理由として東京地裁は、知的財産基本法や特許法の文言に加えて、発明者にAIが含まれるとした場合に生じるさまざまな問題点などを挙げています。
本判決によって従来の実務に変更が生じることはなく、AIを発明者として記載することは引き続き認められません。AI発明に関しては立法的措置が期待されますが、実際の立法のタイミングや内容は国会における審議に委ねられます。
※この記事は、2025年7月23日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
事案の概要
AI(人工知能)を発明者として記載した特許出願を却下する処分の取消しを求めて、出願者であるXが国を提訴した事案です。
本件の発明(フードコンテナ並びに注意を喚起し誘引する装置及び方法)に関する特許出願は元々外国でなされましたが、特許協力条約および特許法の規定に基づき、日本においても国際出願がなされました。
本件の特許出願では、発明者の氏名が「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載されていました。
特許庁長官は、発明者として記載できる者は自然人に限られるとして、Xに対して出願書類の補正を命じました。
しかしXは、補正命令には法的根拠がなく、補正は不要であると主張しました。そのため特許庁長官は、Xの特許出願を却下しました。
Xは審査請求を行いましたが認められず、東京地裁に出願却下処分の取消訴訟を提起しました。












