臨時株主総会とは?
定時株主総会との違い・どんな時に行うか・
手続き・注意点などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

臨時株主総会」とは、株式会社が臨時的に開催する株主総会です。

事業年度ごとに1回招集される定時株主総会に対して、臨時株主総会は必要がある場合にいつでも招集できます。例えば取締役の選任・解任や、M&Aをはじめとする経営上の重要な事項については、臨時株主総会で決議されることが多いです。

臨時株主総会を開催する際には、あらかじめスケジュール開催方法会場などを決定する必要があります。その上で、会社法の規定に従って招集通知と株主総会参考書類を作成・発送します。その後は十分な準備を整えて、臨時株主総会の当日に臨みましょう。

臨時株主総会の開催後には、議事録を作成・保存する必要があります。また、株主総会決議によって登記事項を変更した場合には商業登記の変更申請、上場会社においては臨時報告書の提出が必要となることがあります。

この記事では臨時株主総会について、定時株主総会との違い・目的・手続きなどを解説します。

ヒー

定款を変更するために臨時株主総会をすることになりました。臨時株主総会をやったことがないのですが、通常の株主総会とは違うのですか?

ムートン

年に一度開催する定時株主総会と、必要に応じて開催する臨時株主総会で、審議事項や手続きに違いはありません。ただし、準備期間が短くなることが多いため、手続きには注意しましょう。

※この記事は、2024年3月15日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 開示府令…企業内容等の開示に関する内閣府令

臨時株主総会とは

臨時株主総会」とは、株式会社が臨時的に開催する株主総会です。取締役の選任・解任や、M&Aなど、早期に決定すべき事項が生じた場合には、定時株主総会とは別に臨時株主総会が開催されます。

臨時株主総会と定時株主総会の違い

定時株主総会」は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集・開催しなければなりません(会社法296条1項)。多くの株式会社は、事業年度の終了後3カ月以内に定時株主総会を開催しています。

一方、定時株主総会以外にも、株主総会は必要がある場合にいつでも招集できます(同条2項)。定時株主総会以外の株主総会は「臨時株主総会」と呼ばれています。

定時株主総会は、事業年度の終了後に行われるという性質上、事業報告決算の承認剰余金の配当などが議題に上がるのが一般的です。
これに対して臨時株主総会は、会社が臨時的に決定すべき事項を決めるために開催されます。そのため、議題の内容は幅広い傾向にあります。

上記のような一般的な傾向はありますが、定時株主総会と臨時株主総会はいずれも、取り扱うことのできる議題・議案に制限はありません。両者の区別に関わらず、必要な事項を議題・議案として審議することができます。

臨時株主総会を開催する目的の例

臨時株主総会において審議される事項としては、以下の例が挙げられます。

臨時株主総会の審議事項の例

・役員の選任、解任
・本店の移転
・支店の設置、移転、廃止
・募集株式の発行(増資)
・M&A(合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付など)
・事業譲渡
など

臨時株主総会の開催手続き

臨時株主総会を開催する際には、以下の流れで準備と対応を進めましょう(順序は前後しても構いません)。

臨時株主総会の開催手続き

① スケジュール・開催方法・会場の検討・決定
② 招集通知・株主総会参考書類の作成・発送
③ 議事進行予定・想定問答集の作成
④ リハーサル
⑤ 臨時株主総会の開催・議事進行

①スケジュール・開催方法・会場の検討・決定

臨時株主総会を滞りなく開催するためには、全体のスケジュールを早い段階で決めておくことが大切です。

株主総会の準備は本来、時間的に余裕をもって行うことが望ましいです。臨時株主総会についても、基本的には定時株主総会と同様に、3カ月程度の期間をかけて準備するのがよいでしょう。
そのためには、決議すべき事項を検討する段階で、臨時株主総会の開催準備にかかる期間を織り込んだスケジュールを立てておくことが求められます。

ただし、緊急に決議すべき事項が発生した場合には、臨時株主総会の開催準備にかけられる時間が限られることがあります。その場合も、短期間のうちに会社法上の手続きなど最低限の対応ができるように、合理的なスケジュールを立てて対応することが大切です。

なお、株主総会における権利行使について、定款の定めとは異なる基準日を設ける場合は、当該基準日の2週間前までに、基準日および基準日株主が行使できる権利の内容を公告しなければなりません(会社法124条3項)。
この場合は、公告手続きについてもスケジュールに組み込んでおきましょう。

②招集通知・株主総会参考書類の作成・発送

臨時株主総会の開催に先立って、株主に対して招集通知を発送する必要があります。公開会社では開催日の2週間前までに、非公開会社では開催日の1週間前までに招集通知を発送しなければなりません(会社法299条1項)。

招集通知には、以下の事項を記載する必要があります(同条4項・298条1項)。

招集通知の記載事項

(a) 株主総会の日時・場所
(b) 株主総会の目的事項
(c) 株主総会に出席しない株主の書面による議決権行使を認める場合は、その旨
(d) 株主総会に出席しない株主の電磁的方法による議決権行使を認める場合は、その旨
(e) その他会社法施行規則63条で定める事項

また、書面または電磁的方法による議決権行使を認める場合は、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(=株主総会参考書類)を、株主に対して交付しなければなりません(会社法301条・302条)。

株主総会参考書類に記載すべき事項は、会社法施行規則73条以下に規定されており、議案の内容によって異なります。株主総会参考書類の作成には時間がかかるケースも多いので、早めに準備を始めましょう。

③議事進行予定・想定問答集の作成

臨時株主総会当日の議事を円滑に進行するためには、事前に当日の準備を整えることも重要です。

当日に向けた準備の方法は会社によってさまざまですが、特に以下の2つの資料については最低限準備しておきましょう。

(a) 議事進行予定
報告事項および決議事項について、概要・議長が話すべきこと・報告担当者・所要時間などをまとめた予定表です。
臨時株主総会が紛糾した場合でも、議事進行予定を準備しておけば、議事を本筋に戻すことができます。

(b) 想定問答集
株主による質問が想定される事項について、模範回答をまとめた資料です。

取締役は、株主の質問に対して自分の言葉で回答することが望ましいです。しかし、全く想定していない質問を受けて動揺してしまい、適切な回答ができないと、株主からの信頼を失ってしまうリスクがあります。

このようなリスクを防ぐためには、想定問答集を準備することが効果的です。訊かれる可能性が高い質問について事前に回答を準備しておけば、実際に質問を受けた際に回答の助けとなります。

想定問答集は、当日に向けた練習やリハーサルでも役立ちます。想定問答集を利用して練習やリハーサルを積み重ねれば、想定される質問に対してすべき回答が頭にインプットされ、当日は想定問答集を見なくても適切な回答ができる可能性が高まります。

④リハーサル

臨時株主総会当日の動きを確認するため、できる限り同じ会場でリハーサルを行いましょう。

リハーサルでは、人員配置や設備の位置、各担当者の動きなどを確認します。あらかじめ当日用のマニュアルを作成し、マニュアルに沿って確認を行うとよいでしょう。

リハーサルは、臨時株主総会の当日とは別の日に行うことが望ましいです。別日の開催であれば、リハーサルで判明した問題点を、当日までの間に余裕をもって改善することができます。
どうしても別日にリハーサルを行うことが難しければ、午前中にリハーサルをして午後の遅い時間から臨時株主総会を開催するなど、問題点を改善するための時間を確保できるようにしておきましょう。

⑤臨時株主総会の開催・議事進行

株主総会の当日は、議事進行予定を活用しながら、議長において適切に議事を進行することが求められます。報告事項および決議事項について、極力時間どおりに進行することが望ましいです。

株主から想定外の質問が行われたり、議事妨害的な行動がなされたりするケースも想定されます。議長としては、このような事態が生じても落ち着いて対応し、議事を本筋に戻しながら進行しなければなりません。

一方、取締役は株主の質問に対し、必要に応じて想定問答集を参照しつつ、適切に回答することが求められます。決議事項については、事情に詳しい担当者や専門家(弁護士など)を同席させて、必要に応じて代理で回答させるなどの対応も考えられるでしょう。

臨時株主総会の当日にはイレギュラーな事態が生じる可能性があるため、さまざまな状況を想定したシミュレーションを行っておきましょう。

臨時株主総会後の手続き

臨時株主総会の終了後には、以下の対応が必要になります。

臨時株主総会後の手続き

① 臨時株主総会議事録の作成・保存
② 商業登記の変更申請
③ 臨時報告書の提出(上場会社等のみ)

臨時株主総会議事録の作成・保存

臨時株主総会の議事については、議事録を作成しなければなりません(会社法318条1項、会社法施行規則72条)。

臨時株主総会議事録の記載事項は、以下のとおりです。

(a) 株主総会の開催日時・場所(役員・株主が会場以外で出席した場合には、その出席の方法)

(b) 株主総会における議事経過の要領・結果

(c) 以下の事項について、株主総会において述べられた意見・発言内容の概要
・監査等委員である取締役等の選任、解任、辞任についての意見(会社法342条の2第1項)
・監査等委員である取締役を辞任した者による、辞任した旨およびその理由の陳述(同条2項)
・監査等委員会が選定する監査等委員による、監査等委員である取締役以外の取締役の選任、解任、辞任についての監査等委員会の意見(同条4項)
・会計参与による、会計参与の選任、解任、辞任についての意見(会社法345条1項)
・会計参与を辞任した者による、辞任した旨およびその理由の陳述(同条2項)
・監査等委員である取締役による、監査等委員である取締役の報酬等に関する意見(会社法361条5項)
・監査等委員会が選定する監査等委員による、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等についての監査等委員会の意見(同条6項)
・計算書類等の作成につき、会計参与が取締役と意見を異にする場合における、会計参与の当該計算書類等についての意見(会社法377条1項)
・会計参与による、会計参与の報酬等についての意見(会社法379条3項)
・監査役による、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類等の法令違反、定款違反、著しく不当な事項についての報告(会社法384条)
・監査役による、監査役の報酬等についての意見(会社法387条3項)
・定款により、監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合において、監査役による会計調査結果の報告(会社法389条3項)
・計算書類等の法令、定款への適合性につき、会計監査人が監査役と意見を異にする場合における、会計監査人の意見(会社法398条1項)
・定時株主総会において、会計監査人の出席を求める決議があった場合における、会計監査人の意見(同条2項)
・監査等委員による、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類等の法令違反、定款違反、著しく不当な事項についての報告(会社法399条の5)

(d) 株主総会に出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名または名称

(e) 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名

(f) 議事録の作成に関する職務を行った取締役の氏名

作成した議事録は、原本を本店に10年間、写しを支店に5年間備え置く必要があります(会社法318条2項・3項)。

商業登記の変更申請

臨時株主総会における決議によって以下の事項を変更した場合には、会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に対して、決議日から2週間以内に変更登記を申請する必要があります(会社法915条1項・911条3項)。

  • 目的
  • 商号
  • 本店および支店の所在場所
  • 存続期間または解散の事由についての定款の定め
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数
  • 発行する株式の内容
  • 単元株式数
  • 発行済株式の総数ならびにその種類および種類ごとの数
  • 株券発行会社か否か
  • 株主名簿管理人の氏名or名称・住所・営業所
  • 新株予約権に関する事項
  • 株主総会参考書類等の電子提供措置をとる旨
  • 取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く)の氏名
  • 代表取締役の氏名および住所(指名委員会等設置会社を除く)
  • 取締役会設置会社であるか否か
  • 会計参与設置会社であるか否か、会計参与の氏名or名称、会計参与が定める計算書類等の備置場所
  • 監査役設置会社であるか否か、監査の範囲に会計に関するものに限定するか否か、監査役の氏名
  • 監査役会設置会社であるか否か、社外監査役であるか否か
  • 会計監査人設置会社であるか否か、会計監査人の氏名or名称
  • 一時会計監査人の氏名or名称
  • 特別取締役による議決の定めに関する事項
  • 監査等委員会設置会社であるか否か、および関連する事項
  • 指名委員会等設置会社であるか否か、および関連する事項
  • 役員の責任免除に関する定款の定め
  • 責任限定契約に関する定款の定め
  • 計算書類の電子公告に関する事項
  • 公告方法についての定款の定め
  • 電子公告による公告方法に関する事項
  • 官報に掲載する方法を公告方法とする旨

臨時報告書の提出(上場会社等のみ)

上場会社が臨時株主総会において決議を行った場合には、以下の事項を記載した臨時報告書を作成し、財務局長等に提出しなければなりません(金融商品取引法24条の5第4項、開示府令19条2項9号の2)。

(a) 当該株主総会が開催された年月日
(b) 当該決議事項の内容
(c) 当該決議事項に対する賛成・反対・棄権の議決権数、当該決議事項が可決されるための要件、当該決議の結果
(d) (c)の議決権の数に株主総会に出席した株主の議決権の数の一部を加算しなかった場合には、その理由

臨時株主総会を開催する際の注意点

臨時株主総会の特徴は、短期間での準備が必要となるケースが多い点です。そのため、臨時株主総会の開催準備に当たっては、特に以下の2点が重要になります。

注意点1|招集通知の記載事項・発送に漏れがないようにする
注意点2|スケジュール管理を徹底する

注意点1|招集通知の記載事項・発送に漏れがないようにする

株主に対して発送する招集通知には、会社法所定の事項を記載しなければなりません。また、議決権を行使できる株主に対しては、原則として全員に招集通知を発送する必要があります。

招集通知の記載事項や発送に漏れがあると、株主総会決議の取消事由に該当し得るので注意が必要です(会社法831条1項1号)。短期間での準備に焦るあまり、招集通知に関するミスが生じないように十分気を付けましょう。

注意点2|スケジュール管理を徹底する

臨時株主総会は短期間での準備を要するため、いっそうスケジュール管理の徹底が重要になります。

特に招集通知の発送基準日公告などについては、会社法によって一定の期間を確保することが義務付けられています。
法令上確保が必要な期間と、事務処理上必要な期間をきちんと把握した上で、合理的なスケジュールを立てて準備を進めましょう。

ムートン

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